2006.01.31. (09:27)
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チャコはブチやクロの妹。
前足でモミモミしながら、人間の指をチュパチュパ吸う。
ナナが子離れした直後、育ての親になり、
あだ名は「擬似ママ」。
カリンやトウは今でも時々
チャコの出ないオッパイに吸いついている。
(前回のつづき)
「ほっといてくれ ! 」
アボカドが
いきなり大声を出して立ち上がった。
「おい ! ママにひどいことしたら
承知しないぞ」
私はママの所へ飛んで行き
アボカドを怒鳴りつけた。
アボカドは目を細め、
私の頭から足先まで見下ろしている。
「なんだ ? おまえは」
「ママの友人だ、文句あるか」
私は身を乗り出し、
アボカドの頭を噛めるくらいに近づいてやった。
アボカドが腰をひいた。
この男は自分より弱い者にしか
威張れないのだ。
私の身長はアボカドを遥かに超え、
あっちは脂肪、こっちは筋肉だ。
「大丈夫よ、この人 自分のしてきたこと
本当は後悔してるのよ。
それを知られるのが恐くて
興奮しただけなのよ」
「俺は後悔なんぞしてはいない ! 」
アボカドは怒りで顔を真っ赤にして喚いた。
「俺は悪くないぞ、不愉快なやつらだ !
もうこんな店出てやる。カネはいくらだ、
千円で足りるだろう。
コ-ヒ-一杯だからな」
アボカドはバッグから財布を出そうとしたが、
バッグは空っぽ。
赤かった顔が、たちまち色を失った。
ジャケットのポケットを探しても、
お金はどこにも無い。
「あ・・・金を忘れてきたようだ。
後で持って来るから・・・」
アボカドのエンジンがしぼんでゆく。
私が何か言う前に、ママが先に声をかけた。
「この店に来るお客様には、
お金なんて必要ないんです」
アボカドは怪訝な顔をして
「しかし、メニュ-には・・・」
「どこにも値段なんて
書いてないでしょう ? 」
ママはアボカドにメニュ-を渡した。
食い入るようにメニュ-を見るアボカド。
メニュ-には何も書かれていなかった。
「白紙じゃないか、なんにも書いていない。
さっきは確かに品書きがあった・・・」
「あなたが望めば出てくるわ」
ママの言うとおり、たちまちメニュ-に
品書きが浮き出てきた。
だらしなく口を半開きにして
呆然としているアボカドにママが言った。
「死人にお金はいらないわ、
ここは死んだ人が来る場所なの」
ママの目がまた暗くなった。
「死んだ ? 俺が ? 」
「そうよ、あなた死んでるのよ」
ママがアボカドの頭の上に
サ-ッと手をかざす。
黒いレ-スの袖が
ヒラヒラと風に舞った。
それはほんの数分の間だったが、
アボカドは今、自分の人生を
見ているのだと私は思った。
放心状態から目覚めたアボカドの目から
涙があふれ出た。
「俺は、俺はいろいろな人を不幸にした。
妻にも諭されたが、直そうとしなかった。
人の悪はとがめるが、
自分の悪には気がつかない人間だった」
「あんたは、お婆さんが倒れてきた時
避けただろ ? そんな冷酷なことをするから
バチがあたったんだよ」
私がそう言うと、アボカドは激しく泣き出した。
「そうだ、お婆さんには申し訳ないことをした。
こんな俺は死んで当然だ。
わかっていたんだよ、何もかも。
妻にも心配かけた。
しっかり者でやさしい妻だった。
俺のたった一人の理解者だったのに、
俺は言うことを聞かなかった。
二人の娘にも、俺は嫌な男に見えただろうな、
尊敬出来ない父親だった。
いつのまにか食事も家族と別になっていた。
俺は自分の部屋で一人でポツンと食事して、
居間では妻と子供達が一緒に食べている。
楽しい笑い声が聞こえてくるんだ。
本当に寂しかったよ・・・
俺は文句を言うのを理由にして、
誰でもいいから家に来させて
話がしたかったんだ。
少なくても俺が怒っている間は、
相手しなければならないからな。
心のこもった言葉がほしかったんだ。
たとえ嘘でもいいから、俺の目を見て
話してほしかったんだ・・・」
泣いているアボカドを見ても
私は同情する気になれなかった。
こいつのせいで、外の人達の人生は
メチャクチャになったのだ。
「あんたはトラブルメ-カ-だったんだよ
あの人達の人生を返してやれよ ! 」
アボカドの涙は止まる暇がないようだった。
まだ言い足りない私を止めるように、
ママがいきなり口をはさんだ。
「あなたが心から謝まれば、
あの人達、きっと許してくれるわ。
私が一緒について行ってあげるから
外に出ましょう」
ママがドアを指差す。
外にいる面々を見て、
アボカドの体がブルッと震える。
「勇気を出すのよ」
アボカドは頷き、深呼吸を一つして、
ママに導かれるままドアを開けた。
〜つづく
2006.01.30. (07:36)
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2006.01.29. (09:09)
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ブチは体重が8キロもあり、性格がやさしい。
六年ほど前、ドライフ-ドのせいで
尿管閉塞になり死にかけた。
それ以降我が家ではドライフ-ドをやめた。
ママの店に行った。
カウンタ-には相変わらず先生がいて、
病院内でのグチをママにこぼしている。
私は 自分の場所と決めている
壁際のソファ-に座る。
そして 狭い店内を見回して、
この前一緒に学校に行ってやった
あの少年が来ていないのを確認した。
ママが私の側にやって来る。
「ねえ、あれから あの学生ここに来た ? 」
「来てないよ」そう答えてママは微笑んだ。
ここに来る客は、まだ自分への答えを
出せない人ばかりなんだと、
随分前にママから聞いたことがある。
あの少年は答えを見つけたんだ・・・
そう思うと何だか嬉しくなつてきた。
ドアがバタンと大きな音をたてて開いた。
ギョッとして見ると、
風とともに、男が一人入ってきて、
滑るようにカウンタ-の席についた。
背のあまり高くない小太りのその男は
茶系のブレザ-を着ていて、黒い
セカンドバックを持っていた。
どこが どうだからと言うのじゃないが、
何かイヤなタイプだと思った。
ママがカウンタ-に入り男の前に行った。
「いらっしゃいませ」ママが笑顔で挨拶したのに、
男は白けた声で「メニュ-・・・」と言った。
男にメニュ-を渡して
「何でもありますよ、お客さんのお望みのもの」
とママが言うと、男はホホゥ-・・・と言いながら
ママの顔を見た。
イヤな感じが的中した。
「ということはメニュ-以外にも出来るってこと ? 」
意地の悪そうな声で聞く。
「ん・・・じゃあ・・・アボカドジュ-ス」
よりにもよってアボカドかい !
私はママの顔を見た。
ママはニコニコ笑いながら
「はい、それならここに書いてございます」
と言ってメニュ-を指さした。
「そんなもん、どこに書いて・・・」
男はメニュ-に顔を近づけて絶句したようだ。
あったんだ・・・アボカド・・・
私は愉快だった。
「アボカドジュ-スでよろしいですか ? 」
ママが聞くと、男は
「やっぱり コ-ヒ-でいいよ」と小さく言った。
カウンタ-に男が二人 離れて座っている。
一人は水割りのグラスを見つめている。
もう一人は、出されたホットコ-ヒ-を飲みはじめた。
ママが私の側に戻って来た。
「あの人、ヤなやつだねえ」と私が小声で言うと
ママは悲しい顔をして首をかしげた。
鳶色の目が涙で潤んでいる。
びっくりして、
ママ・・・? と声をかけると
ママは静かにドアの方を見た。
ドアの向こうに十数人の男女が立っている。
サラリ-マン風の人もいれば、
ウエイトレスの格好をした女性もいて、
工事関係らしい人や商売人のような人もいる。
その人達の視線は
さっきの客に集中しているようだ。
〜つづく
2006.01.28. (08:27)
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2006.01.27. (07:21)
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2006.01.26. (10:21)
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2006.01.26. (07:27)
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トウは お父さんそっくりで、細っそりとした小さな娘です。
カリンとは双子。
でも、トウは男の子みたいに冒険がしてみたいようで、
どんな高いタンスの上にでも 上がろうと考えています。
(ママの店 前回のつづき)
気がついたら薄暗い店の中にいて、
壁際にくっつけてあるソファ- に座っていた。
私がいつも座る 場所だ。
今日は私以外に二人客がいる。
カウンタ-に座って水割りを飲んでいるのは
近所の総合病院の先生で、
この前の事故から元気がなく、
ママが話し相手になってあげているらしい。
奥にあるソファ-には
学生服を着た少年が
テーブルにくっつけた頭を両手で抱え込んで、
なにやら悩んでいるようすだ。
ママが私に気がついてこちらへやって来た。
「あの子どうしたの? 初めて見る顔だけど」
「ああ・・あの子はねえ、学校で いじめに遭ってるのよ」
「高校生なの? 」
「そうなのよ、一番大事な時なのにねえ・・・
ねえ、あんた相談に乗ってあげてよ」
「えぇぇ? 何で私が・・・だいいち何を
すりゃいいのさ」
ママはもう私の話なんて聞いてなくて、
その子のところへ行き 私を指さし、
あの人が相談のってくれるよ
などと無責任なことを言っている。
しかたがないので渋々近寄って行ったら
いきなり瞬間移動してしまい、
どこかの学校の教室にいた。
一つの机に花瓶がある。
あぁ、お決まりの お葬式ってやつか・・・
私の横に少年が暗い顔をして立っている。
机の周りには誰もいなかったが、一番近くにいる
悪そうな男子を選び、説教をしてやろうとした。
「なあ、おまえ 何でこんなことするんだ、
聞いているのか? なあ、返事をしろよ」
そいつはゴリラのような大男で、
学生服など およそ似合わない
不細工な悪ガキに見えた。
私が 昔よく喧嘩した相手に似ている。
こういう野郎は力はあるが 動きがにぶい。
自分を恐れる相手には強いが、
一度恐怖を体験させてやると、
ネズミのように小心者になる。
「おいっ ! シカトかよ ! 」
胸倉を掴もうとしたが、
なんと 私の手は何も掴んでいなかった。
ゴリラのそばに同じようなワルが数人寄って来た。
こいつらか・・・と思って見ていると
いかにも今シンナー吸いましたというような
痩せ気味で 顔色の悪い少年が
ボソッとつぶやいた。
「山本のやつ、本当に死んじまうなんて思ってなかったよ」
「そりゃ、俺らがあいつをイジメタから・・・」
他の誰かが そう言うと、ゴリラが急に泣き出した。
おんおん という泣き声をあげながら、
ゴリラは机の上にある花瓶を
両手で大事そうに包み込んだ。
「もう、いいだろ? こいつら反省してるよ・・・」
私は少年を見た。
少年は照れくさそうに笑って頷いている。
そして私はまたママの店に瞬間移動した。
「どうだった ? 」とママが聞く。
「イジメっ子達は 充分反省してたよ。
って言うか、あの子
もう死んじゃってるじゃない・・・」
「あたりまえよ、ここに来る人はみんな
もうあっちの世界にいられなくなった
人ばかりだもの・・・」
そう言ってママは ウフフッと笑った。
2006.01.25. (08:27)
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2006.01.24. (11:48)
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チャーは、シュウとシマジロウの兄弟。
シュウとよく似ているが、
毛の色がシュウより濃い。
シュウがミルクコーヒーなら、
チャーはオレンジキャラメルだ。
シュウもチャ-も人間にしか懐かず、
猫達の間では孤立している。
二匹ともハ-トの形をしたクッションが大好きで、
それを枕にして寝ている。
我が家は猫が多いので、
臭いと抜け毛の対策をしなくてはいけない。
掃除機は毎日5〜6回かける。
砂もいろいろな種類があるが、
トイレに流せて且つ臭いを吸収するもの。
糞には出来るだけ絡みつかず、
尿だけガッチリ固めるものが良い。
そして値段の安いもの。
今のところベントナイトと言う
土から出来た砂が一番使い良いと思う。
しかし何よりも、食事に一番気をつわなければならないと思う。
○ャラットとかフリ○キ-とかのドライフ-ドは最悪で、
泌尿器疾患になりやすい。膀胱に砂のような物が溜まり、
尿が出なくなる。
血尿から腎不全を起こし、死にいたる。
サイエンスダイエットは大丈夫みたいだが、
我が家では一日二回、鰹節ご飯に栄養剤を混ぜて
食べさせている。
そして寝る前は、温めた牛乳を飲ませる。
なんか人間より、大事にされているなあ・・・
2006.01.23. (07:27)
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今日の猫はシマジロウ。
シュウの兄弟。
彼はとても小心者で、いつもビクビクしながら悪戯をする。
尻ぐせも悪く紙オムツを着けられている。
(ママの店)
私には、夢の中で必ず行くスナックがある。
その店は現実では存在しない。
私は、その店の古さと、
狭くて薄暗い雰囲気が気に入っている。
中年のママは地味で、とりたてて美人でもないが、
やさしくて暖かい。
その人柄に惹かれて訪れる客達とは皆顔見知りだ。
今日は珍しく客は私だけ、
ママが嬉しそうにトランプを持って来る。
ママご自慢のトランプは普通の三倍の大きさで、
一人でシャッフルするには私の手が小さすぎる。
半分をママに渡した時、外で叫び声がした。
あわててドアを開け、声のした方を見ると
道路一つ隔てた向こうにある総合病院のあたりで
人だかりが出来ている。
事故かしらとママが不安な声を出す。
向こうから男が走って来て、
子供が落ちたと早口で言いながら通りすぎて行く。
「死んだの?」と後ろから声をかけると
男は振り向き、
「たぶん」と答えてそのまま行ってしまった。
嫌がるママの手を引っ張って見に行くと
病院の表玄関にある階段の下で
小学生くらいの男の子が
頭から血を吹き出して倒れていた。
手も足も曲がるはずのない角度に曲がっている。
医師と看護婦が子供の頭をガーゼの塊で押さえる。
瞬時に白いガーゼが朱に染まる。
医師がタンカを!と叫んだ時、
ママが帰ろうと言って私の手を引っ張った。
店にもどってから
「あんなの見ても恐いだけじゃない」とママが言い、
トランプの続きをやろうとしたが、
二人ともとてもそんな気になれなくて、
大型トランプを机の上に置いたまま
ボーッと外を眺めていた。
そのとき顔見知りの医師がやってきて、
店には入らずドアの横の壁にもたれてタバコに火をつけた。
私はこの先生を知っている。
彼は総合病院の小児科の医師だ。
私は彼の側に行って、
先生あの子は助かるのですかと聞いた。
「いや…ダメだろう」
そう言いながら彼は煙を吐き出し、
まだ長く残っている煙草を捨て靴底で火を消した。
先生は行かなくていいの?と聞くと
「いや、私は小児科だから…あれは外科の分野だ」
「そんな…」
私は絶句した。
日頃の先生の様子が目に浮かぶ。
彼は医師でありながらパンを焼くのが得意だった。
時々、子供に人気のあるキャラの顔をパンにして、
病棟の子供達に配る。
そして毎日、外来の診療が終わると
すぐに小児病棟に行き、
日が暮れるまで子供達と遊んでやっていた。
とてもやさしい先生だと思っていた。
それだけに
「いや…あれは外科の分野だから」と言った彼の言葉が
信じられなかった。
分野が違っても医師にかわりはないだろうと、
言い掛けた言葉を飲み込んだ。
俯いた先生の目から涙がポタポタ落ちている。
白い巨塔 大病院の裏側…彼は孤独だったのだ。
子供達と一緒にいたのは寂しかったから。
子供達が可哀相だからではなく、
自分が一人ということに耐えられなかったのだ。
病院での彼には何の発言権もなかったのだろう。
或る日病院の屋上に上がった彼は、
一人寂しく夕焼けの空を見ていた。
そして、ダイブしたのだ。
オレンジ色に照らされた白衣が
彼を抱くように包み込み、
ヒラヒラと舞うように落ちて行くのが
見える。
思い出した・・・
彼はもう生きてはいない人だった。
「ねえ、トランプやろうよ」
ママがドアから顔を出した。
店の中に入るとテーブルの上にはトランプではなく、
アンパンマンとジャムおじさんの顔パンが置いてあり、
その二つのパンが泣いていた。
2006.01.22. (12:00)
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シュウ、おまえはどんなかっこうをすれば可愛く見えるか、
よく知っているね。
こんなふうにペタッと床に張りつくなんて…。
もうあんまり可愛いすぎるから頭にタコを乗せてやった。
夕べの夢。
もうとっくに亡くなっている父と一緒に
マイクロバスに乗って出かけた。
どこかの大きな会館に入ると、パイプイスが並べてあり
一番前の席に案内された。
ひょっとして、お葬式なのではと思い辺りを見回すと、
黒いスーツを着た人も何人かいるし、普通の服装の人もいる。
私はベージュのスーツを着ていた。
やがて半透明のハトロン紙に包まれた死体が運びこまれて来る。
中年の女の人が私に近づいてきて、
先に前に出て名前を書いてくれと言う。
私は一番最後に書かせて頂きますからと返事した。
さすが小説でホラーだのサスペンスだのを書いているから
死体の夢をよく見る。
血だらけの部屋の中に横たわる惨殺死体なんか見た日は
食事が喉を通らない。
2006.01.21. (09:24)
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2006.01.20. (23:03)
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