
毛のふさふさしているシマジロウを正面から撮ると
何か毛の塊の顔だけの猫に見える。
見ようによってはチト恐い。
でも、この後ゴロニャンとひっくり返って
とっても可愛い顔になった。
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愛していると言う言葉は、口では何度でも言える。
たとえ愛していなくてもだ。
刈谷君は満知子さんに、命を賭けてプロポーズした。
「じつは、私は最初彼を見たとき、
ただの自傷癖のある男だとしか思わなかったんだ。
だから、とても危険な男に
君が引きずり込まれそうになって
これは大変なことになると危惧していた。
でも事実はそうじゃなかった。
結果的に君は彼を救ったんだ」
そう言ってから中田先生は、
何かひらめいたらしい。
右の人差し指を一本立てる仕草は、
中田先生が何かひらめいた時にする仕草だ。
先生は立てた人差し指で額を擦り、目を固く閉じた。
そして目を開き
おもむろにママの顔を見る。
とてもやさしい目だ。
ママもニッコリと笑い、
何 ? というように小首をかしげた。
「ママさんの仕業ではないですか ? 」
中田先生の言葉に、思わず私はママを見る。
ママは目を細め、額に掛かる髪を指でかき上げ、
ウフフと意味ありげに笑った。
中田先生はニンマリとして頷き、
両手を下腹のあたりで組み、
ソファーに深く体を沈める。
私には何のことかわからない。
「どういうことさ、ずるいよ二人だけわかってて」
と私が言うと、
ママは私の顔を覗き込み、
「刈谷君はあんたにしか助けられなかったの。
彼の心とあんたの心と、どこか同じ部分が
あった。つまり、同調したのよ。
だから、出会った瞬間引かれ合って
一つになった。
だから別に
私がどうこうしたっていうわけでもないのよ」
ママの言葉を聞き、
中田先生がもう一度身を乗り出して来た。
「同調したと言うことは、
刈谷君と君とが同じ種類の
人間だということなんだが、
しかし、鼻を針でつつくとは思わなかったよ」
中田先生がそう言うと、ママも首を傾げて見せる。
「本当ね、鼻なんて何も関係ないのに変ね」
それについて、実は私に覚えがある。
そう、あれは中学生になった頃だった。
学校で授業中、
日当たりのいい窓際の席に座っていた時、
のぼせたのか、いきなりポタポタと鼻血が出て、
机の上に広げていた教科書を真っ赤にしたことがあった。
その時、名前はもう忘れたが
女の先生だった。
私があんまり沢山血を出したものだから、
私の鼻を自分のハンカチで押さえてくれて
抱くようにしながら一緒に、
保健室に行ってくれた。
その時、先生の胸の辺りから香っていた
香水の匂いが忘れられず、
日曜日の昼下がり、
自分の部屋の勉強机の上に鏡を置き、
針の先を父のライターで焼いてから
鼻腔を針で傷つけたことがあった。
机の上にポタポタと血が落ちるのを見て、
先生の匂いを思い出し、恍惚感に浸ったのだ。
しかし、こんなことをバラしたら
ママに何て言われるか・・・
私は思わず身震いをした。
「ちょっと、何か隠してるわね、
正直に言いなさい」
ママが意地悪い顔をして私に迫ってくる。
「何も隠してなんかいないよ、先生、何とか言って」
私は必死で中田先生に助けを求める。
「まあまあまあ、ママさん。
青少年にはありがちのことなんですよ。
女性のあなたにはわからんでしょうが」
ママがニヤリと笑い、
「フン、いやらしいわね」と鼻を鳴らした。
何だ知ってるんだ・・・
ママ達には私のことがお見通しなのを
うっかりと忘れていた。
・・・・・お知らせ・・・・
(ママの店 1 〜 14) は 近日 HP 上に「ママの店 10 」として
UP する予定です。ブログでは書けなかったこととか、また書き忘れた
エピソードなどを多数盛り込んでおりますので、どうぞそちらのほうも
ご覧になってくださいませ。
店主敬白
2006.05.02. (00:00)
小説 文学 /
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