筆者  活動状況  オンライン小説  新刊+出版本  更新情報 ブログ
メルマガ Link HOME MAIL


fc2-BlogRanking   Blog Entry
管理人

樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

    モバイル版を開設しました!


    毎日の「ママの店」の更新情報を、お届けするメルマガを始めました!
月別ログ
カテゴリ
最新記事
コメント
トラックバック
リンク




2006.07

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31

オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店


最近のカスガは本当に可愛くなってきた。今までは人間にはあまり
懐かず、猫の中でうまくやっていくことにだけ一生懸命だった。
カスガには親兄弟がないから
本当に可哀想だと私も思っていたのだが、
今では私ら人間の膝に乗ってきたり、擦り寄ってきたりする。
他の猫達とも仲良く暮らし、一番太って元気になった。
去年大病をしたから、気持ちの中で何かが吹っ切れて
おおらかになったからかもしれないな。

別荘

        「ママの店」

群集のざわめきが遠くに聞こえる・・・
悲しみと苦しみの慟哭の渦中に私は飲み込まれ、
どこまでも深く沈んでいく。
今まで数多くの死を目撃してきたが、
これほどまで激しいショックは受けなかった。
体がだるい。熱が出てきたようだ。
胸がむかついて、
吐きたいのに吐けない・・・苦しい、
どうか胃の中のものを吐かせてくれ・・・
私は次元と次元とを繋ぐトンネルの中を、
回転しながらゆっくりと潜り抜けていく。

ようやく前方に丸い光が見え、
私の体はその穴から外に飛び出した。

気がついたら目の前に
けいこちゃんの可愛い寝顔があった。
ぐふっという音とともに
肺の中に溜まっていた空気が鼻腔から押し出され、
そのとたん涙腺の蓋が全開になり、
私の両目に涙が溢れ出す。

けいこちゃん・・・君はこんなに小さい体で、
母親をを助けようと一生懸命頑張ったんだね。

私はけいこちゃんの頭をやさしく撫でた。
眠っている彼女を起こさないように、
そうっと、そうっと撫でてあげた。

「この子の母親は所謂シングルマザーだったみたいね」

いきなり耳もとで声がしたので、おどろいてふりむくと
ママの顔とぶつかりそうになった。

ギョッとして思わず顔を引いたが、

「危ないわね ! いきなり振り向かないでよ」

怒声とともに、ママの眉が吊り上がった。

「ご、ごめん・・・」

とっさに私は謝ったが、
いきなり耳元で声を出したママの方が悪い。
しかし、そんなことを言ったらママが本気でブチ切れる。
気を取り直し、ママに、

「この子のこと調べてきたの ? 」と聞くと、

ママは唇をギュッと引き結び、頷いた。

「母親は中学を出てからすぐに家出をして、
 遠い都会で水商売していたの。
 もちろん本当の年を隠してね。
 そこで知り合った男と恋愛したんだけど、
 子供が出来たとわかった途端捨てられたの」

家出娘の哀れな末路か・・・

「でもね、その男っていうのが
 大金持ちの長男だったみたいで、
 ちゃんと妻がいたのだけど
 妻は子供が出来ない体質だと後でわかったの。
 男は二人兄弟で、弟も結婚していて
 こっちにはちゃんと男の子がいるわ。
 だから、子供がなかったら将来家督を
 次男の息子が継ぐことになっちゃうのよ。
 だから男は焦って、彼女の子供、
 つまりけいこちゃんを引き取りたいって
 弁護士を通じて言ってきたの」

くそっ、汚い奴め !
財産のために一度捨てた子供を・・・
私の目尻が怒りのために吊り上がる。

「だけど、この子の母親はいくらお金を積まれても、
 けいこは渡せませんって突っぱねたのよ」

ほーっ、偉いじゃないか、と私は母親を少し見直した。

「でも、その日から
 別の男が毎日のように家にやって来るようになった。
 多分けいこちゃんが言っていたおじちゃんね。
 彼は相手を口説き落とすベテラン、
 こういうやっかいな交渉の為に雇われているのよ。
 夜の世界にいたとはいえ、
 大人の世界のからくりを知るのには、
 まだ母親は若すぎた。
 娘の将来を本当に大事に考えるなら、悪いけど
 あなたのような仕事をしている母親の傍で育つより、
 お嬢様としての人生を歩ませてあげるのが
 本当の愛情じゃないですか、なんて
 そんなことを言われたら、母親の心も揺れるわよねえ」

「それで、けいこちゃんのママは落ちたってこと ? 」

私の言葉にママは頷いた。

〜つづく

ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。
(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.31. (00:43) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達


シマジロウは抱っこされるのは苦手みたいだが、
体を撫でてもらうのは大好きだ。我が家の猫どもは、気持ちが良いと
必ずあくびをする。どこの猫ちゃんもそうなのだろうか。
シュウはカスガを傷つけたことで私に叱られてから
随分おとなしくなった。他の猫に向かってシャーッとふいても、
「シュウちゃん・・・」と言っただけで下を向く。
まるで悪戯を見つけられた小学生みたいで、とても可愛いのだ。



・・・お知らせ・・・

本日多忙のため、ママの店お休みさせていただきます。

                     店主敬白

別荘

        「ママの店」


ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。
(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.30. (00:13) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(4) /
 我が家の猫達&晩御飯&ママの店


今日もカスガとシュウの雲行きが怪しくなったので、
また怪我をしては大変とばかりにシュウを叱った。
シュウは目をウルウルさせて強烈に悲しみを訴えてくる。
そんな顔をされるともうたまらなくなり、結局は抱っこして
可愛がることになるのだが・・・
だいたいシュウは台所で悪いことをする他の猫どもを
威嚇して追い払ってくれたりする賢い猫だ。
自分が怒られるいわれはないと堅く信じているに違いない。
カスガの怪我のことも、ひょっとしたら
カスガに原因があるのかもと思えてきた。


ハンバーグ・・・今日は私が作った。
みじん切り玉ねぎと、食パンを牛乳にひたして軟らかくしたもの、卵、ナツメッグ、塩コショウ、ミンチをすべて混ぜて練って焼く。
両面こんがりと焼けたら、ケチャップ、ウスターソース、赤ワインを直接フライパンに入れてからめるようにして煮る。
付け添えはグリンアスパラとしめじのソテー。これは長女が作った。
いつも思うが盛り付けのセンス無し・・・でも美味しかった。

別荘

       「ママの店」

どうやら私が慰めてあげたから
落ち着いたのではないらしい。
けいこちゃんはコックリコックリ居眠りを始めた。
やっぱり子供だ・・・お腹が一杯になったら
寝ちゃうんだ。
私はけいこちゃんをそっと抱きあげ、
ソファーに寝かせてあげた。
たかだか二歳くらいの幼児の体は、
まるでお人形のように軽く頼りない。
この小さな体で彼女は
とんでもない経験をしたに違いないのだ。
どのような理由があるにせよ、この子を
悲しいめにあわせた奴が許せないと思った。
口元についたケチャップの汚れを
そっとナプキンで拭き取ってあげながら、
無邪気な寝顔を見つめていたとき、
部屋全体がいきなりガタガタ揺れ始めた。、
けいこちゃんやソファー、机、壁、
私の視界にあるものすべてがグニャリと歪み、
激しいめまいが襲ってくる。

またどこかに飛ばされるんだ・・・
そう思ったとき、
私の耳にいきなりカーンカーンカーンという
警報のような音が飛び込んできた。
慌てて辺りを見回すと、薄ぼんやりとした目の前に
黄色と黒のテープを交互に、斜めに巻きつけた棒が
横倒しの状態で浮かんで見える。
しかし私は、その棒が浮かんでいるんじゃないと
すぐに気がついた。
それは遮断機の棒だ・・・  
踏み切り、私は今踏み切りの中にいる。

「ママ・・・危ないよう、電車が来るよう、
 ねえったら、立ってよう」

小さな女の子が
線路の上にあぐらをかいて座り込んでいる
母親の手を引っ張り、泣きそうな声をあげている。

けいこちゃんだ・・・
それじゃこの人が母親か。
ざっと見たところまだ二十代の初め、
今までどこかで酒をしこたま飲んでいたのだろう。
後ろで束ねてあった髪が
半分ずり落ちて首に巻きついている。
ピンクの半袖シャツにジーパンを穿いているが、
悪酔いして失禁したのか
腰の辺りに濡れたような染みが出来ている。
最低の姿だと私は思った。
お前はそれでも母親かと罵りたかったが我慢した。
言ってもどうせ聞こえないのだが、
けいこちゃんを前にして、母親の悪口は言えなかった。

「うっさいなあ・・・ママはもう寝るの、
 ずうっとずうっと寝るの。
 だからけいこは、あっちに行きなさい。
 一緒にいるとあんたも死んじゃうよ」

水に溺れているように両手を動かして、
子供の手を振りほどこうとしている。
いい年をした女がまるで小さな子供のように
駄々を捏ねているのを見ていると腹が立ってくる。
それでもけいこちゃんは、
左方向の闇の中を覗き込みながら、
一生懸命母親を線路から引きずり出そうとしている。
やがて警報音が一段と激しくなり、
電車が接近する振動が足元に伝わって来た。

「けいこちゃん、逃げるんだ ! 」

私は思わず駆け寄りけいこちゃんの腕を引っ張ろうとした。
でもやはり私の手は、
けいこちゃんに触れることすら出来ない。
とっさに駆け寄ったものの、
何をしても無駄なことは、わかっていた。
けいこちゃんはここで死ぬことになっている。
過去は変えることが出来ないのだ。
しかし私は黙ってこのまま、
この小さな女の子が電車に轢かれるのを
見ていなければならないのか・・・
私は千切れそうになるほど唇を噛み締めた。

クソッこんなもん見たくない。 
ママ、 僕は自分の運命を呪うよっ ! 

暗い空に向かって両手の拳を握り締め、
私は絶叫した。
そのとき・・・
母親がようやく自分のしようとしていることの
愚かさに気がついたみたいで、
ヨロヨロと起き上がろうとし始めた。

「早く、早く、電車、来ちゃうよ」
けいこちゃんが左の方向を気にしながら
一生懸命母親の手を引く。
プァアアアアッ・・・・
電車の警笛が聞こえる、ガタンガタンと枕木が振動を始める。

もうだめだと諦めた母親は、渾身の力を振り絞り
我が子を掴んで向かい側の線路に放り投げた。
それはあっという間の出来事だった。
右方向から来た電車が母親の目の前を、
何かを車輪に巻き込んだような不自然な音をたて、
フルスピードで通過していった。
電車は左からじゃなく、右から走ってきたのだ。
電車は左からしか来ないという二歳の幼児の思い込みが、
とんでもない悲劇を招いてしまった。
酔っ払って判断能力の無くなっている母親は、
けいこちゃんの見ている方向から
電車が来ると信じていた。
だから、電車の来ない方に我が子を投げた。
一瞬正気に戻った母親の
我が子を助けたいという思いは、
反対に我が子を殺してしまう結果を招いてしまったのだ。

我が子が目の前で電車に轢かれるのを見て、
母親は精神が壊れてしまったのか、
泣くことも叫ぶこともなく、
呆然とその場に座り込んだままだった。
やがて彼女の周りに人が集まりだし、

人身事故だ ! 子供らしいぞ ! 

誰かが叫ぶのが聞こえてきた。 

〜つづく

ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。
(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.29. (00:18) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達&桃&ママの店


カスガが右前足を怪我した。誰かに爪でやられたらしい。
シュウが私を避けている。絶対目を合わそうとしないのだ。
ハハーンお前だなと思い、シュウをとっ捕まえて爪を確かめたら、
案の定爪を切り忘れていた。我が家のように猫の数が多いと、
爪切りは絶対やらねばならないのだが、
つい切り忘れが出てしまうのだ。


桃が美味しそうだったので買ってきた。
写真のセンスのなさに自分でもガックリくるが、実際は大きくて
香りが良くて、皮が指先でスルスル剥けて最高の味だった。
今年の桃は例年より美味しい気がする。

別荘

      「ママの店」

「それでね、ママはとっても機嫌が悪くって
 黙ったまんまで何にも話してくれなかったわ」

けいこちゃんは首を傾げ、思い出そうと努力している。
彼女の言葉が途切れるわずかな間に、
私の頭の中でいろいろな想像が繰り広げられ、
知らない間に握り締めていた手のひらは
じっとり汗をかいていた。

機嫌が悪い・・・
けいこちゃんにはそう見えただけで、
母親は何か考えごとをしていたから
まともに返事が出来なかったのではないだろうか。
人は皆、時々自分の思考の世界に閉じこもる。
何か考えごとをしているときは、
話しかけても聞こえない。
そして、その考えていることが、
良くないことであればあるほど表情は暗くなり、
怒っているように見えてしまうのだ。
けいこちゃんが、機嫌が悪いと感じたのは、
母親が何か良からぬことを考えていたからに違いない。

「夜だったわ、そうそうお母さんとラーメン食べたの。
 お家で食べないで外で晩御飯食べたの。
 ラーメン嫌いじゃないんだけど・・・ 
 何か美味しくなかったわ」

けいこちゃんの顔が少し寂しくなった。

「お父さんとか、兄弟とかはいなかったの ? 」

話題を変えるために私がそう聞くと、
けいこちゃんは「うーん」と言いながら
首を一段と傾けた。

「お父さんは・・・いなかったけど、
 おじちゃんがいた。けいこは一人っ子よ」

「おじちゃんって、けいこちゃんとどんな関係 ?
 親戚のおじちゃんかな」

だいたいの想像は出来上がっていたが、
もしやと思いあえて聞いてみた。

「ううん・・・けいこはよく知らないけど、
 お家によく来るの」

けいこちゃんは首を横に振った。

やっぱりそうか・・・

「そのおじちゃんが来たときは、
 けいこちゃんはどこにいるの 、
 お外に行きなさいって言われなかった ? 」

私にはある憶測があった。
でも、けいこちゃんは首を横に振る。

「言われなかったよ」

おかしい・・・母親の愛人じゃなかったのか。
じゃ、おじちゃんというのは誰だ・・・

「何しにそのおじちゃんはお家に来ていたのかな」

じっと考えているけいこちゃんの顔が
次第に暗くなるのが私にもわかった。
この子は今、
何かとても嫌なことを思い出そうとしている。
聞くべきか、聞くのをやめるべきかと迷っていたら、
けいこちゃんが目に手の甲を当てながら
シクシクと泣き出した。

突然泣かれてしまい、
焦った私はママに助けを求めようとしたが、
ママはまたボーッとした顔で
今あきらかにどこかにトリップしている。
こういうときには何を言っても無駄なのだ。
しょうがない、私が慰めるしかない・・・

「けいこちゃん、嫌なことは思い出さなくていいよ」

さあ、泣かないで、と言って頭を撫でてあげると
落ち着いてきたのか、けいこちゃんは泣くのをやめた。

〜つづく

ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.28. (00:26) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(6) /
 我が家の猫達&ママの店


クロどんの左目が完全に塞がっていた為、とうとう失明したかと大騒ぎ
になった。というのも、涙が止まらなくてだいぶになるからだ。
病院に連れて行く前に一応いつもの目薬をと、
クロどんの目に自分の目を近づけたとき気がついた。
アレ ? 悪いほうの目はたしか右・・・
そう思い出した瞬間クロどんが両目をパッチリと明けた。
たぶんゴミか何かが入ったんだろうが、大事がなくて本当に良かった。


今日の晩御飯は冷やし素麺と精進揚げ。しし唐、竹の子、茄子、豆腐
のテンプラ。揚げたてはとても美味しい。

別荘

     「ママの店」

けいこちゃんのママを探すにあたって、
いろいろ聞きたいことがあったが、
まずはゆっくり食べさせてあげようと思った。
それにママのあの張り切りようだったら、
オムライスはもうすぐ出来上がるに違いない。
そんなことを考えていると、案の定ママが
お盆の上に出来立てホヤホヤのオムライスの皿を載せて
お尻を振り振りイソイソとやって来た。

「お待たせ、出来たわよ」

さあ召し上がれと言ってママは特製の
オムライスをけいこちゃんの前に置いた。
黄金色に光る卵の表面に、赤いケチャップが
帯のようにたっぷりかかっている。
けいこちゃんはそれを見て目を輝かせた。

「うわー美味しそう・・・」

いただきまーすと言ってけいこちゃんは
スプンを上手に使い美味しそうに食べ始める。
ママと私は目と目を合わせて微笑み、
その微笑みのまま視線をけいこちゃんに移す。
誰だって、子供が美味しそうに
食事をしている姿を見たら、自然と顔がほころぶものだ。
やがてお皿をからっぽにしたけいこちゃんが
口の周りにケチャップをくっつけて、
小さなゲップを一つ出した。

可愛い・・・思わずママと私の目じりが下がる。

「ごちそうさまでした」

「いえいえ、どういたしまして、お腹一杯になったかな ? 」

ママはニッコリ笑いながらそう言って、
空っぽになったお皿を盆の上に載せて
またカウンターに入っていった。
お皿やコップを洗う水の音を聞きながら、
とりあえず私はけいこちゃんとお母さんが
はぐれたときの状況から聞いてみようと思っていた。

「ねえ、ちょっと聞いていいかな」と私が聞くと、

けいこちゃんがニッコリと笑い、頷いた。
両側の頬っぺたに笑窪が出来ている。

「ママとはぐれたのはあのスーパーでなの ? 」

「う・・・ん、そうかも、でも・・・」

けいこちゃんは何となく自信がなさそうだ。

「でも ? でもってどういうこと、
 スーパーじゃないかも知れないのかな」

私がそう言ったとき、ママがやっと席に戻ってきて
けいこちゃんの隣に座ったが、
私とけいこちゃんの会話を聞こうとしているだけのようで、
黙ってただ、けいこちゃんを見つめている。

「あのね、気がついたときにはもうけいこは
 あのスーパーの中にいたの。
 でもママは一緒じゃなかったわ」

「あのさ、けいこちゃんはあのスーパーに
 ママと買い物に来たことがあるの ? 」

「ううん、ないわ、ぜんぜん知らないお店よ」

けいこちゃんは眉をひそめ首を横に振る。
多分この子の母親はまだ生きていて、
この子だけが死んでしまった・・・

いやまてよ・・・
ひょっとしたらこの子はまだ生きていて、
私と同じビジター ?

希望の光が閃いて思わずママを見ると、
ママは私の思ったことがわかったのか、
暗い目をしてゆっくり首を横に振った。

ウゥ・・・やっぱり死んでいるということか・・・
わずかな期待が消え、私は思わず唇を噛む。
それじゃどんな状況で死んだのか知らねばなるまい。

「けいこちゃん、
 最後にママと一緒だったときのことを覚えている ? 」

けいこちゃんは目を閉じ、頭を下げてじっと思い出そうと
頑張っているようだったが、突然

「思い出したわ、私ママと踏み切りに立っていたの」

踏み切り ? 私はたちまち嫌な気分に襲われた。
子犬が踏み切りで跳ね飛ばされるシーンが
いきなりフラッシュバックしたのだ。
もうこれ以上
聞いてはいけないのじゃないだろうかと思ったとき、
けいこちゃんは記憶の糸をたぐりはじめていた。

〜つづく

ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.27. (00:06) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達


シマジロウは時々目をパチッと開けたまま寝ていることがある。
起きているのかなと思い覗き込むと、微かな鼾をかいている。
こんなシマジロウの奇妙な癖を知らなかったころ、口は半開きだし、
瞳孔も開いていたので、てっきり虫の息だと解釈して大騒ぎになった。
猫には瞬膜というものがあるので、パッチリ目を開けたまま眠るなど
考えられないことだ。普通の猫では到底しないことを、するのが
我が家の猫達なのである。


もう昨日と言わなくちゃいけないのだが、天神祭りの本宮だった。
ベランダから花火が見えたので写真に撮ったが、まるで空爆だ・・・
実際はもっともっと綺麗だったんだけどなあ・・・

・・・お知らせ・・・
都合により本日もママの店をお休みさせて頂きます。
明日から(たぶん)また営業いたしますのでよろしくお願いします。

                        店主敬白

別荘

     「ママの店」


ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.26. (22:18) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(3) /
 我が家の猫達


今日は天神祭りの宵宮。例年今頃は超暑い。
そして今年もやっぱり暑かった。
外気温はさほど高くないのだが蒸し暑い。
クーラーをつけっぱなしにした為に、さっそくクロどんが
風邪をひいた。クロどんは台所荒しのプロと言うべき悪さ猫だが、
意外と体が弱いし気も弱い。病院に連れて行くと、いつもビビって
オシッコをちびる。13匹の猫達の中でちびるのはクロどんだけだ。
シッポも立派、体格も筋肉質、外見と内面はこうも違うのか・・・


・・・お知らせ・・・

都合により本日のママの店はお休みさせて頂きます。
                      店主敬白

別荘

     「ママの店」


ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.25. (00:01) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(1) /
 我が家の猫達&ママの店


仕事中であろうがなんであろうが出来るだけ、
ナナが甘えたような妙な鳴き声をしたときは
すぐに見に行くことにしている。ナナが、
「おいで、こんなのがあるよ」と言っているように聞こえるからだ。
ナナは時々キャンデーとかティッシュとか消しゴムなどをどこからか
拾ってきて、私に見せてくれるのだ。その時の鳴き声は一種独特で、
今だかつて他の猫どもが出したことのない声だ。
しかし何年か前えらいものを見てしまった。
我が家がまだ庭のある家に住んでいたときのこと、
外からよくゴキブリが進入してきた。それが大人の小指くらいの長さのゴキチャンだったからとっても恐くて、私ら人間どもはキャアキャアと言って逃げ惑うたものだ。ある日ナナが例のあの鳴き声をだした。
それとばかりに見に行った私と二人の娘が目撃したものは、ナナの口の
真中からゴキチャンのお尻の部分が覗いているのだ。ナナは今にも
私らの目の前にソレを解き放とうとしている。
つぶらな瞳をウルウルさせて嬉しそうにゴキチャンを私らに
見せてあげようとしているのだ。私らの喜ぶ顔が見たいのだ。
私が小さい子供だったころ、父はセミとかカブトムシとかを持ってきて
「いいもの持ってきたよ、みてごらん」といって私の手の上に乗せて
くれた。ナナを見ていると、亡き父を思い出す。
ナナはやはりママなんだ。本当は自分の子供達にあげたいんだけど、
皆に嫌われているから、私のところに戦利品を持ってきてくれるのだ。
そう思うとナナが不憫でならない。

別荘

    「ママの店」

たちまち買い物客の視線が私に集中する。
うぉっ ! 頼むからやめてくれ。
ガードマン君に助けを求めようとしたが、
彼はもうそこにはいない。

くそっ・・・消えやがった・・・

「ご、ごめん、お兄ちゃんが悪かったよ。
 お母さん一緒に探してあげるから泣かないで」

私が慌ててそう言うと、けいこちゃんはすぐに泣きやみ、
ニコッと笑って頷いた。

しかし、これからどうしよう・・・
そうだ、とりあえずママの店に連れて行こう。
私は買い物をやめてけいこちゃんの手を引き店を出た。
入り口のところにガードマン君が立っていたが、
仕事が無くなったからか、いつもの無表情に戻っている。

「おじちゃん、バイバイ ! 」

けいこちゃんがガードマン君に手を振ると、
彼の顔に血の色が蘇り、

「パパが見つかってよかったね」と白い歯をみせた。

「パパじゃないって言ってんだろが・・・」

私が言おうとしたときにはもう、
彼の顔から血の気が引いている。

どうやら都合が悪くなったらゾンビにお戻りになるようだ。

ケッ ! もういいや、ママに解決してもらうからね。
私はけいこちゃんの手を引っ張るようにして
早足で歩きだした。

アウッ ! いきなりけいこちゃんの足が止まり、
私の体がは後にのけぞった。
まだこんなに小さいのにえらい力だ。

どうしたのと顔を覗き込むと、
けいこちゃんは不安な顔をして、

「お兄ちゃん、さっきは嘘ついてごめんね」

としおらしくあやまった。

「そんなこと、もうどうだってかまわないよ。
 今からお兄ちゃんの知り合いの
 女の人のところに行くからね、
 きっとその人だったら
 けいこちゃんのママを見つけてくれるよ」

私がしゃがんで、けいこちゃんの目を見ながらそう言うと、
けいこちゃんは真っ黒い瞳をウルウルさせて
ニコッと笑い頷いた。

可愛い子じゃないか、あんな嘘をついたのは、
よっぽど切羽詰っていたからにちがいない。
可哀相に・・・私の胸が熱くなる。

「さっ、早く行こう」

「うんっ」

けいこちゃんが嬉しそうに大きく頷くと、
今度は二人で足取りも軽く、また歩き始める。

ママの店に到着。

「いらっしゃ・・・あれっ、
 今日はまた可愛らしい彼女を連れてきたわね」

ドアを開けるなりママがけいこちゃんを見て微笑んだ。

「迷子なんだよ。
 さっきまでいつものスーパーにいたんだけど・・・
 この子けいこちゃんて言うんだ。
 どうやらお母さんとはぐれたらしい」

私の説明もほとんど上の空で、、
ママはいそいそとけいこちゃんの世話をやきだした。

「何か食べる ? 何でもあるから言ってごらん」

ママがけいこちゃんの両手を持って、
首を傾げてやさしく聞いた。
けいこちゃんは恥ずかしそうにもじもじしながら、

「けいこ、お腹がとってもすいているの・・・
 オムライス食べたい」と言った。

それを聞いたママの張り切りようと言ったらなかった、
ママはけいこちゃんを私と一緒に
奥のいつもの場所に座らせ、
オムライスを作りにカウンターの中に入って行った。
すぐにトントントンと玉葱を刻む音が聞こえてきて、
ジャーッというフライパンで炒める音とともに
香ばしい匂いが店中に漂い始めた。

「美味しそうな匂い・・・」

けいこちゃんは目を閉じて匂いを楽しんでいる。

「ママは料理がとっても上手だからね」

私がそういうと、けいこちゃんは嬉しそうに頷き、

「私のママもよくオムライス作ってくれたの」
と目を輝かせた。

〜つづく

ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.24. (00:27) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(4) /
 我が家の猫達&夕食の一品


一昨日ベランダの隅に置いてある冷凍庫が突然壊れた。
外の冷凍庫は、今は使わなくても
使うときがきっとあるからとりあえず・・・というような
品物ばかり入っている。霜が激しく付きだして
変だなとは思っていたのだが、こんなに急に動かなくなるなんて
思いもしなかった。で、修理を頼んだのだが、なんと無料で新しい
冷凍庫と交換してくれるという。それが今日届いたのだ。
何故無料で交換してくれたか、なんてことはこの際考えないでおこう。
無料はいいことだ。とっても素晴らしいことだ。
全然猫と関係がない話になってしまった。


ビーフシチューグラタン。なんと夏にふさわしくない一品かとおもったが、意外とさっぱりして美味しかった。上に乗せるブロッコリーは
好みもあるだろうが、下茹でを絶対しすぎないこと。
塩を少し入れた熱湯をくぐらすだけでよい。誰でも知ってるか・・・

別荘

    「ママの店」

・・・・・お知らせ・・・・・
本日ママの店はお休みにさせていただきます。
                     店主敬白

ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介

2006.07.23. (00:55) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(0) /
 我が家の猫達&ママの店


これは何 ? 掃除のモップ ?


いえいえ、シマジロウがお風呂から出たところでーす。
長かった雨が上がると温度がどんどんアップした。夕べはあんなに
寒いくらいだったのに、今日はもうクーラーがいる・・・

別荘

   「ママの店」

「とりあえず警察に連絡しておいたほうがいいのでは、
 それじゃあ僕は急ぎますので、
 後のことはよろしくお願いします」

「わかりました。お忙しいのに申し訳ありませんでした」

ガードマン君が頭を下げた。
私がここにいても何も役にたたないし、
それより早く家に帰りたい。DVDが待っている。

「きっとお母さんみつかるよ。じゃあね」

バイバイと手を振って行こうとしたが、
けいこちゃんは私の足に腕を巻きつかせたまま
離れようとしない。

「あっ、ダメダメお兄さんは何にも出来ないし、
 とても急いでいるんだ。
 こっちのお兄さんと一緒にいてくれるかな」

からみついた腕を離そうとしたが、
まるでイソギンチャクが吸い付いたみたいに離れない。
けいこちゃんは、口をへの字に曲げて、
離されまいと必死に踏ん張っている。
ガードマン君も離れるように説得したが、
けいこちゃんは首をブンブン振って、
このお兄ちゃんしかダメなんだと繰り返す。

かんべんしてくれよう・・・何がダメなんだよ。
泣けるものなら泣きたかった。

ガードマン君も根負けしてしまい、
訴えるような目で私の顔を見ている。

オイオイ・・・その目は何だ。
私にこの子の母親を探せというのか ? 
まさか・・・
なんでこの私がそんなことをしなきゃなんないんだ。
私はだんだん腹が立ってきた。

「君、何とかしてよ。僕も忙しいんだ。
 これから家に帰ってディーブイ・・・」

あとの言葉がごにょごにょと潰れて消えていく。
まさかDVDを見るから忙しいとは言えまい。
そんなことを言えば、DVDを使って
何か怪しいことをしているみたいに聞こえる。
いや、そこまで思わなくても、DVDを見ることが
そんなに忙しいことなのかと言われたら・・・

いや、いや、いや、とにかく私は何も関係ない。
この子は迷子なんだから警察に連れて行けばよい。

その役目は「ガードマン君、君の役目だろう ! 」

とんでもなく焦っていた。
このままではこの少女を押し付けられる。
私は子供が苦手だ。
いったいぜんたいどうすりゃいいのさ、

何でこの子はさっきから
私の足にしがみついている・・・?
力を込めてひっぺがしたら、
きっと大声をあげて泣くに決まっている。
そうしたら、まるで私が少女に乱暴したみたいで、
ものすごく立場が悪くなるではないか。
それでなくても、もうすでに周りの客達が
おかしな顔をしてこちらを見ている。
私は泣きたい思いでガードマン君を見た。

おっ、何かガードマン君の目つきがおかしい。
あれは私を疑っている目だ。

「あの、もしかしてあなたはこの子のお父さんでは・・・」

来た、来た、来た ! と私は思った。
こういう展開になるような気がしたのだ。

「し、知りませんよ、
 僕はこの子と今日初めて会ったんですよ。
 何てこと言うんですか」

「いや・・・失礼だとは思ったんですが、
 あまりにもこの子があなたに固執するので変だと
 思いましてねえ・・・」

「パパッ ! 」少女はいきなり私をそう呼んだ。
瞳をウルウルさせて、
嬉しそうに私を見上げているではないか。

うっ・・・・まずい・・・
ガードマン君の顔から完全に笑顔が消えた。

「いや、いや、とんでもない、この子は嘘をついている」

私は焦ってしどろもどろになりながら、女の子に向かって

「こらっ、嘘はいけないよ。お兄さんは君のパパじゃない ! 」

思わず大声で怒鳴ってしまい、
しまったと思ったときはすでに遅しで
耳の鼓膜が破れんばかりの女の子の大きな泣き声が
店内に響き渡っていた。

〜つづく

ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.22. (00:22) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(0) /
 我が家の猫達&ママの店


いったん明けたかと思われた梅雨がまた戻ってきたかのような豪雨。
各地では土砂崩れとかの被害が相次いで、死者まで出ている。
もう七月も終わりに近づいているのにこの涼しさは何だ。
夏大嫌いの我が家の猫と私にはとても快適な涼しさだが、
天候異変という言葉を聞くたびに不安になる。
もし何か災害があったとき、
我が家の猫はどこに避難させればいいのだろう。

別荘

  「ママの店」

しかし、まあ、
いつまでもこんなことはしていられない、
さっさと買い物を済ませて家に帰りたい。
昨日ママの店の帰りに商店街の中にあるビデオショップで
恐怖物のDVDを三枚買ったから早く帰って見たいのだ。

サラダに使えそうな野菜をカゴに入れて、
卵売り場に移動しているとき場内アナウンスが聞こえてきた。

『お客様に迷子のお知らせをいたします。
 白い半袖ブラウスに赤いスカートをお召しになった
 けいこちゃんとおっしゃる二歳くらいの
 女のお子様をお預かりしておりますので、
 お連れの方は至急インフォメーションまで
 お越しくださいますようお願いいたします。
 繰り返しお知らせします、白いブラウスに・・・』

あの子、けいこちゃんて言うのか・・・
オカッパ頭の可愛い少女だった。
私のズボンを引っ張ったときに見せた不安気な顔を思い出す。
早くお母さんがみつかればいいのになと思いながら、
買い物を続けていると、
またさっきと同じアナウンスが聞こえてきた。
お母さんは気がついていないのだろうか、
買い物に夢中になっていたとしても、
あの大きなアナウンスが聞こえないわけがない。
いやいや、心配してもしょうがない。
もしお母さんが現れなかったとしても、
スーパー側が何とかするに違いない。
私には関係ないことなんだと忘れようとしたとき、
クイクイッとまた誰かが私のズボンの
お尻の部分を引っ張っているのに気がついた。
ギョッとして振り返ると、さっきの女の子が真後ろにいて、
小さな手でしっかりとズボンの生地を握り締め、
目をウルウルさせて口をへの字に曲げている。
泣くまいと我慢しているようだ。

あれぇ、何であの子がここにいる・・・
あのガードマンはどこに行ったんだと辺りを見回すと、
薄いブルーの制服を着た彼が
買い物客の間をぬって走ってくるのが見え、
やっと私の側までくると、
肩で息をしながら申し訳なさそうに頭を下げた。

「すみません、目を離した隙にいなくなってしまって。
 けいこちゃん、ダメでしょ・・・どこかに行っちゃったら
 お母さんが来たときに会えなくなっちゃうよ」

彼は少女と向かい合える高さまでしゃがみこんで、
メッというような顔をした。するとけいこちゃんは
いきなりしゃくるように泣き出し、

「お、お母さんどこにもいないんだもの・・・け、けいこ
 ずっと、ずうっと毎日待っているのに見つからない・・・」

ずうっと毎日・・・? そりゃおかしい。

私が疑問に思った言葉にガードマン君も反応した。

「えぇ ? じゃあ今日ここで一緒に買い物していたんじゃ
 なかったの」

「どういうことですかね、ただの迷子じゃなさそうですねえ」

と私が言うと、ガードマン君も

「そうみたいですねえ」と言って首を傾げて考え込んだ。

〜つづく

ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.21. (00:48) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達&ママUP後の誤字発見爆笑&ママの店


我が家の猫達の中で唯一小さなトウ。
私はトウを「小さな人」と呼んでいる。トウは賢くて私がそう呼ぶと
ちゃんと返事する。自分は「小さい人」なんだと
わかっているのだろう。

ブログで書いた「ママの店」をホームページにアップするとき話の展開がスムーズになるように手を加える。筋が変わったりはしないのだが、
言い回しがブログと少し異なる。もちろん何回も読み直し、誤字がないか確かめるのだが実際アップしてから読み直すと・・・あるのだ。
大抵(ー)と伸ばす部分が変になっている。それと名前だ。
今回「13」ではママの前世である「しずえ」の夫「えいじ」のはずが
最後の部分で「りょうじ」になっていた。いきなり「りょうじ」が出て来るから、「りょうじ」って誰 ? てなことになる。
もちろん「りょうじ」はHPのオンライン短編集「帰りましょう家族のもとに」に出て来る「砂部良二」で、私の頭の中でこんがらがったのだ。
間違えやすい名前は避けなければいけないのだが、イメージが「えいじ」だったから仕方がない。「しずえ」と「えいじ」にどうしてもしたかったのだ。理由はない。
もう一つおかしかったのは、「ママがやさしい顔になった」が「ママがやさい顔になった」だ。野菜顔とはどんな顔 ?

別荘

 「ママの店」

店内は入り口に近いところから順番に、野菜果物類、卵、肉、
ハムソーセージなど加工品類、魚、調味料瓶缶詰レトルトパウチ類、
酒、一番奥には和洋菓子と焼きたてパンの専門店、
それからもっと奥には衣料品や雑貨の店が並んでいる。
ここのスーパーは奥行きがとても広い。

夕食の材料を買いに来た客で賑わう店内・・・のはずが、
カゴを乗せたワゴンを押す人々が
店内を無言のまま行き来しているだけ。
どの人も無表情で品物をカゴに入れている。

この人達は皆ゴスートで、ここは心霊スポット !
なあんて、ね。
冗談を思いつき笑おうとしたが、よく考えてみれば
冗談なんかじゃなくそれは事実のことだった。

ちぇっ、洒落にもなんないや・・・
買うもの買ってさっさと退散しようと思い、
レジに行きかけたとき誰かが私のズボンを引っ張った。
何だろうと下を見ると、白い提灯袖のブラウスに
赤い吊りスカートを穿いた小さな女の子が、
オカッパの前髪の下からクリクリとした大きな瞳を
涙で潤ませて立っている。

「どうしたの、何か用かい ? 」と聞くと、女の子は

「ママがいなくなっちゃった」と言ってシクシク泣き出した。

迷子か・・・舌打ちをしながら店内を見回したが、
子供を捜していそうな母親は見当たらない。
仕方がない、こういう時こそガードマン出動だ。
彼に仕事を与えてあげよう !
私はさっそく子供の手を引いて
スーパーのいり口まで行き、
死人のようにつっ立っている
ガードマンの彼を見つけて声をかけた。

「あの、迷子らしいんですがよろしくお願いします」

無表情で青白い顔をした彼が
どんな反応を示すか興味深々だった。
彼はこういう時の為に存在しているのだ。
もし、私が話しかけているのに無視したりしたら
しこたま文句を言って説教してやるつもりだった。
ついでに、何もしてくれないのならウロウロすんな、
この店が暗いのは全部あんたのせいだと言っちゃいたい。

ところが・・・

「わかりました、ご親切にありがとうございました。
 早速場内アナウンスにて、
 この子のお母さんに呼びかけてみます」

彼の顔に生気が蘇り、途端に血色がよくなった。
初めて聞いた声にも張りがあり、
それよりももっとビックリしたのは、
何と笑ったのだ。

「よ、よろしくお願いします」どもってしまった。

「ママ、どこへ行っちゃったのかなあ。
 今からお兄ちゃんが捜してあげるからね」

こりゃどういうことだ、
話かけたらスイッチが入るようになっているのか ?

迷子の手を引いて足取りも軽く店内に入っていく彼を
私はただ呆然と眺めていた。

〜つづく
             
ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.20. (00:45) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家のデブ猫達&おやつ&ママの店


フクが寝そべっているのでパチリ。何と後で写真を見たらこの通りのデブ。本当はこんなにデブでもないのだが、寝ると皮がビヤーッと
広がって、まるでモモンガが皮膜を広げているみたいになる。
フクは決してスマートではないが、これはひどい・・・
でも可愛い・・・


食欲の出る簡単焼き餅。だんご粉と水、グラニュー糖を好みに混ぜて、
柔らかめの生地を作りテフロンのフライパンで焼く。焦げ目が薄くついたら醤油をたらす。太ってもいい人はバターを使うとなお美味。

別荘

「ママの店」

何日分かの食料を買いだめしようとスーパーに出かけた。
自宅を出て右側の道路を真っ直ぐ行くと
私がいつも行くスーパーがある。
ここは、食料品以外にも衣料雑貨が揃っていて、
結構大きなスーパーなんだが、店の雰囲気がとても暗い。
それに入り口に常時立っているガードマンが
これまた陰険で、今から買い物をしようという
楽しい気持ちが彼の為に一気にしぼんでしまうのだ。

ちょっと見彼はくたびれた中年男性に見えるが、
よく見るとまだ若い。
ひょっとしたら三十手前かもしれない。
それがこんなに老けて見えるのは、
きっと彼の雰囲気が暗いせいだ。
薄いブルーの制服、制帽を着用した彼は
服の色に溶け込んでしまうくらいに青白い顔色をしている。
そんな彼を見ると、
ああ・・・やはりこの世界は死者の来る所なんだと
妙に納得してしまうのだ。

ガードマンが暗けりゃ客も暗いし、店内の雰囲気も暗い。
蛍光灯の加減かもしれないが、
照明は明るすぎるくらいの白光色で、
まるで末期を迎えた患者の病室か、
あるいは死体安置所を思わせる、良く言えば荘厳さ、
悪く言えば不気味さを醸し出している。

どうやらガードマンは彼一人らしい。、
私もこのスーパーで買い物をするようになって
随分長いが、彼以外のガードマンを見たことがない。
しかし、そもそもこのスーパーに
ガードマンが必要かどうかが疑問なのだ。
客は近所に住んでいる人達ばかりだから、
皆歩きで、車の誘導もいらない。
と言うより駐車場自体がない。
買い物はお金が無くても出来るから、
万引きを捕まえる仕事もない。
つまり彼の仕事は何もない。
それなのに彼がここに存在しているのは、
多分以前ママから聞いた理由によるものだ。
生前の職業や生活習慣を、
忘れることが出来ない人達・・・
考えてみれば私もこんなスーパーで、
買い物をする必要がないと言えば、ない。
食料、衣料、雑貨品すべて必要なものは
ちゃんと自宅にいつも揃っているのだから。
冷蔵庫の中身がカラッポになるのは、
私が買い物に行くという行為をする為に
あえてカラッポにしてくれているだけで、
買い物に行けないときでも、冷蔵庫には必ず何か入っている。
買い物をしたり、学校に行ったり、
かく言う私も、あっちでの生活習慣をこっちの世界にまで
持ちこんでいる者の一人なのだ。

〜つづく 
             
ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.19. (00:16) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達&私用の一皿&ママの店


最近気がついたのだが、シマジロウの行動はネズミに似ている。
後足で立ったりはしないが、コソコソチョロチョロ、
私の顔色を伺いながら悪戯をする。悪戯が見つかって怒られると
そんなにきつく怒っていないのに、壁にへばりつき怯える。
そのてんクロなどは図太い性格で、平手でペシッと叩くと
足に噛み付く。酷く噛んだりはしないが結構痛い。
叩かれるようなことをするから当然の報いだという理屈は奴には
通用しないみたいだ。


肉嫌いの私の為に長女が作ってくれたハンバーグ。普通の半分以下の
大きさだったが、その半分しか食べられなかった。ゴメン !

別荘

・・・・お知らせ・・・・

本日のママの店はお休みをさせて頂きます。              
ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.18. (00:00) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
 我が家の猫達&ママの店13をHPに UP


家の中だけで生活している猫達にとって季節感というものは
あるのだろうか。夏はクーラ冬暖房、暑さも寒さもさほど感じない
だろうなあと思う。人間にとっても体に悪いだろうなと思うけれど、
寒いのはまだしも、暑いのは耐えられないものがある。
昔と違って今はどこでもクーラをつけている。室外機から出される
熱風が窓から入ってきて、たまらずこちらもクーラにスイッチを入れて
しまう。悪循環だ。



「ママの店13」 をHP上にUPした。
連載なのだから当たり前だが、だんだん量が増えて
作業が大変になってくる。
今日も一日かかりきりになってしまった。

別荘

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.17. (00:42) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
 我が家の猫達&ママの店


シマジロウやシュウのパパであるフクは私といつも一緒だ。
一緒にいるとどうしても可愛くて、外にも連れて行きたくなるが、
外をとんでもなく恐がって、抱いていても爪を立ててしがみつき、
ガクガクブルブル震えたままだ。よく猫に紐をつけて
犬みたいに散歩させているのを見ると羨ましくなる。
しかし、それにしても今日も暑かった。夜もクーラーがいる。
梅雨はもう明けてしまったのだろうか・・・・

別荘

          10 11 12 13 14 15 16 「ママの店」

あっ、そういえばこの間
石が赤くなるのを見たことがあった。
あれは見間違いなんかじゃなかったんだ・・・

「ママ、最近石に何か変化が無かった ?
 色が変わるとか」

「ええ、赤くなりだしてきているわ・・・
 あんたも気がついていたのね」

ママはニッコリ笑ったが、どこか寂しそうな笑い方だ。

「じゃあ・・・もうすぐだね」

「そうね、もうすぐだわ」

「 でもそうなると、えいじに騙されて殺された女達の、
 恨みの持って行き場がなくなるんだね。
 本当なら気が済むまで罵倒して
 拳固の連打をくれてやりたいだろうに・・・」

えいじを二度と生まれ変わらせないように、
封印しなければならないことを理解してはいるが、
ママの胸に抱かれて昇天するみたいで、
正直ムカついた。

「憎しみの種から出た芽が育つと、憎しみの花を咲かせて、
 憎しみの種を宿すの。そして・・・はびこる。
 そんな種は蒔いちゃいけないの」

「つまりえいじがその種なんだね」

「そういうこと」ママはまた寂しげに頷いた。
 
「あぁ、もうこんな話やめにしましょ。もう過去も過去も
 大過去の話よ、カビの生えたような古い話を蒸し返したく
 ないわ」

カビ ?・・そりゃないぜ・・・
 
「僕だってそんな話したくないけどさあ、
 僕は夕べ・・・だと思うけど、
 いきなりママのその大過去の世界に
 飛ばされたんだからね。
 僕にとっちゃ生々しい出来事さ」

「助けてくれてありがとう・・・感謝してるわ」

てっきり意地悪く罵られると思いきや、
ママがいきなり真剣な目をして私の顔を見る。

「いや・・・そんな、僕はママの為だったら、
 崖っ淵からでも飛べるからね」

私が焦りながらも胸を張って言うと、

「あら、飛ぶ勇気がないって、
 頭を掻きむしっていたのは誰かな ? 」と言って笑われた。

「ゲッ、何だ知ってたのか・・・ずるいよママ」

張った胸がいきなりしぼんだのを見てママは笑い、

「冗談よ、本当に頼りにしているからね」

と言ってホッペタにキスをしてくれた。

〜つづく 

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.16. (00:45) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達&妙なチョコレート&ママの店


暑い ! とにかく暑すぎる。夜になっても三十度を下回らない異常さに、
クーラー嫌いなとどとは言っておられなくなった。
我が家の猫達はクーラーさえつけておけばおとなしい。
しかし、その温度設定が難しいのだ。
寒すぎても風邪をひく。結局ドライをかけるしかないのだが、
これはこれで室内の温度をしょっちゅう確かめないと
グングン温度が下がってくる。


とても苦いチョコレートですとパッケージに書いてあった。
甘ったるいよりは食べやすいだろうと思い買ってみた。
全然甘みがない。チョコレートの香りがする別の食べ物だった。
食べ難いということもないが、もう一度買おうという気も起らない
味だった。しっかりカロリーも高めだったし・・・・ペケだ。

別荘

          10 11 12 13 14 15 「ママの店」

ママの店の前まで来た。入り口の看板がいつもと同じ
古びた黒い看板なのを確かめる。
文字の部分が擦り切れていて全く読めない。
しかし、過去の世界に行ったときも
やっぱり読めなかった。
看板が新しかろうが古かろうが、
そんなことには関係なく、
今はまだ読むことが出来ないということなのだ。
私がその為に用意された何かを解いたとき、
そのときこそきっとこの店の名前が明らかになるに違いない。
私にはまだまだ知らなくてはいけないことが
いっぱいあるのだ。
ちょっと傾いている看板を元に戻して、
私は店のドアをあけた。

カラ〜ンコロ〜ンと来客ありを知らすベルが鳴る。
ママ、いるの ? とカウンターを覗こうと近づくと、
キヤッという声がした。
私の足が何か柔らかい物を蹴ったのだ。
まさかと思い恐る恐る下を見ると、
そこにママのお尻があり、振り向いたママが怒った顔で
私の顔を睨みつけている。
ゴメン・・・私は慌てて謝った。

「でも何してるのさ、そんなとこで」と聞くと、

「コップをね、割っちゃったのよ」

と言いながら床に這いつくばって
ガラスの欠片を拾い集めて塵取りに乗せている。
私もしゃがんで拾うのを手伝っていると、

「さっきお客の飲んだジュースのコップを回収するとき
 盆から落としちゃったのよね」

と言ってママは溜息をついた。

首からブランと下がったネックレスが、
ママの動きについて左右に揺れている。
えいじだ・・・私の頭の中にえいじの顔が蘇る。
ママは今でもえいじと一緒にいるんだ。
そう思うと胸がムカムカしてきた。

飛び散った細かな破片も丁寧に拾ったあと、
ママはカウンターの裏にあるゴミ箱に捨てに行った。

割れたガラスを拾うのは危ない。
案の定ママは指を怪我したみたいで、
蛇口から水を出しっぱなしにして
指から出てくる血を流している。
それを見ながら、
私はあの崖から落ちて血だらけになっていた
しずえさんを思い出していた。
ママは新しいタオルを出してきて、
指を押さえ、薬を塗って絆創膏を巻こうとしたが、
怪我をしたのが右の人差し指なもので、絆創膏が巻き難い。

「僕が巻いてあげるよ」

ママは何も言わず私の目の前に指を突き出した。
一センチほどの縦傷で、とても痛そうだ。
こっちの指だと仕事がしにくいよね、と言うと、
ママは本当にその通りといった顔をして頷いた。

絆創膏を巻き終わった後、私はママの目をみつめ、

「そのネックレスの由来がわかったよ」とボソッと口にした。

ママは、小さな声で、
そう・・・と言ったきり
私から視線を逸らせ、壁の一点を見つめている。

今から私が聞こうとしていることは、
ママのプライバシーのことだ。
後で後悔するかもしれないが、
今のチャンスを逃したら、もう二度と聞けなくなってしまう。

「ねえママ、その中に封じ込めたあいつを
 生まれ変わらせないようにするには、
 ママがずっと首にかけておかなきゃダメなの ? 」

私はえいじみたいな悪い奴の魂を
いつまでもママが身に着けているということが
不愉快だったのだ。

「そういう訳でもないんだけど・・・」
ママは曖昧な返事を返してきた。

「じゃあさ、いつかの少年みたいに
 壁にぶら下げとけばいいんじゃない ? 」

ママはチラッと少年の写真を見たが黙っている。
私はだんだん腹が立ってきた。

「ママは今でもえいじを愛しているんだ。
 だからいつまでもネックレスを
 肌身離さず持っている。
 思い出しなよ、
 そのえいじに騙されてママはあの日
 崖から突き落とされて死んだんだ。
 一緒に死のうっていう約束は守られなかった。
 あいつは始めからママ一人を死なすつもりだった。
 しかもあいつが殺したのはママ一人じゃない、
 何人もの女をママに言ったような甘い言葉で騙し、
 保険金を掛けて殺していたんだ。
 そんな憎むべき男を
 ママはまだ・・・思っているんだね」

私の最後の言葉には怒気が含まれていた。
ママは何の反論もせず、黙って私の言うことを聞いていたが、
やがて静かに首を横に振った。

「確かにあの人は悪い人間だった。
 あのまま放っておけば、生まれ変わる度に
 ろくなことをしやしない・・・だから封印したのよ。
 石が黒い間はまだ魂が汚れている証拠なの。
 これが青になり、赤になり、やがて透明になる頃には
 あの人の魂は永久に存在能力を失くすのよ。
 つまり、もう何にも生まれ変われない」

「それじゃ、消えてしまうってこと ? 」

「そう、消えてしまうのよ」

「それじゃなおのこと
 そんなネックレスどこかに放り込んじゃいなよ。
 ママが持っている必要なんかないじゃないか」

ママは少し悲しい顔をして、私の目を見つめた。

「人には誰でも、罪の意識を感じる心がある。
 でもこのひとにはそれがない。
 冷たく固い氷のバリアーで自分の心を守っているのよ。
 いくら封印しても、その壁を融かさない限り、
 消滅させることが出来ないの。
 だから私の温もりでその壁を融かし、
 今まで隠れていた人間としての意識をむき出しにするのよ。 
 自分の犯した罪の深さを知って苦しむことが、
 殺した人達への供養になるの。
 罪の意識が無い者を、いくら罰しても仕方がないわ、
 信じていたのに騙されて殺された私達の痛みと苦しみを
 この人にわからせたいのよ。
 狭い石の中で、もだえ苦しみながら
 少しづつ消えていくのを、
 最期まで見届けなくちゃいけないの・・・」
 
〜つづく

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.15. (00:14) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(4) /
 我が家の猫達&ママの店


とにかく暑い・・・夜になっても三十度。これは各家庭のクーラーの
室外機の熱風が原因。仕方がないので我が家もつけた。
猫達もクーラーに慣れているから、暑いと食欲にまで影響を及ぼして
しまうので可哀相だ。亡くなった母がよく言っていたが、物言えぬ者
を一番大切にしてあげないといけない。


主人が時々ケーキを買ってきてくれる。私はどっちかと言えば和菓子なんだが、主人はケーキ大好き。好きなんだから自分が全部食べればいいのに、私になんとか食べさせようとしてくれる。
後で食べるからね、と言ったら「ケーキ食べたか」と顔を見るたび聞いてくる。娘達はダイエットだし、食べてくれないのはやっぱり寂しいんだろうな・・・ケーキ一個ちゃんとよばれました。
美味しかったよ、ありがとう。

別荘

          10 11 12 13 14 「ママの店」

母が洗って置いてくれた青いジーパンを穿き
白いトーレナを被ると、
気持ちがシャキッと引き締まる。
多少ゴワゴワするけれど、
やっぱり洗いたてのジーパンは気持ちがいい。

ドアを開け、外に出た。
左隣に住む引き籠もりの物理学の先生が、
今日は珍しく
家の周りにあるプランターの花に水をやっている。
ボサボサの髪の毛はもう、
櫛はもちろんブラシも通らないだろうから
そのまま放置状態になっているが、
この人が外に出て来ることはめったにないことだ。
どうせ返事はないだろうと思いながらも、
「先生、おはようございます」と声をかける。
彼は私の顔を見なかったが、
下を向いたまま小さな声で
「おはよう」と言ってくれた。

今まで何回か姿を現すことがあっても、
話したことが無かっただけに、とても嬉しかった。
少しづつ気持ちを外に向けることが
出来るようになってきているのだろう。

ママの店に向かって歩いていると、
前から白の半袖、短パン姿の太った中年男性が、
エッホ、エッホと妙な掛け声をかけながら
走って来るのが見えた。
この人とは最近よく出くわす。
「おはようございます」と声を掛けると、
彼は首に掛けたタオルで額の汗を拭い、
足踏みをしたままで私の顔を見て、

「おはようございます、今日もいい天気ですなあ」

と笑いながら言い、またすぐに走り出して行った。
この辺りは夕方近くになると
スーパーに買い物に行く人がよく通るが、
朝から昼にかけては、あまり人通りがないので、
ジョギングするにはもってこいの道だろう。
右側の道路もあまり車が通らないから、静かだし、
左側にはカラフルな屋根を、
太陽光線に反射させた洒落た家が建ち並んでおり、
家々の前に置かれた
プランターの花々がとても美しい眺めだ。

しかし、静かだと安心していたら
とんでもなくビックリさせられることがある。
いきなり車が走って来て、わざと音程をはずした
ヒョウキンな音のクラクションを鳴らしたり、
排気ガスの代わりの七色のシャボン玉を
ブシュウと大きな音をたて、
大量に吐き出して行ったりするのだ。
あれはどう考えても、
通る人をなんとか驚かそうという魂胆だ。
車の色はもちろんカラフルで綺麗だが、
大きさもいろいろあって大変おもしろい。
横から見ると十トンもあるかと思われる大型トラックが
正面から見ると幅が五センチもなかったりする。
風に煽られてヒラヒラ飛んでいくように見えるから、
本当に人が運転しているのだろうかといつも疑問に思う。
また、非常に小さい車も走ってくることがある。
こりやまるで玩具の車だと思える大きさで、
それでも一応クラクションも鳴るし、
シャボン玉を吐き出したりも出来るのだ。

〜つづく

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.14. (00:12) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達&ママの店


写真はカリン。どうも黒猫は写真が撮り難い。
黒くて顔がわかりにくいのだ。とくに親子兄妹の場合はそっくりだから
いっそうどれが誰だかわからなくなる。
一緒に暮らす私でも、写真だけでは誰かちょっとわかりにくい。
ただ、各々個性があるので、ちょっとした仕草で誰だか
わかるのだが・・・カリンはいつも高いところから下を見るのが好き。高いところに上がらず、下へ下へと行くのがクロ・・・
といった具合だ。

別荘

          10 11 12 13 「ママの店」

のっそりと重い体をベットから降ろし、
何回も大きな欠伸をしながら、洗面所に行った。
入り口左横の洗濯機の上に置かれた赤い籠の中に、
着替えのパンツとシャツが畳んで入れてある。
いつも母が用意しておいてくれるのだ。

汗はかいていないが、とりあえず頭がすっきりするように、
シャワーでも浴びようと裸になり、
右側にある風呂場のドアを開けた。

・・・!?

金髪に髪を染めた若い男が背中を向けて
タオルでゴシゴシ体を洗っている。
見たことも無い男だ。

「君、君は誰・・・・ ? 」思わず声が上ずる。

男は背中で、石鹸をつけたタオルをせわしく上下させながら
私の方を振り向いた。

「誰 ? 誰って、僕は僕だよ・・・君こそ誰 ? 」

色白で、細面、目鼻立ちのすっきりとしたなかなかの美男なんだが、
目が笑っている。あきらかに私をからかっているのだ。

またか・・・こういう現象はここではしょっ中起るのだ。

「どうぞ、ごゆっくり」溜息とともに私はドアを閉めた。

閉めた途端ふと思ったのは、

もう一度開けたら中はどうなっているのだろう・・・

今までこういう現象が起ったとき、
もう一度試してみるということをしたことがない。

ずっと同じ人がいるのだろうか・・・

私は好奇心満々で、そおっとドアを開けた。

誰もいない・・・
さっきまで体を洗っていた金髪の男が消えている。

「誰を探しているんだい ? 」いきなり声がした。

ギョッとして声のした方を見ると、
バスタブの中に四角く畳んだタオルを
頭の上に乗せたさっきの男がいた。

「お、お湯に浸かっていたの ? 」と私が間抜けな質問をすると、

男は笑いながら、

「おぅ、ここは風呂場だからな」と言い、豪快に笑った。

容姿からはとても想像し難い太い声を出す。

「君も一緒に入ればどうだい、さっきから裸で何をしているんだ。
 僕ならいっこうにかまわないから、どうぞ体を洗いたまえ。
 何なら背中を洗ってやろうか」

そう言って男はまたギャハハと笑う。

「いえ、おかまいなく。後で入らせてもらいます」

ものすごく腹が立つ・・・
冗談じゃない、何で私が見ず知らずの男と一緒に
風呂に入らなきゃなんないんだよ !

そうかい、と男は答えてニヤニヤ笑っている。
私は腹立ち紛れに強くドアを閉め、
とりあえず顔だけでも洗おうと洗面所の水を出したとき、
プチッという音とともに風呂場の明かりが消えた。

アレッ、電気が消えた・・・中の人は・・・
私はまたドアを開ける。

すると今度は本当に男の姿はなく、
さっき男が浸かっていたバスタブの中はカラッポで、
たっぷりと入っていたお湯の温もりもなく、
それどころか雫一つついていない。
つまり、まるきり湯や水を入れた形跡がないのだ。

やっぱり怪現象だ・・・あれは幻だ・・・

やっとシャワーが使えるようになったものの、
もう使用する気が失せてしまっていた。

でもおかしなもので、シャワーなんか浴びなくても、
顔を洗い新しい下着をつけると
何となく清潔になった気がするものだ。

ゴン ! と呼ぶと、ニャオンと声がしていつの間にか足元にいる。
抱き上げると嬉しそうな顔をして顔をペロペロ舐めてきた。
何だ、お前犬みたいだなあ・・・今ご飯をやるからな。
そう言ってゴンを抱いたまま台所に行き冷蔵庫を開けた。
昨日の缶詰が残っていたので皿に入れてやると、
ガツガツとまた例の激しい食べ方で
あっと言う間に皿が空っぽになる。

水入れの中に牛乳を入れてやり、
私もパックごと残りの牛乳を飲み干し、
口の回りについた牛乳を手で拭いながら、
そろそろママの店に行こうかなと考えていた。

〜つづく

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.13. (00:08) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(0) /
 我が家の猫達&ママの店


夏本番、外気温が三十度を越した。
我が家の猫達はクーラーに慣れている為暑さに弱い。
いくらなんでも夜は自然の風をと思いクーラーを消すが、
猫達は暑いと喧嘩を始める。
そういうところも人間と同じだなあと思う。
暑い時とお腹が減っているときは誰でも機嫌が悪くなるもんだ。

別荘

          10 11 12 「ママの店」

昭日町の自宅にいた。

あのあと・・・しずえさんと二人で満月を見ていたあと、
私はいつのまにか昭日町の自宅に戻っていた。
よっぽど疲れていたのだろう、服も着替えず
ベッドに飛び込み、そのまま深い眠りに落ちていった。

どれほど長く眠っていたのかは定かではない。
取り留めの無い夢の中には、えいじやしずえさん、
ママや中田先生、犬山さんに、リリーさん良太君にワンコ、
ゴン・・・それに私の両親、そして今までに
この世界で出会ったすべての人達が出てきた。

私はその人達の人生の、すべてではないが
大切なワンシーンを見てきた。
そしてママのネックレスにまつわる話も知ることが出来た。

後は私自身のこと・・・

あぁ・・・でも、それを知ったときには、
たぶん私はもうこの世界にいられないだろう。
ならば私は、
自分自身のことなど何も知りたくない。

今までどんな人生を
どんなふうに過ごしてきたかなどというよりも、
今の私にとっては、
この昭日町での生活のほうが大事なのだ。

「あんたには私達のぶんまで生きていてほしいのよ・・・」

ママが何故私にそんなことを言ったのかもよくわかる。
生きていたくても死ななくてはならなかった無念、
生への執着、残してきた者への愛、それらすべての思いを、
今だ断ち切ることの出来ない人達にとって、
生きているくせにビジターとして
この世界に存在し続ける私は、
さぞかし羨ましく、また妬ましくもあるだろう。

しかし、私は、本来いるべきあちらの世界に、
果たして私を必要としてくれている者を
残してきているのだろうか・・・

それはたんに私が忘れているだけなのかもしれないが、
もし、あちらの世界に大切な者が一人でもいるのなら、
いくら居心地が良くても、
こんなに長く昭日町に居続けることはないはずだ。

おそらく、あちらで私は
愛する者すべてを失くしたにちがいない。

その失くした者達がこちらでは存在している。
それはすべて私が想念で造り上げた幻にすぎないかもしれない。
でも、確かに、ここでは彼らにいつだって会うことが出来る。

想念であろうが幻であろうが、そんなことはどうでもいい。
今やこの世界こそが私にとってすべてなのだ。

・・・・
大きな溜息をついて私は目を開けた。
本当に眠っていたのだろうかと思えるほど、
それはとても重い目覚めだった。

私はただ目をつぶり、今まで自分の身に起こったことを
ただ思い出して考え込んでいただけではないのだろうか。

そう思えてくるような目覚めの悪さだ。

でもまあ、こんなことをいつまでも
くよくよと考えていても仕方がない。
私は首をコキコキと鳴らして動かし、
両手を上げ、グインと背筋を思いっきり延ばしたら、
カチコチだった筋肉が緩んで気持ち良く、
大きな欠伸も出て、やっと憂鬱な気分が吹っ飛んだ。
嫌なことや都合の悪いことはすぐに忘れる、
それが私のいいところでもあるのだ。

〜つづく

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
続きを読む
2006.07.12. (00:52) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
 我が家の猫達&ママの店


我が家の中を移動する時は絶対下を見て歩かないといけない。
やつらはいたるところでドテッと寝転がっているのだ。
人間の通り道でひっくり返っていることが、どれほど危ないことか
まるきりわかっていないので、我々人間が注意するしかない。
それにしても最近とても暑くなった。昼間は絶対クーラーがいる。
しかし、つけたらつけたでこれがまた寒いのだ・・・消せば温熱地獄、つけたら悪感、どうすりゃいいのさ。

別荘

          10 11 12 「ママの店」

私の考えていることがしずえさんにわかってしまう・・・
自分の裸をジロジロと見られるような
恥ずかしさを感じて思わず黙り込むと、
しずえさんはいたわるような声で、

「あの・・・大丈夫 ? 」と聞いてきた。

いつまでも子供みたいに拗ねていても仕方がない。
私は努めて明るい顔をしてニッコリ笑ってみせた。

「気にしないで、僕の想像の暴走を止めてくれて
 かえって良かったよ。それより、どうするのさ
 えいじを生まれ変わらせないようにするんだろう ? 」

「そうだったわねえ・・・どうすればいいのかしら」

しずえさんは首を傾げ、じっと考えていたが、
突然閃いたように目を見開き、わかったわとつぶやいた。
何がわかったのかと聞くと、

「今頭の中で誰かが教えてくれたのよ。
 魂を封じ込める方法をね」と言い少し淋しそうな顔をした。

「誰かって・・・それ女の人の声だった ? 」

教えたのは絶対ママだ・・・
しかし、しずえさんは首を傾げる。

「それが、わからないのよ。
 うまく言えないんだけど言葉じゃなくて、
 直接理解出来たの。そう・・・言葉じゃなかったわ。
 テレパシーってもんじゃないかしら」

テレパシーか、ますますママだ・・・

「ママって誰 、 あなたのお母さんなの ? 」

また心を読まれた・・・

「ちがうよ、ママは僕をいつも守ってくれている人なんだ。
 君とママはおそらく同一・・・」

そこで私は言葉を切った。
こんなことを言っても信じてくれないだろうし、
うまく説明出来る自信もない。
どうせしずえさんは私の心が読めるから、
喋っても喋らなくても同じことなんだが・・・でも、
不思議としずえさんはそれ以上何も突っ込んでこなかった。

「それじゃ・・・やってみるわね」

しずえさんは、崖から落ちたショックで
思考能力が極度に低下しているかのように見える
えいじの前に立った。
えいじは空ろな目をしてしずえさんを見ている。
しずえさんはブツブツと呪文を唱えながら手の平を上に向け、
両手を広げて円を描くように
ゆっくりと伸ばした腕を上げていく。

まるきりママだ・・・

手の先を天に向けて真っ直ぐ伸ばしたとき、
一段と呪文を唱える声が大きくなったが、
ヘブライ語 なのか ラテン語 なのか、
何を言っているのか、どこの国の言葉なのかさっぱりわからない。

しずえさんが高く上げた腕を弧を描くように一気に降ろすと、
えいじの姿は掻き消え、今までえいじが立っていた岩の上に
金色にピカピカ光るネックレスが出現していた。
ネックレスの先には赤いペンダントトップがついている。
何処かで見たような・・・と思ったとき、
ママがいつも首からぶら下げているネックレスを思い出した。

あっ・・・あのネックレスだ !

何でいつも同じネックレスをつけているのかと聞いたら、
これは命なの・・・とあのときママは答えた。

命って、それじゃ、あれはえいじの命だったんだ・・・・

しずえさんは岩の上からネックレスを拾い、手の平に乗せた。
赤い石が艶々としている。

「その中にえいじがいるんだね・・・」と私が聞くと、

しずえさんは頷き、

「この中に封じ込めて魂を綺麗にしてあげるのよ。
私は恒久の時を生きてこのネックレスを手放さない。
 だからあの人はもう生まれ変わることが出来ないの」

しずえさんがネックレスを首につけると、
えいじの魂が深い眠りについたということなのか、
赤かった石がみるみるうちに青くなり、
その青も暗く黒に近い色に変わっていった。

しずえさんの姿が月の光りにはっきりと照らし出される。
多少透き通ってはいるものの、それはやっぱりママだった。
でも、もうそんなことはどうでもいい。
私はママのネックレスの秘密を知ったんだ。

「綺麗なお月様だね・・・」

「そうね・・・とっても綺麗・・・」

見上げれば暗い空に、煌々と光る大きな満月が出ていた。

〜つづく

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.07.11. (00:39) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /