
シマジロウがまた写真を撮ってもらいたいらしくテーブルの上に
ゴロリと横になった。昨日今日と涼しいので猫達もご機嫌だ。
そりゃクーラーなんかより自然の風がいいに決まっている。

・・・パイプラインからのお知らせ・・・
突然ですが只今ベンチャーズバンド、パイプラインではドラムを募集しております。バンド暦二十年。大阪市内のスタジオで練習しております。
1 2 3 4 「ママの店」
少し不安な予感を心に残したまま
ドアを開けて一歩足を踏み入れた途端
いきなり真っ暗になった。
停電かと思い、奥に向かって声をかける。
「ママいるの ・・・ どうしたのさブレカーでも落ちたの ? 」
何の返事もない。
手探りでカウンターを目指したが、
おかしなことに数歩歩けば触れるはずのカウンターの椅子に
なかなか触れることが出来ない。
不安に胸がドキドキ音を立て始める。
「ママ・・・どこ・・・」
次第に闇に目が慣れてくると、薄ぼんやりとした風景が見えてくる。
もはやここが店の中ではないことは確かだ。
足元はカーペットではなく地道で草が生い茂っているし、
地面も少し傾斜しているように思える。
やがてここがどこかの山の中で、
しかも夜だということがわかってくると、
またもや異世界への扉を開けてしまったことに気がついた。
どうしよう、またどこかに迷いこんじゃった・・・
途方にくれかかった時、
こちらに向かって走ってくる男女が見えた。
誰かに追われているのか、二人は何度も後ろを振り返りながら、
苦しげにぜいぜいと息を吐き出しながら走っている。
男のほうは黒っぽい背広姿で、女は白っぽいワンピースか。
足をもつれさせ、倒れそうになる女を男が支える。
男が女に向かって何か囁くと、女は肩で大きく息をしながら
ゆっくり何度も頷いている。
多分、「大丈夫か」「ええ、だいじょうぶよ」
みたいな会話がかわされているのだろう。
不倫の末の逃避行か、はたまた借金を踏み倒して逃げる二人か・・・
それとも何か犯罪を犯したか・・・
私はいろいろな想像しながら二人の様子を見ていた。
二人はとうとう私の側までやって来たが、
いつもと同じパターンで、やはり私が見えていないようだ。
二人ともまだ二十代か・・・
男はスラリと痩せた長身で、乱れ髪が顔を隠してはいるが、
色白で目鼻立ちが整っており、かなりの美形と見た。
女も大きいウエーブがかかった長い髪をして、
ほっそりとした柳腰のなかなかの美人・・・アレ ?
どこかで見たような・・・
一瞬そう思ったとき、二人はもう私の前を通り過ぎている。
ついて行って彼女の顔をもう一度確かめようと、
私は二人の後を追いかけることにした。
〜つづく
(ママの店12前編) (ママの店12後編)その他の作品紹介
2006.07.03. (00:11)
小説 文学 /
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