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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&たこ焼き&ママの店


最近クロがゴンそっくりになってきた。
年がいってきたのだと思うが、クロが時々ゴンに思える時がある。
ほんこのあいだまで子猫だったのに・・・なんて
愚にもつかないことを考えたりする。


お昼に たこ焼きを焼いた。ソースにしないで醤油をたらした。
今日は結構蒸し暑かったから、焼くだけでお腹がいっぱい
胸いっぱいになってほとんど食べられなかった。
残ったたこ焼きは冷凍室行きになってしまった。
でも全然食べていないのではなく、味見に一個食べ二個食べで
それで満腹になったのかもしれないな。

     「ママの店」

道は緩やかな勾配がある上り坂だから
二人はとても苦しそうで、走っているというよりも
水の中をもがきながら歩いているみたいだ。
とくに女は疲れが足の感覚を麻痺させているのか、
何度も転びそうになっては男に抱きかかえられていた。

「ねえ、私もう走れない・・・少し休みましょうよ」
と女が喘ぎながら言う。
男もそうとう疲れているのだろう、
ゼイゼイと肩で息をしながら頷いた。

「そうだね、もうここまで来たら
 誰も追いかけてこないだろうし、一休みしようか」

二人は体を寄せ合い、足を投げ出しその場に座り込んだ。
女が履いていたローヒールを脱ごうと靴に手をやるが、
疲労しきった指が震えるのが夜目にもわかる。
足もきっと浮腫んでいるのだろう靴が脱ぎにくいようだ。
やっと脱いだ靴を放り出し、草むらに足を伸ばした女は
気持ち良さそうに両手を後ろにつき、溜息を吐いた。
男の方は立てた膝の上で両手を組み、暗い顔で下を向いている。

「ごめんよ、僕があいつの保証人になんかなったから・・・」

男が肩を震わせて泣き出した。女はそっと男に寄り添い、
背中にしがみつく。

「あなたが悪いんじゃないわ。それにしてもヤクザって
 どこに逃げてもすぐ見つけて追いかけてくるのね。
 今頃家の中メチャメチャにかき回してるでしょうけど
 探したってお金も無いし、私達がどこに行ったかも
 もう絶対わからないわ。そりゃ今までは生きる為に
 逃げ回ったのだから、足取りも掴めたみたいだけど
 今度は違うもの・・・あの世までは追っかけてこれないわ」

女は小さな声でクスクスと笑う。
男は顔を上げ、女を見つめていたが、
何も言わずいきなり女を抱きしめた。

主人が友達の借金の保証人を引き受けたために
取立てのヤクザに追われているのか・・・
今まで転々と住所を変えて逃げ回っていたらしいが、
逃げなくちゃいけないってことは、
おそらく普通に働いて返せる額ではないのだろう。
逃亡の果てに心中を企てた・・・よくある話だ。
疲れ果てた男の顔を見たとたん、私はグッと生唾を飲み込んだ。
男の青白い端整な顔に乱れた前髪がパラリとかかり、
凄まじく美しい。
女の顔もそこそこ綺麗みたいだし、これが真冬の設定で
ハラハラと雪でも降ってこようものなら、
まるで歌舞伎の心中物でも観ているような気分になる。
雪がだんだん激しくなり、抱き合った二人を
真っ白な雪布団で覆い尽くしていく・・・
そんな想像をしてしまった。
しかしこんなに美形の男だったら、
お水の世界とかで人気が出て借金なんかあっという間に
返せるのではないかと思うのだが・・・
まあ、きっと真面目で、
生きるということに不器用な男なんだろう。

そうそう、女の顔に見覚えがあったんだと思い出す。
しかし男の顔ははっきり見えるのに、
どういうわけか女の顔がぼやけて見えにくい。
目を細めたり凝らしたりしながら見ていると、
ある人の顔が頭に浮かび、はっとした。

ママだ・・・

はっきりとはわからないが、顔といい体つきといい、
どうしてもママに重なってしまう。

〜つづく

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

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2006.07.04. (00:28) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
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