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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店


晩ご飯はまだかいなあ・・・クロの顔がそう言っているみたいだ。
調理している時は台所に入ると怒られるから、少し遠いところから
さりげなくチラチラと見ている。しかし今日はご飯の前にイロイロ
つまみ食いをしていたぞ〜。メロンパンをちょっとカジリ、牛乳も
飲んでたなあ・・・それでしっかりご飯も食べた。
人間と同じで、おやつは別腹かいなあ・・・


別荘

          10 11 「ママの店」

「あの・・・どうかなさったの ? 」

悲嘆にくれる私の耳にいきなり女性の声がした。
ギョッとして声がした方を見ると、
しずえさんとえいじの死体の横に蜃気楼のような
二つの影が揺れている。
よく見ると片方はまぎれもなくしずえさんで、
もう一方はえいじだ。
ぼんやりと透けているのを別にすれば、
しずえさんは生きていたときの美しい姿に戻っている。

「しずえさん・・・もう会えないかと思った」

私が手で涙を拭いながらそう言うと、
しずえさんはニッコリと笑った。

「助けてもらって、
 お礼も言わずにどっかに行っちゃうなんて、
 そんなことするわけないでしょ。
 ありがとう・・・本当に感謝しています」

しずえさんは膝の所で両手を揃え、頭を下げる。

「そんなこと・・・どうでもいい」

私の言葉にしずえさんは
えっ ? というような顔をして首を傾げる。

私はべつにお礼を言ってもらいたくて探していたんじゃない。
私はしずえさんにもう一度絶対会わなくてはいけなかった。
その理由の一つはえいじをどうするかだ。

「その男をどうするつもりなの、まさか一緒にずっと
 いるつもりじゃないだろうね・・・」

私は目を細め、えいじを睨みながら言った。
えいじは自分が死んだということがまだよくわかっていないのか、
キョロキョロと辺りを見回したあと、
自分の手の平を裏や表に返しながら見つめて首を傾げている。

「この人の心には大切なものが欠けているの。
 だから何度生まれ変わっても同じことを繰り返すわ。
 だから、もう生まれ変わらないほうがいいのよ」

月の光りでも反射したのか、しずえさんの目がキラリと光る。
何でこんな男の為に泣く・・・私の怒りにまた火がついた。

「生まれ変わらせない方法なんかあるもんか、
 君はこの男をまだ愛しているから
 手元から離したくないだけなんだ !
 女ってバカだね、
 騙されても殺されても目が覚めないんだから」

私が吐き捨てるように言うと、
しずえさんはとても悲しい目をした。
しかし私の言葉がさらに彼女を責めたてる。

「何度生まれ変わっても同じだって ?
 そんなことなら知ってるよ、ママに聞いたからね。
 それならせめて、
 こいつの為に殺された人達のもとに送り込んで、
 その人達に裁いてもらうのが一番いいんじゃないか、
 まさか君みたいにまだこいつを愛しているなんて
 思っちゃいないと・・思う・・・」

そう言いながらも私の心に不安が過ぎる。
果たしてそうだろうか、殺された女達はこの男を
まだ憎んでいるだろうか・・・まさかと思うけれど
彼女達の心がしずえさんと同じだとしたら、
責めるどころか逆にこの男に群がって、
愛してるだの会いたかっただのと大喜びするかもしれない。
それじゃまるでこいつのために、
ハーレムを創ってやるようなものじやないか。
ムカツク・・・クソッどうすりゃいいんだ !
私が苦渋に満ちた顔で考え込んでいると、
しずえさんがクスッと笑った。

「笑い事じゃないよ、君の為に考えているんだ」

私が怒ったのを見て、しずえさんは申し訳なさそうな顔になった。

「ごめんなさい。
 あなたがあんまり一人で勝手に想像しているのが
 おかしくってつい・・・
 あ、私、霊だからあなたの心がわかるのよ」

〜つづく

(ママの店12前編) (ママの店12後編)

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2006.07.10. (00:06) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
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