
これは何 ? 掃除のモップ ?

いえいえ、シマジロウがお風呂から出たところでーす。
長かった雨が上がると温度がどんどんアップした。夕べはあんなに
寒いくらいだったのに、今日はもうクーラーがいる・・・
別荘1 2 3 「ママの店」
「とりあえず警察に連絡しておいたほうがいいのでは、
それじゃあ僕は急ぎますので、
後のことはよろしくお願いします」
「わかりました。お忙しいのに申し訳ありませんでした」
ガードマン君が頭を下げた。
私がここにいても何も役にたたないし、
それより早く家に帰りたい。DVDが待っている。
「きっとお母さんみつかるよ。じゃあね」
バイバイと手を振って行こうとしたが、
けいこちゃんは私の足に腕を巻きつかせたまま
離れようとしない。
「あっ、ダメダメお兄さんは何にも出来ないし、
とても急いでいるんだ。
こっちのお兄さんと一緒にいてくれるかな」
からみついた腕を離そうとしたが、
まるでイソギンチャクが吸い付いたみたいに離れない。
けいこちゃんは、口をへの字に曲げて、
離されまいと必死に踏ん張っている。
ガードマン君も離れるように説得したが、
けいこちゃんは首をブンブン振って、
このお兄ちゃんしかダメなんだと繰り返す。
かんべんしてくれよう・・・何がダメなんだよ。
泣けるものなら泣きたかった。
ガードマン君も根負けしてしまい、
訴えるような目で私の顔を見ている。
オイオイ・・・その目は何だ。
私にこの子の母親を探せというのか ?
まさか・・・
なんでこの私がそんなことをしなきゃなんないんだ。
私はだんだん腹が立ってきた。
「君、何とかしてよ。僕も忙しいんだ。
これから家に帰ってディーブイ・・・」
あとの言葉がごにょごにょと潰れて消えていく。
まさかDVDを見るから忙しいとは言えまい。
そんなことを言えば、DVDを使って
何か怪しいことをしているみたいに聞こえる。
いや、そこまで思わなくても、DVDを見ることが
そんなに忙しいことなのかと言われたら・・・
いや、いや、いや、とにかく私は何も関係ない。
この子は迷子なんだから警察に連れて行けばよい。
その役目は「ガードマン君、君の役目だろう ! 」
とんでもなく焦っていた。
このままではこの少女を押し付けられる。
私は子供が苦手だ。
いったいぜんたいどうすりゃいいのさ、
何でこの子はさっきから
私の足にしがみついている・・・?
力を込めてひっぺがしたら、
きっと大声をあげて泣くに決まっている。
そうしたら、まるで私が少女に乱暴したみたいで、
ものすごく立場が悪くなるではないか。
それでなくても、もうすでに周りの客達が
おかしな顔をしてこちらを見ている。
私は泣きたい思いでガードマン君を見た。
おっ、何かガードマン君の目つきがおかしい。
あれは私を疑っている目だ。
「あの、もしかしてあなたはこの子のお父さんでは・・・」
来た、来た、来た ! と私は思った。
こういう展開になるような気がしたのだ。
「し、知りませんよ、
僕はこの子と今日初めて会ったんですよ。
何てこと言うんですか」
「いや・・・失礼だとは思ったんですが、
あまりにもこの子があなたに固執するので変だと
思いましてねえ・・・」
「パパッ ! 」少女はいきなり私をそう呼んだ。
瞳をウルウルさせて、
嬉しそうに私を見上げているではないか。
うっ・・・・まずい・・・
ガードマン君の顔から完全に笑顔が消えた。
「いや、いや、とんでもない、この子は嘘をついている」
私は焦ってしどろもどろになりながら、女の子に向かって
「こらっ、嘘はいけないよ。お兄さんは君のパパじゃない ! 」
思わず大声で怒鳴ってしまい、
しまったと思ったときはすでに遅しで
耳の鼓膜が破れんばかりの女の子の大きな泣き声が
店内に響き渡っていた。
〜つづく
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