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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店


ナナはいつも長女の部屋で寝ている。どうやらチャオがナナの寝床を
取ったから喧嘩になったみたいだ。
各自の縄張りがあるから、進入してくるものを撃退するのは
当然だと思っているみたいだが、郊外の一戸建てじゃあるまいに、
しょせんマンションの中、
いったいいくつの縄張りを作れるというのだろう。

別荘

電子出版「短編集 闇の中の住人」

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「ママの店」

ママはさっきからソファーに座って
黙って先生の話を聞いていたが、
これと言って何も反論する様子がない。
かと言って私が口を挟むには、問題が大きすぎて
うっかりとしたことは口走れない気がした。
気まずい空気が店内に立ち込め出している。

「あのう・・・」

いきなりけいこちゃんの母親がその空気を破った。
彼女の意見が突破っ口になるか・・・
皆一斉に彼女を見る。

「ここはいったいどこなんでしょうか、私は
 ただ夢を見ているだけなんでしょうか・・・」

何だそのことか・・・正直私は少しガッカリした。
でも中田先生の緊張は彼女のおかげで
だいぶ柔らいだようだ。

「夢の中というのは確かね。正確に言うと、
 あなたの意識だけが
 こちらの世界に飛んで来ているのだけど」

ママがやさしく微笑みながら説明するが、
彼女はまだ納得出来ないようすだ。
さっきけいこちゃんに初めて対面したときの
喜びに満ちた顔はなく、
頬に物憂げな影が落ちている。

「じゃあ、目が覚めたら・・・もう」

母親は両手のひらで顔を覆った。
ママは立ち上がり、母親の傍に行きしゃがみ込んで
彼女の背中にそっと手を置いた。

「あっちに行って座りましょうか」

彼女は頷き、ママに付き添われてソファーに移動した。
けいこちゃんも不安気な表情で母親に寄り添っている。
それを合図に我々も皆それぞれ母娘の傍の席についたが、
母親は依然、溜息を何度も漏らし辛そうにしている。
そりゃそうだろう、これがすべて夢だなんて辛すぎる。
夢はいつ覚めるかわからない。
一度覚めてしまえば、
今度いつまた我が子に会えるかわからないのだ。
彼女としてみれば、出来ればずっとこのままここで
娘と暮らしたいだろう。
私も、中田先生もそうさせてやりたいのだ。
もちろんママも思いは同じに違いない。
でも、即答してあげられるほど、
人の命は軽くはないのだ。
ママはそれを知っている。
我々が今こうしてこの世界で暮らしていけるのも、
ルールを守っているからこそだ。

ルール ? どんなルールだっけ・・・

考えてみれば、そのルールを私は知らない。
おそらく中田先生もだ。
でも、それがあることは何となくわかっているのだ。
ここはママの意見に従わなくてはならない。
私はママの顔を見た。
先生は深い溜息を一つついて眉を潜め下を向いている。

「ママがチネばいいんだわ」

またいきなり重い空気が破られた。
今度は何とけいこちゃんだ。
私や中田先生が喉まで出掛かって出せない言葉を
いとも簡単に少女は口にした。
チネばいいと言うのは、勿論
死ねばいい、ということだ。
口がちゃんと回らないのだろう。
何せまだ二歳と数ヶ月だ。
それでもまだ、けいこちゃんはちゃんと喋れる方だ。
普通の二歳児なら、こんなこととてもじゃないが
言えやしない。

〜つづく

 ホームページ上に今までの分を「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。
(ママの店12前編) (ママの店12後編)

その他の作品紹介
2006.08.13. (00:30) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
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