
我が家の猫達のウンチが今日出ていない。
いや、正確に言うとチャコだけが快便だった。
ブチが便秘した時を思い出し、これはえらいことだと大騒ぎになった。猫の病気の本で調べてみると、マーガリンを大さじ一杯食事に混ぜて食べさせば良いと書いてある。早速大さじ一杯を皿に入れてみたら、
これがまたものすごく多い・・・15グラムがこんなに多いとは、
でも大さじ一杯は15グラムだし、まあ嫌なら食べないだろうと
恐る恐る差し出したら、ブチ達兄弟がガツガツとあっという間に全部
食べてしまった。明日はさぞかし立派なのが出ることだろう。
しかし一匹の一回の食事に15グラムのマーガリンなんて
本当なんだろうか。
猫は油が好きみたいだけど、なんか気持ち悪くなってしまった。
別荘電子出版「短編集 闇の中の住人」「ママの店」ママ、中田先生、私の三人はテーブルを囲み
けいこちゃん救出作戦を練ることにした。
「まず、僕がママにけいこちゃんのいる場所に
送り込んでもらうんだ・・・」
とりあえずわかっていることを口にしたが、
送り込まれた後何をどうすればよいか
まったくわからない。
それにドロドロに溶けた溶岩地獄を思い出し、
いくら熱くないと先生に聞いていても正直怖い。
「こんなことはないと思うけど・・・」
ママが声を潜めた。
別に我々以外に誰もいないのだから、
こそこそ話しなどしなくてもよさそうなものだが、
おかしなもので、声を潜められると
不安な気持ちになってくる。
どこで誰に聞かれているかわからない、
私と中田先生は急いでママに近寄った。
「もし、あの子がまた変身した場合・・・」
ママがそう言って目をぱっちりと見開き
私の顔を見て口をすぼめる。
「ママ、それはもうないって言ったじゃない。
あんな化け物にまた変身されたら
僕一人じゃとても手におえないよ」
私は身震いしながら首を振る。
「かといって私達皆で乗り込んだら、
けいこちゃんは素直にこちらに戻ってくるかな。
ママの呪文はあの子にとって
苦しい以外の何物でもなかっただろうし、
私のことも多分信用していないと思うんだよな・・・」
中田先生が遠い目をして
自分に言い聞かすようにつぶやいた後、
三人はまた溜息をついて黙り込んだ。
けっこう長い時間が過ぎたなと思った頃、
中田先生の表情が明るくなっているのに気がついた。
先生は何かいいアイデアが閃いたのか、
首を上に向け、天井のどこか一点を見ながら
顎をしゃくれさせ、ふんふんと一人で頷いている。
先生は、いつも自分の考えたことを
頭の中で整理しているときに、こういう表情をする。
ママも先生の顔を見ているが、
見つめる目にとても期待がこもっているのがわかる。
先生は私とママの熱い視線に気がつき、
「どうした二人とも、私の顔に何かついているのか ? 」
と言って笑った。
「またあ・・・そんなことを言って、
本当は何かいいこと思いついたんでしょ、
先生がそういう顔をするときは
いつも何かあるんだからさ、
もったいぶらないで早く教えてよ」
私がそう言うと、先生は
まいったなと言いながらも、嬉しそうに頭をかいた。
「本当に、どんなことでもいいんです。
何か思いついたことがあれば、
おっしゃってもらえますか」
ママの顔は真剣だ。
〜つづく
「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
(ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13)その他の作品紹介
2006.08.31. (00:06)
小説 文学 /
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