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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
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2006.09

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店特別番組


今日は を焼いたので、
カウンターの上でシュウが活躍してくれた。
魚を焼くときも匂いがするので油断をすると猫達がやってくる。
シュウがいるだけで近寄らないなんて・・・シュウって猫達から見たら
どんなに怖い存在なんだろうと思ってしまう。
シュウが猫達を追い払うときを観察していると、怒った顔で何やら意味不明のかすれたような小さな声を発している。ひょっとしたらこれが猫語 ? 猫の言葉は周波数が違うため人間には聞こえないのだと何かの本で読んだことがある。ニャアニャア鳴いているのは言葉じゃないらしい。

別荘

「ママの店」  
      10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

・・・・お知らせ・・・・
本日のママの店はお休みさせていただきます。
                     店主敬白

特別番組
幽霊のお話 第二



私も主婦ですから、朝主人と子供達を
学校やら仕事やらに送り出した後、
掃除洗濯といった家事をします。
そして買い物も早めに済ませて
夕方子供達が帰ってくるまでの間が、
本を読んだりテレビを見たりの
楽しみの時間だったんです。

いえ、それまでは昼寝の習慣なんぞ
ありませんでした。
でも、あの家に引っ越してからは
きまって昼の三時頃になると
急に眠たくなってくるんですよ。
テレビを見ていようが本を読んでいようが、
手作業をしておろうが、おかまいなしに、
とにかくその時間になると
目を開けていられなくなってしまうんです。
まあ、私にとって
そのひと時は自由な時間ですからね、
眠たかったら寝ればいいんです。
だから、リビングのソファーに横になりました。
そうしたら奇妙な夢を見たんです。

いえ、正確に言うと
それから毎日昼寝をするようになり、
奇妙な体験をするようになっていったんですよ。

ええ、あんまり奇妙だったので
見た夢全部を覚えています。
それも変な話でしょ、普通夢なんて目が覚めれば
忘れてしまっていますよ。
それがねえ・・・・

一回目の夢なんですが、

あれは目を閉じてすぐのことでした。
ゴゴーッと耳元で大きな音がして
はっと目を開けると
何と天井が落ちてくるじゃありませんか、
うわぁっ大変、潰されると思った瞬間、
あっという間に天井が
鼻先がくっつくところまで降りてきて、
そこでピタッと止まったんです。
そのとき、ふと奇妙な感じがしたんです。
背中が何かスースーしましてねえ、
恐々手を腰の下辺りに持っていくと、

無い ! 何も無いんです。

確かソファーの上にひっくり返って
寝ていたはずなのにソレが無い。
恐々首を曲げて下を見ると、
これがまた不思議なことに
何と私は空中に浮いていたんですよ。
天井が落ちてきたのではなくて、
私自身が上に上がっていたということなんです。

ははーん・・・これは夢なんだ・・・
とそのとき思ったんです。それでね、
これは夢なのか、夢なんだったら
もっといろんなところに
飛んでいけるはずだって考えましてね、
バタバタと手足を動かしたんですが
ちっとも体が進んでくれないんですよ。
しまいにゃあ扇風機の羽のように回転しちゃって、
悪いことにだんだん体が下に降りていってしまう。
そしてとうとう元の位置に戻ってしまいました。

で、何だつまんないなあと思いながら、
体を起こそうとしたんですが、何か重い。
体が石みたいに重くてなかなか起きれないんです。
それでも無理やり起きたんですが、
立ち上がっても体はふらふらとしているし、
部屋の中も見慣れた風景とちょっと違う。
あぁそうそう、ちょうど遊園地の
ビックリハウスに入ったような気分でした。

もしかしてまだ夢の中 ? と思いましてね、
ドアを開けて廊下に出たんです。
廊下を真っ直ぐ進んで奥の子供部屋に入ると、
部屋の中には真っ赤なビロードの布が
何枚も垂れ下がっておりまして、
真ん中に金髪で巻き毛の
よく太った十五、六歳くらいの男の子が
胡坐をかいて座っていたんです。
私は一時期教師をしていましたから、
子供にはごく自然に
話しかけてしまう癖があるんです。
それがそのときは・・・
その子に話しかけようという気に
全然ならなかったんですよねえ。
話しかけれる雰囲気ではなかったというのが
当たっているのかもしれませんが。
ええ、だからそのままドアを閉めました。

次に玄関まで行き、
外に出ようと思ったんです。
部屋の中がこんな状態だったら、
外はいったいどうなっているんだろうって
思いましてね、
で、玄関のドアに手を掛けたとたん
残念なことに目が覚めちゃったんですよ。
はい、ソファーの上におりました。

でもねえ、
その日から毎日のように私は
午後三時頃から昼寝をするようになって
おかしな世界に行くようになったんですよ。

〜つづく

「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)
(ママの店13)
その他の作品紹介
電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.09.30. (00:48) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(5) /
 我が家の猫達&ママの店


最近トウがクロに異常に懐き、ブチをクロから引き離そうと必死だ。
クロはブチと兄弟なので、仲が良い。だからトウはクロを独占したい
ためにブチに攻撃をかけるのだ。
おかげでブチの鼻に縦傷が出来てしまった。
猫達が追いかけあいをしたり、喧嘩をしたりするのを
シュウはいつも「うるさいなあ」という顔をして見ている。
時々とばっちりで噛まれたりするが、
シュウは相手せずに我慢している。でもそういうときに限って
あとでカスガにいきなり殴りかかったりするのだ。
カスガはいつも「えっ、何で ? 」 という顔をして
壁にへばりついている。どうやらシュウはストレスを
カスガにぶつけているもよう、こりゃまるで人間と同じだ。
人間も外で嫌なことがあると、
家に帰ってから家族に当り散らしたりすることがよくある。

別荘

「ママの店」  
      10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

コーヒーが入ったようだ。
ママ達が盆を持ち、カップの音を
軽くカチャカチャとさせながらやってきた。
入れたてのコーヒーの香りが
部屋中に立ち込めて、
溜まっていた疲れが癒される。

「けいこちゃんは、ミルクがいい ?
それとも紅茶にする ? 」

ママがテーブルの上にカップを並べながら言う。
けいこちゃんはモジモジしながら、

「けいこ、ジュースがいい・・・」

と言ってから母親の顔をチラッと見た。

「ケーキがあるのよ、甘いものを食べるときは
 お茶かミルクにしなさい」

母親がそう言うと、
けいこちゃんはションボリと下を向き頷いた。

「何言ってんのよ、
 もう何を食べたってかまわないわ。
 好きなものを食べたり飲んだりさせてあげて。
 だって、ホラ・・・私達はもう・・・ね」

ママが母親に目配せしながらそう言うと、
母親はハッとした顔になり、
そうでしたね、と苦笑いをした。

「ごめんね、
 けいこの好きなもの飲んでいいからね」

母親がやさしくけいこちゃんに言うと、

「やったあ !
 じゃあ、クリームソーダくだしゃい」

とたんに元気になった。

「そうそう、子供はクリームソーダなのよね」

ママが笑いながらカウンターに入っていき、
すぐにクリームソーダを持って戻ってきた。

「うわぁ、きれい・・・」

けいこちゃんの目が輝いている。
ラッパ水仙の形をした透明のグラスに、
緑色のソーダの細かな泡がはじけて、
上には真っ白な丸いアイスクリームが
カパッと乗っかっている。
けいこちゃんは少しソーダをストローで吸ってから、
柄の長いスプンを使って
上手にアイスクリームを食べ始めた。

「さあ、あなた達も
 コーヒー冷めないうちにどうぞ、
 あら中田先生は寝ちゃったのね」

ママは先生を見ながら、

「寝かせておいてあげましよう。
 疲れてて当然よ、そのうち起きてくるわ」

と言ってやさしそうな目になった。
ママは特製の手作りケーキを勧めた後、

「ところでまだお名前を聞いてなかったわね」

と母親に言った。
母親は神妙な顔をして体勢を整えなおし、
私達の顔を交互に見ながら、頭を下げる。

「私は香川涼子(かがわりょうこ)と申します。
 娘はご存知の通り
 恵む子と書いて恵子です。
 この度は 皆様に助けて頂きまして
 心から感謝しております。
 ありがとうございました」

「涼子さんか・・・うん、いい名前だ」

いつの間に目を覚ましたのか、
中田先生が涼子さんを見て何度も首を振っている。

「先生、ありがとうございました」

涼子さんは感極まったのか、
涙で声を詰まらせながら先生に頭を下げる。
先生はびっくりした顔になり、

「まあまあまあ、もういいじゃありませんか、
 こうして無事に恵子ちゃんを連れ戻せたんです。
 これからですよ、お二人が幸せになるのは」

そう言ってからママの方を見て、

「ママさん、香川さん母子が
 こちらの世界に慣れるまで、
 この店に置いてあげてはいかがでしょうか」

「いえ、そんな、
 これ以上のご迷惑はかけられませんわ」

涼子さんが慌ててママにそう言うと、

「とうぞここにいらっしゃいな、
 私も恵子ちゃんと一緒にいたいですから」

ママはやさしい目をして頷いた。

「これで決まりだね、よかったね恵子ちゃん。
 これからは毎日
 ここでママと一緒に暮らせるんだ」

うんっ、と頷いた恵子ちゃんの口の回りは
アイスクリームの泡がいっぱいくっついている。

「まあ、恵子ったら何て顔してるの」

涼子さんはオシボリで
恵子ちゃんの顔を拭いてあげた。

「あったかーい・・・」

温かいオシボリは大好きなママの温もり、
恵子ちゃんはとても幸せそうな声を出した。

〜つづく

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電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.09.29. (00:48) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(4) /
 我が家の猫達&ママの店


カリンはとても甘えん坊で、ブチ達に上手に甘える名人。
喜怒哀楽を顔に出す名人でもあり、嫌なことがあると
ブスーとした顔になる。
子猫のときはトウととても仲良しだったのに今では犬猿の仲。
トウは誰とも行動しない一匹狼で、カリンとは正反対の性格だ。

別荘

「ママの店」  
      10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

それにしても恐ろしい世界だった。

人は皆、誰にも触れられたくない
心の闇を持っていて、
それを忘れるように日々努力し、
潜在意識の奥底に封じ込めて生きている。

それは償うことの難しい
大きな闇かも知れないし、また、
他人から見たら
取るに足りない小さな闇かも知れない。

でも、大きかろうが小さかろうが、
本人にとっては人に知られたくない
闇の部分であることには間違いないのだ。
それを白日の下に引きずり出し、
目の前に突きつけ、これでもかこれでもかと
責め苛んだとしたらどうなるか、

きっと後悔の念が自虐へと変わり、
やがて精神が蝕まれ発狂してしまうだろう。

自分のしたことへの後悔に苦しみながら
生きていくことは難しい。
忘れるということも、生きる術なのだ。
それを穿り出すあの世界はまさに地獄そのもの。

私は中田先生の過去も、
ママの過去もこの目で見てきた。
だから二人にとって、
あの世界に長くいることが
どんなに危険なことか良くわかっている。

本当に脱出出来て良かった。

今中田先生は
両手をソファーの背もたれの上に広げ、
実際そうなんだけど、
長旅から帰って来た直後のような
疲れた顔で、
私の膝の上にチョコンと座っている
けいこちゃんをやさしく見守っている。

あんなに酷い目にあったのにもかかわらず、
先生もママも、
けいこちゃん母子を助けることが出来たという
喜びと満足感を感じているのだ。

私が先生をじっと見ているのに気がついたのか、
先生が笑いながら私に話しかけてきた。

「豊、大丈夫か。だいぶ疲れたみたいだな、
 ちょっと眠ったらどうだ」

先生は私の体を心配してくれている。
きっと先生は今までずっと
自分のことよりも人のことばかり
心配してきたのだろう。

「だーいじょうぶ、僕は若いし
 これといって何もしちゃいませんからね、
 先生こそ大活躍したんだから、
 うんと休まなきゃダメですよ」

私の言葉に先生は嬉しそうに笑い、
ちょっとだけ寝るよ、と言って目を閉じた。

「おじしゃん寝ちゃったねえ・・・」

膝の上に乗ったままのけいこちゃんが、
首を回し、私の顔を見ながら笑った。

「おじちゃんは、けいこちゃん達を助けようと
 いっぱい、いっぱい頑張ったからね、
 寝かせておいてあげようよ」

私がそう言うとけいこちゃんは黙って頷いた。

〜つづく

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2006.09.28. (00:12) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達&ママの店


我が家の猫達は手作りの食事のため、人間と同じような食事になってくる。猫マンマのオカズ として
サンマのときはサンマだし、刺身のときはトレーに山盛りの
サービス品を猫達用に買ってくる。味噌汁や清まし用とかのやつだ。

それが今日の夕食は うなぎ になった。
さすが12匹の猫達にうなぎはあげれない。
だからいつもはうなぎだけは避けている。
でも、今日はうなぎになってしまった。
原因は、私が足の指を骨折 したからだ。食事の用意を簡単にと思ったが
刺身は最近やったので、仕方がなかった。うなぎは簡単だもんなあ・・・猫達の恨めしそうな顔が辛かった。今度業務用スーパーに行って安いのを買ってくるからゴメン

別荘

「ママの店」  
      10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

身に着けている甲冑や剣が重くて
けいこちゃんを除く我々四人の兵士は
ゴロゴロガシャンと
ママの店の床に叩きつけられるように
着地した。
体のあちこちが痛いのは私だけではないらしく
ママや中田先生も
唸りながら腰や頭に手を当てている。
けいこちゃんのママは肩で荒く息をしながら
心配そうに寄り添っている
けいこちゃんの小さな体にしがみついている。
いつもそうだが、激しい運動をした後は
子供は元気でも大人達はボロボロだ。

甲冑を脱いだときの清々しさったらなかった。
もう汗びっしょりで、髪の毛もグジャグジャ。
隅の方に脱いだ甲冑と剣を盛り上げ、
皆ソファーに崩れるように座り込んだ。

「ちょっと待ってね、
 後でコーヒー入れてあげるから」

ママが、か細い声を出すと、

「ママさん、そんなことうんと後でいいですよ。
 皆疲れているんだ、気を使わないで
 ゆっくり休んでください」

中田先生が軽く手を振った。

「そうだよ、ママ。
 ママが一番疲れているんだから
 ゆっくりしなきゃ」

私もそう言ってママを労った。
実際ママは誰よりも疲れているはずだ。
女性でありながら男に混じって剣を振るい、
心を乗っ取られかけられながらも、
私に殴らせて正気に戻り
こうやって皆を助けてくれた。
今こうしてホッとしていられるのも
みんなママのお陰なのだ。
ママへの感謝の気持ちで胸が一杯になり、
私の目が思わずウルウルになる。
すると、ママは嬉しそうに私を見て、

「豊、頑張ったわね」とやさしく微笑んでくれた。

私にとってはママのこの笑顔が活力、
強力なエナジーとなるのだ。
みるみるうちに全身に力が甦る。
握り締めた両手の拳をグインと上に伸ばし、
背筋を伸ばしながらウーン・・・と声を絞り出す。

ホントに気持ちがいい !

「皆さんには何とお礼を言えばいいのか・・・
 ありがとうございました」

けいこちゃんのママが頭を下げている。
けいこちゃんもニコニコしてとても嬉しそうだ。

「良かったですね、これであなた達はずっと一緒に
 暮らせますよ」

中田先生がやさしく、けいこママに声をかける。
そして、ふと思い出したようにママの方を見て、

「ママさん、このお二人も
 ここで我々と一緒に暮らせるんでしょうな」

と聞いた。
そうだ、死んだ者が全員同じ世界に行くとは
限らないのだった。

「多分・・・そうだと思いますよ」

ママはニッコリと笑いながら言った。

「ワーイ、お兄ちゃんといっちょだあ」

けいこちゃんが母親から離れ
膝の上に乗ってきた。
こんなにも私に懐いてくれるけいこちゃんが、
可愛くてたまらなくなり、
思わずギュッと抱きしめてしまった。

「本当にありがとうございました、これからも
 私とけいこをよろしくお願いします」

けいこママが目頭を押さえながら涙声を出す。

「さあ、元気も出たしコーヒーとケーキでも
 頂きましょう」

ママは嬉しそうにカウンターに向かう、

「あっ、私も手伝います」

けいこママがいそいそとママの後について行った

〜つづく

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2006.09.27. (00:00) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(6) /
 我が家の猫達&ママの店


今日の夕食は揚げ物だった。
揚げ物のときは台所に猫達が入ってこないよう特に気を使う。
私が物凄く怒るので、賢い ? 皆は絶対側に来ない。でも、その中で
「私だけはみんなと違う」といった顔で
堂々と進入してくる困ったちゃんがいる。

シュウ だ。

シュウはいつも台所のカウンターの上に陣取って、
飛び乗ってくる猫達を追い払ってくれている。
だから、自分は台所の主なのだ。
揚げ物を出来るだけ避けてはいるが、
たまには天麩羅の一つも揚げたくなる。油を熱しているときは、
たとえシュウでも入ってほしくない。
でもそれを分らすのは至難の業、口で言っても聞かないから
つい手が出てしまう。今日も怒らせてしまった。

今シュウはスネオ になって、ふてくされて寝ている。

別荘

「ママの店」  
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「さあ ! 帰りましょう」

ママはそう言うと両手を大きく広げ、
ブツブツと呪文を唱え出した。

どんよりとした灰色の空の一角に
渦巻が現れ、
私達を迎え入れる準備を始める。
空中に浮いたままだった
けいこちゃんに似た化け物が、
ドーンという大きな音とともに破裂して、
バラバラと砕けて落ちてきた。
砂の上に落ちた破片が
見る見るうちに人の形になり、
よろよろと立ち上がる。
頭部に髪はなく、目の位置に僅かな窪みと
鼻らしき突起が一つ、
ポッカリと開いた黒い口。
全身灰色の
泥人形のような者達が群れをなし、
おぉーん・・・おぉーんと
悲しげな咆哮をあげながら
両手を伸ばし、私達に迫ってくる。

これが中田先生の見た亡者なんだ・・・

苦しい・・・助けて・・・
亡者達の声無き叫びが私の頭の中に木霊する。
はっと気づいたときには、
完全に周りを取り囲まれていた。

「うわっ、ママなんとかして ! 」

私の悲鳴と同時に五人の体は亡者の
海の中から浮き上がり、
空に出来た渦巻目指して飛んで行く。

渦に吸い込まれる瞬間、下を見ると
一塊になった亡者達が手を伸ばし
自分達も一緒に連れて行ってくれと
叫んでいるのが見えた。

〜つづく

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2006.09.26. (00:17) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(6) /
 我が家の猫達&ママの店


ナナは確かに他の猫達と違う。
猫というものは自分勝手なもので、犬と違い人間の言うことを聞いたりしないものだ。だから〇〇を持って来てといくら命令しても、
聞いてもいないし、ましてや持って来るなど絶対あり得ない。
それがナナの場合は話しかけるとじっと耳を傾けて聞いている。
アメを持って来るようになったのも、私らがふざけてアメを見せ
「これを持って来てね」と言ってからだ。
ティッシュもハンカチもよく考えてみれば外出するときには
絶対必要な物だ。
ナナはそれが分かっているから持って来てくれるのだ。
「こんなの持ってきたよ」と言わんばかりの甘ったるい独特の鳴き声が聞こえてくると、ナナが何かを持って来てくれたという合図なのだ。

別荘

「ママの店」  
      10 11 12 13 14 15 16 17 18

「この世界の本当の恐ろしさは、
 自分の心の中にある
 ちょっとした不満とか怒りを
 増長、増幅させて
 心を蝕んでいくところにあるのよ。
 早く脱出しないと
 出られなくなってしまうわ」

私の頭の中でママの声がした。
そうか、だから今ものすごく腹が立ち、
無意識にこの子の首を絞めようとしたんだ。
大変だ、本当に早く脱出しないと
えらいことになる。
何か中田先生の目つきも
怪しくなってきたような気がする。
私はけいこちゃんを抱くようにして
ソロリソロリとママ達の側に近寄った。

「ママ・・・」

けいこちゃんが嬉しそうに母親の側に行くと、
母親はギロリとけいこちゃんを睨みつけ、

「けいこ、そんなところにいたのね。
 何度もこんな化け物で大人をいたぶって、
 もう絶対許さないからね」

母親は今にもけいこちゃんを捕まえて
どうにかしてしまいかねない勢いだ。
私は慌てて怯えた目で震えている
けいこちゃんを背中に隠した。

この人の心も蝕みかかっている・・・

私は中田先生の存在を思い出し、
先生の様子を見ると、
先生は無言のまま空中に浮いている
けいこちゃんの姿にそっくりの化け物を
見上げたまま動かない。

「先生、中田先生、
 けいこちゃんを救い出しましたよ」

と私が言うと、
先生はぼーっとした顔をして私を見た。

「私に、救って欲しがっているんだよ、
 あの子達は皆大人たちの犠牲者なんだよ、
 だから・・・
 苦しい苦しいって泣いているんだ」

こりゃいけない先生も完全に逝っちゃってる。
ママどうしよう、と言いながら振り向くと、
ママまでが青い顔をして下を見つめ
ブツブツと訳の分からないことを
つぶやいている。

どうすりやいいのさ、
皆しておかしくなっちゃってるじゃないか。

「お兄ちゃん、だずげて・・・」

はっと我に返ると、いつの間に捕まったのか
けいこちゃんが母親に首を絞められて、
剣の切っ先が眉間に突きつけられている。

私は母親の隙を突き、
体当たりしてけいこちゃんを奪い返した。

「そいつを渡せ、お前らを皆殺しにしてやる」

母親は空ろな目で辺りを見回し、
剣をブンブンと振り回し始めた。
中田先生も、誰と戦うつもりなのか、
剣を握り直し、こちらに向かってくる。
ママ・・・ママまでが暗い顔で、
スーッと剣を胸の辺りで構えているではないか。
まったくもう・・・冗談じゃないよ、
仲間同士で殺し合いさせようという腹なんだ。
私はけいこちゃんを
背中に隠しながら逃げ回り、
何とかこの窮地から
逃れる方法はないかと考えていた。

ママだ、今頼りになるのはママしかいない。
テレパシイで交信をとるのだ。
私は必死に頭の中でママは話しかけた。

「ママ、聞こえる ? 
 皆おかしくなっちゃった、
 このままじゃとんでもないことになるよ。
 全員無事帰りたいんだ。
 ねえ、しっかりして」

「ゆ・た・か・・・」

頭の中でママの声がした。
通じたんだ。でも、何か様子がおかしい。
ママは自分の中で何かと戦いながら
必死に話しかけてくれているみたいだ。

「私を殴りなさい・・・」

ママの顔が青黒く変質しかかっている。
想像したくもないが、
きっと何か恐ろしいものに
姿を変えようとしているのだ。
食い止めねば。

ママ、ゴメン !
私は拳骨を握り締め、
冑ごとママの顔に拳を叩き込んだ。
グッと息を吐き出し、
どっとママが砂の上に倒れこんだ。
目が覚めるか・・・
私はママの動きを慎重に見守った。
モゾモゾとママが姿勢を立て直す。
私は思わず剣を構えた。

「ちょっと、痛いわね !
 何もグーで殴ることないでしょ」

ママの頬っぺたが
みるみるうちに紫色に腫れあがる。

「ご、ごめん・・・やりすぎた」

私は心から反省をしてうな垂れた。
冑があるから力一杯殴らないと
応えないと思ってしまったのだ。

うへえ・・・あんなに顔が腫れあがっている。
もう私はママに殺されたって文句を言えない。

しょんぼりとした私を見て可哀相に思ったのか、

「もういいわよ、
 殴れって言ったのは私なんだから」

ママがクスッと笑った。 

〜つづく

「ママの店14」 をHPにUPしました。
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2006.09.25. (00:16) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達&ママの店特別番組


家族が全員どこかに出かけてしまうことがある。今日もそうだった。
帰ってきて玄関を開けるとナナがいつものように出迎えてくれていた。
靴をぬいで上がろうとしたら、アメが一つ廊下の絨毯の上に。
あぁ、またナナが運んできたのだと思い
拾い上げようと身をかがめたら、直線上二十センチほどの等間隔に
点々とアメが並べられているではないか。
ナナは私達が留守の間に一生懸命廊下にアメを並べていた、
これはいったいどういうことなのだろう。
私は点々と等間隔に並べられているアメを見てしばらく動けなかった。
ナナの遊びなのか、等間隔に並べるということは遊びとも考えられる。
本当にウチのナナは猫なんだろうか、犬でもないし、ひょっとしたら
サルか人間なみの知能があるのかもしれない。

別荘

「ママの店」  
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・・・・お知らせ・・・・
本日のママの店はお休みさせていただきます。
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特別番組
幽霊のお話 第二



子供達がベッドがほしいと言いましてね、
廊下奥の子供部屋に二段ベッドを入れたんです。
引越しした当初は
窓から誰かが覗いているとか言いまして
怖がって私らと一緒に和室で寝ていたんですが、
友達の影響なのか、
ベッドがほしくなったみたいです。
まあ、子供部屋の隣には
お祖父ちゃんもいますし、怖いと思うのは
気のせいだと思ったんでしょう。
私ら一家も、そうそう幽霊なんかに
かまっておられません。
せっかく買ったマイホームなんですから。
ごく普通の生活を送ろうとしていました。

夜、あれは何時ごろだったか・・・
足元に何か乗っているようで、
ふと目が覚めたんです。
それで半身起こしてよく見ると、
私の足の辺りに
知らない男の人が座っているんです。
夜中でしたから当然薄暗いです。
目が慣れてきたから、ぼんやりと見えますが、
本当は真っ暗な部屋の中です。
隣で寝ている主人の顔も
はっきりとは見えません。
それなのにその男の人だけは、
顔も服もはっきりと見えているんですよ。
年の頃は三十手前、
いえもう少し若いかもしれません。
白のカッターシャツに黒いスボンを
穿いてきちんと正座いるのです。
ネクタイはしておらず、向かって右の胸に
四角い白っぽい布が縫い付けてあって
墨か何かで字が書いてあるみたいなんですが、
滲んでしまって
何が書いてあるかわかりません。
名前かな、とも思いましたが
それよりも何でこんなところに
座っているのかがわかりません。
その人は小柄で痩せていて、髪は短い七三、
まるで人形のように白い顔をしています。
不思議なことにそのときは怖いとかは、
全く感じなかったんです。
で、あんまり黙って下を向いているから
何か話しかけようかと思い、

「あの・・・死んだん ? 」

なんとまあ、馬鹿な質問をしたもんだと
我ながらあきれたんですが、
そのときは他に何を言えばいいのか
わからなかったんです。
そしたらその人が、黙ったまま寂しそうに
ゆっくり頷いたんです。
それを見たとたん、
今まで何も感じなかったくせに
いきなりゾオーッと全身に恐怖が走りました。

怖いぃっ !  と思った瞬間

その人が正座したままの姿で
ザーッと布団の上を滑るように
ものすごい速さで私の側に寄ってきたんです。
そりゃもう
恐ろしいなんてもんじゃなかったです。
目を閉じてギャーッって叫んでいましたよ。

隣で寝ていた主人はもちろん飛び起きましたし、
奥からも子供達と父が走ってきました。
私は恐怖でしどろもどろになりながら、
身振り手振りを交えて今あったことを
説明したのですが、
私の話を聞いて怖がるどころか
大笑いされました。
こんな恐ろしい話を聞かされて
笑える家族も怖いんですが、
何で笑うのか聞いてみれば何のことは無い、
私が幽霊に話しかけた言葉が
おかしかったらしいんです。

夜中に足元に座るなんて、
死んだ人にきまっている。それなのに

「あの・・・死んだん ? 」なんて聞くアホは
お母さんくらいのもんだ、というのが
彼らの笑う原因だったみたいです。

しかし、私は笑えません。
あの人はいったい誰だったんでしょうか、
父が言うには、

「胸に名前を書いた布を縫い付けるのは
 戦時中みたいやなあ・・・」

言われてみれば何となく
今時の姿ではなかったような・・・

〜つづく

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暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

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2006.09.24. (00:36) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(10) /
 我が家の猫達&ママの店特別番組


またまたフクちゃんがお布団の上で
「早く寝ようようー」という顔をして私を待っている。
確か麝香猫(じゃこうねこ)というのがいて、
その猫の香りは香水になるそうな。
私にとってフクの体臭がまさにソレ。
うっとりするほどいい香りなのだ。もっともいい香りは
体だけで、あくびとオナラは飛びのきたいほど臭い。
オナラと息だけは絶対嗅ぎたくないなあ・・・

別荘

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                     店主敬白

特別番組
幽霊のお話 第二



うーん、何から書けばいいのか
わからなくなりました。
自分であの不思議な体験を書こうと
思いたったのに、
あまりにも出来事が多すぎて
何から書いたらいいのかわかりません。
その家には七年住んでいたんですが、
順番とか季節とか
そんなことはもう度外視して、思い出した順番に
書いていきましょうかね。

購入したマンションというのは、
私らが二代目の住人で、前に住んでいた夫婦は
一年も経たないうちに別居してしまい、
双方がこの家に住まないようになったそうなんです。
何が原因かまでは知らないし、そんな他人の夫婦の
事情まで知りたいとは思いません。
ただ、子供は無かったそうです。
そこで気になるのは、押入れとか倉庫の隅に
目につかないように貼られた無数のお札・・・
剥がすのも祟りそうで怖いし、
何でこんな隠れた場所にお札なんだろうかと
考えれば考えるほど気持ち悪くなりましたが、
もう考えないことにしたんです。
だから、お札もそのまま貼っておきました。

その当時は私の父が一緒に暮らしておりまして、
廊下奥の左側の部屋を使用しておりました。
あれは夕方の食事の準備を始める
少し前のことでした。
拭き掃除をするために洗面所で
雑巾を洗っていたんです。
洗面台は廊下側を向いていまして、
横は出入り口です。
雑巾を洗っているとき
廊下を父が通って行きました。
自分の部屋に戻るためです。
そしてその後を、
嬉しそうにスキップしながら
子供がついて行きました。
ショートカットで
青みがかったグレーのセータに
黒っぽいズボンを穿いています。
てっきり
その当時小学生だった次女が
父の後ろについているんだと思ったんです。
でも、ふと思い出したんです。
ウチの娘は二人とも髪が長いのです。
今私目の前を通り過ぎていった子供は
ショートカットでした。
しかも、着ていた服に見覚えがない・・・

私は雑巾をほったらかして
濡れた手のまますぐに父を追いました。

父がその子供と一緒に
目の前を通り過ぎて行って、
私が子供の髪の長さと服装に気がついたのは、
時間にしたらほんの数秒です。
だから父が部屋に入ったとたん、
私が飛び込んだことになります。

父も私がいきなり飛び込んできたから
びっくりしていましたよ。
で、部屋には父以外に誰もいなく、
もちろん隣の子供部屋も見ましたが
誰もいません。
大邸宅ならいざ知らず、
人一人通るのがやっとの狭い廊下です。
さっきの女の子が私の横を通って逃げたとは
到底考えられないことです。
念のため父に、
今誰かと一緒だったかと聞くと、
怪訝な顔をして首を横に振ります。

そりゃ知らないでしょうねえ、
だって消えたんですもの・・・

アレはいったい誰だったのでしょうか。
この話は家族皆に話しましたが、
このときもまた

「もう忘れよう」になりました。

〜つづく

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2006.09.23. (00:58) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(5) /
 我が家の猫達&ママの店


チャコは食事もまあまあよく食べれ、牛乳も飲めた。食事がちゃんと
食べられるようであれば大丈夫だ。
今日はちょっとした事件があった。何でそんなことになったのかわからないのだが、シマジロウの穿いているオムツに、シュウの足がスッポリ入ってしまい動けなくなった。なんとか取ってやろうとしたのだが間に合わず、元々あんまり仲の良い二匹ではなかった為そのまま団子になっての大喧嘩になってしまった。シマジロウはお尻の毛を毟られ、シュウは肩のあたりから血が出た。

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幼児の足とは思えないほど、
けいこちゃんは早かった。
私は砂に足元をすくわれ思うように走れないが、
けいこちゃんは上手く砂の上を
パタパタパタと走っていく。
やっと追いついたときはもう
ママ達の近くだ。

「けっ、けいこちゃん・・・上を見て」

私は彼女の肩をつかみ小さな声で言った。
ちょうどママ達の上あたりに、
けいこちゃんによく似た
巨大な化け物が浮いている。

うわっ、とけいこちゃんが
大声をあげかけたので、
私は思わず彼女の口を手で塞いだ。

「しっ ! 静かにして・・・気づかれる」

小声で彼女の耳元で囁くと、
彼女はコックリと頷いた。
けいこちゃんは最初怖がって
震えながら私にしがみついていたが、
母親の姿を見つけると
また走って行こうとした。
今度は寸でのところで引き止めたが、
彼女は、ママ、ママとつぶやき
目に大粒の涙を浮かべている。

どうすりゃいいんだ、
このままでは化け物に見つかってしまう。

それにしても、てっきりあの化け物は
けいこちゃんの心が
造り出したものだと思っていたが、
けいこちゃんがこうやってここにいても、
化け物は消えない。

そうか・・・
あの化け物は自分の意思で動いているのだ。

そのとき私は中田先生の言葉を思い出した。
先生はけいこちゃんと一緒に地獄の裂け目に
吸い込まれたとき、
無数の亡者にしがみつかれたと言っていた。
もしかしたらこの化け物はその亡者どもが
結集して出来たものではないだろうか・・・

もしそうなら我々が、
けいこちゃんを連れ戻しに来たと
あいつらが知ったら大変なことになる。

あの亡者どもは皆救いを求めている。
退治しようという気持ちで戦えば
到底我々に勝算は望めない。
奴等はもう実体がないのだから、
いくら切り刻んだとしても、すぐにまた甦る。
この世界から抜け出すには、
まずあの亡者どもを
救ってやらねばならないのではなかろうか。

でも、ママがそのことを知らないわけがない。
ひょっとしたら最初から知っていた・・・

まあ、そうだろうな、
だからけいこちゃんを助けに行けって
私に言ったんだ。

あっ、もしかしたら中田先生もそのことを
知っていたのでは・・・

ちぇっ、なんだい、
知らなかったのは私だけじゃないか。

私は自分一人が何も知らなかったことに気がつき
とても嫌な気持ちになった。

なんだい、皆して
私をのけ者にして笑い者にしていたんだ。
クソッ、むかつく・・・

私の心の中に
むらむらと憎しみの炎が燃え上がってくる。
はっと気がついたら、
私は両手でけいこちゃんの首を絞めていた。

「グッ、グルジイヨ、お兄いしゃんどうじだの」

けいこちゃんが私の手を振りほどこうと暴れている。
私は我に返り、慌てて手を離した。

「ご、ゴメン・・・」

私はいったい何をしようとしていたんだ、
けいこちゃんの首を絞めようとするなんて・・・
額から首筋にかけて冷たい汗が流れ落ちていく。

私は呆然として自分の両手のひらを
見つめていた。

〜つづく

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2006.09.22. (00:37) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(6) /
 我が家の猫達&ママの店


最近チャコが本当におかしい。やはりボケがはいってきたんだろうか
一日中発情期のように鳴いてばかりいる。
思えばチャコはナナの子供達の母親代わりになり、
大事に育ててくれた。
猫は十歳を超えるといろいろな病気にかかりやすいという。
ブチ、クロ、チャオ、チャコの兄妹はちょうど十歳だ。
どうかいつまでも元気で少しでも長生きしてほしいものだ。

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さぞや一人ぼっちで心細かっただろう、

「もう一人じゃないからね、お兄ちゃんが一緒だ」

けいこちゃんを抱きながら頭を撫でてやり、
そう言うと彼女は嬉しそうにコックリと頷いた。

「じゃあ、外にいる
 あの悪い玩具はもういらないね」

化け物はこの子が造り出したものだ。
一刻も早く消してほしい。
こうしている間にも中田先生やママ達を
襲っているかも知れないのだ。

「しょとの化け物ってなあに・・・?」

けいこちゃんは首を傾げる。
この子は自分が化け物を造っていることを
知らないのだろうか。

「あのね、実はけいこちゃんに会いに来たのは
 僕だけじゃなくて・・・」

私がママ達のことを言いかけるとけいこちゃんは
ビクッと体を痙攣させ、
私を突き飛ばすようにして離れた。

「うしょついたのね、
 お兄いちゃん、一人だって言ったのに」

けいこちゃんは恨めしそうな目で私を睨んでいる。
しまった・・・ちょっと早かったか。
私は舌打ちして後悔した。
でも、遅かれ早かれ言わねばならないことだ。
私は笑顔を崩さないよう気をつけて、
ゆっくりと説得することに決めた。
まさか、けいこちゃんが怒って
ここで化け物に変身することもあるまい。

「嘘じゃないよ。この家に来たのは僕一人だ。
 君のママと、おばちゃんとおじちゃんは
 外で怖い怪物と戦っているんだ。
 君を守るためにだよ。
 この家には窓が無いから外が見えないけど、
 外にはけいこちゃんにそっくりの
 怖い化け物がいるんだ」

私がそう言うとけいこちゃんは怪訝な顔をしながら

「けいこしょっくりって・・・しょんなモン
 けいこはちらないよ、ただ・・・」

「ただ・・・何 ? 」

首を傾げて何か思い出そうとしている
けいこちゃんに私は聞いた。

「けいこがね、ママのところに行きたいって
 思ったとき、けいこに誰かが言ったの。
 あれはママじゃない、ママはもういないんだ。
 お前は一人ぼっちになったから、
 皆でお前を守ってあげる。
 だから、ここに隠れていなしゃい。
 絶対しょとには出ちゃいけない、誰が来ても
 中に入れちゃいけないし、誰の言うことも
 ちんじちゃいけないよ、皆、
 うしょつきだからねって。けいこを怖い所に
 つれて行こうとしているんだって言ったの」

どういうことだ・・・
この子の他に誰かがいて、そいつが
この子そっくりの化け物になっているというのか。
いずれにしても一刻も早くけいこちゃんを
この世界から連れ出さないといけない。

「けいこちゃん、けいこちゃんは僕のことを
 怖いお兄ちゃんだと思っているの ? 」

けいこちゃんはブンブンと首を横に振る。

「じゃあ、今からけいこちゃんは、
 お兄ちゃんの言うことだけを信じるんだ。
 お兄ちゃんは君を絶対ママに会わせてあげる。
 今ママは、
 君のために化け物と戦っているんだよ」

私がそう言うと、空ろだったけいこちゃんの目に
光が宿った。

「ママがけいこのために戦っているの ? 」

「そうだよ、
 嘘だと思うなら外に出て確かめてごらん。
 僕と同じ格好をしたのが三人いるから、
 その中の一人が君のママだ。
 君に嘘を言ったのは化け物なんだよ。
 見てみればわかるだろうけど、
 いい人があんな恐ろしい化け物になるはずがない。
 化け物の言うことを信じていたら、
 それこそ本当に、二度とけいこちゃんはママに
 会えなくなっちゃうんだよ」

私はけいこちゃんの肩に両手を置き、
真剣な目でゆっくりと諭すように話した。

「わかったわ、けいこお兄いちゃんをちんじる」

私はけいこちゃんの手を握り、
そっとドアを開け外を窺った。
辺りを見回したが危険はないようだ。
遠く離れた所にママ達が立っており、
上空にはけいこちゃんそっくりの化け物が
貼りついたように浮かんでいる。
あれを見てごらんと私が指差すと、
けいこちゃんは
怯えたように全身をピクリと痙攣させた。

「あんなのけいこじゃないよう・・・」

「そうだ、あれはけいこちゃんじゃない。
 下にいるのは君のママと
 おじちゃんおばちゃんだよ」

「おばしゃんって、
 けいこにオムライシュ作ってくれた
 人なの ? 」

けいこちゃんは不安気な目をして私を見る。

「そうだ、あのおばちゃんだ。あのときおじちゃん
 もいただろ、病院の先生なんだけど」

みるみるうちにけいこちゃんの瞳に涙が溢れ、
口がへの字になった。
今にも泣き出しそうなけいこちゃんを見て、
どうやって落ち着かせようかと慌てたとき、
けいこちゃんはクルリと向きを変え、
ママ達の方に駆け出した。

「ママーッ、ママーッ・・・・」

けいこちゃんが母親めがけて走りだす。
大変だ、化け物がまだ上にいる !

「待って、けいこちゃん」

〜つづく

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2006.09.21. (00:50) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(8) /
 我が家の猫達&ママの店


近頃カウンターの上が一部の猫達の社交の場となっている。
猫同士の会話はやっぱりテレパシーなんだろうか。
人間の耳には聞こえない波長だと聞いたことがあるが。
でもまあ何となく、あぁ喋ってんだなあーと分かる。
二匹猫が並んでいて、いきなり片方が相手をペロペロ舐めることが
あるが、あれは大抵邪魔だからどっかへ行ってという意思表示のことが多いみたいだ。
でもそれは仲が良い猫の場合だけで、悪い相手にはいきなりパシュッと殴るのが「あっちへ行け」の合図だ。

別荘

「ママの店」  
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ウガーッ! 恐ろしい声を発しながら
化け物は両手を延ばして、まず
母親と中田先生の二人を狙ってきた。
私とママが援護の体勢に入る。
母親が化け物の指をエイッとばかりに剣で払うが
敵もさるもの、切られまいと指を握って隠す。
中田先生の方へはブンッと拳骨のまま飛んできたが、
ママと私の剣が手伝いそれを阻止した。

ウガッウガガガガーッ
つかむことも、殴り飛ばすことも出来ない化け物は
苛ついて叫び声をあげ、
体を前後左右にクルクル回転させながら、
両腕をブンブン振り回し始めた。
我々の頭の上すれすれに、大きな拳が飛んでくる。
少しでも当たれば致命傷を受けるのは確実だ。
屈伸運動を繰り返しながら、
四人暗黙のうちに化け物の真下に移動する。

化け物はいきなり獲物が消えたので、
動きを止め、辺りを見回している。
ウガー・・・・と唸りながら
考えているみたいだったが、
自分の真下にいる我々にやっと気づいた。

ウガガーッ !
怒りの雄叫びをあげて、いきなり頭から
飛び込むように落ちてきた化け物に
すくっと垂直に立てられた
四本の鋭い切っ先が待ち構えていた。
ブスリッと鈍い嫌な音をたて、
腕ごと剣が化け物の眉間あたりにめりこむ。

コノヤロウ、お仕置きだっ !
私は中で剣を捏ね回してやった。

ウケェーッ・・・・・

化け物は多量の血のシャワーを我々に浴びせながら、
急いで上空に戻って行く。

ヒューン・・・ヒューン・・・

化け物が物悲しい鳴き声をあげ始めると、
ママが「今よ」と囁いた。
それを合図に私は背をかがめ、
前方にある小さな家目掛けて全速力でダッシュした。
出来るだけ音を立てずに走ろうと努力したからか、
串刺しになったショックで周りが見えないのか、
一向に化け物が襲って来る気配はない。
やっと家まで辿りつくと
そっと後ろを振り返り、化け物がまだ上空に
浮かんだままなのを確かめてから、家を見た。

窓がない・・・
ひょっとしたら入り口もないのではと思ったが、
横板模様の壁に紛れて、
わからないようにしつらえた
小さなドアを見つけた。
そっと壁に耳をつけて中の音を聞くと、
微かに子供のすすり泣く声がする。

けいこちゃんだ・・・・
けいこちゃんが泣いている。

私は少しためらった後、静かにノックした。
コンコン・・・泣き声が止んだが、返事がない。
もう一度ノックしたとき、

「誰 ? 誰なの」

怯えた声はけいこちゃんに間違いなかった。
ここは一番、
じっくりやさしく説得するしかない。
すべてが私の言葉にかかってくる。

「あー、けいこちゃん ? 僕だよ豊兄ちゃんだ。
 君とお話したいんだ。良かったらドアを開けて
 くれないかなあ」

君を連れに来た、とは
まだ言わないほうが良いと判断した。
けいこちゃんが無言になっている。
きっとどうしようか迷っているのだ。

「お兄ちゃんはね、けいこちゃんと一緒に話が
 したいだけなんだ。だから、ね、
 ドアを開けてくれないかな。
 本当はね、お兄ちゃん
 自分でドアを開けれるんだけど、
 やっぱりけいこちゃんに開けてもらいたいんだ。
 無理やりは嫌だからね」

さりげなく、拒否っても無駄なんだとわからせておく。
中の様子を窺いながら声をかけているわけだが、
けいこちゃんがどうしようかと迷い始めたのが
伝わってくる。

「じゃあ、開けるけど・・・
 しょこにいるのはお兄ちゃんだけなの ? 」

しめたっ、その気になっている ! 

「そうだよ、僕だけだ・・・」

けいこちゃんの小さな足音が聞こえてきて、
ドアがパコッという音をたてて開いた。
おかっぱ頭を下に向けてモジモジしながら
戸口にけいこちゃんが立っている。
私の胸にいきなり熱いものがこみ上げてきて、
知らぬ間に膝をつき、
けいこちゃんを固く抱きしめていた。

〜つづく

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2006.09.20. (00:44) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(4) /
 我が家の猫達&ママの店


カリン は寂しがりやで、いつも抱っこしてもらおうとウロウロしている。
我が家には黒猫がクロ、フク、カリン、トウの四匹いるが、どうしてもクロ、フクが目だってしまい、
小さなカリントウは見過ごされてしまう。
だからカリンはいつもこんな寂しい顔で
じっと抱っこしてもらえるのを待っているのだ。
そのことをちゃんとわかっているから、ほらいつだって
一番先に頭を撫でて、抱っこしてあげているじゃないか。
だからもう、そんな悲しい顔はしないでほしいんだけど・・・

別荘

「ママの店」  
      10 11 12 13 14

「ねえ、もしかしたらあの子元に戻ったんじゃ」

出会ったときのままの姿で
空中に浮かんでいるけいこちゃんを見ていると、
もう二度と
化け物にはならないような気がしてくる。
期待を込めてママの顔を見ると、
ママは鳶色の瞳に憂いを込めて
静かに首を横に振った。

「元に戻ったんなら、
 あんなふうに空に浮かんじゃいないはずよ。
 おそらく本人はどこか別の場所に隠れているわ」

どこか別の場所・・・私達は辺りを見回した。

「あれだ、あの家に違いない」

中田先生が遠くに見えている
小さな家らしきものを指差した。
そういえばこの世界にやってきて、
最初に目に入ったのはあの家だった。
けいこちゃんはきっとあの家に隠れていて、
見つかるのが怖さに怪物を出現させているんだ。

「ねえ、あの家に行こうよ。
 会って話せばけいこちゃんだって、
 きっとわかってくれると思うんだ」

私がそう言うと、中田先生が

「問題はどうやって、誰が家に向かうかだな」

忘れていた、今まだ我々の敵が上にいる。

「そうね、隠れ家を見つけられたと知ったら
 あの子襲ってくるでしょうねえ・・・」

ママが上を見て眉を潜めた。

「とりあえず、今空中に浮かんでいるアレに
 早く本性を現させるんだ。
 それで我々が戦っているあいだに
 豊がアッチに行く、そういう作戦で行こう」

中田先生が言うと、

「本当なら母親を
 アッチに向かわすのがいいんだけど、
 今上にいるアレは母親を
 ターゲットと認識しているみたいだから、
 豊に走ってもらうしかないわね」

ママも溜息をついて私の顔を見る。

「了解、じゃあ、まずアレを何とかしようよ。
 けいこママが泣きそうな顔になってるよ。
 早くしないと不味いことになる」

「大変、本当だ、あの人今にも崩れそうだわ」

ママが小さく叫んだのを合図に、
我々は母親めがけて走って行った。

案の定、けいこママは
空中に浮かんでいる我が子を見て
涙を流しながらブルブル震えている。
私達が来たのに気がつくと、
剣をポトンと落としてしまった。

「何をしているの、剣を拾うのよ ! 
 よく見て、
 あれはけいこちゃんじゃないのよ、
 あなたを迷わせようと姿を変えただけよ」

ママが厳しい声を張り上げると、
空中に浮かんでいるけいこちゃんが
憎しみを込めた目でギロッとママを見た。
たちまちけいこちゃんの頭の天辺が割れ始め、
血が噴出してくる。腕が肩から離れ、
電気コードの束のようになった
血管類が剥き出しになり、
またもやあの恐ろしい
化け物の姿に変身し始めている。
それを見た母親はやっと我に返り、
慌てて剣を拾いあげた。
四人横に並んで戦う体勢に入ったとき、

「豊、いいわね、私達が引きつけている間に・・・」

ママが目配せをしたので、
私はわかっているとばかりに頷いた。

〜つづく

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2006.09.19. (00:21) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(5) /
 我が家の猫達&ママの店 特別番組


おデブのフク が気持ち良さそうに伸びるだけ伸びた。
今からお布団敷いて寝るので嬉しいんだと思う。
今夜は台風のせいで風が強く窓も全開に出来ないし、何か蒸し暑い。

別荘

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特別番組
幽霊のお話 第二



私達の引っ越したマンションは
各棟ごと番号で分かれており、
周りが鬱蒼と木で覆われていたんですよ。
自然を感じさすために造られたものなんでしょうが、
あまりにも木や藪が多すぎて、
昼間でも暗く、朝になっても照明をつけないと
薄暗いんです。
私がまず最初に嫌になったのはそれで、
昼日中に照明がいるなんて
電気代も馬鹿にならないし、
とても鬱陶しいことです。
でも、もう住んでしまった以上は仕方がありません。
まあ、敷地内には小山や人工の川があり、
カエルや虫の大きな声がいつも聞こえていて

あぁ、自然だねえ・・・なんて

嬉しいこともあったんです。

あれは引越しをした年の夏のことでした。
引越しをしたから近所の風景が物珍しくて
その頃は雨が降らないかぎり
毎日のように散歩していたんですよ。
子供が一緒のときもあるし、
夫婦だけのときもありました。

初めてアレを見たのは夫婦二人のときでした。

生暖かい風が吹いていて雨上がりのムッとした
夕方だったのを覚えています。
辺りがもう夜の準備を始めていて、いえ、
正確に言えば夏のことですし日も長く、
他所ではまだ十分明るいんですが
何せ鬱蒼とした敷地内ですから
五時を過ぎればもう薄暗いんです。
私らももう帰ろうとしていたんですが、
前方に何やら白い大きな壁が立っているんです。
それも良く見るとぼんやりとして向こう側の
景色が薄く透けて見えているんですよ。

ありゃ何だろうねえと言うと主人も、
霧みたいやけど、また変な霧やねえと
首を傾げて不思議そうな顔をしています。

ほら、妖怪マンガで
「ゲゲゲの鬼太郎」というのがあるでしょ、
あれに出てくる
「ぬり壁」ってのがいますよね、
ちょうどそんなもんです。

一瞬立ち止まったんですが、
なんとその壁が結構なスピードで
こちらに向かってくるんです。
普通なら逃げるところですが、
そのときもべつに

何とも思わなかったんですよねえ。

それも今から思えばおかしなことの一つです。

霧状の壁は私達を通り抜けて行きました。
いえ、それ一回きりじゃありません。
それ以後も散歩に出かけると、時々出くわしましたよ。

でも、本当にびっくりしたのは
そのことじゃないんです。
家の前まで戻って来たときなんですが、
前回書いた通り我が家は一階、
ドアの横に上にあがる階段があるんですが、
その階段から白い靄のようなものが
降りてきていたんです。
辺りには何かリンゴのような甘ったるい匂いが
立ち込めていましたねえ・・・
小学校か中学の時、理科の実験で
アセチレン(だったかなあ)の実験をして、
リンゴ臭を嗅いだのを思い出しました。
そうそう、冷んやりとしていて、
ドライアイスの煙みたいでしたねえ。
恐怖映画でよく足元に白い靄が
漂ってくるのがありますよね、
まるっきりそれと同じ光景でした。
主人は火事ちゃうか、なんて言い出しましてね、
慌てて二階に上がって行ったんですが、
火事なんかじゃ、もちろんなかったです。
火事ならもっと煙たいし熱いです。

それは冷んやりとして鼻にはとても
クールミントでしたから。

〜つづく

「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

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電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.09.18. (00:15) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(8) /
 我が家の猫達&ママの店 特別番組


最近昼の間の私の膝の上にはチャオ が座っている。
ナナはフクの寝床を占領しており、フクは行くところがないので部屋の隅に置いてある紙袋の中に入って寝ている。
チャオは長女に懐いており、長女が仕事から帰ってくるまでの間だけ
私の膝におるのだ。帰ってきたらそそくさと尻尾を振って長女の部屋に行ってしまう。長いこと私の膝を貸してもらっておきながら、
じつに愛想無くプイッ と去ってしまうのだ。もう明日から絶対膝に座らせてやらんわいと思っても、乗ってきたらあっち行けとはなかなか言えないもんだねえー。

別荘

「ママの店」  
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・・・・お知らせ・・・・
本日のママの店はお休みさせていただきます。
                     店主敬白

特別番組
幽霊のお話 第二



前に住んでいた家を買ったときの話なんです。

不動産屋さんに案内してもらって
その家の下見に行ったんですよ。
そしたらね、玄関に入ったとたん
物凄く頭が痛くなったんですわ。
じわじわと締めつけられるような
いやーな痛みでしたねえ。
もちろん中古でしたけど
まるで新築みたいに綺麗に使っていらして
湿気もないしホコリもない、
そんな頭痛がおこるような家じゃなかったんです。
ただ玄関入って左側に四段階段があって、
そこはマンションの一階部分だったんですが、
部屋の中にそんなミニ階段があるマンションなんて
始めてだったもんで、
珍しい造りだなあとは思いましたけどね。

階段をトントンと降りて
廊下の突き当たりがリビングで
これがまた高い天井でね、
照明器具を取り付けるのは
絶対電気屋にしてもらわないと
無理っていうくらいの高さだったんですよ。
それでもってリビングは二十畳あり、
縁側までついていて
そりゃもう広いのなんの・・・
おまけに庭もあったんです。
まるで一戸建てみたいな感覚でした。

リビングの横に八畳の和室と
廊下の反対側奥に
六畳の洋間が二つあるんです。
こんな広い物件見逃したら
二度と手に入らないと思って
即決で買っちゃったわけですよ。

後から思えば、頭痛を起こすってえことは
私の予知能力が
ここはダメって教えてくれていたんですがね、
そのときは全然そんなこと考えもしませんでした。
夏によくやるテレビの特番で、
幽霊屋敷を買うなり借りるなり
してしまった人の話しを聞くと、大抵

「何故かどうしてもその家に住みたくなった」

とかおっしゃっています。
私らもそのクチだったみたいですねえ・・・

霊に引き寄せられた、ということなんでしょうか。

まあ、それで引越し前に
主人と二人で掃除しに行ったんです。
いえ、前に住んでいた人が
どんなに綺麗にしていらしても、
やっぱり掃除してから荷物運び入れたいですからねえ。
それで家の前まで来たら外に面している洋間の窓に
背広を着た男性が立っていたんです。

「おとうさん、○○さんやろか」

○○さんとは不動産屋の人なんですけど、
てっきりその人が来ているんだと思いましたよ。
でも、もう鍵の引渡しも済んでいるし、
今更○○さんが勝手に入っているなんてことは
ちょっとおかしいんですがね、
そうとしか考えられない状況だったんですよ。

それで、ドアも開いているかと思ったんですが
鍵がかかっていて、
インターホン鳴らしても誰も出てこないし、
おかしいなと思いながら主人が自分で開けたんです。
で、中に入って

「○○さん、いらしてるんですか」

って声かけてもシーン・・・としているんですよ。
部屋中探したんですが誰もいない。
あれ、見間違いだったかなと思ったんですが、
台所に入ってゾオーッとなったんです。

壁にくっきりと
背広を着た男性の影が浮き出ていたんです。

本当なんですよ、見間違いなんかじゃありません。
でもね、それも不思議なことなんですが、
大騒ぎする気持ちに全然ならなかったんですよ。
ただびっくりしただけ・・・
主人なんか、見なかったことにすればいいなんて
言ってましたし、
私も冷蔵庫で隠してしまおうとなんて
考えていましたから。
それも今から思えば無謀な考え方なんですけど。

多分前に住んでいた人がそこに冷蔵庫を置いていて
壁についたススが偶然人型に見えているだけで、
さっき家の前で、窓に立っている
男性を見た後でしたから、気持ち悪くて、
ゾオーッとしたんだってことにしてしまったんです。

折角買った広い家です。
気のせい、気のせいと夫と二人、
不安を打ち消しあって各部屋の掃除を
始めたんですよね、
そしたら部屋の押し入れやクローゼットの中の壁に

お札が何枚も貼ってあったんです。

廊下の階段下に倉庫があるんですが、
その中にもお札が・・・

さすが嫌な気持ちになって
前の住人のことを不動産屋の○○さんに聞いたら、
これがまた
キャンセルされたら困ると思ったんでしょうが
なかなか話してくれないんです。
それでもやっと聞き出したことは、
前の住人はほとんどこの家に住んで
いなかったということくらいでした。
だから新築に近いくらい綺麗だったんです。
もしかして幽霊屋敷かな、と思ったんですが、
何故かそのときは

「まあ、いっか・・・」

なんて思ったんですよねえ、
それで引越しをして、
奥の二部屋は子供たちの部屋、
リビング横の和室は
私達夫婦の部屋にしたんですが、
夜になると、
子供達が怖いって言い出したんです。
窓から目が覗いている、金縛りばかりあう。
もうあの部屋で寝るのは嫌だ、なんてね。

もちろん子供達にはお札のことも、
台所の影のことも話ちゃいません。
仕方がないので和室で全員寝ることにしたんです。
もう引越ししちゃっているし、
いくら怖くても今更どうしようもないですからね。

「気のせい」で片付けたんですよ。

だけど、だんだん私達一家は・・・

〜つづく

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2006.09.17. (00:01) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(2) /
 我が家の猫達&ママの店


今日の猫達のご飯は サンマ 。生サンマの美味しい季節になってきた。晩御飯のおかずにと買ってきた生サンマ、まな板の上に乗せただけで猫達は 「今日はサンマが食べられる!」 という伝令を走らせた。

猫達がまだ小さかった頃、生サンマを見せたら怖がって小さな前足で
ペンペン叩いていた
 のを思い出す。



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2006.09.16. (00:04) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(0) /
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涼しくなってくると、猫達が膝の上に乗ってくる。一匹や二匹 までは許すけれど、どかっ と多量に乗ってこられたら熱い、重い、痺れる で悲鳴をあげそうになる。
どっか行ってくれ〜い! と喚いて追い出すが、フク がいつの間にか乗っている。まあ、フクだけならいいかと思って黙々と小説を書いていたら、いつの間にかブチ も乗っている。まあ、二匹なら追い払うのも可哀相だなと思って我慢していたら、クロ も、シュウ も、カスガ まで・・・・これじゃさっきと同じじゃないか。

あっちへいけ〜い! その繰り返しで今日もまともに書けなかった。

別荘

「ママの店」  
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上空で止まったままのけいこちゃんの頭が
出っ張ったり引っ込んだり、ボコボコと
形を変え始めた。
どうしたんだろう、何をするつもりなんだろうと
思っていたら、

「あの子変身するつもりよ・・・」

ママが低い声でつぶやいた。

「変身って・・・うわっ大変だ。
 この前みたいな怪物になられたら
 僕達全員殺されちゃうよ」

ママの店で起こった惨事を思い出してゾッとした。

「ママさん、彼女一人では無理だ」

中田先生がママに言ったが、
ママは動こうとしない。
ママ・・・?
私が言葉をかけようとするのを
ママは首を横に振って止めた。

「もう少し様子を見てから考えましょう。
 あの子が何を考えているのか知りたいの」

冗談じゃない、
このまま放っておくわけにはいかない。

「そんな余裕なんて無いよ、
 あのときのことを思い出してよ
 けいこちゃんは
 彼女をずたずたに引き裂いたんだよ。
 母親だなんて思ってないよ、
 今でもこうして、彼女を殺そうと思って
 変身しようとしているんじゃないか」

待ってなんかいられないよ、と言って
彼女の所へ行こうとしたが、
中田先生に腕をつかまれ引き戻された。

「豊、ママさんの言う通りだ、もう少し様子を見よう。
 それでもしダメだとわかったら
 加勢しに行けばいいんだ」

先生はいつもママの言うことばっかり聞く。

「そんなの遅すぎるじゃないか、
 言わせてもらうけど
 あのときそんな余裕あった ? 」

私が怒ったように言っても、
二人とも黙ったまま
上空で変身していくけいこちゃんを見ている。