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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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2006.09

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店


シュウは晩御飯の仕度をしているとき、必ずカウンターの上に乗っている。太短い尻尾をフリフリして調理している姿を見ているが、
何が楽しいのかとてもゴキゲンだ。
お腹をペタッとつけて座っている姿がとても可愛いのでパチリ。

別荘

電子出版「短編集 闇の中の住人」

「ママの店」 

けいこちゃんの所へ行かされるなら、
それこそママに全身結界でも張ってもらわないと
命の危険があるだろうけど、母親の方なら大丈夫だ。
これといって何も危険はない。
そう思って私は静かに目を閉じた。
体がふわりと浮き上がった瞬間、

・・・つけてね、へたをすると・・・
いきて・・・これなく・・なるわよお・お・お・

ママが何か言っているみたいだがわからない、
声が子守唄のように気持ちよく遠ざかっていく。
最初慣れない頃は目が回り、
船酔いのような気持ち悪さがあったものだが、
今ではもう慣れっこになってしまっている。
それほど何回も経験しているのだと思うと、
何故かとっても切なくて
胸がキュッと締め付けられた。
どうして私だけがこんな稀有な経験を・・・
でも、それは決して悲しみなんかじゃなくて
自分だけが特別な経験をしているのだという
誇りにも似た感動だ。
今私の体は激しく反転上昇を繰り返している。
着いたときに眩暈が残っていてはいけないので、
あえて目を閉じているが、おそらく辺り一面
たくさんの色がねじれ、こんがらがって、
まるでプラスチックで出来たカラー粘土を
ごちゃ混ぜに束ね、ねじりあげていくように
見えているはずだ。
初めてこれを経験したのはいつだったか忘れたが、
あのとき私は二十四色クレパスを
練り混ぜたような世界と例えた。

ストンと体が着地した。
生臭い臭いがすぐに鼻腔に入り込んでくる。
ゲババババ・・・グビィ・ィ・ィ・・
腹の底に響くような音が聞こえ、
嫌な予感がして、薄目を開けると、
あたり一面真っ赤になっている。

えっ、ここはどこ ? 
私は慌ててあたりを見回した。
ここはどこかの部屋の中、
四方の壁一面に真っ赤な液体が垂れ滴っており、
床に血のような湖を造っている。
足首まで達している液体を指ですくうと、
粘り気があり、腐ったように生臭い。
これは、血だ・・・
私は背後に只ならぬ気配を感じ振り返った。

か、彼女だ・・・・
後ろの壁五メートルほどの高さの位置に、
けいこちゃんの母親が、
引き裂かれて叩きつけられている。
彼女の中ではまだ、
あの惨劇が終わってはいなかったのだ。
いる位置が高すぎて、
表情ははっきりと見ることが出来ないが、
崩れた顔の下半分辺りから
滝のように血か流れ、
その血が床に溜まっている。
あまりの臭さに吐き気がこみ上げてきて、
ゲーゲー何度も吐いた後、
やっと鼻が血の臭いに慣れてくれた。
あの時は自分も渦中にいたので興奮しており、
気持ち悪くなる暇がなかったが、
今改めてこの惨状を目の当たりにすると
気が狂いそうなほど恐ろしい。
引き裂かれた人間を見る機会などそうあるものじゃない。
また、こんなに多量の血の臭いを嗅ぐこともないだろう。
真夏に部屋の窓を閉めきり、多量の生肉を腐らせたら
こういう臭いになるかもしれないなと考えていたら、

ゲババババ・・・グビィ・ィ・ィ・・
またさっきの音が聞こえてきた。
彼女が私の方を見ている。

その音はどうやら彼女の唸り声のようだ。

〜つづく


「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)
(ママの店13)
その他の作品紹介
2006.09.02. (00:23) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
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