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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店


チャーですが、何か・・・? なんて言いたそうな顔をしている。
チャーはちょっと見とっつき難そうだが、とても抱っこが好き。
小心者でいつも何かにビクビクしているが喧嘩には結構強い。
今はもうそんなことはないがもっと若い頃、クロやフクと本気で
大喧嘩していた。フクに喉を噛まれ血が噴出し、
慌てて病院に連れて行ったことを思い出す。
あの時は本当に死ぬかと思った。

別荘

「ママの店」  

壁に貼りついた彼女を
どうやって引っぺがすかだ・・・いや、
あの姿のまま連れて行くわけにはいかない。
でも、夢の中での出来事とはいえ、
あんな酷いめにあえば
元に戻れなくて当たり前だろうなと、
彼女を見ながらそう思った。
彼女はまだ意識があるようで、
微かだが肩の辺りが動いている。
きっとあれは息をする音なのだ。
そう思うと不気味な音も、
哀れで可哀相な音色に聞こえてくる。
彼女は私を覚えているだろうか、
もし覚えてくれていたら
記憶を戻してあげられるかもしれない。

「お母さん、けいこちゃんのお母さん、
 目を覚ましてください。
 あれはすべて夢だったんですよ。
 あなたはどこも怪我などしていません」

怪我なんて生易しいものではなかったが、
そう言うしかなかった。
しかし彼女は依然動く気配がない。
困ったな、どうすりゃいいんだ。
こうなりゃ、聞いていようがいまいが、
私が何のためにここに来たかを説明するしかない。

「お母さん、けいこちゃんは今一人ぼっちです。
 大好きなあなたをそんな酷い目にあわせて、
 自分の心まで同じように傷ついてしまいました。
 だから、僕と一緒に
 けいこちゃんを助けに行ってほしいんです。
 あなたはもうすぐ死にます。そうすれば
 けいこちゃんと一緒に暮らせます。
 だから希望を持って早く現状から回復を
 図ってください。すべてが夢だったんですよ、
 僕は嘘を言ってはいません。
 どうか信じてください」

エ、エイ、ゴウ・・・ウウ・・

口が無いために言葉になっていないが、
彼女は確かに、けいこちゃんの名前を言っている。

「そうです、けいこちゃんです」

私が叫ぶように言うと、
十字架に貼り付けられたキリストのような姿で
壁にくっ付いていた彼女が、
広げた両手の拳を握り締めるのが見えた。
ベリベリと音をたてながら、
血糊で壁にしっかりとくっついてしまっている
肩の部分から背中、腰までを
ゆっくりと剥がしていき、やがて
自分が造った血溜まりの中に落ちて来た。
その勢いで多量の血が私の顔や胸に飛んだが、
ボーッと突っ立って見ていた私には
とても避けるどころの騒ぎではない。
今目の前で、
引き裂いた頭陀袋のような姿の母親が、
全身血まみれのまま四つんばいになり、
頭を上げて私を見ている。
鼻から下、臍の辺りまでの皮が、
引っ張って伸びきったタイヤの輪のようになっていて、
中に内臓が無いのはありがたいが、
それはそれで不気味さを醸し出している。

エ、エイ、ゴウ・・・ウウ・・

彼女がまたけいこちゃんの名前を呼んだ。

「お、お母さん、お願いだから
 普通の姿に戻ってくれない ? 
 さっきも言った通りすべて夢だったんですよ。
 だから、普通にもど・・・」

エ、エイ、ゴウ・・・ウウ・・ 

いきなり母親が猫か犬のような姿勢で
飛び掛って来た。

ど、どうすれば・・・「グエッ! 」 

頭を傾け眼球を血走らせた母親が、 
私の首に爪を食い込ませ、凄まじい力でグイグイと
締め上げてくる。むしゃぶりつく彼女を
何とかして振りほどこうとしたが、
血でぬるぬると滑って思うようにつかめない。

「だ、だすげで・・・・」

次第に意識が遠ざかっていく。
これはやばい、このままでは死あるのみと感じた私は
渾身の力を振りしぼり、
右足で思い切り彼女の腰を蹴った。
グブッと鼻から血の泡を吹き、彼女は後ろに倒れこんだ。
私は喉を手で庇いながら、後退りして彼女の様子を
見守ったが、彼女はピクリとも動かない。
近寄って確かめようと思ったが、
さっきのショックで足が前に進まなくなくなっていた。

〜つづく

「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)
(ママの店13)
その他の作品紹介
電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.09.03. (00:24) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
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