悪戯者コンビのクロブチ!便秘の薬代わりにマーガリンを食べて味をしめ、油のプラボトルを
次々襲撃する。色が似ているから味醂のボトルまで穴をあけた!
青紫蘇ドレッシングのプラボトル一リットル、これにも穴!
おいっ、紫蘇ドレッシングは色が違うだろが・・・取っ手の部分を
口に咥えてズルズルと自分のねぐらに持っていく姿は、まるで
熊。
別荘「ママの店」1 2 34 5 6 7「お母さん、それは違うと思いますよ」
中田先生が穏やかな声で話しかけた。
母親は涙で濡れた目で先生を見ている。
「私はあなた達がどんな人生を送ってこられたか
全然知りません。
でも、けいこちゃんがあなたを
慕っていることは間違いありません。
私は小児科の医者ですからね」
母親は先生の言葉を遮るように手を振り、
小さい子供が嫌々をするように首を振る。
「いいえ、いいえ、私はあの子にとって決して
いい母親じゃありませんでした。
唯一あの子のためにしたことと言えば、
夜の仕事を辞めたことです。
あの子が肩身の狭い思いをしないように
昼の仕事に変えました。
食堂のウエートレスですが、
ホステス時代の半分の給料しかもらえず、
私はいつもイライラしていたんです。
でも母子家庭の保護も受けていたし、
玩具の一つくらい買ってやれないことはないのに、
あの子が我慢しているのをいいことにして、
ほとんど何も買ってやらなかった・・・
誕生日に買ってやった絵本と人形だけが
あの子のすべてでした。
食事もほとんど勤め先の残り物を
持って帰っていましたし、
ろくなものを食べさせていなかったんです」
私の頭に線路で酔っ払って座り込んでいた
母親の姿が蘇った。
「あんたは、いつも酒を飲んでたの ? 」
私の言葉がきつくなるのが自分でもわかった。
母親は何度も頷き、また泣き出した。
「豊、この人を責めるんじゃないよ。
この人は酒を飲まなきゃいられないほど
辛かったんだ」
先生が厳しい顔で私を叱るように言った。
しかし、私の頭の中には線路で酔っ払い、
失禁までしていた彼女の姿が焼きついている。
酔っ払っていなかったら、けいこちゃんは
死なずにすんだんだ。
母親の話が続く。
「あの人が・・・
けいこの父親が寄こした人なんですが、
私が育てれば、娘は
いずれ私と同じ道を行くと言うんです。
娘が可愛ければ、父親に渡すべきだと
毎日毎日、
それだけを言いにやって来るんです。
最初は何を今さら、捨てた娘なのにと
腹がたちましたが実際そうですよね、
私は学校もまともに行かず、
不良になって親元を飛び出しました。
たちまち男に騙されて、
ソープにまで行きましたが、
必死で働いて借金を返し、
場末のホステスになったんです。
そこであの子の父親に出会い、
何度騙されても懲りない私はあの子を生みました。
あの子に私と同じ苦しみを
味わわせたくなんかありません。
今のままでは
まともに学校もやってやれないかも知れない。
父親に渡しさえすれば、
お嬢さんと呼ばれる娘になれる。
そりゃ誰が考えても私なんかより
父親のほうがいいに決まってます。
だけど、私は娘を失い
一人ぼっちになるのが怖かったんです。
心の中ではいつも家に帰りたかった。
父や母、兄を思って泣きました。
この上娘まで失くしてしまったら生きていけません。
それであの日線路に座り込んだんです。
しらふではさすがに怖いですから、
お酒を多量に飲みました。
グデングデンに酔っ払って線路に座り込んだんです。
最初は一人で死ぬ気でした。
でも、きっと心の中であの子と一緒に
死にたいと思っていたんです。
それが、一緒どころかあの子だけを
殺してしまって・・・
私は最低の母親です。
あの子が怒って私を何度引き裂いてもかまいません。
それであの子の気がすむのなら」
母親は深い溜息を一つついて話を終えた。
私の心の中に、さっきまで抱いていた母親に対する
悪感情が無くなり、
憐憫の情がフツフツと湧き出してくるのがわかった。
何とかしてこの人を幸せにしてあげたい、
そう思ったとき、にこやかに微笑みながら
私を見つめているママの視線に気がついた。
〜つづく
「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
(ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13)その他の作品紹介 電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.09.08. (00:42)
小説 文学 /
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