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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店


チャコが一日中大声で鳴き叫んでいる。
夜はさすがに寝ているが、夜明けとともにガオンガオンと鳴き始める。

他の猫達も睡眠不足になるのか、
最近は暇があったら寝るようになった。
やっぱりボケたのかなあと悲しくなるが誰もが辿る老いの道、
人も動物も老いるということはしんどいねえ。

別荘

「ママの店」  
     

私の頭にふと疑問が過ぎった。
これじゃまるで今から戦いをしに行くみたいだ。
我々はけいこちゃんを救いに行くのであって、
倒しにいくのではない。
ママはいったいどういうつもりで
こんなものを用意したんだろう。
もしかして、またあの子が
怪物に変身することを想定しているのか。

「あの子はまた僕らを見て
 怪物に変身してしまうのかな・・・」

私が誰にともなしにつぶやくと、
ママは小首を傾げ、中田先生を見た。
先生はあの地獄の裂け目の中を知っている。

「私が見た限りでは、
 けいこちゃんが作り出した
 物かどうかはわからないけど、
 かなりの数の亡者がいたよ。
 あの世界にいる者達は皆救いを求めているから、
 我々がけいこちゃんだけを
 救出しに来たのだと知ったら
 多分襲ってくるだろうな。
 可哀相だなんて思っていたら、
 我々もあの世界から出られなくなってしまう」

中田先生の視線が青銅の剣にいく。

「それじゃ、この格好は
 ゾンビどもを蹴散らすためなんだ。
 それを聞いてホッとしたよ。
 あの怪物と戦うなんてとても無理だからね、
 この剣だって玩具じゃないか。
 さっき振り回してわかったもんね、
 何回か肩や腰に刀が触れたけど、
 ホラちっとも切れてないや」

私は自分の体のあちこちを見回して薄く笑った。
そのときママが小さな声で呪文を唱え始め、
私の持っている刀を片手で
サーッと撫でるような仕草をした。
すると刀が美しい青色の光を放ち始め、
さっきまで玩具のように軽かった刀が
嘘のように重くなり、
たちまち手首が痺れ、肩がはずれそうになった。

「今本物になったってわけ ? 」

私は震える声を出しママを見た。

ママは静かに頷き、中田先生やけいこちゃんの母親、
そして自分の刀にも呪文を唱えて本物に変え、
最後は甲冑も本物に変えたため、
全身が一挙に重くなり
動くのも大変になってしまった。

「重くて動けません、刀も振り回す自信がないです」

母親が泣きそうな声を出すと、ママは厳しい目をして

「私達に実体はないのよ。どんなに重くても、
 精神力で使いこなせるはずよ。
 けいこちゃんのために死力を振り絞りなさい」

母親は頷き、何度も体を動かし刀を振り上げようと
頑張っていたが、へなへなと床に座り込んでしまう。

「あなた、あなたの子供を救いに行くのよ。
 私達も死ぬかもしれないのに
 力を貸そうとしているの。
 もっと真面目にやってくれないかしら」

ママが冷たく言い放つと、
母親は唇をきゅっと引き結び、もう一度立ち上がる。
全身が赤く燃えている気がする。
青銅の剣を頭上高く掲げ、
おぉーと叫んだ母親は、
さっきまでの弱い女性ではなく
もう一人前の戦士になっていた。

〜つづく

「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)
(ママの店13)
その他の作品紹介
電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.09.10. (00:31) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
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