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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店


水道の水をチョロチョロ出してお茶を冷やし始めると、
シュウがいつもカウンターの上に座りに来る。
ブチが水を止めないか監視するためだ。
我が家の水道はノック式なので猫でも簡単に
水を出したり止めたり出来るのだ。
せっかく冷やしているのに水を止められたら困る。
私がいつも怒るのを聞いているからだろうか、
ブチが水を止めようと手を出したら、
シュウがシャーッと吹いてブチを追い払う。
私はその現場を何度も目撃しているが、
こんなこと人に話しても絶対信じてくれないだろうな。

別荘

「ママの店」  
      10 11 12

「けいこちゃん僕だ、豊だ。忘れたのかい ? 
 君は僕に頼んだんだよ
 ママを探してくれって」

私は地上から
十メートルほどの高さに浮かんでいる
頭だけのけいこちゃんに向かって呼びかけた。
けいこちゃんは髪を逆立て、
顔を真っ赤に膨らませ
すぐさま私を目がけて急降下して来る。
右に走れば右に、左へ行けば左に、
まるでターゲットは私一人と決めたみたいに
どこまでも追いかけて来る。
いくら体力に自信のある私でも、
そう長くは走っていられない。
すぐに限界が来るだろう。
背を向けず前を向いて、
あの子と戦わないといけないのだ。
確かに怒り狂っているあの子の顔は恐ろしい。
でも、おかっぱ頭の
前髪の間から見えている目は、
悲しみの涙で潤んでいる。
ふっくらとした頬っぺた、愛らしい口元、

「オムライシュ食べたい・・・」

そう言って笑ったあの子の顔を思い出すと、
やっぱり傷つけることなんて出来やしない。
走りながら涙が目尻を伝う。
どうする、どうする、
私は何度も心の中で叫んでいた。

「けいこ ! 」

とうとうけいこママが大声を出した。
しかしけいこちゃんには聞こえていないようで、
なおも私ばかりを追いかけて来る。

「ママはあんたを迎えに来たの、
 一緒に暮らすって約束したでしょ。
 今その時が来たのよ。
 どうしていつまでも暴れているの、
 今すぐ止めないと許さないわよ ! 」

けいこママが言った
許さないという言葉に反応したのか
急に彼女の動きが止まる。
私も体力の限界が来ていて、
ハアハアゼイゼイと息も絶え絶えに、
どおっと地面に倒れこんでしまった。
中田先生とママが私の側に走って来るのが見える。

「大丈夫か ! 」

中田先生が掛けてくれた言葉に、
私は声も出ず頷くのがやっとだ。

「来るわよ、彼女を逃がさなきゃ」

ママが叫んだ。
私は死に物狂いで起き上がり、
転げそうになりながら中田先生達と
けいこママの側まで走る。

私達がけいこママを庇うように立つと、

「いいんです、私一人であの子と戦います。
 今度は負けません。
 きっちりあの子と向き合って、
 私があの子の母親だってことを
 教えてやりたいんです」

けいこママは私達を掻き分け前に出た。

「下がっていてください。
 これは母親である私の役目です」

でも・・・と言いかけた私をママが止め、
私達は離れたところで見守ることにした。

「そうよ、ここまで来たら後は母親がやるしか
 ないのよ。私達は黙って見届けましょう」

ママが空中に浮かんでいる
けいこちゃんを見ながらつぶやいた。


「けいこ、降りていらっしゃい。
 さあ、一緒に帰ろう、
 もうこれからはずっと一緒よ」

けいこママがもう一度声をかけたとき、

「うしょつき・・・ちね」

けいこちゃんは憎しみで顔を歪ませ、
母親めがけて飛んで来た。
危ないっと思った時、すでにけいこママは
厳しい顔で剣を構えおり、
けいこちゃんの頬っぺたの辺りにめり込んだ。
鼻の右横あたりから血が吹き出している。
けいこちゃんは痛みに顔を歪め、
一旦空中に戻ったが、
今度は上から押し潰そうと母親の真上を狙ってきた。
すかさずけいこママが剣を頭上に掲げる。
けいこちゃんは今度も串刺しになり、
悲鳴をあげながら上空に逃げて行く。

もうそのへんで許してやってくれ、
けいこちゃんももう止めろ・・・
私は叫びたいのを必死に堪えていた。

けいこママは、全身血まみれになりながら
両足を踏ん張り、剣を構えて迎え撃つ用意をしている。

〜つづく

「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

(ママの店12前編) (ママの店12後編)
(ママの店13)
その他の作品紹介
電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.09.14. (00:36) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
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