
家族が全員どこかに出かけてしまうことがある。今日もそうだった。
帰ってきて玄関を開けるとナナがいつものように出迎えてくれていた。
靴をぬいで上がろうとしたら、アメが一つ廊下の絨毯の上に。
あぁ、またナナが運んできたのだと思い
拾い上げようと身をかがめたら、直線上二十センチほどの等間隔に
点々とアメが並べられているではないか。
ナナは私達が留守の間に一生懸命廊下にアメを並べていた、
これはいったいどういうことなのだろう。
私は点々と等間隔に並べられているアメを見てしばらく動けなかった。
ナナの遊びなのか、等間隔に並べるということは遊びとも考えられる。
本当にウチのナナは猫なんだろうか、犬でもないし、ひょっとしたら
サルか人間なみの知能があるのかもしれない。
別荘「ママの店」1 2 34 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18・・・・お知らせ・・・・
本日のママの店はお休みさせていただきます。
店主敬白
特別番組
幽霊のお話 第二
子供達がベッドがほしいと言いましてね、
廊下奥の子供部屋に二段ベッドを入れたんです。
引越しした当初は
窓から誰かが覗いているとか言いまして
怖がって私らと一緒に和室で寝ていたんですが、
友達の影響なのか、
ベッドがほしくなったみたいです。
まあ、子供部屋の隣には
お祖父ちゃんもいますし、怖いと思うのは
気のせいだと思ったんでしょう。
私ら一家も、そうそう幽霊なんかに
かまっておられません。
せっかく買ったマイホームなんですから。
ごく普通の生活を送ろうとしていました。
夜、あれは何時ごろだったか・・・
足元に何か乗っているようで、
ふと目が覚めたんです。
それで半身起こしてよく見ると、
私の足の辺りに
知らない男の人が座っているんです。
夜中でしたから当然薄暗いです。
目が慣れてきたから、ぼんやりと見えますが、
本当は真っ暗な部屋の中です。
隣で寝ている主人の顔も
はっきりとは見えません。
それなのにその男の人だけは、
顔も服もはっきりと見えているんですよ。
年の頃は三十手前、
いえもう少し若いかもしれません。
白のカッターシャツに黒いスボンを
穿いてきちんと正座いるのです。
ネクタイはしておらず、向かって右の胸に
四角い白っぽい布が縫い付けてあって
墨か何かで字が書いてあるみたいなんですが、
滲んでしまって
何が書いてあるかわかりません。
名前かな、とも思いましたが
それよりも何でこんなところに
座っているのかがわかりません。
その人は小柄で痩せていて、髪は短い七三、
まるで人形のように白い顔をしています。
不思議なことにそのときは怖いとかは、
全く感じなかったんです。
で、あんまり黙って下を向いているから
何か話しかけようかと思い、
「あの・・・死んだん ? 」
なんとまあ、馬鹿な質問をしたもんだと
我ながらあきれたんですが、
そのときは他に何を言えばいいのか
わからなかったんです。
そしたらその人が、黙ったまま寂しそうに
ゆっくり頷いたんです。
それを見たとたん、
今まで何も感じなかったくせに
いきなりゾオーッと全身に恐怖が走りました。
怖いぃっ ! と思った瞬間
その人が正座したままの姿で
ザーッと布団の上を滑るように
ものすごい速さで私の側に寄ってきたんです。
そりゃもう
恐ろしいなんてもんじゃなかったです。
目を閉じてギャーッって叫んでいましたよ。
隣で寝ていた主人はもちろん飛び起きましたし、
奥からも子供達と父が走ってきました。
私は恐怖でしどろもどろになりながら、
身振り手振りを交えて今あったことを
説明したのですが、
私の話を聞いて怖がるどころか
大笑いされました。
こんな恐ろしい話を聞かされて
笑える家族も怖いんですが、
何で笑うのか聞いてみれば何のことは無い、
私が幽霊に話しかけた言葉が
おかしかったらしいんです。
夜中に足元に座るなんて、
死んだ人にきまっている。それなのに
「あの・・・死んだん ? 」なんて聞くアホは
お母さんくらいのもんだ、というのが
彼らの笑う原因だったみたいです。
しかし、私は笑えません。
あの人はいったい誰だったんでしょうか、
父が言うには、
「胸に名前を書いた布を縫い付けるのは
戦時中みたいやなあ・・・」
言われてみれば何となく
今時の姿ではなかったような・・・
〜つづく
「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
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