
今日の夕食は揚げ物だった。
揚げ物のときは台所に猫達が入ってこないよう特に気を使う。
私が物凄く怒るので、賢い ? 皆は絶対側に来ない。でも、その中で
「私だけはみんなと違う」といった顔で
堂々と進入してくる困ったちゃんがいる。
シュウ だ。
シュウはいつも台所のカウンターの上に陣取って、
飛び乗ってくる猫達を追い払ってくれている。
だから、自分は台所の主なのだ。
揚げ物を出来るだけ避けてはいるが、
たまには天麩羅の一つも揚げたくなる。油を熱しているときは、
たとえシュウでも入ってほしくない。
でもそれを分らすのは至難の業、口で言っても聞かないから
つい手が出てしまう。今日も怒らせてしまった。
今シュウは
スネオ になって、ふてくされて寝ている。
別荘「ママの店」1 2 34 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19「さあ ! 帰りましょう」
ママはそう言うと両手を大きく広げ、
ブツブツと呪文を唱え出した。
どんよりとした灰色の空の一角に
渦巻が現れ、
私達を迎え入れる準備を始める。
空中に浮いたままだった
けいこちゃんに似た化け物が、
ドーンという大きな音とともに破裂して、
バラバラと砕けて落ちてきた。
砂の上に落ちた破片が
見る見るうちに人の形になり、
よろよろと立ち上がる。
頭部に髪はなく、目の位置に僅かな窪みと
鼻らしき突起が一つ、
ポッカリと開いた黒い口。
全身灰色の
泥人形のような者達が群れをなし、
おぉーん・・・おぉーんと
悲しげな咆哮をあげながら
両手を伸ばし、私達に迫ってくる。
これが中田先生の見た亡者なんだ・・・
苦しい・・・助けて・・・
亡者達の声無き叫びが私の頭の中に木霊する。
はっと気づいたときには、
完全に周りを取り囲まれていた。
「うわっ、ママなんとかして ! 」
私の悲鳴と同時に五人の体は亡者の
海の中から浮き上がり、
空に出来た渦巻目指して飛んで行く。
渦に吸い込まれる瞬間、下を見ると
一塊になった亡者達が手を伸ばし
自分達も一緒に連れて行ってくれと
叫んでいるのが見えた。
〜つづく
「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
(ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13)その他の作品紹介 電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.09.26. (00:17)
小説 文学 /
TRACKBACK(-) /
COMMENT(-) /
▲