
カリンはとても甘えん坊で、ブチ達に上手に甘える名人。
喜怒哀楽を顔に出す名人でもあり、嫌なことがあると
ブスーとした顔になる。
子猫のときはトウととても仲良しだったのに今では犬猿の仲。
トウは誰とも行動しない一匹狼で、カリンとは正反対の性格だ。
別荘「ママの店」1 2 34 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21それにしても恐ろしい世界だった。
人は皆、誰にも触れられたくない
心の闇を持っていて、
それを忘れるように日々努力し、
潜在意識の奥底に封じ込めて生きている。
それは償うことの難しい
大きな闇かも知れないし、また、
他人から見たら
取るに足りない小さな闇かも知れない。
でも、大きかろうが小さかろうが、
本人にとっては人に知られたくない
闇の部分であることには間違いないのだ。
それを白日の下に引きずり出し、
目の前に突きつけ、これでもかこれでもかと
責め苛んだとしたらどうなるか、
きっと後悔の念が自虐へと変わり、
やがて精神が蝕まれ発狂してしまうだろう。
自分のしたことへの後悔に苦しみながら
生きていくことは難しい。
忘れるということも、生きる術なのだ。
それを穿り出すあの世界はまさに地獄そのもの。
私は中田先生の過去も、
ママの過去もこの目で見てきた。
だから二人にとって、
あの世界に長くいることが
どんなに危険なことか良くわかっている。
本当に脱出出来て良かった。
今中田先生は
両手をソファーの背もたれの上に広げ、
実際そうなんだけど、
長旅から帰って来た直後のような
疲れた顔で、
私の膝の上にチョコンと座っている
けいこちゃんをやさしく見守っている。
あんなに酷い目にあったのにもかかわらず、
先生もママも、
けいこちゃん母子を助けることが出来たという
喜びと満足感を感じているのだ。
私が先生をじっと見ているのに気がついたのか、
先生が笑いながら私に話しかけてきた。
「豊、大丈夫か。だいぶ疲れたみたいだな、
ちょっと眠ったらどうだ」
先生は私の体を心配してくれている。
きっと先生は今までずっと
自分のことよりも人のことばかり
心配してきたのだろう。
「だーいじょうぶ、僕は若いし
これといって何もしちゃいませんからね、
先生こそ大活躍したんだから、
うんと休まなきゃダメですよ」
私の言葉に先生は嬉しそうに笑い、
ちょっとだけ寝るよ、と言って目を閉じた。
「おじしゃん寝ちゃったねえ・・・」
膝の上に乗ったままのけいこちゃんが、
首を回し、私の顔を見ながら笑った。
「おじちゃんは、けいこちゃん達を助けようと
いっぱい、いっぱい頑張ったからね、
寝かせておいてあげようよ」
私がそう言うとけいこちゃんは黙って頷いた。
〜つづく
「ママの店14」 をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
(ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13)その他の作品紹介 電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.09.28. (00:12)
小説 文学 /
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