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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママ の店特別番組


今日の膝の上はチャオ君。風邪もよくなり元気になった。
でも、寂しいのか昼の間はずうっと膝の上。

晩御飯のちりめんじゃこ、釜あげちりめんとか言う柔らかいものを買ったのだが、袋を開けたとたんすでに臭かった。柔らかいちりめんじゃこはすぐ臭くなるので出来るだけ固い乾燥したものを買うのだが、たまには柔らかいのをと考えたのが悪かった。結局猫も横を向く臭いだったのでゴミバコ行きになってしまった。カスガなんて砂を掻く仕草までしていた。

・・・・お知らせ・・・・
本日のママの店はお休みさせていただきます。
                     店主敬白

特別番組
幽霊のお話 第二




では昨日の続きということで、
その後どうなったかということを
お話します。

それから一月何事も起こらずで、
私らも日々の生活に追われて、
あの晩の恐ろしい出来事も忘れつつありました。
ええ、いつまでもそんなこと考えていても
仕方がないですからねえ。

「あんなもん、疲れていたから見た
 夢に決まっている」
そう思うことにしていたんです。

ところがある朝からソレは始まりました。

主人が
起きる時間になっても起きないんです。
早く起きないと仕事に遅れるからと、
いくら言っても布団から出ようとしないんです。
聞けば調子が悪いので休みたいと申します。
まあ、仕事先と言っても
そこは主人の実家でしてね、
父親と兄とで一緒に商売をしているんです。
だから調子が悪いなら、
ゆっくりさせといてやれと言うことで、
その日は休ませてもらいました。
ええ、
風邪でも引いたのかと思い、
熱を測ってみましたが平熱でしたし、
まあ疲れが出たんだろうと
軽く考えていたんです。
ところが翌日も、
その翌日も仕事に行こうとしないんですよ。
とうとう実家の親達も心配しましてねえ、
家まで様子を見に来てくれたんですが、
実は外へ出るのが怖いんだと
主人が言い出しまして。
はい、まあ鬱病になった・・・
ということですねえ。
でも、まあ実家の方は親子兄弟ですから、
しばらく様子を見ようと言ってくれましたし、
私も出来るだけ側にいて
気持ちを楽にしてあげれば
そのうち良くなるだろうなんて
軽く考えていたんですが、
そんな生易しいものではありませんでした。
何とまあ、お恥ずかしい話ですが、
主人一人置いては
買い物にも出られなくなったんですよ。

やっぱり買い物くらいは行かないと
食事の用意も出来ませんからねえ。
ちょっと行って来るだけ、
すぐに帰るからと、言っても聞かないんです。
一人は嫌だといって泣きじゃくる始末で、
これじゃまるで小さな子供です。
それじゃ一緒に行こうと誘っても、
出るのが怖いと言って布団にしがみつく。

こりゃ大変だ、
さすがに病院に連れて行かないと
やばいんじゃないかと思いましたよ。
でもねえ、さて病院と言っても
どこに行けばいいかわかりません。
あの頃は今みたいに鬱病という言葉も
あまり聞きませんし、心療内科というものも
馴染みがありませんでした。

こんなこと言っちゃいけませんが、
主人の両親に固く口止めされていましたしね。

それで同じマンションに住んでいる友人に
相談してみたんですが、
何とその友人の口から、とんでもないことを
聞くはめになったんです。
ええ、その人と私は仲の良い友達でした。
だいたいそのマンションに
引越しをしようと思ったのも、
その友人が別の棟に住んでいたからなんです。
でも、今から思えば
私が引越しすると言ったとき、
その友人は何か複雑な顔をしていましたねえ。
あ、すません。
話が横にそれてしまいましたね。
とにかくその友人が
言い難そうに話してくれたのは、
私達の前に住んでいた夫婦が
何で一年も住まないうちに
この部屋を空家にしたかというと、
ご主人がおかしくなって仕事に行かなくなり、
それがもとで離婚したらしいのです。
それを聞いたときの衝撃ったらなかったですよ。
まるきり今の我が家と同じ状況です。
それでねえ、思い出したんですよ・・・
押入れや倉庫の壁に
ひっそりと人目につかないように
貼られていたお札のことを、ね。
普通家を他人に売るとき、
そんなものは剥がしてしまうと思いませんか、
ええ、私なら剥がしますよ。
気持ち悪いですからねえ・・・
でも、それを
あえて貼ったままにしておいたということは、
良いふうに考えたら、前の住人の
せめてもの思いやりだったのかもしれません。

はい、そりゃそうです。
そのときは私も腹が立ちましたよ。
よくもまあ、こんな幽霊屋敷
売ってくれたなってね。

でも、そんな家だから手放したかった
という気持ちも分かります。
知らなかったとはいえ、
それを買おうと決めたのは私達です。
今更文句のいいようもありません。
友人が、
何で買う前に下調べしなかったのかと言いますので、

「あんた分かっていたら
 何で教えてくれなかったのよ」と怒ると、

「もう買ったと言ったあんたに、
 あそこは出るらしいなんて言えるわけないやん」
と言うんです。

そりゃまあ、そうですよねえ・・・
それで、まあこういう事情なら、
病院に行くより先に、御祓いをしてもらうほうが
いいのではないかということになったんです。

ちょっと話は変わるんですが、
その頃の私は
子供達を集めて絵画教室をしていたんです。
同じマンションのお子さんも
何人かいらしてて、
その中の一人のお母さんが、
どこから聞きつけたのか

「先生、最近変なことがありませんでしたか」
と言いにくそうに聞いてきたんです。

ええ、私は内心ドキッとしました。
それで打ち明けたんですよ、そのお母さんに。

ホホホ、私って案外お喋りなんですよ、
秘密が保てない性格なんです。

でも今回はそのお喋りが天の助けになりました。
そのお母さんの話を聞くと、なんとそのお宅でも
変なことばかり起こっており、
とうとうご主人が・・・
お母さんの口を借りますと、

「もう思い出したくも無い、とても口に出来ない
 恐ろしいものを見たんです」

それを聞いたとき、あの晩見た
例の生の眼球を思い出しましてねえ、
身震いしましたよ。

それでまあ、そのお宅は大騒ぎになって、
御祓いしてもらうことになったそうなんです。
いえ、そんないかがわしい
拝み屋なんかじゃありませんでしたよ。
ちゃんとした神社の方で・・・
でもよく来てくれたものですねえ。

で、その御祓いを済ませた後で
言われたそうなんです。

これはどうも土地が凶なので、
出来れば早く引越しをしたほうがいいと、ね。

はい、ですからそのお母さんは
今引越しを考えているんだと
おっしゃったんですよ。

でもねえ、あなた・・・考えてもみてくださいよ。
私らは家を買ったんです。
芋や大根を買ったのと訳が違いますからねえ、
幽霊が出るからといって
おいそれと手放せるものではありません。
ものすごく悩みましたよ。
何とか引っ越さずに悪霊だけ
追い払ってもらえないものかなんてね。

それでとりあえず、その方が
御祓いしてもらった神社を紹介してもらい、
ええ、熊野の山の中にある大きな神社です。
そこに行くことにしたんです。
主人は実家の両親に看てもらい、その間に
私の兄に車を運転してもらって、出かけました。
まあ、話が長くなってしまうので、
そこんところは省略しますが、
おかげさまで主人の容態は少しずつ回復に向かい、
発病して三ヶ月くらいで完全に元に戻ったんです。

〜つづく



「ママの店15」 をHPにUPしました。

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

「ママの店14」
その他の作品紹介
電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.10.09. (00:28) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
ハレルヤ

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