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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店


シュウが私に何かを話しかけてきたが、
何を言っているのかさっぱり分からない。
突然顔を見つめてフャオーンと妙な声を何度も出す。
魚を料理していた訳でもなく、ただコーヒーを入れているだけだから、
食べ物をくれと言っているのではないのだろう。
猫達がこんなふうに、突然話しかけてくることがあるが
何を言っているのかが分からないので悲しくなる。

「ママの店15」     

「あの・・・ちょっと聞きたいんですが」

いきなり彼女が声を掛けて来た。
でも、誰に話しかけたのか分からない。
ママも洗い物の手を止めた。
物凄い速さで中田先生、ママ、私との間で
目だけの協議が行われ、中田先生が頷いた。
ここは一番先生に任せようということだ。

「どうしたんですか、何か ? 」

と先生が何でもないような顔で聞く。
ソファーの彼女は
真っ直ぐな視線をこちらに向け、

「ここはいったい何処なんでしょうか、
 いえ、夢を見ていることは
 分かっているんですが」

そこまで言ってから彼女は下を向き、
ククッと笑った。

「変ですよね、
 私変なことを聞いてますよね。
 夢と分かっていたら、
 ここは夢の世界なんだ・・・」

彼女は何がおかしいのか、
手のひらを
顔の前でひらひらと振りながら
笑うのを止めなかった。
夢だと知りつつも、
ここが何処か知りたい・・・
それは自分の不安から出た思いなのに、
矛盾を感じて笑っているのだ。

「別に変なんかじゃないですよ。
 ここにだって
 ちゃんとした地名があります」

中田先生の言葉に、私も思わず
そうだそうだと頷いていた。

「えっ、地名があるんですか。
 じゃあ、教えてださい、
 ここは何処ですか」

彼女は笑うのを止めて真剣な顔をした。

「昭日町といいます。でも、確かに
 あなたが思っていらっしゃるように、
 ここは異世界です」

異世界・・・そうなんだ、ここは異世界。
理解しているけれど改めて聞かされると何か
とても変な気持ちになってくる。

「そうですか、ここはアケビマチなんですか」

そう言ってから彼女はまた沈黙した。

「そちらに行ってもいいですか、
 少し一緒に話をしませんか」

中田先生もなかなか積極的だ。
少しのチャンスをガッチリつかむタイプらしい。
彼女は一瞬間を置いてから、どうぞと言った。
それを聞いたとたん、
犬山さんリリーさん、涼子さん、
ママ、良太君に
恵子ちゃんまでがワンコを抱いたまま
彼女の座っている側に集まった。
もちろん私もだ。
何か全員集合してしまったのが
恥ずかしくなり、私は照れ隠しのつもりで
口の中で舌を転がし、目を宙に彷徨わす。
先生はわざとカラ咳きをゴホンと出し、
ママの眉は左右のバランスが崩れている。
涼子さんとリリーさんは
顔を見合わせてクスッと笑い、
それにつられて犬山さんもニヤッとした。

「私ってそんなに珍しかったのかしら」

彼女が呆れたように言うと、

「そういうことですね」

中田先生が答えるのと同時に全員が声に出して
笑っていた。

〜つづく
                      
(ママの店12前編) (ママの店12後編)
(ママの店13) (ママの店14)
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

電子出版「短編集 闇の中の住人」

「特別番組 幽霊の話」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
2006.10.16. (00:15) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(15) /
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