
皆同じ時に生まれたはずなのに、
何故かシマジロウだけいつまでも子供っぽい。
遊んでーと言うように兄妹達の側に飛んで行っては嫌がられ、
鬱陶しがられてしょんぼりしている。
皆もう子供じゃないんだから、ご飯をいっぱい食べたら
ゆっくり毛づくろいをしたり、顔を拭いたりしたいんだよ。
それでぜーんぶ終わったら寝るの。
でも、皆もう子供じゃないからって、
そんなことシマジロウには通じない。
遊んで遊んでってまた追い掛け回したりして、
ホラ・・・嫌っていう顔をしたカリンに殴られた。
「ママの店15」 1 2 3 4 5おかげで彼女の顔から
ピリピリとした緊張感がなくなり、
和やかな笑みを浮かべた彼女は
最初見たとき感じた通りの、
涼しい目元をした美人だった。
話がしやすいようにと
皆でソファーとテーブルを移動して、
ママと涼子さんリリーさん、
良太君、恵子ちゃんも手伝って、
飲み物とケーキ、クッキーなどを
テーブルに並べ終わると、
彼女の歓迎会の席の出来上がり。
「え・・・と、じゃあ
自己紹介といきますか」
中田先生が言った。
「それじゃ、まずは私から。
私は中田弘之と申しまして、
この近所にあります
総合病院の小児科医です。
パンを焼くのが趣味でして、あっ」
よけいなことを言ったか、
というような顔になった。
「・・・まあ、
子供達に配ったりしております。
そういうことで、よろしく」
中田先生は相手が美人の女の人だと
すぐに赤くなる。
次は犬山さんだな。
「犬山猛と申します。今は無職です。
私もあなたと同じように
いきなりこちらの世界に来てしまい、
どうしようかと思っていたとき、
こちらのママさんに拾われました」
犬山さんの言葉に
ママは照れ笑いしながら、
そんな、拾っただなんてとんでもない
と言って顔の前で手を振った。
「リリーです。
今は犬山さんと暮らしております」
リリーさんがウフッと笑い、
チラッと犬山さんを見ると、
犬山さんが
恥ずかしそうに頭を掻きながら、
そう言うことで、と笑った。
うわぁ、リリーさんと犬山さん、
やっぱりそうだったんだ・・・
「一応画家なので、毎日絵を描いています。
こちらの世界、楽しいですよ。
きっとお気に召すと思います」
リリーさんはとっても嬉しそうだ。
次は・・・涼子さんだな。
「香川涼子と申します。
私もごく最近こちらにまいりました。
これは娘の恵子です。
私と娘がこうやって一緒にいられるのは
皆この方達のおかげなんです」
涼子さんが
感謝を込めた目で私達を見回している。
中田先生がまたゴホンと咳きをして、
良太君の肩に手を置いた。
「あ・・・この子は良太と言いまして、
今は私の息子のようなものです。
あ、でも私はまだ独身で」
中田先生は何でこんなに焦っているのだろう。
「良太でーす。
こいつはおいらの犬で名前はワンコ」
良太君は
恵子ちゃんの抱いているワンコを指さした。
彼女は目を細めて良太君を見て微笑んでいる。
あ、次は私の番だな、
「えぇっと・・・僕は豊って名前なんですけど、
実はビジターでして、
もともと名無しだったんですが
この中田先生に豊ってつけてもらったんです。
一応大学生です」
「ビジター?」
私がビジターと言ったのが引っかかったらしく、
彼女は首を傾げた。
「ビジターって何ですか?」
彼女の問いに、私が答えようとしたら
中田先生が先に口をはさんだ。
もう、先生ったら
彼女と喋りたいもんだから・・・
「あ・・・ゴホンッ、
ビジターと申しますのはつまり、
まだ完全には
こちらの住人になっていないってことで、
まあ、あなたと同じように
夢の中からやって来たってことです」
「そうなんですか、じゃあ私もビジターなんだ」
彼女はそう言って笑った。
気のせいかどことなく影がある。
「では、私も自己紹介を。
私は山中商会の社長秘書をしております
西山和美と申します。
年は・・・三十歳で、独身です」
〜つづく
(ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 幽霊の話」
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2006.10.17. (00:50)
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