オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
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チャコを病院に連れて行った 昨日の夜チャコの胸にシコリを発見した。パチンコ玉より二回りくらいの大きさの丸いシコリだ。一瞬目の前がクラッときた。ゴンが発病した時のことを思い出したのだ。去年逝ったゴンは癌だった。 今日の昼、チャコをバスケットに入れて病院に行った。院長先生が久し振りやね、といって笑ってくださったが私の顔は心配のあまり引きつっていた。診察してもらっている間中生きた心地がしなかった。 手術は覚悟していたが、何より怖いのは癌と言われることだ。 結果、チャコは乳腺炎を起こしているとのこと。このまま様子をみて、大きくなるようだったら手術するが、変わらずだったら放っておきましょうと言われた。というのもチャコはもうすぐ11歳になるのだ。 この年齢になると、出来るだけ麻酔手術は避けたほうが良いらしい。 今日からチャコは他の 猫達と離れてケージで寝ることになった。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39私達は集まり、 破壊の方法を話し合うことにした。 肺の片方が出来上がっている以上 我々に与えられた時間はあまり無い。 ダイナマイトとか持ってくりゃ 良かったかも、と私が言うと、 ママは首を横に振った。 「そんなことをしたら、 バラバラになったこいつらが それとばかりに襲ってくるわ。 数が増えてやっかいなだけよ」 ふと恵子ちゃんを救出に出かけた 時のことを思い出す。 そうだ、あんなことはもう嫌だ。 肉の欠片だったらまだいいが、 手や足や頭のパーツだったら、 いや、それどころか 小さな人間や動物の姿をしていたら、 私にはとても戦う自信が無い。 「これから声で話すのはやめましょう。 敵に作戦を教えることになるからね、 みんな頭で私の声を聞いて」 私はママとテレパシーで 会話することに慣れている。 他の皆はどうなんだろうと思い 顔色を窺うと、 皆ごく普通に頷いている。 何だ、皆テレパシーが使えるんだ。 そりゃそうだな、 私がビジターなだけで 皆はこっちの世界の人達なんだから。 でも、何かやっぱりまた少し気分が悪い。 ママとテレパシーで話せるのは 私だけだと思っていた。 「まず中田先生に 聴いておきたいことがあるから ちょっとそのままで待っていて」 今ママは中田先生とテレパシーで 話をしている。 きっと心臓の仕組みとかを 聴いているんだ。 さっき先生がしてくれた 心臓の説明を思い出した。 アレを理解するには そうとう時間がかかるだろうと 覚悟していたが、 思ったより時間はかからなかった。 「今、私の声は全員の頭の中に 届いているはずよ、よく聞いてね。 先生の説明によると、 この心臓からは何本かの 主要になる血管が伸びている。 さっきの場所は右心室で、 あの開いた弁から流れて来たのは 肺からの血液、つまりあの血管は 肺動脈なのよ。 あの血管を断ち切れば、 肺は壊死するわ。だから今から 心臓から伸びている血管を 全て断ち切ってしまうの。 そうすれば心臓以外の 臓器が造れないでしょ」 そうか、心臓から出ている 血管さえぶった切れば・・・ ちょっと待て、こんなに太くて 固く、しかも弾力性のある血管を これだけの少人数で切るのか ? 「やるしかないわ。 私達皆で力を合わせれば、 必ず切れる」 いや、でもさっき中田先生が 突き刺して意識が無くなったよ。 皆も私と同じことを思ったのか、 動揺している気配が伝わって来る。 「刀を見て、私が刀を パワーアップさせて見せるから」 皆それぞれ手にした刀を見つめていると、 全長一メートル、幅二十センチ、 中心の厚み五センチほどの刃は、 握り締めている柄から上に向かって 流水のようなスピードで、 瞬く間に青銅独特の鈍い光から、 研ぎ澄まされた ダイヤモンドの輝きを帯びた、 素晴らしく立派な刀に変身した。 おぉっ・・・と皆の 感嘆の溜息を漏らす声が頭の中に 聞こえてくる。 〜つづく (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12) (Memento mori)
2006.11.30. (00:30) 猫 /
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フクの頭に生姜漬けが 食事の時いつも私の膝にフクが乗る。 食べ物を落とさないように気をつけているんだけど毎回何か落下する。 今日はピンクの生姜漬けが一つ頭の上に乗ってしまった。  マイミクのお友達のアンズママさんに送ってもらった赤ちゃん人形。 まるで本物みたいに見える。 ペリーちゃんと命名した。 猫達の反応 「また人形か・・・部屋狭いのに、ダッコしたらシッコかけるからね」ヤキモチの目つきだ。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38「ミクロの決死圏って、 人の体内に入って冒険する話 でしたよね、 もう忘れちゃいましたけど」 犬山さんの言葉にママはコクリと頷き、 「そうね、でも私達は 冒険するんじゃなくて破壊するのよ」 心臓の音に負けじと、私達の会話も 自然大声になる。 あのー、と叫んで 涼子さんがママの顔を見た。 「もし、破壊しなくて 全身が出来ちゃったとしたら、 さっき和美さんが言ってたように、 昭日町を侵略して来るのでしょうか」 私もそのことが気になっていた。 昭日町は私が愛してやまない世界、 もし侵略されたら 私は何処へ行けばいいのだ。 現世に戻る方法も分からない今、 私のいる所は昭日町以外にない。 私はママがどう答えるか見守った。 ママは甲冑を被った大きな頭を ゆっくり横に振る。 「そんなことは不可能よ。 どんな化け物になったとしても、 侵略は出来ない。 侵略どころか そういう考えを持った者は 私達の世界に入ることすら 出来ないはずよ。 愚かな人間は権力を振りかざせば 何でも出来ると思い込んでいる。 そういう人達が悪霊になるの。 私達の世界に悪霊は住めないわ。 悪霊は悪霊の行くべき世界に行くのよ。 だから、私達の所には来れない」 「でも、あの影はどうして 入って来れたんでしようか、 あれは立派な悪霊ですよ」 犬山さんの言葉に涼子さんも頷いた。 中田先生は話に入らず、 心臓から伸びている血管を触って 何か考えている様子だ。 「あの影は和美さんが夢の中で 作った物よ。 和美さんが生きている間は 私達の世界に存在出来たけど、 今はもう・・・ 気づかなかった ? 」 犬山さんは何か気がついたように ハッとした顔になったが、 涼子さんはまだ首を傾げている。 「だから、ほら ここはもう異世界なのよ。 私達の世界じゃないわ」 あっ、と涼子さんが声に出した。 そうだ、よく考えてみれば、 ここは異世界なんだ・・・ でも、こいつらがいくら頑張っても、 昭日町に来られないのが分かっていて、 私達はどうして こんな危険を冒してまで、 破壊しようと頑張っているんだろう。 私がそう思ったとたん ママは私の心を読み、 それはね、と言い出した。 「私達は和美さんを救いに来たのよ。 あの人は、 本当は綺麗な心を持っているの。 でも、不幸な境遇に 悲しんでいる和美さんに、 悪いモノが取り憑いたのよ。 自分の悪を知ろうともしないで、 羨んでばかりいる愚かな霊に、 和美さんは利用されているの。 さっき、和美さんが一番最初に 言った言葉を覚えている ? 」 私は記憶を引っ掻き回してみたが、 和美さんが初めに 何を言ったのかなんて もう完全に忘れてしまっていた。 「私は自分の欲のために、あの人を 殺してしまった・・・ そう言ってたよ」 私達の話なんて 聞いちゃいないと思っていた中田先生が、 いきなり発言した。 先生はさすがだ、肝心なことは ちゃんと覚えている。 私が感心していると、 涼子さんも犬山さんも、 そうでしたねと言って頷いた。 何だ、私だけ忘れていたと言うことか。 ちょっと気分が悪い。 「さあ、破壊しましょう ! 」 ママの声が高らかに 果てしない闇の空間に響き渡った。 〜つづく (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12) (Memento mori)
2006.11.29. (00:50) 猫 /
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ダッコ大好きシマジロウ ダッコされているときはこんなに可愛いシマジロウなのに、 あんなに悪いことをしたらお母さんは怒らないわけにはいかないよ。 お前は気が小さいから、 大きな声が怖いんだろう ? お母さんも出来るだけ大きな声で怒らないであげたいけど、 今日もお前は チャオを追い詰め、 鼻炎で鼻水の止まらないチャオの鼻を前足で殴っただろ ? いくら言っても止めないから怒鳴られたんだよ。 チャオは鼻炎が悪化して、鼻水垂れて本当に可哀相だったよ。 そういう悪い子はもう当分 ダッコしてあげないんだからね。 分かったか、 シマジロウ。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37先生 、大丈夫 ? と 皆口々に叫びながら 中田先生に駆け寄ると、 先生は仰向けになったまま 大きく息を吐き、皆の顔を見回している。 どうやら意識が戻ったようだ。 「あぁ、大丈夫だ。 ちょっと背中が痛いがね」 「先生、あのまま吸い込まれて しまうんじゃないかと思って とっても心配したよ」 私が言うと先生は、 ゴメンな、と言って笑った。 犬山さんと私とで先生を支え、 上体を起こしてあげると、 先生はありがとうと言いながら、 首や腰を回している。 そのとき、肉壁がいきなり ブルブルと激しく震えだしたので、 一同蒼然となったが、 肉壁は突き刺さった先生の剣を ペッと吐き出すと、 すぐに静かになった。 返してきたよ、と先生が 苦笑いしながら剣を拾おうとした時、 「あなたたち・・・帰れない」 いきなりか細い声が耳に飛び込んで来た。 和美さんだ。 皆ギョッとして和美さんを見る。 中田先生はすぐに 剣を拾って握り締めた。 帰れないってどういうことなんだろう。 「私達はあなたを助けに来たのよ。 あなたもここから抜け出したいと 思っているんでしょ」 ママの声は冷静だがとても厳しかった。 和美さんは血管の間から、 哀しそうな目でママを見つめている。 「私は自分の欲のために、あの人を 殺してしまった・・・」 この人は自分のしたことを 悔やんでいるんだと 哀れに思った次の瞬間、 和美さんの目尻がつり上がった。 「あの女に取られるなんてまっぴらよ。 私はここを出て、 あの人とあの町で暮らしたいの。 ねえ、今すぐ私を助けて」 和美さんは目を血走らせて必死だ。 しかしママは首を横に振り、 「あなたは自分のしたことが どれほど重いことだか 分かっていないのね。 自分はともかく、 一人の人間の人生を あなたのエゴで 奪ってしまったのよ。 しかもその人はあなたの実の兄、 許されることじゃないわ。 あなたが心から 悪かったと思わない限り、 私達はあなたを ここから助け出すことは 出来ないのよ」 ママは静かに和美さんを諭した。 「クソッお前も敵か」和美さんが唸る。 「お前達は皆殺しだ」 和美さんの 噛み締めた口の両端に亀裂が走り、 たちまち血が滴り落ちて来る。 「もうすぐだ、 もうすぐ私の体が出来る。 体さえ出来たら、 お前達の住んでいる町を 奪いに行ってやる」 その声はもう 和美さんのものではなかった。 耳のあたりまで裂けた口を大きく開けて、 太い男のような声でそいつは吼えた。 「そんなことをしても無駄だ、 いくら悪霊を集めて膨れ上がっても、 あんたは行くべき所に行くだけだ」 私の大切なあの町を何と心得る、 そう易々と こんな奴に奪われてなるものか。 私の怒りが頂点に達し始めた時、 「血液が流れ始めたわ ! 」 涼子さんの叫び声で我に返った。 慌てて彼女が指差す方向を見ると、 今まで臭い風を 噴出す為にだけあった弁が全開になり、 そこからドクドクと夥しい量の 赤黒い血液が流れ込んで来ていた。 「他の内臓が出来上がって 血管が繋がったんだ」 犬山さんがつぶやいた。 中田先生の言った通りになってきた。 ぐずぐずしていると 私達のいる所に血液が充満してしまう。 「ママ、ここは一旦外へ出よう」 私は慌ててママを見た。 ママは目を閉じ呪文を唱え出したが 少し苦しそうに見えるのは気のせいか。 やがて周りの肉壁がグニャリと歪み、 我々は心臓の外へ出たのだが、 いきなりドーンドーンと 大音量の音が耳に飛び込んで来て、 自分自身の心臓が止まりそうになった。 キャッと叫んで涼子さんが 耳を押さえてうずくまる。 涼子さんだけではない、 ママも犬山さんも中田先生も 全員耳を手で塞いでいる。 これはいったい何の音なんだ・・・ 「心配いらない、これは心臓の鼓動だ」 中田先生が大声で教えてくれたので、 私達はゆっくりと耳から手を離した。 何の音か分かってしまえば、 耐えられないほどの大きさでもない。 それにしてもあたりは真っ暗だ。 目が闇に慣れるのに 少し時間がかかったが、 やがて足元の肉壁から伸びる 四本の真っ黒い 太いチューブに気がついた。 その先は暗い空に飲み込まれていて どこに繋がっているのか 分からない。 「心臓の上部に出たみたいだな」 中田先生が辺りを見回しながら言った。 先生は心臓の構造が完全に 把握出来ているから平気みたいだが、 知識の無い我々は、 自分が今何処にいて、どんな状況に 置かれているのか分からず不安だ。 ふと背後が気になり振り向くと、 ピンク色の不気味な壁が出現していた。 ありゃ何だろう、と私が言うと、 中田先生が「肺じゃないかな」と 教えてくれた。 ほう、人間の体内って こんなふうになっているんだ・・・ って、感心している場合ではない。 「ミクロの決死圏だわね・・・」 ママが古い映画の題名を口にした。 〜つづく (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12) (Memento mori)
2006.11.28. (00:16) 猫 /
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ガスラって何 ? 我が家の マンションのダストシュートに貼ってあるプレート。 書いてあるこの文字がいつも気になる。 ガスラって何 ? ガスラを捨てるなとのことなんだが、ガスラって響きがとても怖いのは私だけだろうか。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37・・・本日のママの店はお休みさせて頂きます・・・ 店主敬白 特別番組 メメント・モリ(Memento mori) 私はいつもイヤホンで音楽を 聞きながら原稿を書いております。 書きたい小説の内容に合った曲を選び、 それを何度もリピートさせながら イメージを広げていくのですが、 数ある曲の中でも、 映画「田園に死す」 (天井桟敷・人力飛行社)の挿入歌、 ZUNTATAの「Fear」が好きです。 ある時「暗い日曜日」という CDを入手しました。 それを聴き始めてから、 おもしろいほど筆が進み、 書き上げたのが、文芸社から出版した 「ひとでなしの倫理」です。 「暗い日曜日」と言えば、ご存知の方も おありだと思いますが、 曲調、歌詞ともに陰鬱なこの曲は 「自殺ソング」として知られていて、 ハンガリーではこの曲を聞いて 何十人もの人が自殺したらしく、 作曲したシェレッシュ・レジェー自身も 1968年、投身自殺を遂げているという 曰くつきの曲です。 最初聴いた時は さほど何も感じませんでした。 イージーリスニングとして丁度良い 静かでやさしい曲だなと思ったくらいです。 ストーリーも浮かんできますし、 こりゃ丁度いいわいとばかりに イヤホンで一日中 「暗い日曜日」を聴いておりました。 この曲が噂通りの呪いの曲なら、 私はとっくに死んでいるはずです。 原稿を出版社に送った後も、 私はその曲を聴きながら 短編や掌編を沢山書いていきました。 HPにはUPしておりませんが、 「解体屋」という作品もあります。 「暗い日曜日」を聴いて 思い浮かぶのはやはり死で、 死をテーマとしたものなら おもしろいくらい書けるのです。 「暗い日曜日」が 自殺ソングであるのなら、 私はその死への誘いを 小説の中に封じ込めてしまったから、 現在でもまだ生きておられるのかも 知れません。 でも、確かに私はその曲を聴いてから 死後の世界に憧れを持ち始めました。 その表れが、今ブログで連載している 「ママの店」です。 ママの店は昭日町にあり、そして その昭日町は死者の町なんです。 私は書くということにより、 毎日その町に行っております。 そこには亡くなった両親や、 愛 猫がおります。 現世界には優しい夫と娘二人、 12匹の 猫達がおり、 傍から見れば私の生活は 幸せそのもののに見えているでしょうが、 実際は私にも、 生きて行くということが 辛く虚しく感じる時があるのです。 普通なら取るに足らないような 出来事に心が傷つきます。 物事がマイナス思考でしか 考えられなくなり、 私さえいなければ家族はもっと 幸せになれるのではないかなどと、 とんでもないことを考えてしまうのです。 15Fの我が家のベランダから 下を見下ろしていても、 普通なら落ちる自分を美化して 想像することはないはずです。 もし落ちたら背骨はバラバラ、 打ち付けた体の部分は瞬時に腫れあがり、 見るも無残な姿になります。 それの何処に甘美な憧れが あるというのでしょう。 そういうふうに 普通の神経では理解出来ないことが、 ふと頭に浮かぶのは、やはり 「暗い日曜日」を聴いてしまった せいなのでしょうか。 「暗い日曜日」の旋律は 心の中から死の恐怖を払拭してしまう 効果があるのかも知れません。 メメント・モリ(Memento mori) 生きている以上死はいずれ訪れるものです。 そして特殊な人を除いて、 誰もが死を恐れています。 その恐怖心を取り除く効果を この曲は持っているように思えるのです。 でも、それって とても恐ろしいことなんじゃないでしようか。 怖くなければ、 だれもが皆逝ってしまいますからねえ。 (注) メメント・モリ(Memento mori)はラテン語で 「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」 という意味の警句である。日本語では「死を想え」 (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12)
2006.11.27. (00:08) 猫 /
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ナナは不思議な猫 ナナは時々左右アンバランスになった空ろな目をして、 ぼんやりとしていることがある。それはまるで 記憶喪失になった人間の目のようだ。ひょっとしたらナナは前世が 人間だったのかも知れない。人間だったときのことを断片的に思い出すから、風呂場やトイレを覗きに来たり、私たちがやっていることをとても興味深そうに見ていたりするのだ。人間はお出かけのときハンカチとティッシュを持つ。だからナナはそれらを私に届けてくれるのだ。飴もそうだ、なめると甘くて美味しいことを知っているから持って来て喜ばせてやろうとするのだ。 「こんなんもってきたよ」ナナの目はそう語っている。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36今は和美さんのしたことを 責めている暇はない。 どうやって和美さんをこの肉壁から 救い出すかだ・・・ 和美さんの回りを切って、 壁ごと穿り出すしかないだろう。 「切り取って救出しようか」 私がそう言うと、皆もそれしかないなと 言いながら頷いた。 「和美さんに刃が当たらないように 気をつけてあげて」 ママが心配そうに言う。 分かったと頷き、私は切る場所を 選びながら考えていた。 デカイといっても所詮肉、 刀にはかなわないだろう。 私は場所を決め、剣で肉壁を突いてみた。 肉壁は変に弾力があって、 押せばひっこみ離せば戻る、 何回も試みたが、 剣を突き刺すことは容易ではなかった。 じゃあ、切りつけたらいいのでは、 そう思った私は剣を構え、 エイッとばかりに切りつける。 肉壁は私の動きを風で読んだか、 フィッと窪みを作る。 生きているんだ・・・ この心臓自体が一個の生き物なんだ。 「だめだ、何をしてもこいつを 傷つけることすらできないよ」 私が溜息とともにそう言うと、 中田先生が、私がやってみようと言い、 肉壁に静かに刃をあてて目を閉じた。 そして静かに息を吐きながら スーッと刃を下に動かしたのだが、 その瞬間肉壁もさるもので、 スッと後ろにへこませる。 「だめだ・・・」 先生はあきらめの溜息をついたあと、 いきなりマッハの勢いで 腰をかがめ刀を前に突き出した。 それは本当に私達が考えもしない行動で、 今度ばかりは肉壁も 先生の行動が読めず、 避けることが出来なかったと見えて、 切っ先をしっかりと深く 食い込ませてしまっている。 やったあ ! ママ達もオォ ! と歓声をあげた。 「先生やるね、油断させといて 突き刺すなんて考えもしなかったよ」 でも先生は何も応えない。 さっきから同じ姿勢のままだ。 「何で抜かないの ? 」 私はふと不安になり 先生の顔を見る為に前に回った。 甲冑を身に着けているため、 先生の動きがよく分からなかったが、 よく見ると先生は目を血走らせ、 必死に刀を 肉壁から抜こうと頑張っている。 両手で柄を握り、片足を肉壁に当てても 突き刺さった刀はビクともしない。 「抜けなくなったよ、物凄い力で 吸い込んでるみたいだ」 呆然として見ていた涼子さんとママが、 慌てて先生の腰に食らいつき、 犬山さんと私も先生と一緒に柄を握り、 渾身の力を込めて引っ張ったが 刀はびくともしない。 「刀はもうあきらめましょう。 こんなことをしていたら 一緒に吸い込まれてしまうわよ」 ママがゼイゼイと 荒い息をしながら言ったので、 皆あきらめて手を離したが、 中田先生だけがまだ柄を握ったまま 離さない。 先生 ? 声をかけて先生の顔を覗き込むと、 目は開いてはいるのだが、 どことなく空ろで 遠い所を見ているように思える。 「大変だ気絶してるよ」 私が叫ぶと、犬山さんと涼子さんも 中田先生の顔を覗き込んだ。 「何てことだ・・・」 犬山さんがつぶやくと、涼子さんが 両手で顔を覆った。 「落ち着いて。大丈夫よ」 ママは私達に声を掛けた後、 両手を胸の前で組み、 ブツブツと呪文を唱え始める。 ママの呪文が効くのに それほど長い時間は掛からなかった。 先生はいきなり大きな息を吐き、 刀の柄から手を離した勢いでドオッと 後ろに倒れこんだ。 〜つづく (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12)
2006.11.26. (00:50) 猫 /
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牛乳タイム 湯たんぽを作っている間、猫達は 牛乳タイムになる。温かい牛乳をお腹一杯飲んで ホカホカのまま寝ようね。チャコが湯たんぽが気になるらしく台所ばかり見ている。早く飲まないと取られちゃうよ。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35「あのう・・・先生の説明を伺って ちょっと嫌なことを 思いついたんですがねえ」 さっきからずっと黙っていた 犬山さんが、 中田先生に話しかけた。 先生は犬山さんが自分の説明を 聞いてくれていたと言うことが よっぽど嬉しかったのか 満面に笑みを浮かべ、 何ですか ? と聞き返した。 嫌なことって何だ・・・ 先生の喜びに反して、 私は犬山さんの言葉に 胸騒ぎがしてたまらなかった。 「心房と心室は常時血液が 溜められてあるってことですよね、 今まだ各器官が造られていないから 血液が流れてこないけど・・・」 犬山さんは肉壁に食い込んだ 無数の黒い血管を指差し、 次にさっきから開いたり 閉じたりしている穴を指した。 「心臓本体の血管は もう出来ているようですね。 心室心房の境目にある弁も 動いていますね、 後肺とか胃とかの臓器が出来て、 それと繋がったら 血液が一気に流れ込んで 来るのではないでしょうか」 嫌な予感は的中した。 こんなことをしている場合ではない。 我々は急いで 和美さんを捜さねばならない。 でも、巨大な心臓ゆえに、 我々が穴を潜り抜けるときに、 きっと弁が物凄い力で 押し返してくるはずだ。 へたをすれば押し潰されかねない。 ベッコンと大きな音を立てて 分厚い弁が開き、大量の 生臭い風を吐き出しては また閉まるのを見て、 この弁を潜り抜けることが いかに無謀なことだと言うことを 感じないわけにはいかなかった。 「ねえ、ここから先に進むなんて 出来っこないよ。 ママはテレポート出来るんだから、 和美さんの姿を透視してくれて、 それからそこに飛んだら いいんじゃないかな」 私の意見に、 中田先生以外の二人は お互いの顔を見合わせた後、 そうしてもらえれば 有難いですと頷いた。 ママは私の顔をチラッと睨み、 仕方がないわねと言って 和美さんを捜す為に目を閉じた。 私はさっきのママの態度が 引っかかっていた。 透視やテレポートが出来るのなら、 その力をフルに活用すればいいのに、 何故ママは その力を出し渋るのだろう。 誰かに足を蹴られ、振り向くと 中田先生だった。 何 ? と ママの邪魔にならないように 小声で聞くと、先生は小さな声で、 「ママさんは透視したり移動したり する度に相当のエネルギーを 消耗しているんだ。 今あんまり力を消耗してしまったら、 いざと言う時使えなくなることを 心配してるんだよ。 ここに血液が充満して、 逃げないといけないときに、 テレポートする力が残ってなかったら どうしようもないんだからな」 そうだったんだ・・・ ママは何かやった後 必ず放心状態になっている。 酷いときは失神することもあるのだ。 ママ、ゴメンと心で詫びて、 私はママが 和美さんを見つけてくれるのを 待つことにした。 「いたわ、ここからそんなに 離れてないところに彼女はいる。 悪いことに血管に縛りつけられて 壁に埋め込まれているわ。 今からそっちへ飛ぶからね」 ママが最後まで言い終わらないうちに、 もう私達は別の場所に移動していた。 そこはさっきいた場所と そう違わない風景で、 違っているのは肉壁に和美さんが 埋め込まれ、顔だけがかろうじて 見えている状態だったことだ。 ドックンと肉壁が後退する度に 和美さんの顔が見えなくなり、 また現れるを繰り返している。 「和美さん、聞こえる ? 」 ママが声を掛けると、和美さんは 薄っすらと目を開けた。 「あ・・・あの人はどこ」 開口一番に和美さんの口から 出た言葉は社長のことだった。 「折角一緒に来れたというのに また離れてしまったわ」 和美さんは全身を締め付けられる 苦しさに喘ぎながら涙を流し、 愛する社長と離れてしまったことを、 嘆き悲しんでいる。 「何で自殺なんかしたの ? 一緒に死んだからといって、 あなたは社長と同じ場所へは 行けないのよ。今のあなたは、 あなた達の世界で言う 地獄に落ちているの」 和美さんは顔の筋力を、 すべて失ったかのように 眉も目も鼻も口もだらしなく下がらせ、 その目からは累々たる涙を、 その鼻腔から鼻水を垂らし、 口からよだれを滴らせ、 おうおうと叫びながら泣き始めた。 〜つづく (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12)
2006.11.25. (00:12) 猫 /
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ナナの飴 私ら一家は久しぶりに今日カラオケに出かけた。 昼も外で食べたので五時間は家を留守にしてしまった。 猫達、とくに ナナには申し訳ないと思いながらも、やっぱり たまには私らも遊びに行かないとストレスが溜まる。 照明もちゃんと付けて行ったし、ご飯もバッチリ食べさせた。 後ろ髪を引かれる思いは家を出るときだけで、時間とともに正直忘れていた。それで日が暮れた頃戻って来て恐々ドアを開けたのだが・・・・ やっぱりそこにナナがおり、 飴も置いてあった。 今日から湯たんぽだ〜別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34一瞬目の前が サーッと暗くなり、私達は ドアの向こう側に出た・・・ はずだった。 「ねえ、何か変だよ」 私の言葉に涼子さんも鼻元を手で覆い、 「何か、臭くありません ? 」 「あぁ、確かに臭うな。とても悪い 予感がするよ・・・」 中田先生が沈んだ声を出した。 出る所を間違えたんじゃない ? と 私が言うと、ママは首を振り、 「いいえ、間違ってなんかないわ。 私達は確かにドアの向こう側に 出たのよ」 「えっ、それじゃここが店だというの ? それにしちゃ随分薄暗いし、 ジメジメしていて 気持ち悪いくらい生暖かいんだけど。 床もほら、ぬめぬめしているよ、 気をつけないと滑りそうだ」 私は足で床を探って見せた。 「内臓、の中だ・・・・」 中田先生がポツリとつぶやき、 ママが黙って頷いた。 ゲッ、だからこんなに臭いんだ。 「それじゃ、あの心臓が 巨大になったってことなのね」 涼子さんの声が震えている。 「まさかこんなに早く 大きくなるなんて思わなかったわね。 きっと店一杯に膨れ上がってるのよ」 ママが唸った。 アイツの体内に 入っちゃったってことか・・・ 私達が喋る声が 回りの肉壁に反響している。 この感じは以前経験したことがある。 そうだ、焼き飯を たらふく食べて寝た為に、 悪夢を見て 胃の中に閉じ込められたことがあった。 まるきりあの時の状態、 生臭い臭いも同じだ。 薄暗さに目が慣れてくると、 周りがよく見えてくる。 赤い肉壁には無数に、 黒く太いコードのような血管が うねりながら張り付いており、 規則正しい収縮を繰り返している。 「この心臓は悪霊が 造り上げているんだよね、 いったい何の為に 心臓なんて造ったんだろう。 べつに手とか足でも 良かったんじゃないか ? 」 私は恵子ちゃん救出の時のことを 思い出していた。 攻撃して来るつもりなら、 内臓なんかより手とか足の方が よく使える。もっとも、 どうしても内臓って言うのなら 心臓よりは 胃とか腸の消化器管のほうが 殺傷能力がある。 私は胃の中で溶かされかけたことを 思い出した。 「人間を造り上げようとしているのよ」 えっ ! ママの言葉に全員が 息を飲む。 いったい何の為にわざわざ・・・ 「皆憧れているのよ、明るい世界で 今度こそ幸せになりたいって」 「幸せになりたいなんて変だよ。 あいつ等は悪霊でしょ、 神を滅ぼし悪魔を降臨させて 世界を支配させると言うのなら 分かるけど」 「あんたは映画か小説の読みすぎ。 何度も言ってるけど、 神も仏も無いの。 悪霊になった原因は、 妬み恨み悲しみ、歪んだ快楽、 共通点は自己中心な心。 だから、どうすれば幸せになれるか 分からない。 霊ほど弱いものはないの、 実体が無いんだからね。 だから人間になりたいのよ」 ママの言葉に中田先生が、 「人間に生まれ変われないのなら、 自力で人間になろうと 言うことなんだね」と言うと、 「そういうことです」とママは頷いた。 「私達はこれから どうすればいいんでしょうか」 涼子さんが不安そうにママを見る。 「そうね、まず和美さんを 見つけましょう」 私達の目の前には不気味な肉の壁と、 開いたり閉じたりしている 穴があるだけだった。 「ねえ、心臓ってどんな構造に なっていたっけ」 道が分からなければ、和美さんを 捜すことは難しい。 ここは一番、専門家の中田先生の出番だ。 「じゃあ、簡単に説明しよう」 「そうですね、すみませんが 簡単にお願いします。 あまり時間がありませんので」 ママが頭を下げた。 中田先生はコホンと一つ咳きをして、 「ヒトの心臓は二対の心房・心室、 つまり右心房、左心房、 右心室、左心室から成る。 心臓は血液の逆流を防止する為に 4つの弁を持っていて、 弁は右心房と右心室、 右心室と肺動脈、左心房と左心室、 左心室と大動脈の間に存在し、それぞれ、 三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、 大動脈弁と呼ばれる。であるからして」 先生の口から、あまりにも専門的な言葉が スラスラと出てきた為に、 ママも涼子さんもポカンと口を開けたままだ。 これはいけない止めなくちゃ。 「あ、先生もういいよ。 何かよく分かんないけど、 つまり、ここは何処 ? あと何個こういう場所があるのさ」 先生には悪いが医学の講義を 受けている暇はない。 先生はちょっと 機嫌が悪くなったみたいだったが、 ママがまた、お願いしますと言ったので 気を取り直し、 「ここは、四つある 心房か心室の何処かだと言うことだ」 とつぶやくように言った。 〜つづく (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12)
2006.11.24. (00:56) 猫 /
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シマジロウ 七年以上前、ナナの出産が間近になったとき、 何匹生まれるかレントゲンを撮った。 写真にはシュウ達兄妹がはっきりと写っており、 先生は五匹だとおっしゃった。 端っこのほうに小さな塊のようなものが見えたので、 「これは・・・」と聞くと「あっ、 ウンチでしょう」と言われた。 もうすぐお産ですと言われたので即刻産屋を作り、ナナを寝かせたら ポコポコとシュウ達が生まれてきた。数を数えるとちゃんと五匹。 ナナのお尻のあたりに何やら毛の塊がある。 アレ?と思ったが多分 毛玉だと思い、捨てようと摘んだら モゾッと動いた。それが シマジロウ。お腹の中ではウンチ扱いされて、生れ落ちたら毛玉扱いされてしまった可哀相な子。そのせいか、 シマジロウはとても気が小さくオドオドとした性格になってしまった。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 ・・・おしらせ・・・ 本日のママの店はお休みさせて頂きます。 店主敬白 (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12)
2006.11.23. (00:12) 猫 /
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我が家にダーツが来た日 フクにとって最悪の事態 前々から欲しかったダーツをネットのオークションで購入した。 これを自室でガッチリ練習とばかりに猫達を閉め出したのだが、 フクにとってはそれがショックだったみたいで、狂ったように廊下中を走り回り大騒ぎになった。部屋のドアに何度も体当たりして、足を痛めたのか片足まで引きずっている。私はダーツもさせてもらえんのだろうか。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33「おーい、快適かあ」 私が声を掛けると良太君がこちらを見上げ、 「あれっ、兄ちゃん達もう終わったの」 とびっくりしたような顔をした。 「いや・・・まだこれからだ、 良太があんまり楽しそうな声を出すから ちょっと見てみたくなったんだ」 私がそう言うと、 リリーさんが犬山さんを見つけ、 ヤッホーと嬉しそうに手を振った。 犬山さんも甲冑を着けた太い腕を振り リリーさんに応えている。 「あんまり無茶をするなよ、 恵子ちゃんの面倒を ちゃんと見るんだぞ」 中田先生が私の背中越しに 良太君に声を掛けると、 まかせとけって、と言って 良太君は親指を立てた。 「恵子、可愛い猫ちゃんね、 お母さんが帰ってくるまで 猫ちゃんとおりこうに待っていてね。 リリーさん、良太君、恵子のこと よろしくお願いします」 涼子さんが声を掛け終わると、 「さあ、もういいわね。 そろそろ行くわよ」 ママが目配せをしながら言った。 「猛さん、頑張って ! 」 いきなり立ち上がったリリーさんが 犬山さんに投げキッスをした。 これじゃまるでラブストーリーだ。 主役は犬山さんかい・・・ 私の気分はまた最悪になった。 「それじゃ犬山さん、はやく そこをどいて、蓋閉めるからね。 どかないと指はさんじゃうよ」 私は邪険に犬山さんをお尻で押し、 自分一人で重い蓋をバンッと閉めた。 ママは私の顔を見て、 目をパチパチさせて複雑な表情をしたが、 すぐに真剣な顔つきに戻った。 「さあ、じゃ行くわよ。 最初は一塊になって決して離れないで、 それから相手の出方を見て行動する。 こっちの部屋への入り口は、 私らが外に出たら すぐに封印してしまうからね。 それから皆、 常に私の送る指令をよく聞いて 行動してちょうだい。以上」 ママを先頭にして中田先生、 私、涼子さん、犬山さんの順番で 店に出るドアの側に来た。 「いい、開けるわよ」 ママが声を潜め、 ドアの取っ手に手を掛けた。 開くか、と思ったドアがビクともしない。 ママが蒼ざめた表情で、 ドアから手を離し首を横に振った。 開かないって、そんな馬鹿な・・・ 私も取っ手を握り、押してみたが ママの言う通り ドアはまるで壁の一部に 同化したかのように動かない。 体を当てて グウッと渾身の力を込めてみたがダメ。 中田先生と犬山さんも一緒に 押してくれたので ドアが一瞬数センチ動いたが、 その時、その隙間から 赤黒い不気味なものが見えた。 今のは何だ・・・私達は全員顔を見合わせ グッと生唾を飲み込んだ。 「アレがドアを塞いじゃったんだわ」 涼子さんの声が震えている。 「そうみたいね。 それにこんな力を出しても ダメってことは、アレはさっきより 数段大きくなっているってことだわ」 ママは涼子さんの言葉に頷き、 じゃあ、皆で一緒にテレポートよと言って 低い声で呪文を唱え始めた。 〜つづく (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12)
2006.11.22. (00:58) 猫 /
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ゴロンと横になるフクちん 今日の夕方は用事がいっぱいあって、とても忙しかった。 フクが何かしてほしかったみたいで、必死に目を合わそうと 頑張っているのは分かっていたのだが、つい忙しさのあまりに 無視をした。その結果、 ヒンヒンヒンとフクが鳴いたなと思ったときはすでに遅しで、 テーブルのど真ん中に 小さな池が出来ていた。フクのささやかな抵抗だ。私がかまってやらなかったことに対する抗議のオシッコだ。 フクは怒られたいのだ、叩かれてもいいからかまってほしいのだ。 もう八年も一緒にいるのだもの、フクのことはよく知っているつもり。 忙しいからといって放っておいてごめん。お母さんが悪かった。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32ママが戦略を立て始めた。 「今度も同じように敵が分離して 四方から襲って来ると思うの、 豊や先生、涼子さんも二回目だから 大体分かってるわよね。 こっちの世界での戦争はどこも 似たり寄ったりなんだけど、 向こうの世界と違うのは、 敵は侵略ではなく吸収して 大きくなることを 目的としているのよ。 寂しい存在の者達が 一塊になろうとしているのよね。 犬山さんは初めてだけど、 皆の行動についていればすぐに 慣れるから・・・」 ママが話している間中、 微かだが箱の中から ずっと子供達の声が聞こえていた。 走る音と声が 遠ざかったり近づいたり、 時折リリーさんが 子供達を叱る声もするが、 そんなことを聞くはずが あるもんか。 二人ともきっと夢中になって いるに違いない。 そんなことを考えているうちに ママの説明が上の空になっていた。 自分も箱の中を 見てみたいという好奇心で、 ママの声がはるか彼方からしか 聞こえて来ない。 耳はもう良太君たちと同じ場所に 行ってしまっている。 後は目が一緒に行ってくれれば 何も言うことはないのだ。 「あっ、双眼鏡だ。うおっ・・・ すげえもんが見える」 良太君の歓喜の溜息が 声とともに伝わって来る。 いったい何が見えたんだろう、 私はもうあんな心臓のことなんて どうでも良くなっていた。 「ちょっと、あんた達聞いてるの ? 」 ママの不機嫌そうな大声に 我に返った。 私の目の前にママが怖い顔をして 仁王立ちしている。 「おぉっこれもすんげえ ! 」 また良太君だ。 思わず視線が箱に行く。 私は良太君が恨めしくなった。 声を出すなってんだ、声を出すから 気になって集中出来ないんだ。 「困った人達ね、 皆あの箱が気になって 仕方がないって顔しているわね」 ママが大きな溜息をついた。 皆 ? ・・・ということは、 箱に気を取られていたのは 私だけではないって言うことなんだ。 犬山さんも中田先生も涼子さんも、 皆ってことなんだ。 人間ておかしなもので、 自分一人だけではないと 分かったとたん気が大きくなる。 「ねえ、実を言うと僕もさっきから あの箱の中が気になって しょうがないんだ。 外ではアイツが どんなことになっているか 心配なことは心配なんだけど、 ちょっとだけ箱の中を見せて くれないかな、 見るだけで 皆安心すると思うから、 そのあとで集中して 作戦を練ればいいんじゃないかな」 私がそう言うと皆も 同意見だと言わんばかりに頷いた。 「本当にもうしょうがない人達ね」 ママはブツブツ文句を言いながら 私達に箱の蓋を開けるように言った。 ほんの一センチほど開いただけで、 その隙間から 眩しい金色の光が射して来る。 良太君の声だけじゃなく、 恵子ちゃんの クスクス笑う声も聞こえて来た。 「あんたたち、 うるさくしちゃダメよ。 外では猛さん達が 皆の為に戦ってるんだからね」 リリーさんの声もする。 犬山さんの口から、 クッという音が聞こえた。 リリーさんが自分を 心配してくれていると思って 胸を詰まらせた音に違いない。 私はちょっとムカッとした。 戦おうとしているのは 何も犬山さんだけではない。 私達皆が頑張るんだ。 中の様子はとても素晴らしかった。 箱が海賊の宝箱であるなら、 中も海賊の豪華なアジト といったふうに見える。 どこもかしこもキラめいて、 ファンタジックな外国のアニメを 見ているような美しさだ。 大人が三人 横たわれる広さでしかなかった 箱の中を覗くと、 真紅の絨毯とカーテン、 金色の調度品にあふれた 豪華な部屋が広がっていた。 良太君が色とりどりの 宝石をちりばめた王冠を頭に被り、 虎の毛皮を肩に掛けて 得意そうに歩き回っていた。 恵子ちゃんは絨毯の上に座り、 毛足の長い真っ白な猫を抱いて 撫でながら何か話しかけている。 りりーさんは金の縁取りを施した 立派な長椅子に座り、 分厚い本を読んでいる。 〜つづく (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12)
2006.11.21. (00:39) 猫 /
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晴れてるときはいいけれど・・・ このところ週末になると天気が崩れる。 いくら南向きのリビングでも、天気が悪いと冷え冷えとしている。 真冬でも各部屋コタツだけでやりすごし、リビングに小さな電気ストーブを一個しか置かない我が家は、たまに訪れる暖房に慣れた友人達にとっては物凄く寒い家らしい。でも猫達はもちろんコタツの中にもぐりこむから暖かいし、我が家にとって他に暖房はいらないのだ。 絶対いらない 床下暖房 我が家にもついているが 無用の長物こんなものホイホイつけていたらとんでもない請求書がやって来る。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31ドアの近くにいる、元影は ドクンドクンと脈打ち続け、 数秒に一回ほどの割合で、 ヒューと笛を吹くような音を出し、 その度にどこからか 細い竜巻のような形をした 黒い煤が現れ、吸い込まれていく。 確かに、ママが言うようにアレは 仲間を集めて大きくなっている・・・ 「さあ、奥へ行って装備するのよ」 ママが皆に向かって声を上げた。 「装備って、 またあの甲冑を着けるわけ ? 」 私が確かめるように聞くと、 ママは頷き、早く早くと奥の部屋に 皆を急き立てる。 不気味に同じ動きを続けている 心臓を見ながら、 注意深く皆でカウンターの裏に回り、 この前入った部屋に行くと、 先に子供達を連れて入った 涼子さんが、 箱を探してウロウロしていた。 「おばさん、箱なんてねえじゃないか」 良太君がママの顔を見るなり 不満そうに言う。 「あら、見つけられなかったの ? そこにあるじゃない」 と言ってママが 良太君の後ろを指差すと、 奥の壁際に大人が三人横になれるほどの 大きな鉄の箱があった。 「うぉっすげえ・・・いつのまに」 良太君がびっくりして箱の側に飛んでいく。 象が踏んでも大丈夫そうな箱だ。 私達は前回と同じ甲冑を身に着けた。 剣と同じ青銅で出来ているのだろう その甲冑は二回目とは言え全身に ズシリと重く、 初めて身に着けたリリーさんは、 こんなのダメ、耐えられないわと 床に座り込んだ。 犬山さんも初めて着ける重い甲冑に 驚いているようだったが、 その顔はまんざらでもなさそうだ。 犬山さんは今自分がカッコイイと 思っている・・・ 私はこの前、 初めて甲冑を身に着けたとき 嬉しくてはしゃぎ回ったことを 思い出していた。 「リリーさん、どうしても 重くて動けないようだったら、 ここで子供達と一緒に 隠れていてくれてもいいのよ」 ママがそう言うと、 よっぽど重かったのだろう、 リリーさんは安堵の顔で そうさせて頂くわ、と言い、 モゾモゾと甲冑の中から這い出した。 無理も無い、今は若い姿をしているが、 本当の彼女はお婆さんなのだ。 中田先生と犬山さんが腰を 踏ん張り重い蓋を開けた。 「うぉっ、海賊の宝箱みたいだ」 良太君の目が輝いた。 ギィーと鈍い音をたてながら 蓋が開けられると中には赤い フカフカのビロードが敷き詰めてある。 「でも、蓋閉めちゃうんだろ、 おいらは平気だけど恵子は真っ暗が 怖いんじゃないかな」 良太君が心配そうに言うと、 恵子ちゃんは 暗いのは絶対嫌でしゅと頷いた。 これから始まる恐ろしい戦いを考えると、 暗いくらい我慢しなくちゃと 言いかけたが、 子供にとって真っ暗な密室ほど 怖いものはないんだと思い直し、 何とかならないものかとママの顔を見た。 「大丈夫よ、蓋を閉めたら 中はちゃんとした 部屋に変わるようになってるの。 だから安心して早く入って頂戴」 ママは今まで嘘なんかついたことがない。 おそらく何らかの 仕掛けがしてあるのだろう。 良太君恵子ちゃん、 そしてリリーさんが中に入った。 「猛さん、気をつけてね」 リリーさんが甲冑で覆われた 犬山さんの手を握った。 犬山さんは黙ったまま頷いている。 「あなた、かっこいいわ・・・」 リリーさんが犬山さんの耳元で囁くと、 犬山さんの全身がプルッと痙攣した。 甲冑で隠れていて見えないが、 多分犬山さんは照れまくり、 真っ赤になっているに違いない。 それじゃ、と中田先生と犬山さんが 慎重に蓋を閉める。 「うっわあ・・すげえ部屋だ」 中から 良太君の嬉しそうな声と 恵子ちゃんとりりーさんの はしゃいでいる様子が伝わってきた。 中はおそらくとても綺麗な部屋に 変わっているのだ。 〜つづく (ママの店12前編) (ママの店12後編)(ママの店13) (ママの店14) ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」「特別番組 怪談奇談」(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (夢) (12)
2006.11.20. (00:37) 猫 /
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頑張って食べろ! カリンが一生懸命ご飯を食べている。トウと姉妹で、トウよりは少し体が大きいが、 食事の量は猫達の中で一番少ない。ただでさえ少ないご飯なのに、 食べる速度が遅い為、見張ってやらないと他の猫に美味しいところを持っていかれてしまう。 別荘「ママの店15」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 |