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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
お掃除終わってダッコタイム


二日がかりの年末の大掃除一応終了。猫達は昨日と今日、ろくにダッコもしてもらえず、掃除に夢中の人間の後をゾロゾロついて回った。サンタクロースの大袋並みのゴミが八個出て、それを夕方娘らと捨てに行った。これで気持ち良くお正月を迎えられる。やっとダッコしてもらえたブチが膝に来て、チュバチュバ自分の前足を吸いだした。もう十一歳なのに、いつまで指吸いが続くのか・・・ピンクのお腹がフニフニしていてとても柔らかい。



         10 11 12 13 

・・・・お知らせ・・・・

今年一年大変お世話になりました!来年もどう

ぞ宜しくお願いします。

どうか皆様良いお年をお迎えください。

     
                 
 店主敬白


「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.31. (00:51) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(14) /
 我が家の猫達&ママの店
一人ぼっちの牛乳タイム


台所奉行を止めたのにシュウはまだ仲間はずれ・・・皆と一緒に牛乳タイムが出来ればいいのにと思うけど、こればかりはどうしようもない。まあ、いいじゃないかシュウお前にはパパ猫のフクとママ猫のナナがいる。嫌がらずに三匹一緒におればいいんだよ。親子一緒が一番だ。

年末の大掃除、なかなか終わらない。明日もがんばろう!



         10 11 12 13 

・・・・お知らせ・・・・
年末の大掃除で多忙の為本年度のママの店はこれにてお仕舞い。
新年度開店のおりはまたどうぞご来店ください。
臨時番組が入る予定にしております
それでは皆様良いお年をお迎えくださいませ     
                  店主敬白

「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
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別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.30. (00:18) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(10) /
 我が家の猫達&ママの店
ポカポカ


昨日の外気温はビックリするほど低かった。でもお天気は最高!。お天気さえ良ければリビングはポカポカ暖かく、猫達にとって常夏の楽園になる。夢を見てるのかな、クロ。



         10 11 12 13 

・・・・お知らせ・・・・
年末の大掃除で多忙の為本年度のママの店はこれにてお仕舞い。
新年度開店のおりはまたどうぞご来店ください。
臨時番組が入る予定にしております
それでは皆様良いお年をお迎えくださいませ     
                  店主敬白

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「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.29. (00:41) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(8) /
 我が家の猫達&ママの店
こんなん持ってきたよ


ナナが飴を銜えて持ってくる瞬間を写そうと頑張るが、すぐに口からポトリと落とすのでなかなか撮れない。一日ナナにへばりついているわけにもいかないし、特ダネは遠いけど、とってもいい顔をしてくれた。



         10 11 12

「まあまあまあ、
 難(かた)い話はもう止めにして、
 どうぞ食べてください。
 せっかくの料理が冷めてしまいます」
恩他さんは顔をクシャクシャにして
人懐こそうな笑みを浮かべ、
私の前にある皿のさっきの鶏肉の横に、
ブロッコリーや人参のグラッセを
添えてくれた。
この人は悪い人じゃない。

いただきます、と言って私は
一切れ鶏肉を食べた。
オレンジソースの香りが口の中から
鼻腔に広がる。こんな美味しい
ローストチキンを食べたのは
久し振りだ。温野菜に
そのソースを絡めて食べると、
肉汁の甘みと、焼けた皮から滲み出た
ソフトな苦味が相まって、
最高の味になった。

「美味しいですねえ」と私が言うと、
恩他さんは嬉しそうな顔をして、

「ワインも飲んでみてください。
 私はワインに全然詳しくないんですが、
 鶏肉料理にはいつもこのワインと
 決めているんです。
 決して高級なワインじゃありません。
 でも、美味しいんです。
 料理にとても合いますよ」と言った。

恩他さんが言うように、
そのワインを口に含むと、
爽やかな甘みとフルーティーな香りが
口一杯に広がった。
恩他さんと軽い世間話を交わしながら、
しばらくは食べたり飲んだりに
夢中になっていたが、
私はふと妙なことに気が付いた。
ここは私の家、私の夢の中ということだ。
恩他さんも私と同じビジターだと
ママが言っていたが、
どうして私の家に来れたんだろう。
ママの店にいろんな人が訪れるのは
当たり前だ、
でも私の家には私の関係者しか
来れないはずなのだ。
私は恩他さんを呼んだ覚えがない。
私のナイフとフォークの
動きが止まったので、
恩他さんが心配そうな顔して、
どうなさったのですかと聞いてきた。
恩他さん、と言って彼の目を見ると、
何ですか、と首を傾げた。

「ここは僕の夢の中です。あなたも今
 夢を見ていらっしゃる。
 同じ夢を共有することが
 出来るだなんて、
 あり得ないような気がするんですが」
私の言葉に、
恩他さんは眉を潜めた。

「ここは私の夢の中じゃないんですか、
 私にはあなたの世界に入り込んでいる
 自覚なんてありません。
 むしろあなたは私の夢の中の人だとばかり
 思っていましたよ」

えぇーっ? そんなあ・・・
二人とも腕を組み、
うーんと唸って考え込んでしまった。 
そうだ、こんなことをしていても仕方がない。
今から二人でママの店に行こう。
ママなら何か知っているだろうし、
恩他さんには是非中田先生と
話し合ってもらいたいものだ。
中田先生は絶対悪くなんかない。
これは恩他さんが何か誤解をしているのだ。

「恩他さん、今から・・・アレッ」

もう、恩他さんの姿は何処にもなかった。

〜つづく

「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.28. (00:33)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(13) /
 我が家の猫達&ママの店
もうやめた


シュウがもう台所奉行をしてくれなくなった。一週間ほど前からカウンターに乗らなくなってしまったのだ。シュウがいてくれないとブチやクロがおかずに襲撃を掛けてくるから困る。我が家の牧羊猫シュウよ頼むから復活を・・・・お前達のワカサギを釜茹でしていた時、クロのバカチンが手を出してもう少しで火傷するところだったんだよ。


シュウはおかしな猫で「こういうことはしてはいけない」ということを自分流に考えている。たとえばブチが蛇口を齧って歯の掃除をするのは汚い。調理している時お母さんは猫達が来るのを嫌がる。そういうことをちゃんと見ていて猫達を仕切るのだ。でも猫は仕切られることに慣れていない。シュウのしていることは猫に対する裏切り、謀反、人間に対する媚、でしかないのだ。だからシュウは猫達から嫌われた。一人ぼっちでションボリしていたシュウ、何かおかしいなとは思っていたんだ。でも、つい忙しいとシュウを当てにしてしまう。お母さんは悪い癖がついてしまったね。シュウがいないと安心して調理出来なくなっていた。普通では考えられないことをお前はしてくれているのに、当たり前のように思ってしまったね。でも、お前が猫達に憎まれるならもう手伝わなくてもいいよ。お前は人間じゃなくて猫なんだ、ごめんねシュウ。



         10 11 12

・・・お知らせ・・・

食料買出しの為本日のママの店はお休みさせて頂きます。
                    
                    店主敬白


「ママの店16(前編)」
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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.27. (00:04)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(11) /
 我が家の猫達&ママの店
全部飲まれた


シマジロウ今まで何してた、早く来ないからモウナイヨ。空っぽのトレーをペロペロ舐めている。可哀相だから今牛乳温めてきてあげる。今度はちゃんと飲むんだよ。



         1011 

「私は主治医に電話を掛けました」
恩他さんの話が続く。

「内臓破裂だとおっしゃったが、
 私は雅羽が車に当てられる瞬間を
 見ていました。
 轢かれた訳でもないのに
 何故内臓破裂なのか、
 そして、内臓を全部抜き取った理由を
 説明してくれと言いました。
 そうしたら、主治医は
 しどろもどろになりましてね、
 とにかく明日院長と一緒に
 ご説明をしに伺いますと言って
 電話を切ったんです。
 それで、翌日の昼頃
 院長と一緒にやって来たんですが、
 雅羽は見た目には元気だったが、
 実際は内臓がかなり損傷を受けていて、
 検査する前にすでに意識が
 無くなっていたと言い張るんです。
 内臓を取ったのは、
 実は緊急の移植を要する患者がいて、
 ドナー登録している人と雅羽を間違えたと
 言うのです。示談金として
 多額のお金を持って来ていましたよ」
恩他さんはテーブルに肘を突き、
両手の平で顔を何度も擦り続けた。

「お金はどうなさったんですか」
もちろん恩他さんは
金など受け取っちゃいないだろう。

「一度は付き返してやろうと思いました。
 でも、結局は受け取ることにしたんです。
 私には雅羽が殺されたんだという
 確信がありました。
 家内に何で金を受け取ったのかと
 詰(なじ)られましたが、
 事を起こすには金が要ります」
恩他さんの目が血走っている。

「どういう理由があるにせよ、
 息子の死を金で解決したんだと、
 家内は泣き喚きました。
 私が、雅羽の為に必要な金なんだと
 いくら説明しても分かってくれません。
 雅羽を荼毘に伏した日の夜中に、
 家内は包丁で
 首を欠き切って死にました」
何と言うことだ・・・
私は恩他さんが気の毒で、
同時に患者を物としか考えていない
医者達に怒りを覚えていた。
 
「私と妻はある宗教の信者でした。
 どんなことも神が私達にくだされた
 試練だと思って受け入れれば、
 必ず救いの手を差し伸べてくださると
 信じていたんです。
 でも、神は私達の息子を
 助けてはくださらなかった」
恩他さんはテーブルの上で
握った拳を震わせている。 
私は恩他さんがママの店で、
中田先生と言い争いになったことを
思い出した。恩他さんは何故
中田先生を知っていたんだろう。

「あなたと中田先生はどういう
 ご関係なんですか」
私の質問に恩他さんは、急に顔を引きつらせ、
意地の悪い笑いを口元に浮かべた。

「中田先生がその主治医なんですよ」
えっ・・・・
私は驚きのあまり椅子から
ずり落ちそうになった。

「ちょっと待って、あなたの息子さんは
 事故で運ばれたんでしょ、だったら
 主治医は外科のはずだ。
 中田先生は小児内科の先生ですよ。
 そりゃ、あなた完全に人間違いしてる」
冗談じゃない。中田先生を恨むなんて、
絶対勘違いもいいとこだ。

「雅羽は喘息持ちでね、
 ずっと通院していたんですよ。
 その主治医が中田です。
 雅羽はまだ軽い喘息だったから、
 入院はしなかったんですが、
 中田は手作りのパンを食べさせたりして
 入院中の子供達を手懐けていたんだ。
 親も子供を
 大事にしてくれる医師だと信じて、
 中田先生にまかせておけば
 大丈夫だと思い込んでいた。
 でも、あいつはそれをいいことにして、
 言葉巧みに子供達全員に
 ドナー登録をさせていたんだ。
 適合した子が殺されると知らずに、
 親達は善意の気持ちで印鑑を押したよ。 
 面会に行った時元気だったのに、
 容態が急変したのは変だと思っても、
 信頼している中田先生から聞かされる
 説明なら、親は納得してしまうんだ。
 あいつは人殺しの手先を勤めていた男だ」
そんな・・・じゃあ、先生は良太君が
死んだことだけを悲観して
自殺したんではなかったと言うことなのか。

〜つづく


「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.26. (00:19)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(10) /
 我が家の猫達&ママの店
俺、クロ 十一歳

クロの様子を遠くから窺っているシマジロウが見える。
本当のクロはもっと少年のように可愛い顔なのに、何で写真だとこんなにゴジラっぽくなるんだろう・・・・



         10 

男の寂しい顔が胸に痛い。
ひょっとしたら私はこの男を
誤解していたのかも知れない。
この人も、犠牲者なんだ・・・

「お話はよく分かりました。
 どうやら僕は
 あなたを誤解していたようです。
 そしてあなたも
 中田先生を誤解していらっしゃる。
 もう一度冷静に話し合われては
 いかがですか」
そう言って様子を窺うと、
男は下を向き、
しばらくじっと考えているみたいだったが、
分かりましたといって前を向いた時には、
明るい顔に戻っていた。

「僕は豊と申しますが、
 あなた、お名前は ? 」

「あぁ、まだ自己紹介
 しておりませんでしたね。
 恩他査馬(おんたそうま)と申します、
 どうぞよろしくお願いします」
恩他と名乗った男は、
ママの店で会った時と違って、
とても良い印象を私に与えていた。

「息子さんは幾つで亡くなられたんですか、
 あっ、よけいなことを
 聞いてしまいましたね。
 お気に障ったら許してください」
何でもすぐに首を突っ込みたがるのが
私の悪い癖だと自分でも分かっているのに、
つい聞いてしまう。
しかし、恩他さんは嫌な顔もせず、

「お気になさらないでください。
 雅羽(まさう)は、三つになったばかり
 でした。可愛い盛りでねえ・・・
 あれは桜が満開の頃でした。
 家族で花見に出かけたんです。
 雅羽にサッカーボールを
 買ってやったんですが、
 喜んでボールを蹴っては
 追いかけて・・・・」
恩他さんはそこで声を詰まらせた。
私が声を掛けようと身を乗り出した時、
手を振りながら、大丈夫ですと言い、
ぽつぽつとまた語り始めた。

「あれはあっという間の出来事でした。
 私と家内がちょっと目を離した隙に、
 雅羽は転げたボールを追いかけて、
 大通りに飛び出したんです。
 走ってきた車に当たって
 ひっくり返るのが見えました。
 車のスピードも遅かったですし、
 当たったといってもそんなに酷い
 状態には見えなかった。
 雅羽も痛いよう・・・って
 泣いていたくらいですから、
 まさかあんなことになるとは
 思いもよりませんでした。
 一応交通事故ですから、
 念の為病院へと言うことになって、
 救急車で運ばれたんですが、
 医師の説明によると
 全身打撲の内臓破裂状態で
 助かる見込みは無いと言われたんです」
恩他さんはグッと息を飲み込み、
そこで話をやめた。

「えっ、でも事故の瞬間を
 ご覧になられたんでしょう?
 ちょっと当たって
 ひっくり返っただけなのに、
 全身打撲はおかしいですよ。
 轢かれたんなら話は別ですが・・・」
私がそう言うと、
恩他さんは目から涙を溢れさせ、
首を横に振った。

「罠だったんですよ、何もかもが
 仕組まれたことだったんです。
 あいつらは最初から雅羽を
 ターゲットと決めていたんだ、
 運転手も救急車も医者や警察も
 皆グルだったんだ。
 遺体と対面した時、私と家内は
 雅羽が死んでしまったという
 悲しみで、もう何も
 考えられなくなっていました。 
 雅羽を家に連れて帰ってから
 お葬式の準備をする為に、
 雅羽を新しい洋服に
 着替えさせてやっていた妻が、
 悲鳴をあげたんです。
 びっくりして飛んで行って見ると、
 雅羽の首下から腹まで真っ直ぐに付いた
 手術跡の紫色に変色した縫い目の隙間から、
 血が滲んではいるものの
 白いガーゼのようなものが
 はみ出ていたんです。
 私は気が狂ったように雅羽の縫い目を
 解いていました。
 何故かそうしなくてはいけないと
 思ったんです。
 家内は放心状態のまま私のすることを
 じっと見ているだけでした。
 傷口をひらくと案の定
 ガーゼが一杯詰め込まれていましてね、
 それでそれを取り除くと、
 無いんですよ・・・
 内臓が皆無くなっていました」
その後の沈黙がどれほどの長さだったのか、
私にはもう分からなくなっていた。
内臓が無くなっていただなんて、
これはどういうことなんだ・・・・

〜つづく

「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.25. (00:51)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(14) /
 我が家の猫達&ママの店
お休み前の牛乳タイム


我が家の毛玉猫シマジロウ、ブチ達と一緒に牛乳タイム。いつもブチに意地悪をしたり追い掛け回したりしているけれど、牛乳飲むときだけは神妙にしている。温かい牛乳をお腹一杯飲んだら、朝までホカホカで眠れるよ。湯たんぽの用意が出来ました、さあ皆お休みなさい。



         

男はナイフとフォークを巧みに操り、
テーブルの真ん中に置かれた
ステンレスの大皿の上にある、
黄金色に焼きあがった丸ごと一羽の
ローストチキンの肉を切り分けると、
取り皿に載せ私の前に置いた。

「さあ、食べてください。
 美味しいですよ。
 そこいらのブロイラーと違います」
 
男が言うようにその鶏肉は、
とても美味しそうだった。
オレンジソースの香りが鼻腔をくすぐり、
パリッと焼けた皮が食欲をそそる。
しかし、何者か分からないこんな男と
一緒に食事をする気はない。
この料理だって
毒が入っているかも知れないのだ。
私の思っていることが伝わったのか、
男は苦笑いを浮かべた。

「今あなたは毒が入っているかも
 知れないと思いましたね。
 毒なんて入ってませんよ。
 私にはあなたを殺す理由がない。 
 じゃあ私からお先に頂きます」
男はさっさと自分の分の肉を切り取ると
皿に載せて一口食べた。

「じつに美味いです・・・」
男が満足そうに頷く。

「あんたはいったい誰だ。
 何の目的で僕に近づく」
私は男の顔を睨みつけた。
すると男は笑いながら、

「さっき中田先生と言い争いをしたから
 警戒なさっているんですね、
 ご安心ください。
 私は先生の知り合いです」

知り合い ? 
たとえ知り合いだとしても、
どうせろくなモンじゃないはずだ。

「あんたはさっき先生を
 攻撃していたな、
 知り合いであろうがなかろうが、
 先生を悪く言う奴と食事を一緒に
 する気はないね」
私の言葉に、男は泣きそうな顔をして、
激しく首を横に振った。

「あなたは誤解なさっている。
 私は先生を攻撃するつもりは
 さらさらありませんでした。
 ただ一言説明がほしかったんです。
 どうして私の息子が死ななければ
 ならなかったのかと言うことのね。
 私の息子は先生の勤めていらした
 病院に入院していたんですよ」

この男の息子が先生の患者だった・・・?
さっきまで笑みを浮かべていた男の顔が
いつの間にか真剣になっている。

「どうもあんたは
 先生を憎んでいるみたいだが、
 どんな理由があるにせよ、
 僕は先生を信頼している。
 その先生を憎んでいるあんたを
 信用することは出来ないね」

男は片手で私の怒りを静めるような
仕草をして、

「あなたも先生から、臓器移植の話を
 聞かれたことがおありでしょう?
 実は中田先生もその移植に
 関わっていらしたんですよ。
 私の息子は臓器移植の犠牲になりました。
 先生はそれを黙認なさったんです。
 いえいえ、お待ちください、私は何も
 先生を恨んでどうこうしようと
 思った訳じゃないんです。
 まあ、あのときは息子のことを思い出し、
 多少感情的にはなりましたがね」

確かに私は何度か先生に、
臓器移植の話を聞いていた。
先生が自殺した原因も、良太君が
臓器移植のために
殺されたからだと聞いている。
でも、それなら
この男の言っていることと
ちょっと違うではないか、
少なくても先生は
臓器移植に反対していたはずだ。

「先生は臓器移植に反対していたんだ。
 でも、小児科専門の若い医師の意見など
 大きな組織の中で聞いてもらえる訳など
 なかったんだ。
 しかし、あんたはママの店で、
 宗教がどうたらこうたら、
 最初はそのことを悩んでいたみたいだけど、
 結局は信仰していた神様に
 裏切られたって嘆いていたんじゃないのか
 それが先生が現れたとたん、
 憎しみを先生に向けたんだ。
 そんなの逆恨みもいいとこじゃないか。
 息子さんが亡くなったのは
 気の毒だと思うよ。
 でも、神様が命を助けてくれるだなんて、
 あんた本当に信じていたの?」

「あなたには信仰というものが
 お分かりではないから、
 私達信者の気持ちが
 分からないのは当然だと思います。
 でも、あの時は本当に神にしか
 すがるものがなかったんですよ。
 今じゃあなたと同じように、
 神なんて存在しないと分かっておりますがね」

〜つづく

「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.24. (00:38)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(12) /
 我が家の猫達&ママの店
ダッコして・・・


台所の端っこでブチがいつも私を待っている。ダッコしてほしいのだ。用事が終わったのでダッコしてあげると、また自分の前足をチュパチュパ吸い始めた。


茹でたワカサギの天日干し。これも猫達のおかずになる。尾頭付きで骨ごと食べられるので、猫達に丁度良い。一番喜ぶのはシシャモかな・・・そりゃそうだ私だってシシャモ大好きだもん。



        

・・・お知らせ・・・
本日のママの店はお休みさせて頂きます。

                   店主敬白

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「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.23. (00:00)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(17) /
 我が家の猫達&ママの店
お話し中


クロとカリンが何やら深刻な話をしている。カリンは顔をしかめ、どうやらクロに誰かの悪口を言っている様子。チラチラと見ているカリンの視線の先を辿れば、台所奉行のシュウがいた。牧羊犬のように猫達を仕切るシュウのことが鬱陶しいのだ。「まあ、したいようにさせといてやれや」クロはきっとそう答えたと思う。


       

昭日町スーパーで夕食の材料を買い、
自宅に戻った。
食材を冷蔵庫にしまいながら、
今日ママの店で起こったことを
考えていた。

あの後中田先生はママに
熱いコーヒーを飲ませてもらい、
気分も良くなったからと言って
自宅に帰って行った。
中田先生の家・・・そう言えば、
中田先生の家にはまだ一度も
行っていない。いや、犬山さんと
リリーさんの家も知らない。
考えてみれば、いつもママの店で
顔を合わせているだけで、
先生達の私生活は何一つ知らないのだ。
今度先生の家に行ってみたい。

足元でゴンが
何かくれと言わんばかりに
ウロウロとしている。
今日は丸ごと一本のロースハムを買った。
冷蔵庫に入れる前に早速切って味を見る。
ヘタの部分をちょっと厚めに切って、
半分をゴンにあげて、残りを私が食べる。
このヘタの部分が私は好きなのだ。
ゴンはハグハグと音を立てて食べている。
食べながら空気を一緒に飲んでいるから
こんな音が出るのだ。

「ゴン君、落ち着いて食べたまえ。
 そんなに急がなくても
 ハムは消えやしないよ」
私の言葉は自己満足、
必死に食べているゴンに
そんなモン聞こえる訳が無い。
それにしてもこりゃ美味しい、
もう一切れと思って
ペティナイフをハムに当てた時、
いきなりゴンが低く唸り声をあげだした。
私がハムを全部食べると思ったのだろうか。

「ゴンよ、お前ね・・・アレ ?」
何とゴンはハムを半分食べただけで、
全身の毛を逆立て、尻尾もハタキのように
太くさせている。
真っ直ぐ前方を睨んで唸るゴンの姿に、
私は身の危険を感じ、振り向いた。

「お前は・・・・」
台所の入り口にアノ男が立っていた。

「何しに来たんだ、
 ここはお前の来るところではないぞ」
私はゴンを抱こうと身をかがめたが、
ゴンは脱兎の勢いで台所の窓から外へ
逃げて行った。

私は男と対峙しながら、男の出方を待った。
少しでも変な動きを見せたら、
私は男に飛びつき、
首の骨を腕でへし折るつもりだった。

「丸ごと一本のロースハムは
 美味しいですよね、
 私にも少し頂けませんか。
 あ、どうせならご一緒に食事しましょう」
男はニッコリと笑い
右手の指をパチンと鳴らす。
瞬く間にテーブルの上に
白いカバーが掛けられ、
ケーキ、果物、肉、野菜の料理が並べられた。
ワインの瓶を手に、
いつの間に腰掛けたのか、
男がテーブルの上に置かれたグラスに
真紅のワインを注いでいる。
注ぎ終わって男は私に手を差し出し、
椅子に腰掛けるように
目で合図しながら頷いた。
私は用心深く、男から目を離さず
椅子に腰を下ろす。

「何を企んでいるんだ。
 まさか僕と一緒に食事したいから
 ここに来た訳でもあるまい」
私がそう言って男を睨みつけると、

「まあ・・・そんなに警戒しなくても、
 私ゃ何にもしやしませんよ。
 ただ、こうしてあなたと食事をしながら
 お話しをしたかっただけです」
男はケロッとした顔で言った。

「言っとくけど、僕は無宗教だからね。
 あんたがいくら神がどうとか言っても、
 僕には通用しないからね。
 信じていない者には
 悪魔だって手出しは出来ないさ」
本当だろうか、
本当に手出しが出来ないんだろうか、
一抹の不安が頭を過ぎったが、
まあ、威嚇しといて損はない。

「おもしろい人だ。
 私はあなたがとても気に入りましたよ。
 まあ、一杯飲んでください」
男は笑いながらまたワインを勧め、
自分もグラスを口に持っていく。

「こりゃあ美味しい、
 実にフルーティで甘い香りだ」
男は首を少し傾け、
おどけたような顔で私を見た。
そうか美味しいのか、
だったら飲んでやろうじゃないか。
私はグラスを手に取りワインを口に含んだ。
美味しい・・・確かに男が言うように、
そのワインはとても素晴らしい味だった。

〜つづく


「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.22. (00:51)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(12) /
 我が家の猫達&ママの店
何かハラタツ


一番日差しが温かいときに場所がなくて座れなかったシマジロウ。やっと座れたと思ったら陽が傾いた。体半分ヒエビエ〜


      

床に膝と両手をつき、中田先生は
黙って床を見つめていた。

「先生、大丈夫? 
 あんな野郎の言うことなんか
 気にしちゃだめだよ」
私は心配になって先生の顔を覗き込んだ。

「あぁ、気にしちゃいないよ。
 ただ、何か体がだるいんだ・・・」
そう言えば先生の顔色が悪い。
ママが先生の額に手を当てた。

「大変、熱が出てるわ。
 豊、先生をソファーに寝かせてあげて」
私は先生を抱きかかえるようにして、
奥のソファーに連れて行った。
すまないなと先生は笑ったが、
その顔に精気がない。
きっとさっきの野郎に何かされたんだ。
でも先生はもう死んだ人なのに、
こうして熱が出たりするんだ・・・
私の頭にふっと湧いた疑問を
ママがキャッチした。

「豊、私達はたとえ死んでも、
 あっちの世界からこっちの世界に
 移動するだけなのよ。
 私達はこうして別の次元で生きている。
 だから、熱も出るし怪我もするわ。
 もちろん死ぬことだってあるのよ。
 まあ、そのことは
 前にも説明したけどね。
 私達の魂は永遠なの、
 今存在している世界で死ねば
 別の世界に移動する。
 ただそれだけのことなの。
 いったいいくつの世界があるのか、
 それは私にも分からないけれど、
 豊のいる世界は、
 そのいくつもある世界の中の
 一つにすぎないの。
 死と生は無限に繰り返されているのよ。
 死んだからと言って
 消え去るわけではないわ。
 別の世界に移動するだけ」

中田先生の寝ているソファーの
ちょうど前の席にママと並んで座りながら
私はママの話を聞いていた。
先生も寝ながらじっとママを見つめている。

「どんなものにでも、
 果てがあると思うんだけど
 宇宙の果てって
 どうなっているんだろうね」
私の疑問がいきなり別の方向に飛んだ。
ママの今の話からどうして宇宙が
思い浮かんだのか自分でも不思議だ。
ママはニッコリと笑い、中田先生と
顔を見合わせた。先生も幾分顔色が
良くなっている。

「そうだね、私も宇宙がいったい
 どんなふうに広がっているのか
 知りたいもんだよ」
中田先生も私の顔を見て微笑んだ。
私の頭の中に無限の宇宙が広がって、
しばらくボーッとしていたが、
大事なことを思い出した。
こんな悠長なことを考えている暇はない。

「ねえ、さっきの奴あれはいったい
 誰なんだろう。ママはあいつの事
 ビジターだって言ったよね。
 それじゃ、あいつは僕の世界の
 人間なの ?」

「ええ、あの人は豊の世界の人間よ。
 でも、何かとても悪いモノに
 支配されているわね」
ママは眉を潜めた。

「じゃあ、和美さんと同じように
 悪霊に憑かれているって訳だね」
私がそう言うと、
ママは深い溜息をつきながら頷いた。 

〜つづく


="#CC0000">「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.21. (00:09)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(10) /
 我が家の猫達&ママの店
いい匂い・・・


もうすぐ晩御飯。魚を焼く匂いが部屋中に漂ってくる。今夜のお魚は何かな? チャコのこんないい顔は珍しいのだ。沢山食べてもっともっと元気になってね。



     

すぐさま私はカウンターから飛びのいたが、
中田先生は身じろぎもせず
男を睨みつけている。

「お前は誰だ、何故私を知っている」
男は先生の問いには答えず、
丸い目のおどけたような顔つきで、
カウンターの上を指先で弾きながら
鼻歌を歌い始めた。
この男、まるきり私達をバカにしている。
私の怒りが頂点に達しかけた時、

「そ、その曲は・・・」
中田先生が顔を強張らせてつぶやいた。
どうやら男の鼻歌は、
先生にとって何か意味があるらしい。

「先生、先生はよくこの歌を子供達に
 聞かせてあげていましたねえ。
 フン、フン、フン、フン・・・・」

「やめろ、やめてくれ。何でお前が
 それを知っているんだ」

中田先生は哀願するように首を振り、
男の肩を両手でつかみ揺さぶった。
男は先生の手を邪険にはずすと、
汚物でも付けられたかのように
さも迷惑そうに顔をしかめ、
手で両肩を払った。

男は背広の襟を正した後、

「あなたはこの歌を歌いながら、
 子供達にパンを配っていた・・・
 当時あのアニメは
 子供達に人気があったからねえ、
 そのヒーローの顔をパンにするなんて、
 あなたは医者よりパン屋の方が
 向いていたんではないですか」

皮肉を込めた笑いを口元に浮かべている。

中田先生は肩を震わせ、
下を向いたままだ。
何とかして先生を助けたい。
何がどうなっているのか
さっぱり分からないが、
少なくてもこの男のターゲットは先生だ。
どうすればいい・・・
私が唇を噛んで、男をどうすればいいか
考えていたとき、

「この店から出て行きなさい、
 ここはお前の来る所ではないわ」

ママが鋭く叫び呪文を唱え始めると、
男は顔を醜く歪ませて苦痛に身をよじらせ、
足元から徐々に
細かな砂と化して消えてゆく。

「何度でも来るからな、
 もう道が出来ているんだよ。
 中田先生、あなたは我々の同志だ」

男は、耳の鼓膜が破れるかと思うような
太く大きな笑い声を残して、
頭の天辺まで砂になって消滅した。

〜つづく

="#CC0000">「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.20. (00:31)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(14) /
 我が家の猫達&ママの店
あったか〜い

まさに大の字で寝ているカリン。日向ポカポカ湯たんぽホカホカ・・・もう暖かくて気持ちいい〜・・お母さんもこんなふうに寝てみたいよ。



    

「私はやめようと思ったんだ! 」
見開いた男の目は血走り、絶望の色を
漂わせていた。

「脱会しようとして
 命でも狙われているの?」

私の問いに返事をする代わりに
男は鋭い眼光でサッと辺りを見回した。
中田先生も、そういう事情なら
話は別だと思ったのか、
一度は消えかけていた姿が
また元通りになっている。

「警察に相談しに行かれましたか」
先生が聞くと男は急に泣きそうな顔になり、
そういうレベルの問題ではないのだと
つぶやきながら首を振った。

「ねえ、ママこの人ビジターなの?
 それとももう・・・」
死んでしまっているのなら、
殺されるという恐怖は只の想念でしかない。
しかしママは鳶色の瞳に悲しみを湛え、
ビジターよ、と言った。

私は今夢を見ているのかと男が聞いたので、
ママは、そうですと言って頷いた。

「くっ、こうして眠っている間に
 発見されたら、私は・・・
 でも、いっそこのまま眠っている間に
 殺されたほうが幸せかもしれないなあ」
握り締めた両手の拳をが震わせながら
男は泣き笑いのような顔で天井を見ている。

「訳を話してくれませんか、
 ひょっとしたら
 何かお役に立てることがあるかも
 知れませんよ」

中田先生が慰めるように男に話しかけた。
男は目の下に深い隈を作り、
疲れきった顔で話そうか話すまいか
考えているようだったが、
瞬き一つしないまま先生の顔を見つめ、
話し始めた。

「私達は事あるごとに『神なる書』を
 読むことにしているんです」

『神なる書』・・・
いったいどんな本なんだろうと思い
中田先生の顔を見ると、
先生は真剣な目で男を見つめていた。

「その『神なる書』を読んでいた時、
 突然私はとんでもないことに
 気がついたのです」

とんでもないことって何だろう、
どうせ無宗教だし、聞いたところで
支障はない。
ママは男の言葉になんか、
全く興味が無いというような顔をしている。
中田先生は、難しい顔で男を食い入るように
見つめていたが、

「どうぞ話してみてください」と言った。

男の目にはまだ迷いがあったが、
話そうという決心が見えていた。

「『神なる書』は楽園に導く書ではありません。
 滅亡に導く書なのです」

それを聞いた中田先生は深い溜息をついた。

「そんなことを言えば、信者の方達から
 反感を食らうのは当たり前でしょう。
 何でそう思われたんですか? 
 私はあなたとは全然違うものを信仰していますが、
 お前の宗教は滅びの宗教だと言われれば
 私だって腹が立ちますよ。
 いや、泣けてきますね。
 あなた、どういう根拠でそんなことを
 思われたんですか、ただの思いつきで
 そういうことを口にしたのであれば、
 私だってあなたを許せませんよ」

中田先生は厳しい顔で男を睨みつけている。
男も先生を睨みつけ、

「神は『私だけを信じよ』
 とおっしゃっているんですよ。
 神があっての人間です。神がおっしゃる言葉は
 導きではなく、命令です。
 神はいろいろな奇跡を
 我々愚かな民にお見せになった。
 それによって絶対服従の心を植え付けられたんだ。
 真の楽園に指導者はいらない。
 幸せとは誰にも拘束されない自由です。
 お互いを犯さず傷つけず、
 互いの命を尊重しあう。
 絶対服従の指導者がいる世界に楽園はない」

「あなたは考えすぎだ。
 そんな愚にもつかないことを捏造して、
 神のみならず信仰している善良な人々をも
 傷つけていることに気がつかないのか」

中田先生は本気で怒っているようだ。
先生が、こんなに信仰心が厚かったなんて
知らなかった。
しかし男も引き下がらない。

「人類を救ってくださるはずの神は
 実は人類を生かしたり滅ぼしたりしながら
 調節を計っているだけなんだ。
 善と悪は常に隣り合わせに存在しており、
 喜びには悲しみ、苦しみには快楽がある。
 神は人を試す。
 神を信じてさえおれば
 死は恐怖にあらずとの教えは、
 本当は恐怖以外の何物でもないんだ。
 死は重いよ、大切な者の命であれば
 神よりも重いはず。
 命が神の手の中にあるという考えは、
 間違っていると思いませんか」

あぁ・・・嫌だなあ、
この人何を言ってるんだろう。
私の頭ではこういう話は理解不能なのだ。

「あなたには私の言っていることが
 分かっているはずだ、
 中田先生」

何と男は先生の名前を口にした。
初めて会ったはずなのに、
何故この男は先生の名前を知っているのだ。

「な、何んだと・・・」
先生が思わず腰を浮かせたその時、

「気をつけて、この人から何か嫌な臭いがする」
いきなりママが叫んだ。

〜つづく

="#CC0000">「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.12.19. (00:16)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(11) /
 我が家の猫達&ママの店
そっとしておいてあげようよ

ストーブの前に集まってきた猫達。チャコが熟睡しているからそっと寝かせておいてやってね。今日の午前中はとても良い天気だったけれど、夕方近くに雨が降ってから急に寒くなった。



   

「私は神の本心を知ってしまったんです。
 知った以上はもう信仰することなど
 出来ません。
 神が・・・・
 私を導いてくださる神が・・・
 あぁ、もう何が何だか分からなくなった」

男は絶叫しながら頭を抱え、
カウンターの上に
涙をポトポトと落としている。
うへ、宗教のことなんて苦手だ・・・
どうしよう、こんなこと相談されても、
私には答えようがない。
眉が寄り、口もへの字に曲っているのが
自分でも分かる。
ママの顔を見ると、ママは口元に
薄っすらと笑みを浮かべている。

「ママ、ママならこの人の話を
 聞いてあげれるんじゃない ? 」

私が心の中でそう聞くと、

「私の答えは一つよ神なんて存在しないわ。
 だから私じゃ
 相談に乗ってあげられないわね」

そう言えばママは、
前から神仏について否定的だった。
だからそんなママに相談に乗らせても、
こりゃ無駄だろうな・・・
ママが私の心を読んだのか、
そうよそうよと言わんばかりに頷いている。

「どうしたんですか」
悩める男をはさんで向こう側に中田先生が
出現していた。

「もう、先生ったら・・・」
ちいさくブツブツ言いながら、私は
先生をチラッと睨んだ。
この人はいつも
何の前触れも無く突然現れる。
もう大分慣れたが、
出来ればやめて欲しい。
でも、まあ私一人でどうしようかと
困っていたので、助かったことは
助かったのだが。

「私は神の愛を信じておりました。
 信仰さえしておれば、
 幸せな一生を送ることが出来ると
 心から信じていたんです。
 それが、そうではなかったんです。
 神の真の目的は・・・」

男はそこでまた言葉を詰まらせた。
そしてキョロキョロと辺りを見回し、

「誰かに見られている気がする」
とボソッとつぶやいた。

「大丈夫、誰もいやあしませんよ。
 ここには悪い考えを持った者は誰も
 入って来れやしませんからね」
中田先生が男を安心させようと、
やさしく声をかけると、

「いや、悪魔は入って来られないでしょうが、
 神、もしくは神の僕なら
 入って来れるはずだ」
男は急に声を荒げ、
その声の大きさに怯えたのか、
肩を震わせ、また辺りを見回した。

何か話がとんでもない方向へ向かっている。
中田先生も眉間に皺を寄らせ、
話に加わったことを
後悔している様子がありありだ。
この人は何かの宗教に入っていて、
それがとんでもないカルト集団だと
分かって怯えているんだろう。
私が思うことは先生も同じだったと見えて、

「じゃあ、その宗教をやめれば
 いいじゃありませんか。
 宗教をするしないは個人の自由です。
 あなたが疑いの心のまま、
 その宗教を続けていることのほうが
 問題だ」
先生の眉も目尻も完全に下がり、
こんな話に付き合ってはいられない
とばかりに姿も半分消えかかっている。

〜つづく

="#CC0000">「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.12.18. (00:51)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(11) /
 我が家の猫達&ママの店
私なんて・・・

カリンのこのすねた顔がたまらなく好きだ。ヒャアーと言う鳴き声も女の子らしくていい。これと言って悪さもせず、食は細いし食べるのも遅い。逞しい兄ちゃん姉ちゃん、(ついでに)パパとママの中で一生懸命生きている。考えてみればカリンは病気をしたことがない。他の猫達は病気や怪我で病院に何度も行くが、カリンは生まれた時の検診と避妊手術だけだ。ひ弱そうに見えているが実際は我が家の猫達の中で一番逞しいのかもしれないな。



  

「何をお出ししましょうか」

ママが男に声をかけると、
男はカウンターにつけた左手で
後頭部を掻きながら、
何もいらないから
放っておいてくれと言った。
振り回している右手が
とても横柄に見えて
私はちょっとムカッとくる。
ママは黙ってカウンターの向こうで
食器を片付けながらも
チラチラと男の様子を観ている。
男は握り締めた拳を額に当て、
もう一方の手のひらでその拳を包み込み、
撫で擦るような仕草をしながら
ブツブツと何かをつぶやいている。
私はいざと言う時のために、
そっとカウンターの隅に移動した。

「どうすればいいんだ・・・」

声の暗さで、この男が抱えている
悩みの大きさが感じられた。

「大変なことを知ってしまった」

何を知ってしまったのだろう、
身をよじり悩み苦しんでいる男が気になり、
側に行って事情を聞いてやりたくなった。

「ママ、行っていい ? 」
私は目でママに聞いた。
ママは黙って頷く。

四つばかり離れていた席を立ち、
私は男の隣に座った。

「あ、失礼ですが何か悩み事がおありなら、
 もし良かったら
 話してみられたらいかがですか」

私がそう言うと、
男は両手の中に埋めていた顔を
ゆっくりと上げ、私の顔を見た。
泣いている・・・何と男は涙で顔を
クシャクシャにしているではないか。
思わず私とママは顔を見合わせた。

「どう、なさったんですか・・・」

私がもう一度聞くと

「知ってしまったんだよ・・・
 私は知ってはいけないことを
 知ってしまったんだ」

そう言って男は唇を震わせたまま、
大きな目で私を食い入るように見つめた。

「何・・・を知ってしまったんですか」

私はとても嫌な予感がしていた。

〜つづく 


="#CC0000">「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
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電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.12.17. (00:56)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(9) /
 我が家の猫達&ママの店
あくび

ブチのあくび・・・ものすごい顔になる。ブチの顔はどっちかと言えば丸い方なんだが、あくびをすると菱形になる。何かヘビが口開けているみたい。お願いだから側で何回もそんな顔しないで、お母さんは恐いよ。ヘビ大嫌いなんだから。



 
 
ママの店に行った。

今日は珍しくお客がいない。
カウンターの向こうで
ママがニッコリ笑って迎えてくれた。

「あれっ、今日はまだ誰も来てないの ? 」

「さっきまで犬山さんと
 リリーさんがいたんだけど、
 ラスコで買い物すると言って出て行ったわ」

ママは洗ったグラスを
タオルを敷いたバットに並べながら言った。

ラスコ ? 

「ラスコって何なのさ、
 初めて聞く名前なんだけどデパートなの ?」

駅の近くに大きなデパートがあるのは知っている。
ひょっとしてあれがラスコか ? 

「そうよ、あのデパートよ。
 名前知らなかったのね、あっちの世界に
 似たような名前のデパートあったでしょ」

そう言われてみりゃあ・・・
そんな名前の大型スーパーがあった。

「しかし、ラスコって・・・」

私がプッと噴き出すように笑うと、
ママも、

「ホント適当な名前をつけたものだわねえ」
と言ってクスクス笑った。

「で、何買いに行ったのさ、あの二人」

「さあ・・・洋服じゃない ? 」
と言ってママはまたニッと笑った。
犬山さんのクリーム色のスーツを思い出し、
私の口も思わず緩んでしまう。

あの二人、幸せそうで良かったねと私が言うと、
ママはフンフンと頷き、

「あんたも成長したわね」と言った。

ママに褒められるととても嬉しいのだ。

カラ〜ンコロ〜ンと軽やかな音とともに、
男の客が入って来て、
カウンターに腰をおろした。

年の頃は中田先生くらいだ、
背広をきちんと着こなしているところを見ると
サラリーマンか・・・
前髪が額に垂れているのが暗いけど、
こりゃなかなかのハンサムだ。
私はいつものソファーに座り、
客の様子を観察していた。

〜つづく

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2006.12.16. (00:34)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(13) /
 我が家の猫達&ママの店特別番組
お、落ちかけてる


ダッコしてもらいたくて私の前をウロウロするブチ。ダッコしてやりたいと思うんだけど、そういう時に限って私は忙しい。やっとダッコしてあげれたら早速自分の手をチュバチュバ吸い出した。去年の湯たんぽで禿げちゃった部分、結局生えて来なかったね。




私が両親と暮らしていたマンションでの話し。
新しく読まれる方は、前回の特別番組
読んで頂ければ分かるのですが、
そのマンションは周りに畑と川しか無い、
とても辺鄙な場所に建てられたもので、
しばらくの間入居者は
私達一家だけだったんです。
前回は壁に女の子かと思える
不思議な絵が
浮き出て来たことを書きました。
母はその絵が恵比寿に似ているから、
縁起が良いとか申しまして
喜んでおりましたが、
私には気が狂ったように笑っている
少女の顔に見えて不気味でした。

もう古い話になってしまいましたから、
いろいろな出来事を覚えてはいましても、
それが果たして
何年の何月頃のことかとまでは、
記憶にないのです。
でもあの日は窓を開け放していて
丁度良い時候でしたねえ・・・

それはお昼頃のことでした。
台所を片付けていると、
いきなり流しの上辺りから
水がザーッと流れ落ちてきたんです。
上階の住人が台所の水を溢れさせたら、
おそらくこんなふうになるでしょう。
我が家はマンションの三階、
確かに上にも部屋がありますが、
上はまだ空室。
六棟五階建てのこのマンションに
住んでいるのは私ら一家だけなんです。
それなのに台所の上から水漏れとは・・・
まったくもって訳が分かりませんでした。

幸いにも落ちて来る水は
すべて流しに入りましたので、
床が水浸しになるということは
ありませんでした。
止まってくれるのを待っていたのですが、
見ていると水と一緒に何やら
黒い大きな粒のようなものが
落ちて来ております。
何だろうと近づいて見ますと、
それはゴキブリでした。

ボッカブリ、多分私らの地方の
方言だと思いますが、ボッカブリとは
大きなゴキブリのことを指します。

そのボッカブリが水と一緒に
落ちて来ているのですが、
しだいに水の流れが激しくなり、
ボッカブリの量も
半端ではなくなって来ました。
バラバラバラとボッカブリが
流し台に叩きつけられる凄まじい音が
部屋中に響き渡りました。
それはもう恐ろしく、
大変気持ちの悪い光景でした。
落ちて来たボッカブリの数はおそらく
百や二百の数ではありません。
時間にすれば
数秒の出来事だったでしょうが、
私にはとても長い時間に感じられました。
そしてもっと驚いたのは、
ようやく水が止まった時に
あの大量に落ちて来たボッカブリ達が
何処にもいないのです。
おそらく一瞬にして
隙間に逃げ込んだのだと思いますが、
私にとっては信じられない光景でした。

多量の虫が現れるのは凶。

しばらくは私の耳と頭に、
激しい雨だれの音にも似た
ボッカブリが落ちて来る音と、
あのおぞましい光景が焼きついて、
離れませんでした。


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2006.12.15. (00:59)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(22) /
 我が家の猫達&ママの店
新しい湯たんぽ

カネの湯たんぽに穴があいた。中を見ると凄い錆びだ。夏の間、保管するとき十分乾燥させたつもりだったのだが、まだ乾燥しきれていなかったらしい。熱湯を入れてタオルで何重にもくるんでいたから良かったものの、熱い湯が染み出たら火傷してしまうところだった。
今度購入したのはこのポリタンク。これなら錆びることはない。
それに、このポリタンクには専用の袋がついているのでより安心だ。
低温火傷をしないように袋に入れてから尚且つ、まだバスタオルなどで厚くくるむ。




私は夢を見ていた。
今いる世界が夢の中なのに、
それでも私は夢を見るのだ。

昨日あの後良太君達と箱の中の世界で
ハチャメチャに遊んだ。
どこまで奥行きがあるのかと思えるほど
中は広く、虎の毛皮を背中に垂らした
良太君と追いかけっこをした。
部屋の中には中世ヨーロッパの金持ちの
大邸宅を思わせる調度品が溢れ、
そりゃあもうどこを見ても金ピカで眩しい。
壁に掛けられた沢山の絵は
有名な絵だと中田先生が教えてくれた。
しかも何とフェイクなんかじゃなくて、
皆本物なのだ。
私は絵にさほど興味はないから、
それらを全部
見て回ろうとは思わなかったが、
先生とママは
二人で順番に見て回っていた。
真紅を基調にしたゴージャスな
ペルシャ絨毯の上を歩くと、
自分が王様になったような気がする。
涼子さんはテーブルの上に置かれた
花瓶が綺麗だと
びっくりしたような声をあげた。

「恵子、見てこの花宝石で出来ている・・・」

「こっちの果物もちれいだよ」と恵子ちゃん。

私も側に行って見たが、
花や果物が、宝石を細工して
精巧に作られており
私は思わずリンゴを手に取り、
口に持って行き歯を当ててしまった。
石で出来ているのだから齧れるはずがないと、
分かっているのに食べてみたかった。
しかし、前歯がリンゴの表面に、
いとも簡単に食い込んだので驚いた。
そして歯を伝ってリンゴの甘い果汁が
口の中に広がった瞬間、
私は息もつかずそのリンゴを食べるのに
夢中になっていた。
今までかつてこんなに美味しいリンゴを
食べたことがない。

「食べれるんだ」

私がガツガツと食べているのを見て、
涼子さんと恵子ちゃんも
リンゴやバナナなど、
自分の好きな果物を手に取り食べ始めた。

「美味しい !」
涼子さんが思わず大きな声を出すと
ママが振り向き、

「花も香るわよ、楽しんで」と言って笑った。

バナナを食べていた恵子ちゃんが、
目の前にある
ピンクのスイートピーに鼻を近づけ、

「うわあ・・・いいにおいでしゅ・・・」
と驚きの声をあげる。

壁にくっつけるように置かれた
紅いビロードの
クッションが張られた長椅子で、
犬山さんとリリーさんが
楽しそうに語らっている。
ふと犬山さんが私の方見て、
戸惑ったような表情を見せたので、
私は親指を立て、ニッと笑って見せた。
犬山さんは恥ずかしそうに、
しかし嬉しそうに頭を掻いた。
不思議そうな顔で
犬山さんと私の顔を見比べている
リリーさんの手を、
何でもないよと言うように、
犬山さんがそっと握ったのを
見届けてから後の記憶が無い。

いつまであそこにいたのか、
いつ家に帰ったのか、それが思い出せない。
でも今こうして自宅のベッドの上で
目を覚ましたということは、
ちゃんと帰ってきたということなんだ。

脇腹のところで何かがモゾッと動いたので、
手でまさぐるとゴンが布団の中にいた。
お腹を撫でてやると
ゴロゴロ喉を鳴らし始めた。

〜つづく

="#CC0000">「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.12.14. (00:35)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(17) /
 我が家の猫達&ママの店
この悪戯者メ

シマジロウは今日もチャオを追い掛け回す。私がどんなに怒っても、
その時だけピューと机の下に逃げ、目を離すとまた今度はクロを追い掛け回している。クロはとっても嫌な顔をして適当にあしらっているが、もうそろそろいいかげんにむ止めないとクロが怒り出すぞ。
クロは強いぞ、喧嘩になったらお前みたいな弱っちいのは
跳ね飛ばされてしまうからね。


「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」

何もかもが消え去った後には
只深い闇だけが残り、
私達はその闇の中に浮かぶように立っていた。
犬山さんと中田先生はいつまでも、
影が吸い込まれて行った方向を見ており、
涼子さんは何も無い地面に
足をトントンと当てたりして、
首を何度も傾げている。
きっと自分がどうやって何も無い所に
こうして立っていられるのか、
不思議に思っているのだろう。

ママはどうなったんだろうと、
ハッと気がつき、見ると、
ママは手にした剣を見つめながら
何かぼんやりと考えているようだったが、
やがて私の顔を見てニッと笑い、

「豊、ごめんね。私って懲りない女ね」 

そう言ってから、皆の方を向き、

「さあ、じゃ、皆さん帰りましょうか」
と声をかけた。

その合図で皆ママを囲むように集まる。
中田先生、犬山さん、
涼子さんの顔の何処にも、
少しも疲労の跡は現れていない。
私もあれだけ動き回ったのに、
ちっとも疲れを感じていないのだ。

ゴーストバスターが
板についてきたってことか ?
そう考えると愉快でならなかった。

やがてママが唱える呪文とともに、
いつの間にか私達はママの店に移動していた。

店の中は少しも散らかっていない。

カウンターの横から奥の部屋に入り、
甲冑を脱いで
ランニングとジーパン姿になった。
甲冑の重さが当たり前になっていたからか、
脱いだとたんに身が軽くなり、
空に浮かぶ雲になったような
爽快感があった。

「あぁ・・・すっきりした」

涼子さんの声だ。
彼女も私と同じく甲冑の下に、
Tシャツとジーパンを穿いていたらしく、
甲冑を脱いですぐ、
気持ち良さそうに両腕を上に
グウンと挙げて背筋を伸ばしている。
中田先生はランニングと
トランクスの下着のままで
首や腰を回しているが、
若い娘がいるでなし、
そんなこと皆おかまいなしだ。
犬山さんはすでに
あのクリーム色のスーツに着替え、
壁に掛かった古めかしい鏡を見ながら
ネクタイを結んでいる。
それを見ていてリリーさん達が
まだ箱の中だったことを思い出した。

「リリーさん達を出してあげないと」

私が言うと、
いつの間に着替えたのだろう、
ママがいつもの黒いドレスを着て立っており、

「出すと言うより皆で中に入りましょう」

悪戯っ子のように目をくりくりさせて言った。

〜つづく

・・・お知らせ・・・



「怪談奇談」(幽霊屋敷)を追加しました。

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.12.13. (00:34)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(6) /
 我が家の猫達&ママの店
病院行った

胸の腫瘍が大きくなっていると娘が言う、私も触ったがそう言われてみればちょっと硬くなってきたような・・・昨日は一晩考えて寝れなかった。今日の昼、院長先生に診てもらうまで本当にドツボの中だった。
他の猫達と違ってチャコは病院を嫌がらない。籠にもすんなり入ってくれるのがよけい哀しく、自転車の後ろに乗せて病院へ。院長先生は黙ってチャコの体を調べていたが、「別に大きくなってないよ」と一言。
私はちょっとホッとしたけれどまだ不安は消えない。先生は私の顔を見て「もう取ってしまったほうがいいね」とおっしゃった。このままで不安を感じるなら手術してしまおうと言うことだ。年が明けたら良い日を見て手術しますとおっしゃったが、ずっとニコニコ笑っておられたので何かそんなに心配しなくてもいいのかな?と思えてきた。
チャコはご飯もよく食べてくれるし、走り回れるほど元気だ。年はいっているが多分大丈夫だ。もう悪いことは考えないようにしよう。


今日は雨だから風呂場が乾燥室になる。
洗濯機を回しながら、
乾いたシャツにアイロンをかける。
猫達はストーブの前で寝そべったり、
コタツに潜り込んで寝ている。
午前中のこの静かな時間が
いつもならパソコンに向かい、
連載している小説の
続きを書く時間になるのだけれど・・・

何にも手につかない時間が過ぎていく。


・・・お知らせ・・・

「ママの店16(前編)」「ママの店16(後編)」「怪談奇談」
以上三作品をHPにUPしました。
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。


白河甚平 さんにイメージ絵を描いて頂きました。
「ママの店16(前編)」

「ママの店16(後編)」

「怪談奇談」(幽霊屋敷)を追加しました。

別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.12.12. (00:59)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(18) /