あくび
ブチのあくび・・・ものすごい顔になる。ブチの顔はどっちかと言えば丸い方なんだが、あくびをすると菱形になる。何かヘビが口開けているみたい。お願いだから側で何回もそんな顔しないで、お母さんは恐いよ。ヘビ大嫌いなんだから。
1 2 ママの店に行った。
今日は珍しくお客がいない。
カウンターの向こうで
ママがニッコリ笑って迎えてくれた。
「あれっ、今日はまだ誰も来てないの ? 」
「さっきまで犬山さんと
リリーさんがいたんだけど、
ラスコで買い物すると言って出て行ったわ」
ママは洗ったグラスを
タオルを敷いたバットに並べながら言った。
ラスコ ?
「ラスコって何なのさ、
初めて聞く名前なんだけどデパートなの ?」
駅の近くに大きなデパートがあるのは知っている。
ひょっとしてあれがラスコか ?
「そうよ、あのデパートよ。
名前知らなかったのね、あっちの世界に
似たような名前のデパートあったでしょ」
そう言われてみりゃあ・・・
そんな名前の大型スーパーがあった。
「しかし、ラスコって・・・」
私がプッと噴き出すように笑うと、
ママも、
「ホント適当な名前をつけたものだわねえ」
と言ってクスクス笑った。
「で、何買いに行ったのさ、あの二人」
「さあ・・・洋服じゃない ? 」
と言ってママはまたニッと笑った。
犬山さんのクリーム色のスーツを思い出し、
私の口も思わず緩んでしまう。
あの二人、幸せそうで良かったねと私が言うと、
ママはフンフンと頷き、
「あんたも成長したわね」と言った。
ママに褒められるととても嬉しいのだ。
カラ〜ンコロ〜ンと軽やかな音とともに、
男の客が入って来て、
カウンターに腰をおろした。
年の頃は中田先生くらいだ、
背広をきちんと着こなしているところを見ると
サラリーマンか・・・
前髪が額に垂れているのが暗いけど、
こりゃなかなかのハンサムだ。
私はいつものソファーに座り、
客の様子を観察していた。
〜つづく
="#CC0000">「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」 「怪談奇談」に
(幽霊屋敷)ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
別荘出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.12.16. (00:34)
猫 /
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