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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
そっとしておいてあげようよ

ストーブの前に集まってきた猫達。チャコが熟睡しているからそっと寝かせておいてやってね。今日の午前中はとても良い天気だったけれど、夕方近くに雨が降ってから急に寒くなった。



   

「私は神の本心を知ってしまったんです。
 知った以上はもう信仰することなど
 出来ません。
 神が・・・・
 私を導いてくださる神が・・・
 あぁ、もう何が何だか分からなくなった」

男は絶叫しながら頭を抱え、
カウンターの上に
涙をポトポトと落としている。
うへ、宗教のことなんて苦手だ・・・
どうしよう、こんなこと相談されても、
私には答えようがない。
眉が寄り、口もへの字に曲っているのが
自分でも分かる。
ママの顔を見ると、ママは口元に
薄っすらと笑みを浮かべている。

「ママ、ママならこの人の話を
 聞いてあげれるんじゃない ? 」

私が心の中でそう聞くと、

「私の答えは一つよ神なんて存在しないわ。
 だから私じゃ
 相談に乗ってあげられないわね」

そう言えばママは、
前から神仏について否定的だった。
だからそんなママに相談に乗らせても、
こりゃ無駄だろうな・・・
ママが私の心を読んだのか、
そうよそうよと言わんばかりに頷いている。

「どうしたんですか」
悩める男をはさんで向こう側に中田先生が
出現していた。

「もう、先生ったら・・・」
ちいさくブツブツ言いながら、私は
先生をチラッと睨んだ。
この人はいつも
何の前触れも無く突然現れる。
もう大分慣れたが、
出来ればやめて欲しい。
でも、まあ私一人でどうしようかと
困っていたので、助かったことは
助かったのだが。

「私は神の愛を信じておりました。
 信仰さえしておれば、
 幸せな一生を送ることが出来ると
 心から信じていたんです。
 それが、そうではなかったんです。
 神の真の目的は・・・」

男はそこでまた言葉を詰まらせた。
そしてキョロキョロと辺りを見回し、

「誰かに見られている気がする」
とボソッとつぶやいた。

「大丈夫、誰もいやあしませんよ。
 ここには悪い考えを持った者は誰も
 入って来れやしませんからね」
中田先生が男を安心させようと、
やさしく声をかけると、

「いや、悪魔は入って来られないでしょうが、
 神、もしくは神の僕なら
 入って来れるはずだ」
男は急に声を荒げ、
その声の大きさに怯えたのか、
肩を震わせ、また辺りを見回した。

何か話がとんでもない方向へ向かっている。
中田先生も眉間に皺を寄らせ、
話に加わったことを
後悔している様子がありありだ。
この人は何かの宗教に入っていて、
それがとんでもないカルト集団だと
分かって怯えているんだろう。
私が思うことは先生も同じだったと見えて、

「じゃあ、その宗教をやめれば
 いいじゃありませんか。
 宗教をするしないは個人の自由です。
 あなたが疑いの心のまま、
 その宗教を続けていることのほうが
 問題だ」
先生の眉も目尻も完全に下がり、
こんな話に付き合ってはいられない
とばかりに姿も半分消えかかっている。

〜つづく

="#CC0000">「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2006.12.18. (00:51)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(11) /
ハレルヤ

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