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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
こんなん持ってきたよ


ナナが飴を銜えて持ってくる瞬間を写そうと頑張るが、すぐに口からポトリと落とすのでなかなか撮れない。一日ナナにへばりついているわけにもいかないし、特ダネは遠いけど、とってもいい顔をしてくれた。



         10 11 12

「まあまあまあ、
 難(かた)い話はもう止めにして、
 どうぞ食べてください。
 せっかくの料理が冷めてしまいます」
恩他さんは顔をクシャクシャにして
人懐こそうな笑みを浮かべ、
私の前にある皿のさっきの鶏肉の横に、
ブロッコリーや人参のグラッセを
添えてくれた。
この人は悪い人じゃない。

いただきます、と言って私は
一切れ鶏肉を食べた。
オレンジソースの香りが口の中から
鼻腔に広がる。こんな美味しい
ローストチキンを食べたのは
久し振りだ。温野菜に
そのソースを絡めて食べると、
肉汁の甘みと、焼けた皮から滲み出た
ソフトな苦味が相まって、
最高の味になった。

「美味しいですねえ」と私が言うと、
恩他さんは嬉しそうな顔をして、

「ワインも飲んでみてください。
 私はワインに全然詳しくないんですが、
 鶏肉料理にはいつもこのワインと
 決めているんです。
 決して高級なワインじゃありません。
 でも、美味しいんです。
 料理にとても合いますよ」と言った。

恩他さんが言うように、
そのワインを口に含むと、
爽やかな甘みとフルーティーな香りが
口一杯に広がった。
恩他さんと軽い世間話を交わしながら、
しばらくは食べたり飲んだりに
夢中になっていたが、
私はふと妙なことに気が付いた。
ここは私の家、私の夢の中ということだ。
恩他さんも私と同じビジターだと
ママが言っていたが、
どうして私の家に来れたんだろう。
ママの店にいろんな人が訪れるのは
当たり前だ、
でも私の家には私の関係者しか
来れないはずなのだ。
私は恩他さんを呼んだ覚えがない。
私のナイフとフォークの
動きが止まったので、
恩他さんが心配そうな顔して、
どうなさったのですかと聞いてきた。
恩他さん、と言って彼の目を見ると、
何ですか、と首を傾げた。

「ここは僕の夢の中です。あなたも今
 夢を見ていらっしゃる。
 同じ夢を共有することが
 出来るだなんて、
 あり得ないような気がするんですが」
私の言葉に、
恩他さんは眉を潜めた。

「ここは私の夢の中じゃないんですか、
 私にはあなたの世界に入り込んでいる
 自覚なんてありません。
 むしろあなたは私の夢の中の人だとばかり
 思っていましたよ」

えぇーっ? そんなあ・・・
二人とも腕を組み、
うーんと唸って考え込んでしまった。 
そうだ、こんなことをしていても仕方がない。
今から二人でママの店に行こう。
ママなら何か知っているだろうし、
恩他さんには是非中田先生と
話し合ってもらいたいものだ。
中田先生は絶対悪くなんかない。
これは恩他さんが何か誤解をしているのだ。

「恩他さん、今から・・・アレッ」

もう、恩他さんの姿は何処にもなかった。

〜つづく

「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2006.12.28. (00:33)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(13) /
ハレルヤ

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