どうして?
可愛い顔をしているチャオ、さぞかし皆と仲良し・・・ではない。
チャオはナナの息子達にいつも苛められる。特にシマジロウなんて酷いもので、顔が合ったと言うだけでチャオを追い掛け回す。チャオも悲鳴をあげて逃げ回るものだから、周りの猫達が連鎖反応を起こしてあちこちで乱闘が勃発してしまうのだ。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15人は一つの世界で死を迎えると
また別の世界に行く。
私の住んでいる昭日町も
その中にある一つの世界なのだ。
私は両親と一緒に今
昭日町で生活をしている。
ちょっと違うのは、
私はまだビジターだと言うこと。
宇宙にはいくつもの
パラレルワールドが存在していて、
どれが生の世界で、
どれが死の世界だという区別がない。
もしかしたら私の両親が、
まだ一回も死んでいない世界も
宇宙の何処かに
存在しているかも知れない。
恩他さんはその世界に
私を移動させようとしているのか、
もしそうなら、今更そんな必要はない。
私は昭日町で両親と共に
ちゃんと生活出来ているのだから。
さっき動揺したのは、母の死に顔を
またもう一度見せられたからだ。
誰だって大事な人の死に顔を
何度も見せられたら
たまらないだろう。
「どうなさいますか」
恩他さんが黙ったまま考え事をしている
私を探るような目で見ている。
「いや、僕は今のままで満足です。
誰にでも死は訪れます。
たとえ今母の運命を変えたとしても、
それはそれでまた死という形で
別れが訪れます。
また悲しまなきゃならないんです。
今僕は昭日町で両親と暮らせています。
離れられない仲間達もいますしね」
「あなたはお母様の死を運命だと本気で
思っていらっしゃるのですか」
恩他さんの眼球が血走っている。
この人は何が言いたいのだろう、と
私は首を傾げてしまう。
「さっきも言ったでしょう、
人が死ぬのは仕方がない」
私は少しイライラしてきたが、
恩他さんは何故か私よりもっとイライラ
しているようだ。
「私は神を信じてきたのに、
神は息子を死なせてしまった。
だから私は悪魔に魂を売ったんです。
その代わりに息子と住める世界に
連れて行ってもらうんです」
恩他さんの口から神と悪魔が出た。
「言っときますが、神なんて
いやしませんよ。
信仰するのは自分の為に
いいかも知れませんが、
神が何もしてくれなかった
などと嘆いたり恨んだりするのは愚かだ。
存在しないものにいったい何が出来るんだ」
神も仏も存在しないのよ・・・
ママの言葉が蘇る。
私も無信心だから、別に神様がどうとか
思いはしないが、天国と地獄くらいは
あるだろうと言ってママに笑われた。
恩他さんはキリキリと唇を噛みしめて、
そんな・・・と言ったきり黙りこんだ。
「あなたは神を信じない、
それじゃ悪魔の存在はどうなんです?」
恩他さんは半分泣きかかっている。
「そんなもん、あるわきゃないですよ。
神を無いと言い切る者が悪魔の存在を
認める訳がありません」
〜つづく
「ママの店16(前編)」 「ママの店16(後編)」 「怪談奇談」に
(幽霊屋敷)ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
別荘出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.01.05. (00:19)
猫 /
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