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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
チャコ

午前中チャコを病院に連れて行った。胸の腫瘍は直径一センチくらいのが一つと、極小のが二つあった。手術決定、退院は土曜の午前になる予定だ。猫も人間と同じで、年がいくといろいろ病気が出てくる。



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ママの店に着いた。
ドアを開ける前に、
涙で赤くなっているはずの
目の周りを腕でゴシゴシ擦った。

カラ〜ンコロ〜ンと軽快な音をたてて
ドアが開くと、ママと中田先生が
カウンターの所から私を見た。
私は滑り込むように中に入り、
先生の横に座る。

「あいつ、僕の家に来たよ。
 先生の所へは来なかった?」
私は泣いた顔を
二人に気づかれないうちに、
話題を恩他の野郎に持って行きたかった。
先生は右手の親指を顎に当て、
曲げた人差し指で
コリコリと顎を掻きながら、
ウーンと軽い唸り声をあげた。

「良太が死ななかった世界に
 戻してやるから仲間になれと
 言って来たよ。
 私も屋上から飛び降りなくても
 すむってさ。
 何度も飛び降りの瞬間をやらされて、
 目が回って気分が悪くなってしまった」

先生はもう
思い出したくも無いと言った顔だ。

やっぱり・・・
あいつは僕の所と先生の所の
両方に現れていたんだ。
次元を操る奴だから、
そういうことはお手の物だ。

「で、それだけだった?」
私は母の死に顔を突きつけられて、
それが凄いショックだった為、
先生も何か嫌な思い出を
穿(ほじく)り出されたんじゃないかと
思ったのだ。

「神など信仰しても無駄だと
 言っていたよ。私は一時期
 信仰していたことがあってね、
 というのも私の出た学校が
 そっち系だったもんでね、
 そういう関係だけのことなんだけど、
 医者というのは
 人の命を預かる仕事だからね、
 どうしても信仰に頼る部分があるんだ」
中田先生は、神を捨てて悪魔に寝返れと
いうようなことを言われたらしい。

「で、どう返事してやったのさ」
と私が聞くと
先生は左の瞼を人差し指で擦った後、

「悪魔になんぞ死んでも嫌だって
 言ってやったんだけど、
 今ママにそのことについて
 怒られていたところさ」
先生はニヤリと笑ってママを見た。
ママはポッと頬を染め、
怒るだなんて・・・と言って
苦笑いをした。
そして私の方を向き、

「あのね、豊には話したことが
 あると思うんだけど、
 世の中に悪があるから
 善が生まれるのよ。
 もし、悪いものが何も無かったら、
 善と言う言葉すらないの。
 同じように、
 神様がいるから悪魔が存在する。
 神様と悪魔は同じ線上に
 存在しているの。
 だから、神様の存在を
 認めない者にとっては
 悪魔の存在も無いってことなの。
 豊は無宗教だから、
 恩他は豊に悪魔の存在を
 認めさせることが出来なくて
 さぞかしイライラしたと思うわ。
 でも、中田先生は
 神様の存在を信じている。
 そりゃもう恩他は張り切って
 先生を仲間に引きずり込もうと
 するわ。
 だからね、悪魔の仲間になんか
 死んでも嫌だと言えば、
 悪魔を認めることになるから、
 そういうことを言うのは
 やめたほうがいいのよ」

じゃあ、どう言えばいいのさと
私が聞くと、

「悪魔なんて知らないね、
 お前はただの悪霊だろ。
 単体では何にも出来ないから、
 仲間を集めようとしているが、
 仲間を集める力すら
 お前は持っていないんだって
 言ってやるのよ」
あぁ、それであいつは半分泣きそうな
顔をしていたんだ・・・
私はあの時の恩他のうろたえた顔を
思い出し気分が良くなった。
中田先生は口を引き結び、
首を傾げて考え込んでいる。

〜つづく

「ママの店16(前編)」
「ママの店16(後編)」
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

別荘

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」 
2007.01.09. (00:20)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(20) /
ハレルヤ

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