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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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2007.03

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
シマジロウの目つきが・・・


カウンターの下のクロブチコンビの陰に隠れてシマジロウが居る。
最近のシマジロウは何と言うかその・・・目つきが悪い。
チャコに喧嘩をふっかけたり、チャオを殴ったり、湯たんぽを独り占めしたり、散々悪さをするものだから私に怒られる。だからきっと、すねているのだ。



82 83

コトコトコトと微かな音が聞こえて来る。
みんな一斉にその音の出元に目を遣った。
みんなの目が集中したのは
我々の前にある例のあの箱、
良太君恵子ちゃんリリーさんが隠れていた
あの異次元に通じる箱だ。

涼子さんがママの顔を窺っている。
今すぐにも箱に飛びつき、
蓋を開けたいに違いない。
子供達が隠れていそうな場所と言えば、
やはりこの箱の中、でも私は、
何故か良太君達はこの箱の中には
いないんじゃないかと、
そんな予感がする。
今微かに聞こえているコトコトと言う音が、
所謂 ポルターガイスト
と言った類のモノに感じるのだ。
犬山さんも中田先生も、そしてママも、
恐らく私と同じ事を考えているに違いない。
箱の蓋を開けようか開けまいか、
迷っているようだ。
涼子さんは恵子ちゃんを心配するあまりに、
そう言う所まで意識が及ばず、
どうして蓋を開けてくれないのかと、
やきもきしている。
私達は顔を見合わせた。
どうする?と言う空気が流れている。
もちろん涼子さんの目は、
何でもいいから早く開けてと言っている。
中田先生がそろそろと箱の側に近寄り、
蓋に耳を近づけた。

「良太・・・」先生がそっと声をかけたが、
中からは何の返事も帰って来ない、
それどころか、あのコトコトコトと言う音が
ピタリと止んだ。

「人がいる気配がしないんだ」
中田先生がつぶやくように言う。

「でも、さっきは確かにコトコト聞こえてましたよ」
と涼子さんが恨めしそうに言った。

「まあ、これは我々に蓋を開けて中を見ろと
 言う事だろうな」
中田先生がそう言うと、涼子さんの顔が
パッと明るくなった。

「私には見えるのよ。もしあの子達が
 中に居たら、ちゃんと分かるはず、
 中には何も無いわ。
 ただ・・・」
ママはそこで言葉を言い澱んだ。

「ただ・・・・?」
涼子さんが怪訝な顔をしてママを見た。
早く開けて欲しいのにまだ何かあるのか、
と言わんばかりの険しい顔だ。

「いいわ、何か嫌な感じがするけど、
 開けてみましょう」
ママの言葉に私達男組は、
箱の蓋を持ち上げた。
パカンと開けられた箱の中は
真紅のビロードが敷き詰められてあるだけで、
何も入っていなかった。

「じゃあ、恵子は何処に行ったの?」
たちまち涼子さんの目から涙が零れ落ちる。

犬山さんが駆け寄り、
涼子さんに何か言い掛けた時、
ママが「見て!」と鋭い声で箱の中を指差した。
一斉に覗き込むと、
いつのまにか水が箱の縁まで満ちており、
水面に映像が映し出されていた。

〜つづく

別荘

「ママの店16(前編)」
「ママの店16(中編)」
「ママの店16(後編)」
「ママの店17前」
「ママの店17(中編)」をHPにUPしました。
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.03.22. (00:14)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
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