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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
たくあん


夕食に「たくあん(漬物)」を出すと猫達がソワソワし出す。一部の猫を除いて、このたくあんが大好物なのだ。塩分も多いし絶対食べさせたくないから隠すのだが、匂いを嗅ぎつけてやって来る。今夜もたくあんにラップをきっちりかけて棚に隠したのだが、私にダッコさせといてグイッと首を伸ばす。その姿が必死であんまりおもしろいからパチリさせてもらった。クロよ、そこまでして「たくあん」が食べたいのか〜



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「騙されちゃダメよ。
 こいつは猛さん達をさらったのよ!」
リリーさんが金切り声を上げた。

「そうだ、おまえ
 みんなを何処へやったんだ」
良太君はっと我に帰ったかのように、
恩他に迫る。

恩他は困った顔で首を傾げ、
良太君とリリーさんを交互に見て、
何を言おうか考えているようだ。

「ママを帰してくだしゃい・・・」
恐かったからか、今までずっと黙っていた
恵子ちゃんのか細い声が聞こえた。
リリーさんが恵子ちゃんを
恩他から守るように、
しっかりと抱きしめるのが分かる。
恩他は顔をしかめ、

「違う、違う、何も分かっちゃいないんだ」
と言いながら、目を閉じて首を横に振った。

「君達は何か大きな誤解をしているよ。
 私は誰もさらっちゃいない。
 私はみんなを助けてあげようと、
 しているだけだ」

「じゃあ、猛さん達が
 何処へ行ったか教えなさい。
 あんたが神なら、みんながどうなったか
 お見通しってもんだわ」

リリーさんのきつい言葉に
恩他の顔が一瞬歪むのが見て取れた。

「愚かな女よ、君は死んでも
 その魂は小賢しく、したたかなんだね」

恩他はリリーさんに妙な言葉を投げ掛けた後、
気を取り直したかのように、
また笑顔を浮かべ、
ひょいとしゃがみ込んだ。

「恵子ちゃん・・・と言ったかな?
 君は私と遊園地で会ってるよね、
 覚えているかな」
恩他は優しく恵子ちゃんに問いかけた。

「うん、おぼえているよ。
 ソフトクリーム買ってくれた
 おじしゃんでしゅ」
恵子ちゃんが小さな声で答えると、
恩他は優しく微笑み、

「そうだったね、その時私は君達に
 何かしたかい? 」

恩他の問いに、おそらく恵子ちゃんは
リリーさんのスカートに顔を埋めながら、
首を横に振ったに違いない。
恩他は満足そうな笑みを浮かべ、
今度は視線を良太君に向けた。

「なあ、良太君。良く考えてくれないかな、
 私が悪い人間だと言っているのは
 豊兄ちゃんと先生だけなのじゃないか?」

良太君は、お前の言う事など
誰が聞くもんかと言わんばかりに
グイッと身を乗り出し、

「言っとくけど先生や兄ちゃんは
 嘘なんか絶対つかねえからな。
 兄ちゃんの母ちゃんにお前がした事を
 みんな聞いている。お前はおいら達を
 騙そうとしているみたいだけど、
 お前の言う事なんか誰も信じねえからな」
良太君の言葉に続いて、リリーさんが、

「あんたは私達をどうしたいのさ、
 確か、この前私の前に現れた時、
 もう一度人生をやり直させて
 あげるだなんて言ってたけど、
 そんな世迷言、誰が信じるもんか」

リリーさんと良太君の強い意志が仇になり、
恩他の怒りを刺激しないだろうかと、
私はもちろんママ達も心配で、
固唾を呑んで見守っている。

恩他はまるで哀れな子羊を見るような
眼差しをリリーさんに投げ掛け、

「世迷言・・・難しい言葉を
 君は知っているんだね。
 さすが、使う言葉に年季が入っている。
 はてさて・・・
 君はいったい幾つなのかな?
 ちょっと見た所、十三、四歳くらいの
 お嬢さん・・・と言った所かな、
 君の名前は、確か・・・
 あぁ、そうそう加藤百合子さんだったね」

恩他の口から、今まで
聞いた事の無い名前が飛び出した。
リリーさんの表情が見えないが、
黙っている所を見ると、
多分それがリリーさんの本名なんだろう。
リリーさんの本名は加藤百合子・・・
誰もが初めて知ったリリーさんの本名。
でも、今はそんな事どうでもいい。
私達は誰も顔を見合そうとしなかった。

恩他の優しい笑顔の中に
ゾッとするような暗い陰が見え、
私の頭にこれから起る事への
たまらない不安が過ぎる。
あの秘密は私とママしか知らないはずだ。
リリーさんの本当の姿を
犬山さんが知ったら・・・
しかし犬山さんは私の心配をよそに、
ただ恩他に対する怒りに拳を握り締め、
目を血走らせ画面を凝視している。

〜つづく

別荘

「ママの店16(前編)」
「ママの店16(中編)」
「ママの店16(後編)」
「ママの店17前」
「ママの店17(中編)」をHPにUPしました。
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.03.28. (00:18)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(9) /
ハレルヤ

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