筆者  活動状況  オンライン小説  新刊+出版本  更新情報 ブログ
メルマガ Link HOME MAIL


fc2-BlogRanking   Blog Entry
管理人

樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

    モバイル版を開設しました!
月別ログ
カテゴリ
最新記事
コメント
トラックバック
リンク




2007.05

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31

オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
フク

冬の間私と一緒に寝ていたフクは、夏になると最初だけ私と一緒にいて、夜中に何処かに移動する。きっと涼しい場所があるんだろう。ナナは今年もベランダの網戸にもたれるようにして寝るんだろうな、玄関で寝ている子もいたなあ〜みんな涼しい場所を知っているんだ。



  

昭日町がまだ
恩他の手中にあるのだとしたら、
父さんにも母さんにも
まだ会えないと言う事だ。

どうしたらいい・・・

私は今、心底うろたえていた。
あの日ママと二人で
商店街を見に行って、
両親の店が閉鎖されているのを
目の当たりにした時、
何としても恩他を潰し、
両親を取り戻そうと
拳を握り締めて決意した。
しかし、何故か今は、
あの時の派気は消え失せ、
どうすればいいのか分からない、
五里霧中の焦りしか
湧き上がって来ないのだ。

「疲れているだけよ、
 何も悲観する事はないわ」
ママが私の混乱した心を察して
背中に手を当てて声を掛けてくれた。

「大丈夫よ、必ず昭日町は元に戻るわ。
 だって、私達の住む所は
 昭日町なんだもの。
 私達には昭日町を引き寄せる
 パワーがあるのよ」

パワーがある・・・?

「そうよ、私達には
 昭日町が相応しいから、
 ここに来たのよ。
 あっちの世界で死んだモノ達はみんな、
 自分に相応しい世界に行くんだからね。
 だから・・・」

ママは私の顔を見てニッコリ笑った。

そうか、私が故意的に
何かをしない限り、
昭日町が消える訳が無い。
昭日町は私の世界なんだ。
ママのおかげでやっと元気が出た。

でも、どうすりゃいいんだ・・・
いずれにしても、恩他を見つけ出して、
奴を完全に消し去らなくては
ならないだろう。

「雨も上がった事だし、そろそろ戻るか」

中田先生が両腕を曲げて、
腰を左右に振って呟いた。

「ええ、戻りましょう。
 戻って自分達の目で、
 昭日町がどうなっているか
 確かめましょう」

ママはそう言ってみんなの顔を見回した。

雨宿りをさせてくれていた
ココナツの木を後にして、
我々は無言のまま道路に出た。
私は出る時もう一度振り返り、
海が漆黒のまま
静まり返っているのを確かめた。

全員で道路の際に立ち、左右を見たが、
広い道路は静まり返り、
車が走って来る気配は無い。

「車、走ってないね」
良太君がそう言って
今にも渡りそうにするので、

「ちょっと待って、
 全く来ないとも限らないよ。
 とんでもないスピードで飛んで来た車に、
 轢かれそうになった事があるんだ」

私は以前浜辺で妙な発作を起こして
気絶してから後、
ママの店に行こうとして
この道路を渡っている時、
丁度今と同じ感覚に陥った事を
思い出していた。
あの時も車が一台も
走っていないように見えた。
辺りにはいつもと違う空気が漂っていて、
見あげた空に鳥の姿は無く、
道路の向こう側の歩道に人影が無い。
要するに何の気配も無く、
昭日町がいきなり
無人の町になったような気がした。
そう、丁度今と同じ状態だ。
空には鳥が一羽も飛んでいないし、
道路の向こう側に人影も無い。

「豊兄ちゃんどうしたの?」
良太君が怪訝な顔をして
私を見上げている。
中田先生やママ達も、
私が黙ったままなので何事かと
思っているようだ。

「あのね、前に轢かれそうになったんだ。
 丁度今と同じ状況でね、車は全然
 走って来る気配なんか無かったのに、
 渡っている時物凄い速さで
 僕の目の前を走り抜けたんだ。
 もう一歩前に出ていたら必ず轢かれていた」

私の言葉に全員が溜息をついて
困った顔をした。

「豊の言う事が当たっていたら、
 危なくてうっかり渡れないなあ」
中田先生が道路の左右を見ながら口にした。

「空を見て、ほら、
 鳥が一羽も飛んでないだろ、
 今みたいな青空だったら、絶対
 鳥の集団飛行が見られるはずなんだ。
 人道には人影もないし・・・」

私がそう言うと、みんな辺りを見回し、
そう言えばおかしいなと
口々に言い始めた。

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」10話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.05.09. (00:36) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
ハレルヤ

Copyright © 2004 Powered by FC2 All Rights Reserved.
Photo by Wisteria Field  Template by lovehelm