ブチクロコンビ
今日の晩御飯、人間はミンチカツで猫達は鶏のささ身焼き。中華なべでフライを揚げる時は特に神経を使う。こんなふうにブチクロ悪々コンビが匂いにつられて足元をウロウロするからだ。揚げ物しない訳にはいかないしなあ〜私は菜食主義なので油物は無くてもいいけど、他のみんなはそう言う訳にはいかないもんねえ〜あぁ、神経が磨り減りそうだよ。お願いだから、こういう時だけは近寄らないで。
1 2 3 4ー混乱する時間ー
その時良太君に抱かれていたワンコが
いきなり飛び降り、道路の向こう側目掛けて
走り出した。
「うわっ、ちょっ、ワンコ!」
良太君が慌ててワンコの後を
追いそうになったのを引き止めた私の耳に、
何処からかカンカンカンカンと
警報音が聞こえて来て、
突然目の前の景色が一変した。
踏み切りだ・・・・
降りた遮断機の向こうに子犬がいる。
けたたましく鳴り響く警報音と
枕木の振動が、
電車の接近を知らせているのに、
何も知らない子犬は、
線路のど真ん中に座り込んで
後ろ足でのんびり首を掻いている。
危ない、早く逃げろ・・・いや、
今度こそ助けてあげる!
私は降りている遮断機をくぐり抜け、
子犬めがけてダッシュしていた。
「ゆ、豊!」
背後で叫ぶ声を聞きながら、
走る私は何かに蹴躓き、
驚くほどのスローモーションで
線路の上に倒れて行った。
地面に辿り着くまでの時間が長い。
私はゆっくりと、
枕木の間に敷き詰めてある
茶色い石ころの中に
顔をめり込ませて行った。
動きはすこぶるゆっくりなのに、
痛みに速度は関係無く、
ジャリッと言う鈍い音とともに
顎に鋭い痛みが走る。
しかし首尾良く私の手は
子犬をつかんでおり、
必死に抱き寄せて、
体を起こしたまでは良かったが、
ペタリと座り込んだまま
全く動けない。
背後から何人かの喚き声と
足音が聞こえ、私は体をつかまれ、
ズルズルと引きずられて行った。
「豊、どうしたんだ何の真似だ」
「そうよ、あんた死にたいの?」
「危ないですよ、自分で気をつけろって
言っときながら何て事するんですか」
我に帰ると中田先生達が、
口々に私を叱っている。
「こいつがいけないんだ、
ワンコ!
おまえがいきなり飛び出すから、
豊兄ちゃんが・・・」
良太君が顔を真っ赤にして
私の腕からワンコをひったくり、
ワンコの頭をパシパシと叩き出したので、
「もうやめて、かわいそうでしゅ・・・」
恵子ちゃんが泣きそうな声を出し、
良太君の腕をつかんで止めた。
ワンコはキャウンと哀しげに一声鳴いて
耳を垂れて良太君の胸に顔を隠してしまった。
「ゴメン・・・」
良太君は恵子ちゃんの顔を見て謝り、
泣きそうな顔でワンコの頭を撫で始めた。
「そうだね、ワンコを責めてもしょうがない。
それよりも車が来なくて良かったですよ」
犬山さんが額の汗を手で拭いながら言う。
「どうしたの、何か見えていたの?」
ママが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
私の目からたちまち涙が溢れ出る。
「あの時の踏み切りが見えたんだよ・・・」
そう言うのがやっとだった。
〜つづく
「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘「怪談奇談」に
(幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」10話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.05.10. (00:01)
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