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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
チャオ


ストレス性鼻炎になっているチャオのクシャミがすごい。クシャンと一発やる度に鼻水が飛び散るので、みんな(猫も人間も)逃げ回る。
自分のクシャミをみんなが嫌がっている事をチャオは知り、クシャミが出そうになったら誰もいないところに走って行くようになった。私はチャオの、その後ろ姿が可哀相でたまらない。娘達、チャオに向かってバイキンと言うな、猫ども、クシャミくらいでうろたえるな!チャオはみんなの家族じゃないか、淋しい思いをさせてはいけない。絶対いけないのだ。



    

「あの時僕はゆっくり道路を渡っていて、
 真ん中くらいで
 立ち止まってしまったんだ。
 物凄いスピードとは言え、
 まるきし見えないんでは無かったよ。
 車らしき姿は確かに見た。
 だから、何も来ない事を確かめたら、
 一気に駆け抜けるのがいいと思う」

果たしてそれが
いいアイデアなのかどうか、
自分でも不安だったが、
ゆっくり歩くよりはまだ安心な気がした。

「よし、そうと決まったら一、二、の三で
 走り抜けよう」

中田先生がそう言って、
犬山さんと私の背中に
それぞれリリーさんと恵子ちゃんが
おんぶされているのを確かめた。

「それ、一、二、の三!」

我々は一斉に走り出した。
幅二十メートルあるかないかの道路だ、
あっという間に向こう側に辿り着き、
全員何事も無くホッと胸を撫で下ろす。

「別に、何にも走っちゃ来なかったね」
と良太君が言ったとたん、
ヒュンと音を立て、風が背中を通り抜けた。
みんな目を丸くしてお互いの顔を見る。

「通ったよ・・・」

恵子ちゃんがポソッと呟いた。
全員硬直したかのように沈黙したが、
中田先生が咳きを一つして
「さて、じゃあこれからママさんの店に
 行こうとするか」と言ったので、
みんなやっと歩き始めた。

「ねえ、豊の時はどうだったの。
 この後私の店に行って、
 何か変わった事があった?」
歩きながらママが聞いて来た。

「前から聞きたかったんだけど、
 入り口の所に掛けてある看板、
 何て書いてあるのか分からないんだよ」
私はトンチンカンな返事をしてしまった。
いつも気になっていた事が、
口をついて出てしまったのだ。

「ママの店って書いてあるんだよ」
中田先生がママに代わってそう答えると、
ママは「え、ええ・・・」と
ちょっとどもりながら相槌を打った。
みんなもいきなりニコニコ顔になって、
そうですよ、ママの店って
名前なんですよと口々に言う。
恵子ちゃんは字が読めないからか、
興味の無さそうな顔をして、
良太君にダッコされている
ワンコの後ろ足を触って楽しんでいるし、
良太君も話しに入る気は無さそうだ。

ママの店・・・そうだったのか。
何だ、そのものじゃないか、
と私は思いながらも、
何となくいいかげんな名前を
言われたような気がして、
後味が悪かった。しかし、

「今のあんたはビジターなんだからね、
 知らなくていい事は、
 知らなくていいの」
そう言ってママが
チラッと見せた真剣な眼差しに、
私はもうそれ以上
何も聞いてはいけないんだと了解した。

「あ、そうそう、看板が新しかった。
 それと、店の中に入ったとたん
 停電したんだ」

私があの時の状態を説明すると、
中田先生が

「道路とかドアとかはよく異次元に
 続いているもんなんだよ」と言った。

「じゃあ、ちょっと恐いですね。
 店のドアを開けたとたん、
 奈落の底に落ちる可能性があると
 言う事だ」
犬山さんがそう言うとリリーさんが、
不安気に腕を絡ませて来るのが見えた。

「僕が胃の中に入っちゃったのも、
 ママの店からだった・・・」
私がそう言ったら、
みんなの足が止まってしまった。
そりゃそうだ、ドアを開けたとたん、
何が起こるか分からないだなんて
不安でしょうがない。

「ねえ、道路を渡ってからずっと、
 誰にも会いませんね。
 何処の店も開いてはいるみたいだけど、
 人の気配がしませんよ」
涼子さんが声を少し潜めて言い、
ブティックのウインドウ越しに
中を覗いている。

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」10話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.05.14. (00:20) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(9) /
ハレルヤ

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