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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
クロ&ブチ


いつも書いているが、クロとブチは本当に仲が良い。片方にだけ何かあげたら、絶対相棒の所に運んで行って一緒に食べる。ソレが一個の時はどうするのか見ていたら、口で噛んで半分ずつにして食べている。思わずホーと感心してしまった。我が家のように兄弟姉妹親子が一緒に暮らしていても、こんな行為は珍しいのだ。



      

ママの店に着くのは早かった。
着くと同時にドアの横に掛かっている
黒い木の看板を見た。
案の定看板は今までの古い看板では無く、
真新しく艶やかな、
漆黒の洒落た看板になっている。
以前私が見た時と違っているのは、
看板にはっきりと
『ママの店』と刻まれている事だけだ。
やっぱり『ママの店』だったのかと
思ったが、今はそんな事は
どうでも良くなっていた。
それよりも、ドアの向こうに
どんな世界があるのかと
言う事の方が気になる。

「新しい看板になっているよ。
 あの時と同じだ。
 多分このドアを開けたら、
 何処かの世界に行くと思う」

私がそう言うと、恵子ちゃんが
涼子さんの腰にしがみついた。
そりゃそうだ、
子供にこの状況は惨(むご)すぎる。
遊園地のお化け屋敷の入り口ですら、
幼い恵子ちゃんにとっては恐いはず。
しかし遊園地のお化け屋敷は、
あくまでも
スリルを楽しむ為に用意された物。
しかしこのドアを開ければ、
スリルどころか本物の恐怖が
襲って来る可能性があるのだ。

「豊さんが見たのと同じ看板ですか?」
犬山さんが聞いて来たので、私が
多分・・・と言って頷くと、

「その時、中はどんな世界でしたか?」
とまた聞いて来た。
私はママの顔をチラッと見てから、

「ママの・・・過去だった」
と正直に答えた。

ママの顔が一瞬強張ったようで焦ったが、
すぐ元に戻るのを見て安心した。

「それじゃまた静江さんの過去に
 行くって事なんでしょうか」

涼子さんが遠慮がちにそう言うと、
今度は中田先生が、

「豊が見たのと同じ世界だとは
 限らないだろうが・・・
 いずれにしてもママさんの過去の世界に
 行ってしまう可能性は大だと思う。
 もしそうだとしたら、
 ママさんのプライバシィが我々に
 知れてしまうって事なんだが・・・」

先生は溜息とも唸り声ともつかない
声を出し、ママを見た。

「それはママさんが決める事だと思います。
 ママさんが嫌なら、私達は
 他の場所から異世界に入りましょう」

犬山さんがきっぱりと言い切った。
みんなの視線を浴びながら、
ママは下を向いて何やら考え込んでいたが、
やがて顔を上げ、
「いいえ、このドアから入りましょう」
と言った。

「ここは私の店、ここを拠点として
 物語が始まっているのだから、
 私達が入るのはこのドア以外に
 無いと思うのよ。
 私はあなた達に何を見られても
 構わないわ。
 現に豊には、私の一番惨めな姿を
 見られているものね」

ママは目を閉じ、微笑みを浮かべた。

「惨めな姿だなんて・・・
 絶対そんな事無かったからね」

私は慌ててママの言葉を否定した。

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」10話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.05.17. (00:43)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
ハレルヤ

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