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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
トウ


「smallone」あるいは「小さいひと」が彼女のあだ名。小さいが賢くて勇敢、大きくつぶらな瞳が彼女の特徴だ。これと言って仲良しもおらず、常に一匹で行動する強い猫で、体は小さいが食欲はブチクロに負けないほどある。困った事に玉葱の皮と卵の殻、それに神様の榊が大好きで、台所の床に落ちてないかいつも探している。どれもみんな毒ばかり、お願いだからやめてちょうだい、それだけは。



        

私の左足はしっかりと固い地面を
踏みしめている。
これは大丈夫だと安心して、
右足も中へ入れた。

「みんな、大丈夫だよ。
 ちゃんと地面がある・・・」

そう言ったとたん
私の足元にあった感触が一瞬にして消えた。

わぁっ、と叫び声が勝手に
口から飛び出して来て、
深い深い闇の中を私は落ちて行った。

落ちたのは私だけなんだろうか、
ママ達はどうなったんだろうと
思った時、女性男性入り混じる
叫び声が上の方から聞こえて来た。

みんなも飛び降りてくれたんだ・・・
そうはっきりと分かった時、
いきなり心に余裕が生まれた。

「みんな大丈夫?
 僕の声が聞こえる?
 聞こえたら誰か返事して」

私がそう叫ぶと、あちこちから
大丈夫だ、と言う声が聞こえて来た。

「恵子ちゃん、良太君いるか?」
と聞くと、

「うん、兄ちゃんおいらは大丈夫だ。
 ワンコもしっかり抱いてるよ。
 恵子、大丈夫か?」
と良太君が声を張り上げた。

「だ、だいじょうぶでしゅう・・・」
恵子ちゃんが風の泣くような声を出して
返事した。

「ありがとう、私達は大丈夫です。
 リリーさん、犬山さん、大丈夫?」
涼子さんが聞いた。

「大丈夫です。ありがとう、
 猛さん!いる?」

リリーさんが鋭い声で
犬山さんに呼びかけると、

「大丈夫だ、ここにいるよ」
と即座に返事が返って来た。

「ママも中田先生もいるね?」

と最後に声を掛けると、

「ちゃんといるわ、安心して」

「私もいるぞ」
二人の元気な返事が返って来た。

全員一緒だと思うと、
何処まで落ちて行くか分からない
この現状に、全く恐怖を感じない。

とても長い時間が過ぎて行った。
これは長すぎる・・・
私達はさっきから随分長く落ち続けている。
いったい後どのくらい落ちれば
止まるのだろう。
私の心の中に、小さな不安が生まれた。

こうしているうちに、
どんどん本当の昭日町から、
遠ざかってしまうのではなかろうか。
小さかった不安が
急速に大きくなり始める。

「ママ、ちょっと長すぎない?
 もうそろそろ何処かに着いても
 良さそうなものなんだけど」
私が不安な声で言うと、

「私も、ちょっと長すぎるなと
 思っていたとこよ。
 でも、もう止める事は出来ないわ。
 とことん落ちるしかないわねえ」

ママの言葉に、
そんな・・・と言い掛けた時、
私の全身は硬い地面に
しこたま打ち付けられ、
肺の中に溜まった空気が
一気に口と鼻の穴から噴出した。

私に続いてすぐに
みんなも落ちて来たようで、
グェッと言うような音が聞こえた。

「みんな、大丈夫?」
と私が声を掛けると、

「いってえー・・・」
良太君の声が真っ先に聞こえた。

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」10話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.05.19. (00:39)  / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
ハレルヤ

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