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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
トウ


寒いのかトウが私のエプロンの中に潜り込んで来た。トウはいつも一匹で行動するが、私だけは特別みたいで、この子もやっぱり淋しいらしい。12匹も仲間がいるのに、どうして我が家の猫達はみんな淋しいんだろう。夜のパソコンが長引くと、早く寝てとばかりにトウが頭突きをして来た。



         10 11 12

モゾモゾと蠢く黒い影に、
足を留め目を細めてじっと見ていると、
薄い掛け布団の下からブラリと白っぽい
手首らしき物が垂れ下がり、
ピクピクと二三度痙攣しただけで
動かなくなった。

「あの人かな・・・」
と私が言うと、先生も頷き、

「君か、さっき声を掛けてくれたのは」
と奥に向かって言ったが、
何の返事も返って来なかった。

「おい、大丈夫か!」
先生がもう一度声を掛けた時、

「違う、そいつじゃない。俺はここだ」

すぐ近くでまた、さっきと同じ
男の声がした。

「隣です」犬山さんの声を合図に、
我々は急いで隣の檻に移り、中を見ると、
ベッドの上で起き上がろうとしている
人がいた。

「君なの?」と私が聞くと、
その人はようやく上体を起こし終わり、
肩を大きく上下させて、
荒い息をしている。

「そうだ。そいつらに声を掛けても
 無駄だ。多分もう話せるのは・・・
 俺だけだろうよ。
 舌の無い奴も、いるしな」

瀕死の男は、
ゼイゼイと息を吐きながら、
恐ろしい言葉を口にした。

舌の無い奴もいる?
舌が無いって事は
切り取られたって事かい・・・
うえっ、冗談じゃない、
こりゃとんでもない所に
来ちまったようだ。
私は恐怖のあまりに、
心臓が縮み上がり、
小さく固まってしまうような
気持ちになった。

でも、あれ?何か変だぞ・・・

「ねえ、おかしいと思わない?」
私はふと感じた疑問をすぐさま
ママに向けた。

「確かに変だわ」
即座にママが呟いた。

さすがママだ、ママも私と同じ事を
考えていたとみえる。

「何がおかしいんですか」
と涼子さんが怪訝な顔をした。
犬山さんも中田先生も
不思議そうな顔をしている。

「あのね、僕はいままで
 生きている人達の世界に
 何度も飛んだんだけど、
 そこの人達とは一言も喋れなかったし、
 僕の姿も見えていないようだったよ。 
 それなのに、この人
 何で僕達が見えるし喋れるの?
 これは変だよ、それともこの人は
 もう死んでるって事なのかな」

私の言葉に、涼子さん、犬山さん
中田先生が一斉に顔を見合わせた。

「そうなんですか?」と先生が
ママに聞く。
「そう言う事でしょうねえ・・・」
ママの声は暗かった。

「みんな檻の中に閉じ込められている
 って感じなんだけど、
 ここは何処?
 君達いったい何をされたの?」

私は檻の中に向かって聞いた。

「ここは何処、だって?
 そりゃ俺の方が聞きたいね。
 目隠しされて無理やり
 つれて来られた・・・」
ゴホゴホと激しく咳き込んだ男は、
ゲボッと何かを吐いた。

「大丈夫か!」
中田先生が声を掛けたが、
男は返事どころの騒ぎでは無いようで、
息をする間も無いくらい、
ゴボゴボと激しく吐き続け、
やっと楽になったのか、
大きく息を吸い込んだ。

「あぁ、苦しかった・・・
 あいつら俺の腹ん中から内臓を
 少しずつ盗んで行きやがるんだ。
 何に使うのか知らねえけど、
 ここにいる者もみんな何かを
 切り取られてるよ」

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」10話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.05.24. (00:41) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
ハレルヤ

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