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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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2007.05

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
チャコ


チャコが一日の大半を寝てばかりいる。時折クシャミをして呼吸も荒い。どうやら風邪を引いたらしいので、市場で鰹を買って来て食べさせた。元気の無い時には魚の血合いを食べさすといいそうだ。早く元気になってほしい。



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「先生、これは何の実験なの。
 肝臓や腎臓の移植ならまだ分かるけど、
 手や足や舌までもぎ取って、
 いったい何をしようってんだよ」

私が疑問をそのまま中田先生に向けると、
先生は顔をしかめ、

「知らん・・・」と言って
横を向いてしまった。

「きっと頭がおかしい連中なんですよ。
 それ以外に考えられません」
犬山さんがそう言うと、
涼子さんが青い顔をして、
恵子ちゃん達の方を見た。

「静江さん、そんな頭のおかしい人達が
 恐ろしい実験をしている所に、
 絶対行かないといけないんでしょうか、
 子供達もいますし、
 あんまり恐ろしいものを
 見せたくないんです」

涼子さんの目は真剣だ。
私も涼子さんの言う事は、
もっともだと思う。
生きた人間の内臓を引きずり出している
阿鼻叫喚の現場を
子供に見せられる訳がないし、
ワンコだって血に反応して
暴れ出すかも知れないじゃないか。

「ママ、ここは避けて通れないのかな」
私もママに強く聞いた。
でもママは首を横に振る。
どうやら避けては通れないらしい。

「私達の姿は死んだ人には見えるのよ。
 ここは、おそらく生きている人より、
 死んだ人の数の方が多いでしょうよ。
 吐き気がするわ、あまりにも大量の
 血の臭いで」
ママは鼻を押さえ、眉を潜めた。
でも、それでは答えになっていない。
私は涼子さんや犬山さん中田先生と
顔を見合わせた。
みんな、私と同じように、
はっきりとしたママの意見を
知りたがっている。

「死んだ人達が多いのは、
 僕も想像がつくよ。
 だからさあ、
 もうこんな世界出ちゃわない?」

私がそう言うと、ママは
おかしな事を言うわねえ、
と言うような顔をして私を見た。

「どうやって出るのよ」

ママがポツリと言った。

「エッ?・・・」

たちまち私の頭が真っ白になる。

「私達は望んでここに来たんじゃないわ。
 来さされたのよ、
 だから出て行かされるまで、
 ここにいなきゃ
 しょうがないんじゃない?」
ママは冷たくそう言い切った。

「そうですか・・・そうですよね。
 私達は自分の意志で
 ここに来たんじゃない。
 来さされたんだ」
犬山さんがそう言うと、
中田先生も涼子さんも暗い目をして
黙り込んでしまった。
あのドアを開けて出て行ったら、
そこに何があるのか
想像しただけでも恐ろしい。
大人の我々ですら、
こんなに恐いと言うのに、果たして
恵子ちゃんや良太君の幼い心は
この恐怖に耐える事が出来るだろうか。
それなら、いっそ・・・

「リリーさん達を
 ここに残して行くってのは
 どうかな」

私がそう提案すると、
ママは暗い目で私を見つめ、
「この部屋の中にいくつ檻がある?」
と聞いて来た。

私は全体を見て檻の数を目で数えた。
檻は左右に十個づつ並んでいる。

「二十個かな、それがどうしたの?」
と私は聞いた。

「今連れて行かれた人は一応
 生きていたらしいけど、
 きっと今頃もう死んでるわね。
 この部屋の中には
 死んだ人達の怨念が渦を巻いていて、
 今にも破裂しそうだわ。
 さっきの包帯グルグル巻きを見たでしょ、
 あんな酷いめに遭わされて
 死んでいった人達ばかりなのよ。
 その怨念は強烈よ、
 今は自分達が死んでいる事に
 気がついていないかも知れないけど、
 気がついたとたん復讐の鬼になって、
 リリーさん達にその念をぶつけて来るわ。
 八つ裂きにされるわよ」
ママはぐるりと我々を見回した。

「離れちゃいけないって事ですな」
中田先生が溜息と一緒に言葉を吐き出した。

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」10話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.05.29. (00:30) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
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