オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
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あぁ〜涼しい クーラーの効いたリビングでチャコは大満足。しかし他の猫達はおぉ〜さぶぅ〜と言わんばかりに全員団子になっちゃった。仕方が無いのでチャコは私の部屋か姉娘の部屋でゆっくりさせることにした。私らはパソコンをするのでクーラーがガンガンに効いているほうがいい。どうも肺の機能が悪いと体温調節が出来ないらしい。暑いとすぐにダウンする。チャコ、美味しい物一杯食べて早く体力つけておくれよ。 暑い時に口から火を吹くような食べ物もオツなもの。私の好きな夏のご飯を紹介いたします。  ハムピラフの上に大根やキュウリキャベツなどの千切りを山盛りに乗せて、薄塩とスダチ(レモンでも可)をかける。そして最後の仕上げに糸唐辛子をたっぷり乗せるだけ。ハムピラフにはご飯とハムしか使用しない。玉葱も葱も入れないほうが私は好きだ。辛い物大好き、唐辛子大好き、でもこの糸唐辛子は辛い物苦手な方でも大丈夫、心配なら少しにすればいい。カプサイシンで夏に燃えよう! ・・・お知らせ・・・ 毎週土日のママの店は定休日とさせて頂きます。 店主敬白 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.30. (00:24) 小説 文学 /
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暑い! いきなり猛暑がやって来た。日中の温度は30度、湿気があるせいか猛烈暑い。いよいよクーラーの出番だ。 朝はまだ涼しかったからかチャコはいつも通り薬を飲んでご飯も食べてくれた。でも、夜になって突然動けなくなった。 薬を飲まそうとしたらグッタリ横になったまま。 自力で起きれなかったら薬はあきらめよう、無理強いはすまいと決めているので様子を見ていたら、ようやく起きれて薬を飲ませることが出来た。今日は姉娘が習字で遅くなる。姉のいない間にチャコにもしものことがあったらどうしようとオロオロしたが、姉が帰って来たとたん元気になった。夕食があんまり食べれなかったので心配していたが、姉がささ身とカニカマをあげるとパクパクたくさん食べてくれた。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32「確かに恵子ちゃんの言う通りよ。 あんたがこっちに来たかったら、 死ぬしかないわね」 静かなママの声がそう思わせたのか、 死と言う言葉を聞いたとたん、 いきなり湿気を帯びた 陰気な土の臭いを感じた。 こんな臭いを感じたのは、 昭日町に来てから初めての事だ。 ママ達はもうとっくに死んでいる、 そんな事今更・・・ しかし、そう思えば思うほど、 恐怖がヒタヒタと音を立てて 近づいて来るのが分かった。 死ぬのが恐い・・ いや、それよりも 一体全体どうやって死ねばいいのだ。 もう私はこっちの世界に ずっと居続けているのだから、 死んでいるのも同然だ。 いろいろな思いを巡らせていた時、 頭の中にふと疑問が湧いた。 今ママは私に死を勧めているけど、 それって何かおかしくはないか? 前に私が、 こっちの世界に住みたいから もう死んでもいいなと言った時、 ママは泣きながら、 あんたは生きなくちゃダメ、 私達の分まで生きるのよって、 私を叱ってくれた。 ママは私に生きていて欲しいんだ。 そしてママはこう言った。 死んだ者達ばかりのこの世界には、 決して希望なんて無い。 あっちの世界への未練を 断ち切れないから、 もう必要もないのに買い物をしたり、 生前の仕事を続けていたりする。 もっと生きていたかったのに 死んでしまった。 そんな寂しい人達が寄り集まって、 せめてもの心の慰めに、 美しく、楽しい世界を 創っているんだと、 教えてくれたのはママだった。 私はママの顔をしっかりと見て もう一度念を押すように聞いた。 「僕がこっちの世界にいたかったら、 死んでしまうべきだと、 ママも思う?」 ママは暗い目をして、 寂しい笑いを口元に浮かべ、 そうするしかないわねと言って頷いた。 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.29. (00:53) 小説 文学 /
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チャー 最近昼間の温度が30度を越すようになった。パソコンをしている時チャーが膝の上に来るのでクーラー無しではおられない。しかし、クーラーを付けたら付けたで冷えすぎて、今度は寒くなる。付けたり消したり・・・そんなことの繰り返しだ。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31「それは違うね、私達は元々 こっちの世界の人間だ。 君は夢という経路を辿って、 こっちに入り込んで来た、 いわば余所者だ。 君の夢に我々が振り回されて いるって事なんだよ」 犬山さんがリリーさんの横に やって来て、そう言った。 犬山さんの態度がデカイ。 今まで私の事を君なんて 言った事が無かった。 犬山さんはいつも私に 遠慮がちに物を言うから、 そんなに気を 遣わなくてもいいのにと、 思いながらも犬山さんの優しさが 感じられて嬉しかったんだ。 それなのに・・・・ ママも中田先生も何も言ってくれない。 でも、その顔を見ただけで、 ママ達も犬山さんやリリーさんと 同じ事を思っているに違いないと 分かっていた。 みんなが私を厄介者、 余所者だと思っているのだ。 「今までずっと信用して来たんだ。 僕はママ達が大好きだから、 この世界にずっと留まりたいと 思っていたんだ。 それなのに、みんなは 僕がここにいると迷惑だって 言うんだな。 酷いよ・・・みんな・・・」 私の頭の中から怒りが 引き潮のように消えて行き、 代わりに深い悲しみが押し寄せて来た。 「あんたいいかげんに 元の世界に帰りなさいよ。 ここはあんたが 住める世界じゃ無いわ」 リリーさんが強張っていた顔を緩め、 憐れみを含んだ笑みを浮かべて そう言った。 そうか、私はいいかげんに 目を覚まさないといけないんだな、 しかし、どうやって 目を覚ませばいいんだ。 「僕がこっちの世界に いたいと言う気持ちは確かに強い。 でも、あっちに どうやって戻ればいいのか 分からないのも事実なんだ」 私がそう言うと、 犬山さんとリリーさんは 顔を見合わせ、眉を潜めた。 「そんなの簡単じゃん。 チネばいいのよ」 今までずっと黙っていた恵子ちゃんが 笑いながらいきなりそう言った。 恵子ちゃんは確か前にもそんな事を 言った事がある。 そうだ、涼子さんがまだ生きていて、 こっちの世界に来れないと分かった時、 そう言ったのだ。 あの後恵子ちゃんはとんでもない 化け物に変身したのだが・・・ いつもなら、 そんな事を言っちゃダメと 恵子ちゃんを叱るはずの涼子さんが、 黙ったまま私を見ている。 無表情なその顔からは、 何を考えているのか、 およそ想像も出来ない。 恵子ちゃんはワンコを抱いた良太君と 何やら小声で話しをして、 二人とも私の方を見て、 クスッと笑った。 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.28. (00:45) 小説 文学 /
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シッマジロウ、あっそびましょ! このところ我が家の中心はチャコ。チャコチャコと一時間おきに連呼して、カニカマ、ササミ、牛乳と美味しそうなものばかりチャコにせっせと運んでいるのを見ているだけのシマジロウ。自分の名前はひとつも呼んでもらえず、たまに聞こえて来るのは「あんた、何食べてんの!」の怒声だけ。それもシマジロウではなくてクロかブチ・・・・あぁ〜もういやんなっちゃう全然構って貰えない・・・ シマジロウが恨めしそうに見ているので、可哀相になったから今日はいっぱい遊んであげた。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30私は眠ってなどいなかった。 只目を閉じ、ママ達がどんな話しを するのかドキドキしながら 聞き耳を立てていた。 「寝ちまったな・・・」 中田先生が小さな声で言った。 しばらく沈黙があり、 本当に眠ってしまいそうになった時、 「ねえ、それじゃ今までの出来事 みんなこの人が創っていたの?」 リリーさんだ・・・ あの人は私を嫌っているかもと、 薄々感じていた。 私のせいで犬山さんが 危険なめに遭うんだと 前々から思っていたんだ。 それが本当だと知って、 さぞかし私が憎いだろうな・・・ 絶対目を開けたくないと思った。 それよりも、本当にもう 何も聞こえないように 眠ってしまいたい。 そして目が覚めた時には、 何もかもが元通りになっていて、 私は母が洗ってくれた 新しいズボンと上着を着て 学校に行くのだ。 帰りにママの店に寄って・・・・ 意識が無くなりかけた時、 バチンと大きな音をたてて、 頬に衝撃が走った。 びっくりして飛び起きると、 目の前に柳眉を逆立てた リリーさんが立っている。 頬が焼けるほど痛い。 どうやらリリーさんに 顔を殴られたみたいだ。 何で殴るんだと 言おうとした言葉を飲み込んだ。 リリーさんの顔は蒼ざめ、 怒りの為に生前の年齢が現れたのか、 顔面皺だらけの婆さんになっている。 薄いブルーのロリータドレスを着た クルクルパーマの可愛い姿に、 このシワシワの顔は 全く持って不自然で恐ろしい。 「チンタラ寝てんじゃないよ、 誰のせいでこうなったと 思ってるのさ。 早く起きて土下座して謝りなよ」 私の胸倉をつかみ、 口から泡を飛ばしながら 喚いているリリーさんを 誰も止めようとしない。 只黙って見ているだけだ。 私は頭の中に、 急速に怒りがこみ上げて来るのを 感じていた。 あの時はいきなりだったから、 私も自分のせいでみんなが 危険なめに遭っているのだと思い込み、 ショックを受けた。 でも、こうして真っ向から、 こんなにボロクソに罵られたら、 私も黙っておられない。 今までションボリ塩垂れていた気持ちが いきなりシャキンと精気を取り戻した。 「ちょっと、リリーさん。 それは言い過ぎなんじゃないか、 今までの出来事がすべて 僕の創ったものなら、リリーさん、 あんたはここに存在しないはずだよ。 犬山さんだってそうだ。 中田先生も、涼子さんも、 何でここにいるんだよっ!」 私は完全に切れていた。 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.27. (00:03) 小説 文学 /
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カスガと一緒に ご飯よ〜と呼ぶとチャコが起きて来て、カスガと一緒に仲良く食べ始めた。ご飯の量も少しずつ増えてきて、今ではカスガとほぼ同じくらい食べれる。栄養の事を考えて、ほとんど毎日鶏のささ身を焼いてオカズにしている。時々カニカマを入れてあげるがカスガはカニカマが嫌い。煮干はお八つにはいいが、食べ過ぎると良くないらしい。何でだろう。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29一瞬何を言われているのか 分からなかったが、 辺りの状況が見えたとたん、 ムカムカと腹が立って来た。 戦っているのは私だけ、 ママ達は犬山さんと一緒に 壁にへばりついて傍観している。 「何を言ってるのさ、 倒さなきゃこっちがやられるよ」 私は思わずママに向かって 怒鳴っていた。 しかしママは厳しい顔をして、 「その芋虫はあんたが創った物よ、 あんたの頭の中に芋虫があったから、 今それが形になって現れているの。 ここはあんたの夢の中でもある事を 忘れないで。 へたをすると、とんでもない 恐怖の世界になってしまうわ。 これ以上私達を危険に晒さないで」 何だって、この芋虫は 私が創った物だと言うのか? そんな馬鹿な・・・ いや、しかし、 そう言われてみれば確かに私は、 檻の中から運ばれて行く 血まみれ包帯グルグル巻きを見て、 芋虫のようだと思った・・・ 嘘だろう、嘘だと言ってくれ。 私の想像がみんなを 危険に晒していただなんて・・・ 私の全身から急速に力が抜けて行き、 ガシャンと音を立てて剣が落ちた。 「じゃあ今までの出来事は 全部僕が創っていたの? もう何が何だか分からないよ・・・」 あれも、これも、 すべて私が創ったもの、 私はガクンと膝を折り、 床に座り込んでしまった。 「豊、海原先生の事件を思い出して」 ママがそう言った瞬間、 私はあたり一面真っ白な フリージャーの 花の中に立っていた。 白い花に埋もれるように、 黒い箱が見えている。 箱に近づき中を覗き込むと、 干からびてミイラ化した 男が横たわっていた。 そしていつの間にそこに来たのか、 宮下刑事が私の隣に立って、 顎を捻りながらブツブツと何やら 呟いている。 私の姿は全く見えていないようだ。 「だって、あの刑事さんたら、 自分でどんどん恐ろしい事件に 仕立て上げていっちゃうんだもの。 あれ以上怖い物見せられたら たまんないわよ。 ホラー映画じゃないんだからね」 いきなりママの声が聞こえて来た。 これはあの時のママの言葉だと 思い出した瞬間、 私はまた元の場所に戻っていた。 芋虫の玲子さんも 山村もいなくなっている。 そして中田先生や涼子さん 犬山さんにママも戦闘服を着ておらず、 いつもの見慣れた服装に変わっていた。 私もいつの間にか トレーナーにジーンズ姿だ。 ママは憐れみを含んだ目で私を見て ゆっくりと諭し始めた。 「あんたは包帯にグルグル巻きにされた あの人を見た時、芋虫を連想したのよ。 それが強く心に残っていたから、 あんな怪物が生まれたの。 これは豊の夢の中だからね、 豊がシナリオを創ってしまう恐れが 十分あるのよ。 あの時の宮下刑事のようにね」 「そうか・・・全部僕が創った シナリオだったんだね」 私はもう完全に自信を無くしていた。 あっ、と涼子さんが 小さく声をあげた。 首に掛けてあったネックレスが 外れて床に落ちており、 恵子ちゃんがキョトンとした顔で 立っていた。 恵子ちゃんだけでは無く、 犬山さん達のネックレスも外れたのか、 リリーさんと良太君も戻っている。 そして私の横からワンコが飛び出し、 ワンッと鳴いて良太君に 飛びついて行った。 ふと気がつくと、 いつの間にかママの店にいた。 体がけだるく重かった。 私はフラフラと泳ぐように 両手を広げ、ソファーに辿り付き、 倒れ込んでいった。 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.26. (00:04) 小説 文学 /
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またちょっと元気に チャコは少し高い所にヒョイと飛び上がる事が出来るようになった。 でもその後ゼイゼイ呼吸が荒くなるので、あまり無理をしてくれるなと心配になる。そのうち走り出すのではないかと不安になったり期待したり・・・。体重が2.6キロまで落ちていたのが4キロ近くにまで増えていた。嬉しい。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28ところが信じられない事態に陥った。 ドアの向こうに行こうとしても 物凄い圧力に押し戻されてしまう。 分厚いと言ってもたかだか ドアの厚み、霊体の我々が 通り抜けられないなんて おかしな話しだ。 「何故?どうしてなの」 涼子さんの、 抗議するような声を聞きながら、 頬から腕にかけての皮膚が、 ブワッと泡立つのを感じた。 ドアの向こう側から何かが 出て来ようとしている・・・ 「ここにいちゃダメだ、 ドアから離れて!」 思わず私は叫んでいた。 みんな一斉に走り出したその時、 「ぐあぁーっ」と背後で 叫び声が上がった。 驚いて振り返ると、 真っ白い巨大な芋虫が ドアの前に出現しており、 何と犬山さんがそれに全身を グルグル巻きにされている。 「キャー!犬山さんが・・・」 涼子さんが悲鳴を上げた。 「な・・・何だあれは」 中田先生の声が裏返っている。 芋虫の先には 長い黒髪を振り乱した 女の顔がくっついており、 切れ長の目の中で、 眼球が空ろに上を向き、 笑っているかのように 耳まで裂けた真っ赤な口の端から、 ドクドクと水っぽい白濁した汁を 犬山さんの頭に浴びせかけている。 きっ、気持ち悪い・・・ ゲェッと吐きそうになった口を 手で押さえた時、 「れ、玲子さん・・・?」 私の横で山村が驚いた声を上げた。 「知ってるの?」と私が聞くと 山村は頷き、 「あぁ、あの人は玲子さんだ。 さっき運ばれた包帯だらけの・・・」 えっ、あの血だらけ包帯 グルグル巻きの・・・ しかし驚いている場合ではなかった。 巨大な芋虫と化した玲子さんは、 犬山さんをグイグイ締め上げ、 今にも握り潰しそうな勢いだ。 「クソッ、やめろ」 中田先生が剣を振りかざし、 玲子さんに切りつけた。 白い肌がスパンと切れ、 切り口から 乳白色の液がドバッと溢れ出る。 ウゴオォォォォーと 恐ろしい声を上げ、 玲子さんが犬山さんを巻き込んだまま、 ドオンと地響きを上げて床に倒れ込んだ。 そして、犬山さんを巻き込んだままでは 動けないと分かったのか、 犬山さんを解放し、 ガラガラ蛇のように鎌首を立てて、 ギョロギョロと目玉を転がしながら、 誰から攻撃しようか考えているようだ。 「ちょっと、山村さん、 あんたあの人と親しいんだろ、 何とか説得してよ。 このままじゃ僕達あの人を ズタズタにしなくちゃならなくなるよ。 あの人も犠牲者だ、 助けてあげたいんだ」 私は今にも攻撃を仕掛けて来そうな 玲子さんを見ながら、 山村に向かって叫んでいた。 ママ達は玲子さんどころでは無く、 倒れて動かない犬山さんを引きずって 何処かに避難させようと必死だ。 「玲子さん、俺だ山村だ。 この人達は味方だ、 落ち着いてくれ、冷静になるんだ!」 山村が玲子さんに声を掛けてくれたが、 玲子さんの表情は変わらない。 仕方がない、この上は彼女を倒し、 後はママに魂を浄化して貰うしか無い。 私は精神を集中させて剣を構え、 玲子さんの顔目掛けて突進して行った。 トンッと軽やかに床を蹴り、 鳥のように飛び上がった私は 剣を目線に構え、玲子さんの 顔目掛けて剣を突き出した。 ブスッと嫌な音を立てて、 額の真ん中に剣が突き刺さる。 ギャアァァァ・・・と悲鳴を上げながら、 玲子さんがのた打ち回る。 剣を引き抜き着地した私が 留めを刺そうとした時、 「豊、やめなさい。 もうそれ以上想像を膨らませては いけないわ!」 ママの鋭い声が私の耳を貫いた。 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.25. (00:57) 小説 文学 /
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クロのこの顔! 何が気に入らないのかクロが最近悪い。 あんなに仲良しだったブチのオカズを横からカッサラウ。ブチはこれまた鈍臭く、取られても気がつかず「アレ?」と言うような顔をしているだけ。それか、クロめは自分のオカズを先に食べて、ご飯だけになったのと、まだオカズの残っているブチのお椀とをすり替える。すり替えるのはアゴと前足を使ってやるのだが、そりゃもう見事な早業。もちろんブチが横を向いた隙にやるのだが、巧妙すぎて笑いが出て来る。一回ブチが気づき、その時はさすがにブチも怒ったが、クロの反撃に遭い、負けた。ちょうど良い写真が撮れた、クロのこのふて腐れた顔。 ・・・お知らせ・・・・ 体調不良の為本日のママの店はお休みさせて頂きます。 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.24. (00:05) 小説 文学 /
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闘病生活 チャコが肺炎になって早一ヶ月近くになる。食べる力も無く激しい衰弱ぶりにもうダメかと思ったが、点滴と飲み薬のおかげで少しずつ食べられるようになった時は本当に嬉しかった。今でも呼吸がしんどそうだが、自分で食事が出来るようにまで回復してきている。後は太って体力がついてくれるのを待つだけだ。嬉しい出来事ひとつ、何と元気な頃はあんなに仲が悪かったナナが今チャコの世話をしている。トイレに行ったり水を飲みに行くのについて行って、じっと見守ってくれているのだ。  ・・・お知らせ・・・ 本日買出しの為ママの店お休みさせていただきます。 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.23. (00:36) 小説 文学 /
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カスガの好きな場所 私の部屋は南と東に窓があるのでとても風通しが良く、この東の窓がカスガのお気に入りで昼間は大抵ここにいる。時々カラスが目の前に飛んで来る事があって、最初はびっくりして慌てて飛び降りていたが、最近はそれも楽しみの一つになったのか興味深々な目でカラスの様子を見ている。 ・・・お知らせ・・・ 本日のママの店はお休みさせていただきます。  特別番組ー予知夢ー あれは長女が三つの時だった。 夢を見た。 そこは真っ白な世界で何も無く、 私はポツンと一人で立っていた。 ここは何処だろうと考えていると、 遠くから何やらやって来るのが見えた。 それは数人の男の人で、 どの人も同じ白のカッターシャツに ネクタイを締めている。 そしてガラスか水晶か分からないが、 長く透明な六角棒のような物を 肩に担いでいた。 カットの面がまるで刀の刃のように 鋭く光っている。 その時突然何処から現れたのか、 長女が私目掛けて嬉しそうな顔で 走って来るのが見えた。 こっちに来ちゃダメだと 叫ぼうとしても声が出ない。 嫌な予感がしていた。 男達が担いでいる透明な棒が 凶器に思えたのだ。 危ないっ、と思った瞬間 長女は何かに足を引っ掛けて つんのめり、その棒の角に 頭をぶつけていた。 頭から噴水のように血が吹き上がる。 私は絶叫してそこで目が覚めたのだ。 目が覚めても夢が気になり仕方がない。 こう言う悪い夢を見た時は、 人に言いまくれば軽くすむと 子供の頃から親に言われていたので、 私は夫に必死で夢の内容を話した。 夫は口から唾を飛ばしまくりながら 弾丸のように喋る女房に 閉口しながらも、 只の夢なんだから大丈夫だと 慰めてくれた。 まあ、夢にいちいち神経を 尖らせていたらきりがないと、 私も納得したのだが、その日は出来たら 何処にも行きたくなかった。 折角の日曜だったが、 家に引篭もって過ごしたかった。 それが突然、夫の眼鏡のレンズが いきなり外れると言う アクシデントが起こったのだ。 夫は酷い近視で乱視、 眼鏡屋に行かないといけないが 一人では危なくて行かせられない。 夢見が悪いから行きたくないなどと、 言えばあまりにも冷たいだろう。 そこで長女の手をしっかり握り、 夫に付いて眼鏡屋に行ったのだが、 眼鏡を直してもらっている間、 うっかり長女の手を 離してしまっているのに気がついた。 長女はまだ三つになったばかり、 キラキラ光るショーケースが 綺麗に見えて嬉しかったんだろう。 走ってはいけないと 注意しようとした時にはすでに遅く、 長女は何かに躓き、ショーケースの ガラスとガラスの合わせ目に 額をぶつけていた。 たちまち血が噴水のように吹き上がり、 駆け寄った私と夫が ハンカチでいくら押さえても 止まらなかった。 店主が呼んだ救急車で病院に運ばれ、 幸いにも長女は 五針ほど額を縫っただけですんだのだが、 処置室から出て来るまでは 不安で生きた心地がしなかった。 正夢だった。 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.22. (00:22) 小説 文学 /
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赤ちゃん返り 最近シマジロウが頻繁に私の側に来るようになった。チャコママが病気だもんで寂しいのだ。私の顔を見てアオ〜ンと甘えた声を出し、嬉しそうな顔をして飛んで来る。私もいつまでも直らぬバカ親で、「お尻タカタカ〜」とか他人が聞いたらアホかと呆れられそうな勢いで可愛がるもんだから、ますますシマジロウが赤ちゃんに向けて退行してゆく。シマジロウ八歳、もう立派な中年なんだけどな・・・ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27私は今までたくさんの惨劇を 目のあたりにして来た。 身の毛もよだつ怪物と 幾度も戦い、 頭から血肉のシャワーをあびた。 それでも恐いものは恐い。 いざ直面してしまえば、 それなりに根性が座るのだが、 そこに行き着くまでが、 恐くてたまらないのだ。 今はあの闇の中にあるものが恐い。 この通路の奥には、 きっと手術室があって、 哀れな人間をバラバラに 切り刻んでいるに違いない。 あの血まみれ包帯の 芋虫グルグル巻きになった人は、 舌も切られて無いのだと 山村が言っていた。 きっともう叫ぶ事も出来ないから、 麻酔一つ満足に 掛けて貰っていないかも知れない。 願わくば、もう何をされても 感じなくなっていてほしい。 アレは女性だったと山村が 言っていた・・・ 中田先生達がもう通路を 闇に向かって進み始めている。 山村がボーッとしている私を見て、 「大丈夫ですかい? 顔色が悪いですよ」 と気遣ってくれた。 「豊、気分でも悪いの? ここに残っていてもいいわよ」 ママが振り向いてそう言ったが、 ここまで来た以上私はみんなと 行動を共にしない訳にはいかないのだ。 目的はあくまで昭日町を取り戻し、 両親に会う事なんだから。 「大丈夫だよ。 あの闇を見ていたら、いろいろ 思い出してしまったんだ」 私はそう言って、みんなと一緒に 歩き出した。 近づくにつれて闇は薄くなり、 辺りの様子が見えて来る。 どうやら正面に壁があり、 通路は右に折れているらしい。 あそこを曲がれば、間違いなく 部屋がある。 突き当たりを右に折れた時、 正面に扉が見えた。 辺りは剥きだしのままの コンクリートの壁なのに、 その扉だけは上階の部屋の扉と 同じ材質で出来ている。 扉の上部に丸い赤ランプが 灯っているのは使用中と言う事か、 ランプの下に『手術室』と 書かれた長方形の蛍光灯が点いている。 さっき右に曲がった時くらいから、 ブーンと言う音が聞こえているのに 気がついていたが、 それはどうやらこの、 手術室の左側にある 『機械室』と、こちらは只の プレートに書かれただけの 部屋の中から聞こえて来るのだと 分かった。 「今やっている最中みたいですね。 入りますか?」 犬山さんがみんなの顔を 見回してそう言った。 犬山さんは全然平気そうだけど、 私は怖くてさっきから カタカタと上下の歯が ぶつかり合って止まらない。 しかし私は根性をすえ、 みんなと一緒にドアをすり抜けた。 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.21. (00:42) 小説 文学 /
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何持って来てほしい? ナナがこういう顔をしている時は何かを運んで来てくれる合図。 ティッシュかなあ、ハンカチかなあ、隣の部屋でいろいろ想像して待っていたら、カサカサって音がする。またレシートだ・・・きっと今日ドラッグストアで衝動買いをした長〜いレシートに違いない。 ナナはクシャクシャに丸めたレシートを私の目の前にポトと落としてから、とっても嬉しそうな顔をして「ニャン」と鳴いた。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26ガーッと大きな音を立てて 扉が閉まるとすぐに、 ウイーンと一気に血圧が 降下するような感覚を覚え、 ピンク色の点灯がB2のボタンから B3のボタンに移動して、 エレベータはガクンと停止した。 ガーッと大きな音を立てて 開いた扉の向こうは、 壁も床も コンクリート剥き出しの 灰色の空間だった。 エレベータから前方に 真っ直ぐ通路が伸びており、 壁に針金で丸く 覆っただけの電球が数個 辺りをぼんやり 白く照らしてはいるが、 長い通路の先は 黒く深い闇の中に消えている。 耳を澄ませても何の音も 聞こえない無音の世界。 しかし無音であればあるほど、 私の内臓が奏でるすべての音が、 耳を覆いたくなるような大音量で 聞こえ始めていた。 「何だ、ここは駐車場か」 と中田先生が言う。 「いいよな、先生達は音が 聞こえないんだから」 うっかり口走った私の顔を、 先生は怪訝な顔をして見た。 「なんだ音って、 何か聞こえるのか?」 先生は瞬きもせず、じっと 耳をそばだてていたが、 何も聞こえるはずがない。 だって先生は死んでいるんだもの。 「何も聞こえませんね」 と涼子さんが言うと、 「でも、豊さんが 聞こえたとおっしゃるんなら、 何か音がしたのかも知れません。 奥に行ってみましょうか」 犬山さんが奥にある 深い闇を目で指し、そう言った。 うぅ・・・あの闇の中へ行くのか。 あんな事言わなきゃ良かった。 たちまち私は、 先生に言った言葉を後悔した。 ママがあきれて 私を見ているのが分かる。 冷たい視線が とても痛いじゃないか。 「ねえ、これ血の跡じゃない?」 涼子さんの甲高い声に びっくりして見ると、 涼子さんは床に出来ている 黒ずんだ丸い染みを指差し ている。 中田先生がしゃがんでそれを 確かめてから、 「本当だ、こりゃ血だよ」と言い、 顔を上げてみんなを見回した。 きっとアレを運んで行く時に 滴り落ちたんだ・・・・ 私はまた、血まみれ包帯 芋虫グルグル巻きを思い出した。 「まるで、この血の跡を辿れって 言われているみたいですね」 犬山さんの声が暗い。 血の跡は点々と通路の奥深く 闇の中へと続いている。 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.20. (00:56) 小説 文学 /
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反対じゃん チャコにダッコされて舐めて貰っているチャオ。ひょっとして君はチャコの弟だったの?私はてっきり君がお兄さんだと思っていたよ。 ひょいと覗いて、チャコにダッコされるように寝ているチャオを見てビックリしたよ。それ反対じゃん、病気しているのはチャコなんだよ。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25「じゃあ、とりあえず アレに乗ってみましょうか」 ママが通路の奥に見えている、 銀色に光る扉を目で指した。 我々は急ぎ足で通路を進み、 その扉の前に立つと、 まるで我々が来るのを 待っていたかのように ガーッと大きな音を立てて 扉が開いた。 「おっ、開いたよ。 偶然なんだろうけど タイミングが良すぎて ちょっと恐いな」 中田先生が誰にともなしにそう言うと、 みんなもコックリと頷いていた。 こう言う場合は大抵誰もが 同じような事を考えるもんだ。 何となく我々が何かに 呼び寄せられているような気が して気味が悪い。 中は奥行きが広く、 ストレッチャーが三台くらい 楽々入れるようになってはいるが、 ステンレスなんだろうか、 扉と同じような金属で 内張りをしてあるので、 ツルツルした表面が 鏡のように我々六人の姿を 映しているのがこれまた 不快な気分にさせてくれる。 ママに新しく作って貰った 戦闘服なんだけど、 五人が五人とも同じ姿だと、 これほどまでに 異様な雰囲気を醸し出すもんだなと、 今初めて気がついた。 裸の胸に赤黒い大きな縦傷が あるものの、山村だけが人間で、 我々は何処かの星から やって来た宇宙人のようだ。 それに、さっき扉が開いた瞬間 流れ出て来たアルコール臭の中に、 生臭い血の臭いを感じたのは 私の気のせいだろうか。 このエレベータで、 血まみれ包帯の芋虫グルグル巻きを 運んだんだと思うと、 背筋が寒くなる。 「何階に行きましょうか」 涼子さんが扉の横にある ボタンを見て言った。 ボタンは横に三つが 縦に六列並んでおり、 今ピンク色に点灯しているのは 一番下の真ん中のボタンB2で、 その右横にB3がある。 一番上の左は15で終わっているから、 この建物は地上十五階、地下三階 と言う事になる。 「十五階あるのか・・・」 と私が呟くように言うと、 「いや、このエレベータ以外の 物でもっと上に行けるのかも 知れない。地下もだ。 このエレベータだけでは 分からないよ。でも一応 一階へは行けるみたいだな」 中田先生がそう言うと、 犬山さんが山村に、 「山村さん、運ばれた階が 分かりますか、 エレベータに乗せられてから どれくらいで止まりましたか」 と聞いた。 山村はじっと考えてから、 首を横に傾げ、 「上じゃなくて下に降ろされた 気がするな」と言った。 「そうだ、一階とは限っていない。 大体こんな秘密裏にやる事を 地上でなんかするわきゃないよ。 地下だ、地下に下りてみよう」 私が興奮気味にそう言ったものだから、 ママが苦笑いをしながら手を伸ばし、 B3のボタンを押した。 「考えるより行動よ。 下から探検しましょう」 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.19. (00:42) 小説 文学 /
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シィ〜静かに 薬を飲んで、ご飯を食べて、爪とぎもしてトイレもしたから、ちょっと疲れたみたいだね。みんな静かにしてあげて、チャコが寝てますよ。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24頑丈そうな金属のドアには 案の定鍵がかけられてあったが、 異次元からやって来た我々と、 死んだ山村に鍵なんか意味が無い。 スイスイと我々はドアをすり抜けた。 外は壁も床も白で統一され、 辺りにはアルコールの臭いが 漂っている。 廊下の幅は大人二人が横に並んで 楽に両手を広げられるくらいに ゆったりとしていて、 十五メートルほど先にある 突き当たりまで 両側の壁にドアが無い。 突き当たりはT字型に、 廊下が左右に延びているようだ。 「病院みたいですねえ・・・」 と涼子さんが言うと 犬山さんがブルッと身震いをして、 「嫌ですよ・・・病院だなんて 思いたくないですよ。 こんな酷い人体実験をするような 連中の巣屈です。 病院は人を助ける場所だと 信じたいですからね」 と言いながら山村を見た。 山村は何も言わず、 寂しい目をして辺りを見回している。 この建物の何処かに 今もまだ閉じ込められているはずの、 我が子の身を案じているのだろう。 ママが山村に近寄り、 大丈夫ですか?と声を掛けると、 山村は薄く笑って大丈夫ですと 頷いた。 「さて、左へ行くか右へ行くかだが 山村さん、あんたは連中に 連れて行かれる時どっちへ 行ったんですか?」 中田先生が山村に聞いた。 山村は首を捻り、下を向いて 考えているようだったが、 やがて何かを思い出したのか 顔をあげるなり、 「あの時は確か、 左だったと思います」 と言った。そして、 「俺達は運ばれる前に 注射を打たれるんです。 多分声を出されたら 困るからでしょう。 それに頭までシーツを 掛けられますから、 辺りの様子は分かりません。 でも、注射の効果が まだ全身に回っていなかったのか、 意識がまだ残っていた時があって、 その時は確か 左に曲がって行きましたよ。 エレベータに乗せられた 感じがしましたが、 それから後の記憶がありません。 意識が戻った時はあの檻の中でした」 「そうですか、じゃあ左に行って みましょうか」 中田先生がそう言うとみんな 無言のまま頷いた。 分岐点に立った時、 一応右も見てみたが、 右も左も同じような風景で、 廊下左右にポツポツと ドアが見えていた。 只、さっき我々が出て来たのとは 全く違うドアで、こちらのは やはり病院を思わせはするが、 ごく普通の白いドアだ。 ドアの左上あたりに、 部屋の名前が書いたプレートが 掛けられている。 曲がって左にすぐあったドアには 『道具』と書かれており、 中を覗くとストレッチャーとか パイプ椅子などが きちんと整理して入れてあった。 廊下を挟んで右にあるドアには 『資料室』とあり、 中は白く塗料を塗ったロッカーが ぎっしりと立ち並んでいる。 「こりゃやっぱり病院だよ。 うちの病院もこんなふうに なっているもの。 本当に良く似た造りだ。 まるで自分が勤務していた 病院に帰って来たみたいだ」 中田先生が懐かしそうな顔で辺りを 見回し始めた。 「病院なんてだいたい同じような 構造になっていると思うんだ。 ねえ、先生の勤めていた病院を 思い出してよ。 隠れて人体実験するとしたら、 何処らへんかな」 私がそう聞くと、先生は首を傾げ、 「いや、手術はどんな手術でも 手術室で行っていたよ。 うちの場合手術室は一階の 緊急搬入口の奥だ。 救急車が入って来た時、 患者をすぐに運び入れる事が 出来るようにね」 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.18. (00:23) 小説 文学 /
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ナナの楽しみ 飴を銜えて来るのが大好きなナナは、喉に詰まらせる恐れがあるので飴を隠された。で・・・最近持って来てくれるのはティッシュ、ハンカチ、そして買い物をした時のレシートだ。ティッシュやハンカチは分かるんだけどレシートはどんな気持ちで持って来るんだろうな。  ・・・お知らせ・・・ 本日のママの店はお休みさせていただきます。 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.17. (00:28) 小説 文学 /
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ちょっと太った? 病気でガリガリに痩せていたチャコの顔がふっくらと肥えて来た。呼吸はまだ少し荒いが、本当に素晴らしい回復ぶりだ。他の猫達は一日二回の食事、チャコは一回の食べる量が少なめなので何回でも欲しがる時に食べさすようにしている。今のところ朝と昼と晩と夜食の四回だ。 私だったらてきめんにデブになるだろうになあ〜 デブになるのが恐ろしいから出来ないけれど、夜食に大きいケーキが食べたいなあ〜生クリームいっぱいついたケーキ・・・・ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24・・・お知らせ・・・ 本日のママの店はお休みさせて頂きます。 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.16. (00:12) 小説 文学 /
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チャコが自分で食べれた 昨日まではまだ自分で食べる事が出来なかったチャコが、今日の朝御飯からカスガと一緒に食べるようになった。カスガに比べると食べる量は少ないが、それでもよく頑張って食べていた。肺がほとんど機能していない状態だったチャコがここまで回復したのは誰の力でもない、チャコの生命力のたまものだろう。動物にとって肺炎は只の風邪なんかではなく、死と隣り合わせの恐ろしい病気なのだ。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23ママは目を閉じ、ブツブツと 呪文を唱え始めた。 すぐに甲冑が熱を帯びて来たので 慌てて胸や腹の部分に手をやった。 硬い表面がフニャフニャと柔らかく なり始めている。 そして甲冑の厚みが どんどん薄くなって行き、 グイグイと締め付けながら やがてピッタリと体に密着した。 一部始終を見ていた山村が、 おぉ・・・と 驚きとも感動とも取れる 声をあげた。 私は、今や体の一部となり 何の違和感も無くなったスーツを、 胸から腹へと撫で回し、 手の平に滑らかな感触を 感じていた。 確かに軽くて動きやすい。 しかし色は黒に近い緑色だ。 ママだけ金色って訳? と言いかけた時、 ママの着ている物も同じ色に 変わっているのに気がついた。 「あれ、ママのも色が変わっている」 と私が驚いたように言うと、 ママは目をクリクリとさせ、 「全員キンピカじゃ眩しいでしょ、 それにこのスーツは戦闘態勢に 入った時だけ色が変わるのよ。 私は金色になったけど、 あなた達のが何色に変わるか、 その時のお楽しみね」 と言って笑った。 「うぉっ、カッコイイ。 色なんて何でもいいですよ。 とても軽くて動きやすい。 正直今まで肩が凝って 仕方が無かったんだ」 犬山さんは手足を屈伸させて 満足そうにしている。 中田先生や涼子さんも、 体が軽くなったのが嬉しいのか、 ニコニコ笑って自分の体を あちこち触って確かめている。 そう言えば涼子さんは、 恵子ちゃんを救出に行く時、 初めてママに甲冑を着せられ、 その重さに怖気づき 泣いた事があった・・・ あの頃の彼女はごく普通の か弱い女性で、 重い剣を頭上に振りかざし、 敵に向かって走って行く 今の彼女なんて とても想像出来なかった。 中田先生はまあ分かるとして、 犬山さんにもびっくりだ。 あの姑息で卑怯な性格なるが故に 非業の最期を遂げた犬山さんが、 こんな勇敢無敵の戦士になるなんて 誰が想像しただろう。 私がみんなを見回し、 感慨に耽っていると、 「豊、何ボーッとしているのよ。 さあ、急ぎましょう」 ママが山村と一緒に もう先頭に立ってドアに向かっていた。 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.15. (00:51) 小説 文学 /
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久々ブチ チャコを早く回復させたいのでいろいろな食材を買って来る。我が家の冷蔵庫は今やチャコ中心の食品でいっぱいだ。まずチャコ用に調理して食べさせ、残りをブチ、クロ、チャオの爺ちゃん組に食べさす。 後の比較的若者組は鳥肉と鰹節ご飯だ。連日のご馳走にブチらは喜び、つい食べ過ぎてお腹がピィーになってしまった。 チャコは薬もちゃんと飲んで、ご飯もよく食べている。今度病院で体重を量る時、体重が増えていたらいいなあ〜肺炎早く治してやりたい。 余談だが、カスガがまたデブになった。こちらはダイエットさせないとメタポリック症になりそうだ。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22「何で女性や子供まで さらって来るんだよ!」 気がつけば私は山村に向かって 吼えていた。 山村だけでなく、ママや 中田先生達もギョッとした顔で 私を見ている。 「さ、さあ・・・ 俺にも良く分からないんだけど」 山村は目を瞬かせて 言葉を詰まらせたが、 すぐに口元を緩め笑顔になった。 「あんた、いい人だな」と山村が言う。 いい人?、私がいい人? いい人なんかじゃない。 「僕はいい人なんかじゃないよ、 君達親子がこんな酷いめに 遭わされていると言うのに、 何もしてあげられないじゃないか。 それどころか、 ぼ、僕は君の怒りを 受け止めてあげようとせず、 君の腕を切り落とした」 私は自分を恥じて、 知らないうちに涙ぐんでいた。 山村がいくら 化け物に変わったからと言って、 あそこまでやらなくても 良かった気がする。 「豊・・・」 ママが私の側に来て、背中にそっと 手のひらを当ててくれた。 「嬉しいなあ・・・ あんたみたいな人間もいるんだな。 俺はもうすべてを忘れて、 あんた達に成仏させられて いいと思っている。 でも、その前に聡がどうなったか 知りたいんだ。 手を貸してくれないか」 山村は私を見てから、 ママや中田先生、犬山さん、 涼子さんをグルリと見回した。 「ええ、そのつもりよ。 でも、その前に、 あちこちで倒れている あの人達を先に送らせて貰うわね」 ママはそう言うと両手を高く掲げ、 いつもの呪文を唱えた。 すると床に転がっていた 化け物達が瞬く間に 普通の人間の姿に戻り、 やがてその姿は薄くなり 消えてしまった。 「みんな行くべき所に 行きましたね」 犬山さんが呟くと、中田先生が 感慨深げな溜息をついて頷いた。 「もう苦しまなくていいんだからね、 幸せになって・・・」 微笑む涼子さんの唇が微かに震え、 目には光る物が見えている。 「さあ、じゃあここから 出て行きましょうか」 ママが先頭に立って行きかけたので、 私は慌ててそれを止めた。 「何よ、まだ何かあるの?」 ママが不機嫌そうに振り返った。 「ママ、忘れているよ。 僕達の衣装も替えてくれないかなあ」 私が恨めしそうにそう言うと、 涼子さんも自分の着ている 甲冑とママのキンピカスーツとを 見比べて、是非そっちのと 替えてくださいと強く抗議した。 ホレ見てみ、やっぱり ソッチの衣装がいいに決まっている。 「そうですねえ、そっちの方が 動きやすそうですから、 私も替えて貰いたいです」 犬山さんがそう言うと、 中田先生は顎を指でひねりながら、 「今のままでもいいと思うが、 そうだなあ・・・動きやすいのは ママさんの着ている服かな」 とまんざらでも無さそうだ。 〜つづく 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に (幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」10話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、 暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので ご注意ください。 出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.06.14. (00:10) 小説 文学 /
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ナナ チャコとナナは前から非常に仲が悪かった。偶然出くわしただけで呻りあいをしていた。それがチャコが病気になったとたん、二匹はいきなり仲良くなった。でも、元々ナナは優しい子で、只チャコがナナを嫌っていただけなんだと思う。シマジロウ兄妹の生みの親と育ての親、これをしおに二匹仲良くなってほしいものだ。 チャコはカニカマを食べるようになり今や好物の一つになった。喉の通りが良いからかも知れない。今日もたくさん食べてくれた。 下血が下りた。いつになったら止まるのだろう・・・・お腹が痛いらしく時々唸り声を上げるのが可哀相だ。  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22・・・お知らせ・・・ 寝不足で体調不良の為、本日のママの店はお休みさせていただきます。 「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。 別荘「怪談奇談」に |