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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
シュウも寒いの?


急須の温もりを求めてへばりつくのはカリンだけでは無かった。おぉ、シュウよお前も寒いのかい?そりゃ確かに今日は涼しいと思うけど。
もうすぐ八月だ、今年は夏が早く過ぎて行くのかな・・・


ビリーDISC2三日目また激しく睡魔が襲って来る。どうもビリーをやると睡魔との闘いになる。



1〜47は「続きを読む」の中 48 49 50 51 52 53 54

先生の説明を聞いて、
たちまち怒りがこみ上げて来た。
俺達は物では無いんだぞ!
俺達は人間だと叫んだ山村の
言葉を思い出す。

「そんな薬があるだなんて、
 考えただけでも
 恐ろしい話しですね」
涼子さんがそう言って、
眉間に縦皺を寄せた。

中田先生は、うんと言って頷き、

「まあ、本来は食品の保存が
 目的で作られた防腐剤であり、
 抗凝固薬の方は、
 脳梗塞とかの病気になった時
 血流を良くする為に
 使うものなんだ。
 ちょっと専門的な話しに
 なるけれど、抗菌作用ある
 ベンゾインナトリウムと
 抗凝固薬のクマリン誘導体、
 つまりビタミンK 依存性
 凝固因子合成阻害薬
 の事なんだが、
 効果が最大になるまで、
 投与開始から四十八時間から
 七十二時間かかる。
 即効性が欲しい為に
 ヘパリンを併用させて・・・」

うへえ、また
先生の悪い癖が出た。
涼子さんや山村が口を
ポカンと開けているのが
見えないのかな・・・
そんな難しい説明なんて
いらないよ。
あぁっ、もう!
聞いているだけで頭が
痒くなって来た。

「あ、先生ありがとう、
 もういいよ。
 つまりは死体が腐らない薬と、
 血が固まらない薬を
 注入したって事なんだろ」

私がそう言うと、
先生は話しの腰を折られて
気を悪くしたらしく、
片方だけ吊り上げた眉を
ピクピク痙攣させ、
鼻白んだ声で

「まあ・・・その通りだ」
と呟いた。そして、

「ただし、今のは
 私の知っている限りの
 薬品を言ったまでで、
 今はもっと良い物が
 あるかも知れないがね」
と付け加えた。

「それじゃこの部屋は、
 いつでも使える死体を
 保存している部屋なんですね」
犬山さんが唸るように言い、
もう一度確かめようと思ったのか、
スッと近くのカーテンの中に
入って行った。

「酷い話です。でも・・・
 死んでいるにしては、
 霊体が見当たりませんね」
涼子さんが辺りを見回して
不思議そうに言った。

そうだ、死体の側には
霊体がいるはずだ。
そう思った時、ママが
私の顔を見て首を横に振った。

「いいえ、そうとも限らないわ。
 恐らく彼らは、
 死を素直に受け止めたのよ。
 多分眠っている間に
 処理されたんでしょうね、
 何の苦痛も感じ無かったのかも。 
 山村さんや玲子さんのように、
 恨みや苦痛、悲しみがあれば、
 霊体はその場に居続ける可能性が
 あるでしょうけれど、
 そう言う苦しみが全然無かったら、
 霊は行くべき所にさっさと
 行ってしまうものなのよ」

ママが遠い目をしてそう言った。

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
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2007.07.31. (00:26) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(9) /
 我が家の猫達&ママの店
熟睡中

走り回るだけ走り回ってやっと寝たカスガ。今日はナナがカスガと遊んであげていた。ナナは最近とても優しくなったなあ〜

ビリーDISC2二日目ディスク2は確かにハードだが動きも早くとても楽しめる。でもマンションだから跳ぶことが出来ない・・・残念。



1〜47は「続きを読む」の中 48 49 50 51 52 53

「もしかしたら・・・」
中田先生が何か
思う所があったらしく、
暗い声を出した。
しかし、そう言ったきり
なかなか続きを喋らない。
イライラした私は、

「もしかしたら、何なのさ」
とちょっときつい声で聞いた。

「説明しても、君らには
 分からないと思う・・・」
先生がボソッと呟いたので、
何かよけいムッと来て、
「言ってみてよ、
 言ってくれなきゃ
 もっと分かんないよ」
と私は言った。

「先生お願いします。
 この状態は異常です。
 私らもこの人達に
 何が起こったのか
 知りたいんです」
私の言葉を
フォローしてくれるかのように
ママが言うと、
犬山さん涼子さん、
山村までが、
教えてくださいと口々に頼んだ。
先生もみんなの様子を見て、
やっと説明する気になったようだ。

「そうか、じゃあ説明するよ。
 ここの施設は
 どうも人間の生体で
 何かを研究しているらしい。
 まあ、研究じゃなくて
 実際に治療に
 使用しているのかも
 知れないがね。
 山村さん達は生きたまま、
 手術を繰り返して
 臓器や肉体のパーツを
 切り取られていたんだが、
 度重なる手術から起る
 合併症状が物凄かっただろうし、
 まだ使用したい物があるのに
 死亡してしまって使い物に
 ならなかったりしたりで・・・」
中田先生の話しをじっと
聞いていた山村の形相が
変わった。

「死亡してしまって使い物に
 ならなかっただと?
 俺達は物では無いんだぞ!
 俺達は人間だ。
 玲子はあんな姿になるまで、
 生きながらえて苦しんだんだ」

山村が感情的になって、
今にも先生に飛び掛らん
構えを見せた。
まあまあ、山村さん
冷静になってと言いながら、
犬山さんがガチッと山村の腕を
つかんだ。山村は少し
抵抗する様子を見せたが、
犬山さんの力が強く、
暴れても無駄だと分かったのか
おとなしくなった。

「山村さん、先生は私達に
 説明をしてくれているの。
 あなたの気持ちも分かるけど、
 先生の言った言葉に
 いちいち反論したら、
 先生が話せなくなっちゃうわ。
 あなたも先生の説明を
 聞きたいんでしょ?」
ママが山村を諭した。

中田先生も、
困った顔で山村を見て、

「君の感情を
 逆撫でするような事を
 言わなくちゃならないのは
 私も心苦しいんだ。
 でも、よく聞いてくれよ、
 今から話すのは決して
 私の思っている事じゃ無い。
 ここの施設側の人間の
 考えなんだ」
 
先生が真面目な顔で
山村に説明すると、
山村は申し訳無さそうな顔になり、
すみませんでした、と謝った。

先生の話しが続く。

「生きている人間は、
 食っては排泄する事を
 繰り返している。
 もちろん新鮮な臓器や
 肉体が必要だから、
 生きていて貰わないと
 困るのだが、
 食事を提供して排泄の面倒も
 見るとなれば、
 たくさんの人手も経費もいる。
 それに、脱走逃亡をされて、
 外部の者にここの秘密が
 ばれでもしたら大変だ。
 だから、やつらは考えたんだよ。
 体さえ使えたら、
 死んでいても別にかまわない、
 いや、むしろ
 死んで動かない方が
 何かと便利なんだ。
 だからね、まず
 腐らないようにする薬と
 血液が固まらないようにする
 薬を使ったんだよ」

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目

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2007.07.30. (00:13) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(9) /
 我が家の猫達&ママの店
何もそんな・・・


カウンターの上に洗面器を置いたら、カリンが中に入り込んだ。クーラーが寒いのだろうかと思うが、他の猫達は快適そうだし、カリンは元々寒がりで、お茶の入った急須にもたれかかったりしている。
年なんだろうな・・・冷え性なのだ。


ビリーDISC2一日目だいぶ体が慣れてきたのでためしに2をやってみた。
基本にくらべて動きが早いがとても楽しい。



1〜47は「続きを読む」の中 48 49 50 51 52 53

・・・お知らせ・・・
日曜は定休日ですので「ママの店」をお休みさせて頂きます。

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2007.07.29. (00:21) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(11) /
 我が家の猫達&ママの店
小さい人(トウ)

私は時々直径二十センチくらいの丸いエビ煎を食べる。私はこのエビ煎が好物なのだ。今日はうっかり机の上に置き忘れ、トウに一枚盗まれた。自分の頭よりはるかに大きなエビ煎を銜え、鬼の首を取ったかのように尻尾をピンと立てて走って行ったまでは良かったが、折角取って来たエビ煎をポトッと床に落とし、ジィッと見つめている。こんな大きな煎餅どうやって食べればいいか途方に暮れたらしい。そんな姿がこれまた可愛いくて怒れなかった私は、親バカ・・・

ビリー十二日目今日は映画を観に行った。帰ってからすぐにビリーをやり、汗だくになってからお風呂に飛び込んだ。明日ビリーバンドを買いに行く予定。



1〜47は「続きを読む」の中 48 49 50 51 52

その瞬間誰かが
私の腕を引っ張った。
目の前にママがいて、
心配そうに見ている。

「豊、大丈夫?
 また一人で
 行っちゃったのね」
ママはそう言いながら、
私の目から
記憶を読み取り始めた。
たちまちママの目が
潤んで来たので、
私は慌てて首を横に振り、
「大丈夫だよ、
 ちょっと驚いただけだ。
 引き戻してくれてありがとう」
と言って笑って見せた。

「そう、ならいいのだけれど」
ママは優しく私の背中に
手を当ててくれた。
ママの掌の温もりが
とても嬉しかった。
母の遺体を見せられるのは、
これが初めてではない。
何度見せられても
良い気分ではないが、
ショックで泣き崩れるほど、
もう悲しくは無いのだ。
母が横たわる霊安室の世界は
永遠に存在し続けるのだから、
いつ何時その世界に
迷い込まんとも限らない。
楽しく良い思い出よりも、
二度と見たくない出来事の方が、
心に深く焼きついているから、
そこに何度も訪れてしまうのだ。
ママ達の世界が俗に言う
あの世で、
私が一応まだ席を置いている
世界をこの世だとすると、
この世では、
どんなに悲惨極まる
出来事があったとしても、
記録でもしておかない限り、
時とともに、いつか
人々の記憶から
忘れ去られてしまう。
しかし時を刻まないあの世では、
その事実は、おそらく永遠に
宇宙の何処かに
存在し続けるのだ。
我々は死んで肉体を失い
宇宙に帰属した時、
忘れていた過去が
未だ存在している事を知る。
そう言う話しをママから聞いたり、
自分で体験したりして
私にはもう分かっているから、
母の死に顔を何度見せられても、
もう驚きも、悲しみも
感じ無いのだ。

あちこちを見て回っていた
犬山さんや涼子さん、
中田先生に山村が戻って来た。

「みんな布団も掛けて貰わずに
 素っ裸で寝てますよ」
犬山さんがそう言うと、
涼子さんがポッと
顔を赤くした。

中田先生が難しい顔をして
顎を指で捻りながら、
「それどころじゃないよ。
 私には彼らが、
 呼吸をしているようには
 見えないんだけどなあ」
と言ったので、私を含めて
みんなも驚いた顔になったが、
ママだけは何故か暗い顔をして
横を向いている。
ママは何か
知っているのだろうか・・・

犬山さんが慌てて、
近くのカーテンの中に
入って行き、出て来るなり

「先生の仰る通りです。
 全く息をしていません」
と言った。
我々は手分けして
もう一度全部の
ベッドを見て回る事にした。

「みんな死んでますね」
犬山さんが暗い声で言うと、
山村が苦い顔をして、
「酷い事をしやがって・・・」
と恨めしそうな声で
吐き捨てるように言った。

「でも、死んでいるにしては
 血色もいいし、
 死斑の一つも出ていない」
犬山さんがそう言うと、
中田先生は
うーん・・・と唸り、
「非常に強い睡眠薬を
 投与されていて、呼吸が
 極端に細くなっているとも
 考えられるが、
 それにしては鼻にチューブも
 入って無いし、導尿管も
 取り付けられていないな」
と言った。

食事は点滴で補ったとしても、
尿は出る。導尿管が無いのは
確かにおかしい・・・

涼子さんが眉を潜め、

「呼吸をしているように
 見えないほど、
 深く眠らされていたら、
 トイレに行けませんから
 垂れ流しになります。
 排泄しないとしたら、
 やっぱり死んでいるって
 事ですよね」
と言って首をすくめた。

〜つづく

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2007.07.28. (00:04) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(5) /
 我が家の猫達&ママの店
つまんない・・・

我が家の猫達は年がいっているせいでとにかく良く眠る。食事を食べる前でも(クロブチ以外は)寝そべってベランダのガラス越しにプランターにやって来る虫をジイ〜ッと見ていたり、体を舐めたりしているだけ。食事が終わると四時間ほど昼寝をして、夜も人間と同じだけの睡眠を取る。そんな年寄り組の猫達の一日の過ごし方は、まだ幾分若いカスガにはたまらなく退屈なのだ。みんなが寝静まった昼下がりの廊下を時々カスガが奇声をあげて走り抜けて行く。

ビリー十一日目今日の汗の出方は尋常ではなかった。湿度が多い天気のせいだ。


1〜47は「続きを読む」の中 48 49 50

・・・お知らせ・・・
都合により本日のママの店をお休みさせて頂きます。
明日は定休日ですが、今日の代わりに明日アップする予定です。
アップの時はメルマガでお知らせ致します。
(ハリーポッターを観てまいります)

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2007.07.27. (00:08) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(6) /
 我が家の猫達&ママの店
せっかく見つけたのに

ベランダの網戸を潜り抜けたか、小さな虫が入って来た。
早速シマジロウが側に行き、チマチマと歩き回る虫の行方を追っている。虫を捕まえる瞬間でもパチリしてやろうと構えたら、シマジロウ君虫も気になるがカメラも気になる・・・で、そのうち虫はブィ〜ンと羽音を立てて何処かに飛んで行ってしまった。

ビリー十日目マンションなので飛んだり跳ねたり出来ないので、出来ない種目の時はひたすらスクワットか腕立て伏せをすることにしている。体がだいぶ慣れてきた。



1〜47は「続きを読む」の中 48 49



「何かおかしな部屋だぞ」
ドアから首を突っ込んで
中を覗いていた中田先生が、
ヒョイと首を抜き私の顔を見た。
でも私は、
え?そうなの・・・
と言っただけ。
どうせ今から入るのだから、
わざわざ覗くまでもない。
いや、それよりも何となく
覗きたく無かったのだ。
中田先生とママがボソボソと
何やら話しをしている間に、
犬山さんや涼子さん山村が、
ドアや壁にズボッと
首を入れているのを、
私はぼんやりと眺めていた。
やがて首を出したみんなが、
先生の言う通りだ、
この部屋は怪しいと
口々に言い始め、
どう怪しいんだろうかと
少し興味が湧いたが、
それでも私はまだ
首を突っ込む気には
なれなかった。

「それじゃ、この部屋から
 始めてみましょうか」
ママの合図でみんな一緒に
204号室のドアを潜り抜けた。

「何これ?・・・」
異様な物が立ち並んでいる
部屋の中を見て、
私は思わず声を上げた。
びっしりと、
真っ白い布で囲まれた
四角い物が並んでいるのだ。

「これはベッドの回りを
 カーテンで覆ってるんだよ」
中田先生が小さな声で
呟くように言い、
そっとカーテンの中を
覗き込んだ。
どうせ我々の姿はこの世界の
者には見えないし、
声も聞こえない。
静かにする必要など無いのだが、
ベッドで人が寝ていると思うと、
思わず声を潜めてしまうようだ。

「やっぱりそうだよ、
 人が寝ている」
先生の言葉に誘発され、
思わずカーテンの中に
首を入れたとたん、
視界がグニャリと
歪むのを感じた。
たかだか一つのベッドの回りを、
カーテンが覆っているだけの
スペースのはずなのに、
私の周りにカーテンなど
ありはしなかった。
只一面真っ白な世界、
ここは何処なんだろうと
辺りを見回していると、
霧が晴れて行くように
次第に辺りの様子が
見えて来た。
今私が居る所は壁も床も
白で統一された部屋の中。
立っていたはずの私は
いつの間にか
パイプイスに腰掛けている。
目の前に白い布で覆われた
こんもりと人型に
膨れた寝台のようなものが
置かれている。
寝台の左方向を見ると、
小さな机に白い布が掛けられ、
その上に白い陶器で出来た
丸い線香立てが一つ置かれてあり、
真新しい線香が一本立っている。
線香から長く白い煙が
真っ直ぐ立ち上っているのを
見ていると、自分の心臓の音が
耳の奥から頭の中に
響いてくるのが分かった。
私は震える手で、
布の端をめくり上げた。

〜つづく

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2007.07.26. (00:23) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(6) /
 我が家の猫達&ママの店
私が守ってみせる!


夜になっていきなりチャーとシュウが取っ組み合いの喧嘩を始めた。
こんな大きな喧嘩を見るのは久し振りだ。二匹が玉になって咬み合ったまま部屋中を転げ回り、あたり一面に抜けた毛が舞い上がる、何とか引き離さないと死んでしまうのではと焦った時、何とカスガが決死の助太刀を試みた。シュウを庇いに飛び込んだのだ。こうなったら何が何でも止めねばと、娘らと私の三人で怪我を覚悟で三匹を引き離したのだが、やっぱり長女が足を切られた。シュウとチャーはすぐさまゲージに放り込み、シュウにはカスガを一緒に入れてやった。「怪我してない?」とシュウの体を労わるカスガの優しい声が聞こえて来そうな睦まじさ。
それに引き換えブチ達他の猫連中は、巻き添えはくいたくないとばかりに四散して、遠巻きで見ているだけの腰抜けぶり。
仲間を助ける勇気は無いのか、嗚呼情け無い・・・

ビリー九日目突入両足がかなり開くようになったが前屈の時まだ上半身が床に届かない。



1〜43は「続きを読む」の中 44 45 46 47 48



中田先生の言葉が嬉しかった。
もう一人で異世界に
飛ばされるのは絶対嫌だ。

われわれは廊下を
真っ直ぐ進んで行った。
通路左側には
トイレと資料室があり、
右側には地下の手術室の中に
あったのと同じ、
床がタイル張りの洗い場があった。
この階にもあそこと同じ
洗い場がある・・・
血だらけのビニールシートを
洗っている現場を思い出し、
ずんと気分が重くなった。

「山村さん・・・」
気分を変えようと思い、
歩きながら山村に声を掛けると、
山村はヒョイと私の顔を見た。

「ねえ、ここのトイレを
 使った事はある?」
私の問いに山村は頷き、

「ありますよ、
 ここに連れて来られた
 最初の何日かは
 風呂にだって入れました。
 トイレの奥にあったでしょ、
 あの風呂ですよ。
 もちろん監視付きですがね。
 でも、一度下に連れて行かれたら、
 風呂なんて入れませんやね。
 傷口が開いてしまいますからねえ」

遠い目をして山村は語った。
山村が最後に風呂に入れたのは
いつだったんだろう・・・
私は山村が可哀相でならなかった。

「ここを右に行くと、
 山村さんが入れられていた
 あの檻がある部屋に
 行くんだわね」
ママは横目で右に延びている
通路をチラッと見た。
山村は頷き、
そうですと言って溜息をついた。
遠く、突き当たりに見えている
部屋に行くまでに、
廊下を挟んで
二つずつ部屋がある。

左側手前に202号室、
その隣に201号室。
右側は204号室と203号室だ。

「さて、どの部屋から
 入りましょうか・・・」
ママが202号室と
204号室の間に立って呟いた。

〜つづく

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2007.07.25. (00:03) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(8) /
 我が家の猫達&ママの店
誰も乗っちゃダメ

カウンターはボクの特等席と本人(シュウ)だけが思っている。ところが他の子達にはそんな理屈は通じない。叩いても咬みついても下りてくれない・・・どころか反撃されて、ちょっぴり泣きそうな顔をしたシュウ。
ビリー八日目突入だいぶ体が柔らかくなって来た。



1〜43は「続きを読む」の中 44 45 46 47



山村の腹の底から搾り出すような
声を聞きながら、
みんな鉄の箱を黙って
見つめていた。
この中に使用済みになった
人間を放り込んで
始末していたと思えば、
山村で無くても
激しい怒りがこみ上げて来る。

「このモーター、
 何をする為に
 必要なんだろう・・・」
犬山さんが、箱の裏を
覗き込みながら呟いた。

「死体を放り込んだだけでは、
 不十分だから、
 機械を使ってどうにか処理する
 ようになっているのさ」
中田先生が何気なく言った言葉で、
また辺りの空気が
重くなってしまった。

「とりあえず、ここは後にして
 先に上の階へ行きましょう」
ママがそう言い残して、
さっさと一人で
出て行ってしまったので、
我々も慌てて後に続いた。

廊下の突き当たりを左に折れ、
エレベーターに向かうと、
最初の時と同じように、
まるで我々が来るのが
分かっていたかのように、
扉が左右にガーッと
大きく音を立てて開いた。
全員が乗り込むのを待って、
ママがB2のボタンを押すと、
扉がまたガーッと音を立てて
閉まった。

四方の壁にそれぞれ
六人の姿が映り、その
四方の壁に映った我々の姿が
まるで大勢の人間が
囲んでいるように見えて
不思議な気持ちになった。
この箱の中には
四つの世界がある・・・
そう思いかけて
ふと上を見上げると、
上も側壁と同じ材質で
出来ていて、天地が逆になった
我々の姿が映っている。
四つじゃ無かった、
天井も入れて五つの世界がある。
これがもしパラレルワールドで
あるとしたら・・・
難しい事を考え過ぎたのか、
頭がクラクラして来た。

「豊、あんまり見てると
 吸い込まれちゃうわよ。
 これは壁じゃなくて入り口。
 しかも見えているのは私達だけ。
 こっちの世界の人間には、
 床と同じ只の白っぽい壁なの」

えっ、鏡のようなこの壁が、
実は入り口・・・
しかも我々にしか見えない?
中田先生や犬山さん、涼子さんに
山村もびっくりしたような顔で、
辺りをキョロキョロ
見回している。
知らなかったのは
私だけでは無かったようだ。

「どうして僕達だけ、
 こんなふうに見えているのさ」
私が聞くと同時に、
エレベーターはB2に着いて、
扉がまたガーッと開いた。

「豊、次元を彷徨う私達には、
 異次元がいたる所に
 扉を開けて待っているの。
 さっきあんたが思った通り、
 これらはすべて
 パラレルワールドよ。
 だから、へたをすると
 何処に入り込んでしまうか
 分からない」
エレベーターから出た私に、
ママは真剣な目で言った。

「みんな出来るだけ一緒に
 行動したほうがいいですよね」

涼子さんの言葉に、

「そうだな、
 どんな世界に迷い込んでも、
 みんな一緒なら心強いさ」
中田先生がそう言って、
ニヤリと笑ってみんなの顔を
見回した。

〜つづく

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2007.07.24. (00:28) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(11) /
 我が家の猫達&ママの店
ダッコして!


猫達の写真を撮っていたら、シマジロウがダッコして欲しくてジャンプの態勢に入った。モ〜こんなカワイイ目で見つめちゃイヤン。ビリー七日目突入。ガンバルゾー!

・・・・みなさまへ・・・・

ブログを初めてもう二年になりました。最初は見に来てくださる人も少なく細々と書いておりましたが、正直何の希望も無く、書いていても空しいなあと思う事ばかり。それが今ではアップしたと同時にコメントをくださったり、連載小説「ママの店」の温かい感想などを書いてくださったりで、こんなに嬉しい事はありません。あきらめないで続けていて本当に良かったと思います。今日はこの場を借りまして皆様に心からお礼を申し上げます。
ありがとうございます。まだまだ未熟で、これから先もどうなる事やら分からない私ですが、これからもどうぞ宜しくお願いいたします。ハレルヤ



1〜43は「続きを読む」の中 44 45 46

「あの時と同じものが、
 この中にあると思う」
中田先生が暗い声で
ボソッと言った。

「あの時って?」と私が聞くと、
先生は下を向き
静かに首を振った。
そして「何て事を・・・」
と言ったきり
黙り込んでしまった。
何て事って何なのさと言い掛けて、
聞けない雰囲気になっているのに
私は気がついた。
みんなもそう感じたのか
誰も何も聞かないでいる。
と、その時山村が
いきなり身を乗り出した。

「先生、あの時って何なんですか?
 是非説明してください」
何も知らない山村が、
私の言いたかった言葉を口にした。
ママは何もかも分かっているらしく
寂しい目をして横を向いているが、
犬山さんと涼子さんは、
真剣な顔で先生の様子を
見守っている。
きっと犬山さん達も、
私と同じような
状態におかれていたんだろう。
聞きたくても聞けない雰囲気って、
こう言う時を言うのだと、
私は思った。
それにしても知らないと言う事は
強いもんだ。
山村の問いに先生はどんな
反応を示すのだろう。
そんな事を思っていたら、

「思い出したんだよ。
 あの時の煉獄を・・・・
 風の音に混じって微かに
 人の声がしていた。
 それも大勢の人のね。
 みんな助けて助けてと言って
 泣いているんだよ。
 あの時、あの中は
 火がドロドロになって
 燃えていたんだ」

私は中田先生が
何を思い出したのか
やっと分かった。
先生は恵子ちゃんと一緒に
天空にポッカリ空いた
煉獄に吸い込まれた時の事を
言おうとしているんだ。
先生の話しは続く。

「ドロドロになった火なんて、
 あの時まで見た事が無かった。
 地球の中心にあるマグマは
 きっとこんな状態なんだろうって
 思っていたら、
 その中に人間がたくさん
 ひしめき合っているのが
 見えたんだ。
 普通の人間だったら、
 近づいただけで
 骨まで溶けてしまう溶岩なのに、
 その中にいる人達は
 溶けないどころか火傷も負わず、
 ただ苦しそうに顔を歪めて、
 ゆらゆらと揺らめきながら
 立っているだけなんだ。
 両手を上に上げて、
 何かをつかもうとする格好で
 もがいている人もいたけど、
 皆熱いからではなくて、
 何か別の事で苦しんで、
 何とかしてその苦しみから
 逃れたいと思っている人達
 ばかりなんだ。
 恵子ちゃんが
 シクシク泣いていた。
 私はあの子を
 抱いてやろうとしたんだけど、
 周りにいる人々が
 異常反応を示したんだ。
 てっきり私に
 憎悪を向けたと思って、
 もう何をされるのか
 想像しただけで怖かった。
 その時、助けてって
 何処からか声が聞こえたんだ。
 えっ、と思って
 その声がした方を見ようとしたら、
 周りにいる人達が
 一斉に私を見ていて、
 助けてって口々に叫び出したんだ。
 助けて、助けて、助けてって、
 もう大合唱だ。
 そしていきなり誰かが
 私にしがみついた。
 そうしたらそれが
 合図になったかのように、
 一斉に皆が飛びついて来たんだ」

恵子ちゃんの話しの
琴線に触れたからか、
涼子さんが
胸にぶら下がった石にそっと
手を当て、下を向いている。
その石の中には恵子ちゃんが
入っているのだ。

「先生、あの時は恵子を
 助けに行ってくださって
 本当に感謝しております」
涼子さんが潤んだ目で
中田先生を見てそう言うと、
先生は、首を横に振り、

「いや、あの時は連れ戻す事が
 出来なくて申し訳無かったよ。
 でも今は
 それを言いたかったんじゃ
 無いんだ。
 兎に角この箱の中は、
 あの煉獄に続いているって事さ」

先生の言葉にみんなびっくりした。

「じゃあ、これは箱じゃ無くて
 穴なんだね。
 それも人間を放り込む穴・・・」
私がそう言うと、先生は
私の顔を見て頷いた。
この箱の中が、人を放り込む穴に
なっていると言う事実も恐いけれど、
先生の目がギョロギョロして
血走っているのが、
正直言って何よりも恐しい。

「畜生!あいつらこの中に
 玲子さんを捨てやがったんだ・・・
 他の連中も死んだらこの穴に
 ポイだったのか」
山村はギリギリと歯軋りをしながら
唸るような声を出した。

〜つづく

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2007.07.23. (00:13) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(7) /
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イヤッ!


チャーが甘えて膝に来た時に手探りで歯石があるかどうか調べたら、それらしき異物が歯にこびりついていた。爪でガシッとやったらポロッと取れたんだけど、ビックリしたのか痛かったのか、その瞬間悲鳴をあげて飛びのいた。この目・・・当分側には来てくれないだろうなあ〜

ビリー六日目突入。
まだ開脚が出来ない。座って足を広げ、頭や肘を床につけないといけないのだが足の開いている角度が狭すぎてダメ。よくもまあ、これほど固い体になったもんだ。



・・・お知らせ・・・

いつも「ママの店」を読んでくださっている方々へ。
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2007.07.22. (00:49) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(9) /
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まどろみ


チャオとカスガのツーショット。まるで天使のように無邪気な寝顔だ。
ビリー五日目突入。
今日は食料まとめ買いの日。午前中は仕事で忙しく、昼からは買い物、ビリーがやれたのは夕方になってからだった。まだ五日目なのに体が重い。酷く眠たいのだ。筋肉痛よりもこのしんどさの方が私は辛い。まさに居ても立ってもいられない状態だ。でも、ビリーの声を聞くと体が自然に動くんだもんねえ〜・・・今日はチャオがウロウロと邪魔をして来た。チャオを放り出し、ドアを閉め切ってやったのだが、クーラーはつけなかった。折角の汗が引いてしまうからだ。今日も汗ボトボト頑張りました!




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2007.07.21. (00:05) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(13) /
 我が家の猫達&ママの店
大きくなった?


我が家で一番チビさんのトウが何だか少し大きくなったような気がする。今まで隅っこの方にばかり行っていた彼女が、今頃やっと私の目の高さ近くまで上がって来るようになった。トウももう八歳だ。黒い毛皮にチラホラ白髪が混じり出している。
ビリー四日目突入。だんだん体が柔らかくなって来てはいるのだが、耐え難い疲労感に襲われるのが辛い。



1〜35は「続きを読む」の中36 37 38 39 40 41 42 43 44 45

アレをここに
運んで来たんだとしたら、
それはいったい何の為?

執刀した男は内臓を
膿盆に入れていた。
ストレッチャーの中に
入っていたのは明らかに残骸だ。
廃棄処分するような
軽い顔つきであの男は
ストレッチャーを押して
出て行った。
そしてここへ入った。

じゃあここは・・・

「死体処理室なんじゃ
 ないですかね」
考えていた事が同じだったらしく、
犬山さんがボソッと呟いた。
みんなの目が一斉に
鉄の箱に行く。

「中を覗いてみましょうか」
犬山さんの言葉に、
みんな黙ったままだ。
そりゃそうだろう、死体が
放り込まれているかも知れない
箱の中なんて、出来れば
見たくない。

犬山さんはツカツカと
箱の前に行き、
蓋に頭をつっこんだ。
犬山さんの頭が
いきなり消えたので
一瞬ギョッとしたが、
この世界での我々は、
壁抜けの術が出来るのだと、
今更だが思い出した。
しばらく頭を突っ込んでいた
犬山さんがスポッと顔を出し、
眉を潜め、首を傾げている。

「どうだった、何が見えた?」
中田先生が急いで聞くと、
犬山さんは首を横に振って、

「いや、真っ暗で
 何も見えませんでした。
 嫌な臭いがしていたのと、
 かなり底が深そうに思えると
 言う事だけです」

犬山さんの顔を
じいっと見ていた中田先生が、
いきなり自分も
蓋に頭を突っ込んだ。
それに続いて涼子さん、ママ、
山村までも頭を沈めたので、
私の入る隙間が無くなった。

「ちょっと、誰か代わってよ。
 僕にも見せて」
私がそう言うと、山村が
スポッと頭を抜いて私に
どうぞ、と言って
譲ってくれた。
私は山村に礼を言って
中を覗き込ませて貰ったのだが、
犬山さんが言った通り、
真っ暗で何も見えず、
底知れぬ闇の奥から
ヒヨォォォと音を立て、
強烈な血の臭いを、
風が吹き上げて来る。

間違いない、奴らはここに
死体を捨てているのだ。

私が蓋から頭を抜くと、
ママや涼子さん、中田先生も
元に戻っており、
みんな黙ってはいるが、
私と同じ事を
考えているような気がした。

〜つづく

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2007.07.20. (00:03) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(12) /
 我が家の猫達&ママの店
熟睡


カスガがお昼寝の真っ最中。前足を揃えて寝ている姿があんまり可愛いのでパチリ。朝昼兼用のご飯を食べたら、我が家の猫達はお昼寝をする。その時をめがけて私はビリー三日目突入。本当ならディスク2に入るらしいが、私はまだ基礎もまともに出来てないのでとことん基礎をやるつもり。三日目になるとさすがにだるく、筋肉痛で動きが一層鈍くなる。でも今日も一応最後までやった。ナナはもう見飽きたのか参加して来なかった。



1〜35は「続きを読む」の中36 37 38 39 40 41 42 43 44

山村の顔が
次第に和らいで行くのが
私にも分かった。
山村が瞬きをする度に、
涙がポロポロこぼれ落ちる。
それは玲子さんが
行ってしまった為に流れた
涙には違いないのだろうが、
先ほど号泣していたものとは、
全く違う涙のように私は感じた。
山村は今、顔を痙攣させて、
必死に笑顔を作ろうと
頑張っている。
ママは山村の肩に手を置き、

「さあ、玲子さんの為にも
 子供達を救いに行きましょう。
 彼女はあなたに珠江ちゃんを
 託したのよ。
 珠江ちゃんは生きている。
 あの子の強い波動が、
 私達を導いてくれるわ。
 B2にある部屋に行くのよ」

今やママは、B2に子供達が
閉じ込められていると言う
強い確信を持っている。
山村がママの言葉に
勇気づけられたようで、
背筋を伸ばして立ち上がった。

手術室を出るとすぐに、
ブーンと言う音が
耳に飛び込んで来た。
通路の右に機械室がある事は
もう知っていたが、
ママがその扉の前で立ち止まった。

「ママさんどうかしましたか」
中田先生が聞くと、
ママは顔を曇らせ、
「ここは只の機械室じゃないわ」
と呟いた。

「入りましょう」と山村が言う。

ええ、入ってみましょうとママが
言ったので、我々は全員そのドアに
吸い込まれるようにして
入って行った。
機械室のドアは
手術室のドアに良く似ており、
間口が広く、開けられた時、
扉は左右の壁の中に
収納されるようになっている。
天井に取り付けられた
昼白色の蛍光灯のおかげで、
中は明るい。
何の箱かは分からないが、
正面中央に大きな鉄の箱があった。
箱の上は蓋が二枚、真ん中で
四つの蝶番を使って
しっかりと留めてあり、
右の蓋の端しに頑丈そうな
取っ手が一つ付いている。

「何か箱みたいですが、
 いったい
 何を入れる箱なんでしょうねえ」
山村が不思議そうな顔で箱の回りを
見て回っている。
箱の真後ろの壁に
モーターのような機械が
取り付けられており、
青や赤、黄色の、
細めのコードをより合わせ、
一本の太いコードにしたもの五本が
箱に繋げられている。
ブーンと言う音はこの
モーターのような機械から
聞こえているようだ。
そして、その機械の右横の壁に、
今は何も映っていないが、
三つのモニターが
取り付けられている。

「このモニターが気になるねえ、
 いったい何を映すのかな?
 防犯目的にしちゃ、
 何も映ってないしなあ・・・」
中田先生がモニターを見あげて
誰にともなしに呟いた。

左右の壁沿いに
大小のストレッチャーが
数台置かれている。
その側をうろうろしていた涼子さんが、
あっ、と小さい声をあげたので、
みんな涼子さんの所に集まった。

「見てください、これ・・・」
涼子さんが指差したのは
縦横一メートル
深さ五十センチくらいの
ストレッチャーで、
私はこのストレッチャーに
見覚えがあった。
これは我々が初めて
手術室に入った時、
おそらく玲子さんのものだろうが、
内臓をほとんど取り去った
人間の残骸を入れていた
ストレッチャーと同じ物だ。
あの時ストレッチャーを押して
手術室から出て行った男は、
この部屋に入ったんだ。

「中が血だらけですよ。
 何か内蔵の欠片みたいなものも
 こびり付いてます」

犬山さんが中を覗き込んで、
報告してくれるのが、
これまた気持ち悪い。

「玲子さんの血だ・・・」
私の横で山村が唸るように言った。

〜つづく

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2007.07.19. (00:36) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(13) /
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デバガメ


ビリーズ二日目、まだ一枚目の基本運動。
デブい私は肉と脂肪が邪魔をして、とても隊長の動きについていけない。それでも頑張っているからか汗が滝のように流れ出て目に入る。こんなに運動するのは何年ぶりだろう。中高大と運動クラブ、走った事しか記憶にないのに、主婦になってウン十年立派な座敷ブタに成り果てた。
ビリーのおかげで心が昔に蘇り筋肉の痛みが心地良い。猫どもはアホな人間のする事には全く興味無く、無視か冷たい目をして遠くから見ているだけ。ところがだ、困った事にナナだけが参加して来るのだ。必死で手を振り回し足で蹴りを入れている現場に何故奴は来る?もう危なくてやっておられない。ナナは私が何か普段と変わった事をしていると必ず確かめにやって来るデバガメなのだ。



1〜35は「続きを読む」の中36 37 38 39 40 41 42 43

それは時間にすれば、
ほんの短い間の出来事だった。
行かないでと声を掛けたのは
山村だけで、
我々は黙ったまま
玲子さんが消えて行くのを
静かに見つめていた。
玲子さんが最後に言った言葉、
「良かった、それだけが
 気がかりでした・・・」
そしてあの時見せた
天女のような美しい微笑み、
玲子さんはもう何もこの世に
未練が無くなったのだ。
珠江ちゃんが元気でいると知らされ、
おそらく信頼以上の気持ちを
持っていただろう山村に会えた。
その上山村は、我々の事を
助けに来てくれた人達だと、
玲子さんに紹介したから、
きっと天国からの
お迎えが来たのだと、
玲子さんは思ったに違いない。
玲子さんは
この上も無い幸せに包まれ、
喜んで旅立ったのだ。
死んだ者にとって
何が一番幸せかと言う事を、
我々は良く知っている。
だから誰も彼女を
引き止めようとしなかったのだ。

山村は彼女が座っていた所に
頭をくっつけ、
玲子さん何故なんだと呟きながら、
拳をベッドに打ち込んでいる。

「山村さん・・・」
ママがそっと山村に声を掛けると、
山村はゆっくり顔を上げ、
ママを見た。
涙で歪んだその顔は、
とても恨めしそうだ。

「何故なんだ、どうして彼女は
 行ってしまったんだ。
 珠江ちゃんが今たとえ
 元気でいたとしても、
 いつかは俺達と同じめに遭う。
 生きている今こそ助けてやらないと
 いけないんじゃないか?
 あんたらも、その事を何故
 彼女に説明してくれなかったんだ」

山村はグルリと首を回し、
責めるような目で我々を見て
そう言った。

「山村さん、玲子さんは
 珠江ちゃんの事だけが
 心残りだったのよ。
 肉体から離れた霊が、
 この世にしがみつくのは、
 この世にまだ未練や執念が
 残っているからなの。
 死んだら、さっさと
 行くべき場所に行く、
 本当はそれが一番幸せな事なのよ。
 玲子さんは自分のせいで、
 珠江ちゃんが殺されたと思い、
 ずっと苦しんで来た。
 手足を切り取られて舌も無くし、
 どんな麻酔や痛み止めも
 もう彼女には効かなかったと思う。
 痛かったでしょうね、
 想像を絶する苦しみだったと思うわ。
 それが今、やっと解放されたのよ。
 心残りだった珠江ちゃんの無事を
 知ったしね。
 山村さん、分かってあげて。
 彼女はもう十分苦しんだの。
 自由にしてあげましょう」

〜つづく

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「怪談奇談」(幽霊屋敷)
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2007.07.18. (00:10) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(9) /
 我が家の猫達&ママの店
箱大好き〜

宅配で届いた化粧品のカラ箱、小さ過ぎて猫が入るのにはちょっと・・トウならかろうじて入るカモ。でも、デブいカスガは絶対入る訳が無い。ごり押しで入ったものの、こりゃ箱の上に乗っているように見える。それでもカスガは嬉しいのか前足で顔を洗い出した。

「ねえ、メタポリックって何?」と下の娘が聞いた。長女がすかさず「おかんみたいな体型になる事や」それを聞いて下の娘が納得した。
何で?何で納得するの・・・?
お風呂に入って鏡で自分の裸をマジマジと見た。なるほどこりゃ酷い。
買い物に出たついでに「ビリーズ ブートキャンプ」を買った。
4枚組で3400円也。家に帰ってさっそくやった。トレーナの外人マッチョがこれまたカッコイイ。日頃の運動不足が嫌と言うほど思い知らされたけど、こんなに汗をかいたのは何年ぶりだろう。とても爽快になった。明日も絶対やろう、反応の鈍い筋肉痛が襲って来る前に。



1〜35は「続きを読む」の中36 37 38 39 40 41 42

「あっ、足がある。
 手もあるわ・・・
 そ、それに喋れる」
玲子さんは喉を手で擦り、
目を見開き
驚いた顔で山村を見た。
山村は優しく微笑み、
玲子さんの乱れた髪を撫でて
綺麗にしてやっている。

そうか、この人は
手足を失ったばかりか
舌まで取られているんだ。
檻のある部屋で山村から聞いた、
あの忌まわしい出来事を思い出した。

「山村さん、紹介して頂戴よ」
ママが二人の側に近寄り、
玲子さんの顔を見てニッコリ笑った。

「彼女は水島玲子さんと言って、
 さっき、下で話した人さ。
 玲子さん、ここにいる人達は
 俺達を助けに来てくれたんだよ。
 俺は今から聡を探しに行くんだ。
 あんたも一緒に珠江ちゃんを
 探しに行かないか?」

珠江と言う名前が
山村の口から出たとたん、
玲子さんの目が一瞬輝いたが、
すぐにその光は消えてしまった。

「珠江は・・・山村さんも
 知っているでしょ、
 私が逃げようとしたばっかりに、
 あんな酷い事をされたのよ、
 あの子はあの時
 悲鳴を上げながら死んだわ。
 あぁ、あの子の泣き声が
 頭の中から離れない・・・
 ママ助けて、痛いようって
 ずっと聞こえるの」
両耳を手で覆い、
肩を震わせて泣く玲子さんの目から
涙が頬を伝いボトボトと音を立て、
白いシーツの上に落ちた。

「玲子さん、たとえ珠江ちゃんが
 亡くなっているとしても、
 きっとあなたが迎えに来るのを
 待っているわ・・・えっ?
 ちょっと待って」
ママは何かを感じたらしく、
こめかみ辺りを手で押さえて
目を閉じ、すぐに目を開けた。

「珠江ちゃんは生きているわ」
ママの言葉に玲子さんは
ハッとした表情をして顔を上げ、
山村だけでなく、
中田先生、犬山さん、涼子さんも
びっくりしたような顔で
ママを見た。
もちろん私だってびっくりだ。
そりゃそうだ、確か五歳だったか、
そんな幼児が生きたまま
腹を割かれたんだから
生きているはずが無い。

「た、珠江は生きているんですか」
玲子さんは喜びと不安の入り混じった
複雑な顔をしてママに追いすがった。

「生きているわ。
 それも、かなり元気な
 波動を感じる・・・」
ママの言葉はその場にいる全員の
気持ちをパッと明るくした。 

「おぉ、良かったです」
犬山さんが玲子さんに近寄り、
その手を握り締めた。
中田先生と涼子さんも
玲子さんに、良かったですね、
と力強い言葉を掛けてあげている。
玲子さんの顔から潮が引くように、
一切の苦悶が消えていくのが
目に見えて分かった。
今彼女はこのうえもない幸せに
包まれている。
「良かった、それだけが
 気がかりでした・・・」
そう言った玲子さんの姿が、
次第に薄くなっているのに気がつき、
「ママ、大変だ玲子さんが
 消えかけている」
私の声にみんなの視線が玲子さんに
集中した。

「玲子さん、行っちゃだめだ。
 珠江ちゃんを助けるんだ。
 俺も聡を助けに行くんだよ。
 一緒に行ってくれよ!」
山村は喉が裂けんばかりの声を出して
玲子さんにしがみついたが、
玲子さんは天女のような
美しい微笑みを残し我々の目の前から
完全に消えてしまった。

〜つづく

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2007.07.17. (00:18) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(10) /
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変な格好

シュウが横になったまま、前足のみ動かして床の上を進んでいる。なんちゅう不精な、横着な・・・・でも可愛いかった。


「ダイハード4.0」を観に行った帰り、ハーゲンダッツでアイスを食べた。カスタードクリームとカラメルが上に乗っているバニラアイスだったが、とても美味しかった。



1〜35は「続きを読む」の中36 37 38 39 40 41

これ以上泣いて醜態を晒すまいと
堪えているからか、
耳と鼻を真っ赤に鬱血させ、
顔面を涙と鼻水まみれにして
震えている山村の背中に、
ママが優しく手を当てた。

「山村さん、約束するわ。
 聡ちゃんがもし、
 どうしようもない状況に
 置かれていたら、
 すぐにその苦しみから
 解放してあげる。
 これはルール違反なんだけどね」
ママは山村に静かに話しかけた。
 
山村は顔を上げ、
空ろな目をしてママの顔を見つめ、
ゴクリと生唾を飲み込むと、
お願いしますと一言言ってから、
ママの両腕をつかみ、
お願いしますと何度も
繰り返し頭を下げた。
ママは頷き、山村をそっと
引き離すと、
「それじゃ上に行きましょうか」
と言ってみんなの顔を見回した。

プライベートルームから出た時、
あっちにもエレベーターが
あったんだよと言いながら、
中田先生が右の廊下の
突き当たりを指差した。
廊下は左に延びている。
きっとその曲がった所にも
エレベーターがあるのだろう。

「でも、あっちのは何処に
 繋がっているか分からないから、
 やっぱりさっき乗ったやつに
 また乗る方がいいな」
先生の言葉に我々は頷き、
元来た道をまた戻り始めた。

手術室は照明が消されており、
ドア上部にある
赤い非常灯だけが付いていた。
モニターも電源が落とされ、
隅の方に片付けられている。

白いカバーの掛けられた
手術台の上に、一人の女性が
座っているのを見つけて、
我々は足を止めた。
その人はウエストにくびれのない、
ストンとした
白いワンピースを着ており、
肩まで伸びた髪を乱れさせ、
ボンヤリと天井にある
灯りの消えた照明器具を
見つめていた。
私はこの状況に覚えがあった。
何処かでこの人と良く似た
格好をした人を見た事があるのだ。
何処で見たんだろう、
誰だったんだろうと
記憶を辿っている時、

「玲子さん!」
山村が叫びながら、
手術台に駆け寄って行った。

「玲子さん、俺だ山村だ」
私だけが異次元に入り込み、
芋虫女と遭遇した時、
あの世界でも山村は彼女を
玲子さんと呼んでいた。
次元は違っても、名前は
同じなんだろう。
玲子さんは視線を天井から
山村に移し、じっと山村の顔を
見ていたが、
やがてたどたどしい言葉で

「や・・・まむら・・さん」
と言った。

「あんたは死んだんだ。
 俺も死んだんだよ」
山村はそう言いながら、
玲子さんの腕を
愛おしそうに撫で擦り、
台から下ろそうと、
腕をつかっで引っ張った。
たちまち玲子さんが
ブンブンと首を振る。

「ダメ、歩けないわ。
 だって足がもう無い・・・」

「いいや、足はあるさ、
 腕だってほら、良く見てご覧
 ちゃんとあるだろう。
 俺達はもう自由なんだよ」
山村は優しく微笑み、
ニッコリ微笑んだ。

〜つづく

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2007.07.16. (00:15) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(12) /
 我が家の猫達&ママの店
あっ起きた・・・


ごはんですよ〜を知らせる食器の音がして、熟睡していたカスガが目を覚ました。寝起きの顔、ちょっと恐いなぁ〜
今日の晩御飯のメニュー。
鰹節ご飯、ささ身、鯖の水煮、キュウリ(ブチ、クロ、チャオのみ)



・・・お知らせ・・・・
毎週土、日、の「ママの店」はお休みさせて頂きます。


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出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.07.15. (00:40) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(8) /
 我が家の猫達&ママの店
もう寝ようよぅ・・・

フクが早く寝ようと催促をして来る。時間はまだ十時になったばかりなのに、もう眠たいらしい。猫は元々よく寝るが、年がいくともうほとんど一日寝ている。



・・・お知らせ・・・・
毎週土、日、の「ママの店」はお休みさせて頂きます。


「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目

ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。

出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」

電子出版「短編集 闇の中の住人」
2007.07.14. (00:55) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(8) /
 我が家の猫達&ママの店
こんなふうに吸っている

チャオが私の指を吸う時は舌を吸盤のようにくっつけてチュパチュパ吸っている。何とかその瞬間を撮ってやろうと頑張るが、カメラを向けたら舌を引っ込めてしまう。これは貴重な一枚だ(笑)



1〜35は「続きを読む」の中36 37 38 39 40

「じゃあ早速B2の、この
 201 202 203 204の部屋を
 調べて見ましょうか」
ママは画面の見取り図を指差し、
そう言った。
そして山村の側に行き、
頬っぺたをペチペチ叩いて
山村の名前を呼んだ。

「山村さん、目を覚まして」
何度か呼び掛けていると、
山村はやっと薄く目を開けた。

「気がついたようね、
 あなたはエレベーターから
 転落したのよ」
ママがそう言うと、
山村は頭に手をやり、
その手に血が付いたのを見て
怪訝な顔をした。

「俺は確かに死んだはずなのに、
 何で血なんか出てるんだろう」

「それは、つまり
 霊体も傷つくと言う事なんだよ。
 だから、無茶をするともう一回
 死んじゃうよ」
私がそう説明すると、
ママ、涼子さん、
犬山さん、中田先生が
ニヤリと笑った。
うぅ・・・何だよみんなして。
分かっているさ、
これはさっき私が
ママに言われた言葉だ。
でも、いいじゃないか、
ちょっとは私に華を持たせてよ。
私は心の中で呟き、
恨めしい目をしてみんなの顔を
見回した。

何も知らない山村は
びっくりしたような顔で
私を見つめている。

「へっ?俺はもう
 死んでいるんだけど
 また死ぬんですかい」

山村には到底
分からないだろうなと
私は思った。
長くこの世界にいる私でも、
なかなか理解し難い事を、
死にたてホヤホヤの山村が
そんなに簡単に
理解出来るはずがない。

「山村さん、死は肉体だけが
 消滅するのであって、
 魂はずっと残っているものなの。
 あなたは死んだのに
 今もこうして存在しているから、
 もう分かっているわね。
 死ぬって事は魂が別の世界に
 行ってしまうって意味なのよ。
 だから、霊体が
 酷い損傷を受ければ
 また死んで、
 別の世界に行ってしまう。
 魂が存在する世界は、
 宇宙のあちこちに
 無数に存在しているから、
 今あなたが死んでしまって
 この世界から出てしまったら、
 もう私達と一緒に行動出来ないし、
 もちろん息子さんにも
 逢えなくなるわ」

黙って聞いていた山村は
ママを見て頷いた。

「よく分かりました。
 もう無茶はしません。
 聡がもし・・・・」
言葉を詰まらせた山村の顔が
見る見る赤くなり、
目には涙が溢れている。
一呼吸置いた後、
「もし聡が瀕死の状態であるなら、
 早く楽にしてやり・・・たい。
 まだ、何もされていないのなら
 助けて・・・やり・・・」

最後の言葉は嗚咽で掻き消え、
ほとんど分からなかった。
涼子さんが顔を両手で
覆って肩を微かに震わせている。
ママや犬山さん、中田先生も
沈鬱な表情で山村を
見つめていた。

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
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連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目

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2007.07.13. (00:01) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(9) /
 我が家の猫達&ママの店
けだるいなあ〜


梅雨だから当たり前だけど、こう湿度が高いと体がしんどい。気温は例年に比べて低めなのだが蒸し暑く感じる。猫達も昼間はグッタリ寝たきりだ。クロだけが元気で、寝ている猫にチョッカイを出したりしているが相手にされず、いつもはクロと一緒に行動するブチですらカスガと並んで寝ている。仕方が無いのでクロは一匹で台所に忍び込み、油のポリタンクを舐めている現場を私に見られて怒られ、しょんぼり小屋に帰って行った。



1〜35は「続きを読む」の中36 37 38 39

「もう、あの人ったら・・・
 犬山さん、
 連れ戻してくれませんか」
ママがそう言うなり犬山さんは
山村を追う為に走り出した。

「あ、エレベーターに気をつけて」
ママの言葉に
犬山さんの足が止まる。

「エレベーターには必ず乗るのよ、
 箱が来ていないのに
 扉から飛び込んだら
 下に落ちてしまうわ」
犬山さんは頷いて
ドアからサッと出て行った。

どうしてママは
エレベーターの事など
気にしたんだろう。
私以外のみんなは幽霊で
実体が無いんだから、
わざわざエレベーターなんかに
乗らなくても
別にかまわないのでは。
私の考えている事が分かったのか、
ママは眉を潜め、

「豊、私達にも実体はあるのよ。
 今あんたの目の前にいる私達を、
 いったい何だと思っているのよ」

「そりゃ、幽霊・・・」
あっ、しまったと思ったが
もう遅かった。
ママの目が吊り上がっている。

「今まで何度も
 説明して来たはずよ、
 こっちの世界では私達も死ぬの。
 まあ、あんた達の死とは
 全く違う形での死だけどね、
 霊体も傷つくのよ。
 こっちの世界で死んだら、
 また別の世界に行ってしまうの。
 もう戻ることは出来ないわ。
 私達は何度も死を迎え、
 いつかまたあんたの世界に
 生まれ変わるんだと
 説明したでしょ、
 もう忘れたの?」

げっ、ママが怒っている・・・
そういゃ何度かそんな説明を
受けていた。

ごめんと私は謝った。
中田先生と涼子さんが
ニヤニヤ笑っている。
その時いきなり
犬山さんが戻って来た。
頭から血を流して白目を剥いた
山村を抱いている。

きゃっ、と涼子さんが
悲鳴を上げ、口を両手で覆った。

「どうしたのさ、
 何でそうなったの?」と聞くと、

「エレベーターの扉から
 飛び込んで落ちたんですよ。
 幸い箱が下りて来る前に
 救出しましたから
 頭を打っただけですみました。
 ママさんの言葉が気になって、
 もしやと思って扉の中を
 覗いて良かったです。
 下でのびてましたよ」
そう言いながら、
犬山さんはソファーの上に
山村を寝かせた。

「丁度いいわ、この人ったら<