せっかく見つけたのに
ベランダの網戸を潜り抜けたか、小さな虫が入って来た。
早速シマジロウが側に行き、チマチマと歩き回る虫の行方を追っている。虫を捕まえる瞬間でもパチリしてやろうと構えたら、シマジロウ君虫も気になるがカメラも気になる・・・で、そのうち虫はブィ〜ンと羽音を立てて何処かに飛んで行ってしまった。
ビリー十日目マンションなので飛んだり跳ねたり出来ないので、出来ない種目の時はひたすらスクワットか腕立て伏せをすることにしている。体がだいぶ慣れてきた。
1〜47は「続きを読む」の中 48 49
「何かおかしな部屋だぞ」
ドアから首を突っ込んで
中を覗いていた中田先生が、
ヒョイと首を抜き私の顔を見た。
でも私は、
え?そうなの・・・
と言っただけ。
どうせ今から入るのだから、
わざわざ覗くまでもない。
いや、それよりも何となく
覗きたく無かったのだ。
中田先生とママがボソボソと
何やら話しをしている間に、
犬山さんや涼子さん山村が、
ドアや壁にズボッと
首を入れているのを、
私はぼんやりと眺めていた。
やがて首を出したみんなが、
先生の言う通りだ、
この部屋は怪しいと
口々に言い始め、
どう怪しいんだろうかと
少し興味が湧いたが、
それでも私はまだ
首を突っ込む気には
なれなかった。
「それじゃ、この部屋から
始めてみましょうか」
ママの合図でみんな一緒に
204号室のドアを潜り抜けた。
「何これ?・・・」
異様な物が立ち並んでいる
部屋の中を見て、
私は思わず声を上げた。
びっしりと、
真っ白い布で囲まれた
四角い物が並んでいるのだ。
「これはベッドの回りを
カーテンで覆ってるんだよ」
中田先生が小さな声で
呟くように言い、
そっとカーテンの中を
覗き込んだ。
どうせ我々の姿はこの世界の
者には見えないし、
声も聞こえない。
静かにする必要など無いのだが、
ベッドで人が寝ていると思うと、
思わず声を潜めてしまうようだ。
「やっぱりそうだよ、
人が寝ている」
先生の言葉に誘発され、
思わずカーテンの中に
首を入れたとたん、
視界がグニャリと
歪むのを感じた。
たかだか一つのベッドの回りを、
カーテンが覆っているだけの
スペースのはずなのに、
私の周りにカーテンなど
ありはしなかった。
只一面真っ白な世界、
ここは何処なんだろうと
辺りを見回していると、
霧が晴れて行くように
次第に辺りの様子が
見えて来た。
今私が居る所は壁も床も
白で統一された部屋の中。
立っていたはずの私は
いつの間にか
パイプイスに腰掛けている。
目の前に白い布で覆われた
こんもりと人型に
膨れた寝台のようなものが
置かれている。
寝台の左方向を見ると、
小さな机に白い布が掛けられ、
その上に白い陶器で出来た
丸い線香立てが一つ置かれてあり、
真新しい線香が一本立っている。
線香から長く白い煙が
真っ直ぐ立ち上っているのを
見ていると、自分の心臓の音が
耳の奥から頭の中に
響いてくるのが分かった。
私は震える手で、
布の端をめくり上げた。
〜つづく
「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘「怪談奇談」に
(幽霊屋敷) 連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」11話目ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」電子出版「短編集 闇の中の住人」