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樋口裕子

  • 名前:樋口裕子
  • HP⇒ハレルヤ

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オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
 我が家の猫達&ママの店
ブチとチャオ
ブチら

ブチは温和な猫で、好き嫌いがほとんど無い。
兄弟猫のことはもちろん、フクやナナにも敵対心を持たない。
いつもコンビを組んで台所あさりをやるクロも温和だが、ブチはまだもっと温和なのだ。
まさに温和の王道を行く猫なのである。



1〜66は「続きを読む」の中
 67 68 69

廊下に出ると、何となく
辺りが明るく感じた。
それはきっと建物が新しいからだ。
私は今、何年前かは分からないが、
さっきまでいた施設の
過去の世界に来ている。

恩他が最初ママの店に来た時
四十歳くらいに見えたけれど、
今はどう見ても二十歳前後、
いや、ひょっとしたら
私より若いかも知れない。

でも彼が医者だとしたら、
それっておかしいんじゃないか?
私は医者の事など全然分からないが、
インターンでも二十六は
いっているのでは・・・うーん、
年より若く見えるだけなのかな?

私が年齢にこだわっているのに
全く気がついていないらしく、
恩他は施設の説明をやりだした。

「これを右に行くと
 エレベーターがあるんだ。
 左に行くと君も知ってるだろうけど
 手術室と処理・・室が・・・」
恩他は処理室と言う言葉で
詰まってしまった。
処理室とは、使用済みになった
遺体とか内臓を捨てる
あの鉄のゴミ箱がある部屋の事だ。

「何で声を詰まらすんだ。
 何故はっきり処理室と言わない。
 お前らは死体を切り刻み、
 あの中に捨てているんだろうが」
精一杯の侮蔑を込めて
吐き捨てるように言った私の顔を、
恩他は暗い目をして
じっと見つめている。

「何だ、何か間違った事を言ったか?」
私がもう一度冷たく言ってやると、
恩他は顔をしかめ、
首を横に振りたくった。

「違う・・・」

「何が違うんだよ」

「私もあの鉄の箱の中に、
 捨てられたんだ・・・・」

エッ?

私は一瞬声を失ったが、
すぐに考え直した。
騙されちゃいけない、
これも嘘に決まっている。
しかし、恩他の顔は真剣だった。

ひょっとしたら恩他も犠牲者?
私の頭は混乱していた。

「手術室に行こう」
恩他が左方向に早足で歩き始めた。

手術室に何があると言うのか、
この野郎には今まで散々嘘をつかれ
翻弄されて来た。
今更何を信じよと言うのか。

やがて真ん中から両側に
大きく開くようになっている
薄いブルーの扉の前に来た。
手術室と書かれた
表示灯が点灯しているのを見ると、
今手術の真っ最中らしい。

恩他は私の存在など
忘れてしまったかのように
さっさと中に入ってしまった。

「あっ、おい、ちょっと待て」
私も慌てて中に飛び込んだ。

恩他は扉の所に立っていた。

中央では手術台を挟んで
執刀医が二人黙々と、
メスや鉗子を動かしており、
五人いる助手が、
モニターを監視しながら
執刀医に器具を渡したりしている。

恩他はしばらく
ぼんやりとその光景を眺めていたが、
やがてツカツカと手術台の所まで
歩いて行った。
私ももちろん恩他の後について行く。

患者と言っていいのだろうか、
手術されている人は
口に差し込まれた太いチューブと
頭に被せられた手術帽で
性別までは分からないが、
かなりの老人みたいだ。
執刀医も顔の半分を
マスクで覆っている為、
これまた顔が分からないが、
その一人の目元に見覚えがあった。

〜つづく

「ママの店」(激闘編)をHPにUPしました。
別荘
「怪談奇談」(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」13話目
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2007.09.23. (00:00) 小説 文学 / TRACKBACK(-) / COMMENT(-) /
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