2008.03.31. (08:44)
小説 文学 /
TRACKBACK(-) /
COMMENT(-) /
▲
2008.03.25. (10:11)
小説 文学 /
TRACKBACK(-) /
COMMENT(-) /
▲
2008.03.20. (21:34)
小説 文学 /
TRACKBACK(-) /
COMMENT(-) /
▲
2008.03.15. (11:24)
小説 文学 /
TRACKBACK(-) /
COMMENT(-) /
▲
2008.03.11. (23:01)
小説 文学 /
TRACKBACK(-) /
COMMENT(-) /
▲

・・・前回までのお話・・・
1 2 3 45 6 7 8 9 10「えっ、あいつなの?」
ママは暗い目をして頷いた。
ママは、この店にくる客のことを、何でも知っているのだ。
「あの人はね・・・」
ママがアボカド野郎に聞こえないように、
小声でドアの向こうにいる人達の話を始めた。
「ほらあの青いジャンパーを着た人、
あの人は家電メーカーに雇われている
修理屋さんなの。
真面目な人でね、朝早くから夜遅くまで
テレビやビデオの出張修理をしていたわ。
それがある夏の日、運が悪かったとしか
言いようのない出来事が起ったの。
夜になっても三十度を割らない
熱帯夜が続いていて、
寝不足になっていたのよね、
いつもなら客のどんな質問にでも
笑顔で丁寧に応えるように努めていたんだけど、
そのときは疲れていて
ちょっとした言葉使いで客を怒らせてしまったのよ」
「そうか、その客ってのがあいつだったんだね」
私はチラッとカウンターを見た。
その通りと言うように、ママは頷き、話しを続けた。
「ほら、腹を立てたら
すぐに社長を出せって喚く人がいるでしょ、
あの人は正にソレ。怒り出したら最後、
自分の気がすむまでトコトンやるの。
修理屋さんは土下座までして謝ったけど
許して貰えなかった。
結局は彼の会社の上司まで家に呼びつけて、
お前の会社は社員に対する教育がなっていないって
何時間も説教し続けたのよ」
「ひえー、普通そこまでやる?」
「ええ、トコトンやらないと気が済まない人なのね。
まあ、それで彼はクビになっちゃったってわけ。
会社にしてみれば
修理屋の代わりなんていくらでもあるから、
痛くも痒くもないんでしょうけれど、
辞めさせられた人はたまったもんじゃないわ。
なかなか次の職って見つからないものなのね、
失業保険もいつまでも貰えないし、
たちまち家のローンと子供の学費に困った奥さんは
ノイローゼになって入院。
その入院代も払えない自分に絶望して
彼は首を吊って自殺を図ったの。
今親族の援助を受けて集中治療室にいるけど、
もうすぐこっちの人になるかもね」
「じゃあ、もうすぐこの店の中に入ってくるってこと?」
「そうね」
ママは暗い目をして頷いた。
「あのウエイトレスさんはね・・・」
ママは時々カウンターの方を気にしながら、
一層声のトーンを落とし、
掠れて消えそうな声で
話をウエイトレスの格好をした若い女性に移した。
彼女もジリジリと焼ける音が聞こえてきそうなほどに、
恨みのこもった熱い視線をあいつに向けている。
「ファミリーレストランに勤めていたんだけど、
あの日は日曜日で
店は家族連れの客でいっぱいだった。
きっと忙しすぎて頭がボーッとしていたのよね、
一人できていた客の注文を
調理場に通すのを忘れてしまったの。
その客ってのが、あの人だったから
大変なことになったのよ」
〜つづく
『ハレルヤ』youtube宣伝フラッシュ『ひとでなしの倫理』youtube宣伝フラッシュ『闇の中の住人』youtube宣伝フラッシュ ・・・・・・・私サイトへのリンク・・・・・・・ハレルヤ公式サイトひとでなしの倫理 ハレルヤロバの耳FC2が見れない時の別荘
2008.03.08. (19:08)
小説 文学 /
TRACKBACK(-) /
COMMENT(-) /
▲

・・・前回までのお話・・・
1 2 3 45 6 7 8 9「何でもありますよ、お客さんのお望みのものが」
ママが優しく声をかけてやっているのに、
男は目を丸くして口をすぼめ、
人を小馬鹿にしたような顔でホホーと言った。
「と言うことはメニュー以外にも出来るってことなの?」
気持ちの悪い猫なで声だ。
はい、と言ってママが笑顔で頷く。
「じゃあ、メニューには書いてないけど、
アボカドジュースを貰おうか」
男は平然とした顔でそう言った。
ぬぁにい?よりにもよってアボカドかい!
ママがちょっとでも困った顔をしたら
男を外に引きずり出してやろうと思っていた。
しかしママは少しも動ぜず、ニコニコ笑っている。
「承知いたしました。でも、アボカドジュースは
ちゃんとメニューに書いてございますよ」
ママは男の持っているメニューの何処かを指さした。
「何?そんなもん何処に・・・あっ!」
男はメニューに顔を近づけて絶句した。
ウヒャヒャッ、ざまあ見ろ
アボカドジュースはあったんだよっ!
私はとても愉快だった。
「アボカドジュースでよろしいですか?」
男は苦々しい顔をして、もういいよとばかりに
ママにメニューを返した。
「ホットコーヒーにして」
小さい声でボソッとそう言うと、
つまらなさそうに横を向いた。
カウンターに男が二人離れて座っている。
一人は水割りのグラスをじっと見つめている
孤独な医者。
もう一人は、アボカドジュースと言ったくせに
ホットコーヒーを飲んでいる馬鹿。
ママが私の側に戻ってきた。
あの人、ヤな奴だねえと小声で言うと、
ママはふっと悲しい顔をして首をかしげる。
鳶色の瞳が涙で潤み始めているのに気がついて、
私はドキッとした。
「ママ、どうかしたの?」
慌てて声をかけると、
ママはスーッと私に顔を近づけた。
「あれを見て・・・」
囁くような小さな声でそう言うと、
ドアの方を目で指した。
いったい何が?と思いながら目をやった瞬間、
いきなりブアッと全身の毛が逆立った。
何と驚いたことに、
ドアの枠にはめ込んである大きな飾りガラスに
ベッタリくっついたたくさんの顔が、
目をキョロキョロ動かして
店の中をのぞいているのだ。
誰が垂れたのか、顔と顔の隙間を縫う様に、
ガラスの表面をヨダレが流れていく。
ゲッ気持ち悪りぃ・・・吐きそう。
「な、何をしているのかな?あの人達」
口を押さえた為か恐怖のせいか、
私の声が恥ずかしいくらい裏返る。
「恨んでるのよ」
ママの声はとても小さいのに、
地の底にまで響きそうなくらい重く響いた。
「恨むって、誰をさ・・・」
その後の、まさか私じゃないよねの言葉を
ゴクリと飲み込んだ。
「あんたじゃないわ安心して」
ママは私の不安がわかったのか、
フッと笑って軽く首を横に振った。
そしてカウンターでのんびりコーヒーを飲んでいる
アボカド野郎を目で指した。
〜つづく
『ハレルヤ』youtube宣伝フラッシュ『ひとでなしの倫理』youtube宣伝フラッシュ『闇の中の住人』youtube宣伝フラッシュ ・・・・・・・私サイトへのリンク・・・・・・・ハレルヤ公式サイトひとでなしの倫理 ハレルヤロバの耳FC2が見れない時の別荘
2008.03.04. (18:51)
小説 文学 /
TRACKBACK(-) /
COMMENT(-) /
▲