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ハレルヤ
オンライン小説&出版本紹介のHP「ハレルヤ-樋口裕子-」のブログ、夢日記や短編小説など書いていく予定です。(コメントの欄に業者の方の宣伝はご遠慮願います)
改訂版「ママの店」
前回までのお話・・・
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今日はババ抜き?それとも神経衰弱?
と私が聞くと、ババ抜きよと
ママは嬉しそうに答え――
「今日のはちょっと
おもしろいおまけがあるの」
「おまけって何さ、
ババをもう一枚増やすとか?」
私の問いにママは
ニコニコしながら首を振った。
「いいえ、ババは一枚だけよ。
バツゲームが付いているの」
バツゲーム?何か嫌だなあー
ママって真面目そうだけど、
こう言うのに限って悪ふざけしそうだからなあ、
こりゃ只では済まない気がするよ・・・
私が露骨に嫌な顔をした為か、
先生と犬山さんが不安気に顔を見合わせた。
「どんな、バツなんですか?」
先生が少し緊張した面持ちで聞く。
「ピュウーッ負けた人は地獄いきー」
ママが口を尖らせ、
ふざけたような声を出して笑った。
「ねえ、それって地獄のような
怖い所って意味なの?
それとも、もしかして本物の地獄・・・
なわけないよね」
私がアハハハと笑いながら聞くと、
ママは大真面目な顔をして頷き、
うん、地獄よ、本当にいくのよと
キッパリ言い切った。
うへえ、何てこった、やっぱり予感は当たったよ。
フゥーと息を吐き出し
ソファーの背にグッタリともたれかかったとき、
「地獄って、やっぱりあるんでしょうかねえ」
犬山さんが不安そうに、小さな声で呟くと、
先生が労わるような目をして
大丈夫ですよと言った。
私は思う、犬山さんにとって地獄は
決して他人事ではないだろう。
あれだけ人に恨みをかって死んだんだもの、
地獄が気になるのは当たり前だ。
辺りの空気が重くなったのを感じたのか、
ママが慌てて犬山さんに言葉をかけた。
「犬山さん、只のゲームよ、
そんなに怖がらないで。
地獄なんてあるもんですか。
あれは人間が悪いことをしない為に
用意された架空の世界よ。
でも勉強になるし、
体験してみる価値は十分あるわ」
ママは明るい声でそう言って、
嬉しそうに片目をつぶって見せているが・・・
嘘だ、ゲームだなんて絶対嘘だ、
ママの顔が嘘だと言っている。
地獄は遊園地のお化け屋敷とわけが違う、
そんなところにいかされたら
命がいくつあっても足りないよ・・・
こりゃ絶対負けられない、
と言うかそんなゲームやりたくないよう。
「じゃあ、あんたシャッフルお願いね」
嫌がっているのがわかったのか
ママは意地悪そうな目で私を見て、
トランプを指で突いてきた。
渋々テーブルの上に置かれたトランプを
手に取ったものの、ウゥゥ、デカイ・・・
いつも思う、なんでママのトランプは
こんなにデカイのだ。
私も結構手は大きいほうだが、
それでもカードをつかみきれず
シャッフルが一度に出来ない。
二〜三組にわけて混ぜ、
後で重ねるしかないのだ。
それに何でいつも私がやらされるわけ?
ママがしたいんだから、ママがすればいいのに・・・
ブツブツ呟いているのが聞こえたのか、
「ちょっと何モタモタしてんのよ、
早く混ぜて配ってよ」
針を含んだママの声が飛んでくる。
「はいはい、わかりましたよ今すぐやりますって」
あぁ、メンドクサ・・・
「あの、手伝いましょうか」
親切に横から犬山さんが言ってくれたが、
いいですよ、私は慣れてますからと
やんわり断った。私にやれとのご指名なんだから、
私一人でやってやろうじゃないの。
髪の毛を振り乱して
死に物狂いでシャッフルしていると、
ママはバカねえと呟いてフッと笑ったが、
先生と犬山さんは何せ
地獄いきが懸かっているから
笑えるはずもなく、黙ったまま
真剣な顔で私の手の動きを見つめている。
いつしかシャッフルも終わり、
みんなにカードを配り終えると
ゲーム開始のゴングが・・・
鳴らないけど、とにかく始まった。
〜つづく
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2008.06.08. (12:39)
小説 文学
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