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改訂版「ママの店」
前回までのお話・・・
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えっ、ちょっ、やめて・・・
不安のあまりにタオルを剥がそうとしたのだが――
「何も怖がることはないのよ。
心を空っぽにしていて」
ママに手を押さえられた。
心を空っぽにか、私は今まで何度も
こうしてママに映像を見せられている。
怖くない大丈夫だ・・・そう思った瞬間、
不安と一緒に意識までなくなった。
どれくらい時間が過ぎたのかわからない。
気がつけば辺りは真っ暗、
生暖かい風が湿っぽい土のような臭いを
運んできている。
そう言えば目隠しをされていたと思い出し、
顔に手をやったがいつの間にかタオルがない。
と言うことは、実際に暗いのだ。
やがて目が慣れてくると、
足元には鬱蒼と草が生い茂り、
周りには木しかないことに気がついた。
ここは深い森の中、それにしても暗い。
今は夜なのか?
あまりにも木が生い茂り過ぎて
陽が入らないだけなのかもと、
じっと目を凝らし頭上を見ていたら、
木の葉の間に見え隠れしているのは
青空ではなく漆黒の闇だった。
やはり夜なんだと思い、
視線を下に戻した瞬間、
クェーッと大きな音がしたので
慌てて見上げると、何処からやってきたのか
それは黒い大鳥で、バタバタと羽ばたきながら
私の真上をグルグルと旋回し始めていた。
大鳥はそんなに低い所を
飛んではいなかったのだが、無意識に
頭をひょいと下げたとき、
前方から小さな灯りが三つ、
近づいてくるのに気がついた。
灯りはどうやら松明で、その火の下に
ぼんやりと見えるのは人影か?
近づくにつれ、その者達の姿がわかってくる。
骨ばった手で松明を握り締め、
先頭を歩いているのは
黒いワンピースを着た女で、
鼻から下が黒くなっていて顔がよく見えない。
後ろに続く男二人は、
松明を持つ手がグローブのように膨れている。
明かりの中に浮かび上がった顔も
酷く膨れていて、上下の肉に
圧迫されているからか目は線になり、
鼻は両頬の中にめり込んでしまっている。
紫がかったどす黒い顔に不似合いな、
鮮やかなピンク色をした太いタラコ唇が
不気味さを醸し出してはいるのだけれど、
何かとてもおかしくて
笑いが込み上げてくるのだ。
何処からどう見てもこの男女は死体、
それがこうして歩いていると言うのは、
ゾンビ?しかし私は
彼らがゾンビだとわかっても、
不思議なほど全然怖くなかった。
大鳥は危険を感じたのか、
いつの間にかいなくなっている。
〜つづく
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2008.06.21. (10:07)
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