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ハレルヤ
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改訂版「ママの店」
前回までのお話・・・
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やがて彼らは私の前にくると、
持っていた松明を私と自分達の間にある
丁度草の生えていない部分に重ねて置いた。
山火事にならないように
気をつけているのだと思ったら、
より一層人間らしさが感じられ、
パチパチと音を立てて舞い上がる
火の粉の向こうに、
赤々と照らされている三人を
観察する心の余裕が出来ていた。
二人の男にとってボスなのか
マドンナなのかわからない
この女の顔は誰かに似ている。
顔つきやスタイルから想像すると
元はかなりの美人だったに違いない。
損傷が酷く、片方の目に眼球はなく
黒い空洞になっているが、
もう片方はパッチリとした涼しい目をしており、
鳶色の瞳が美しい。
鳶色?そうだ、ママの目と同じ色、
そう言えばママに似ている気が・・・
いやいや、そんなはずはない。
どう見てもこの女は死んでいる。
いや、もちろんママも死んでいるが、
こんなに酷い姿ではない。
しかも腐敗が進んでいるせいか、
鼻から下の肉がなくなっており
赤黒い歯茎が丸見えだ。
それにしても何て臭いだ、
コウバシイ死臭を嗅ぎすぎて
頭がクラクラしてくる。
ハッと気がつくと、
いつの間にやってきたのか、
女が私に身を寄せていた。
裂けた黒いワンピースの胸元から
はみ出た豊満な乳に、
大きなハエが一匹たかっている。
決して乳に見惚れていたわけではない。
だがしかし、女の手が
トレーナーの中に滑り込んだ瞬間、
私は動けなくなっていた。
波のように押し寄せる恍惚感に包まれて
意識が半分なくなりかけていたが、
耳の下辺りを思いっきりズルリと舐められ、
いきなり正気に戻された。
ヌルッとした冷たい感触は、
まるきり爬虫類の舌だ。
「わっ!気持ち悪いっ、ヤメローッ」
私は思わず女を突き飛ばしていた。
女は重ねてある松明の上にドンと尻餅を突き、
そのショックでグエッと口から
ヨーグルトのような物を吐き出した。
男達が慌てて両脇をかかえて抱き起こしたが、
女は苦悶の表情を浮かべ、
衝撃で飛び出して垂れ下がってしまった眼球を
元の穴に押し込んでいる。
松明はバラバラに崩れて火も消えかかっており、
薄暗くなった視界の中には
とても危険な空気が立ち込めていた。
さすがに申しわけないことをしてしまったと思い、
ゴメン悪かったよと謝ったが――
「ゆ、ゆるさない・・・コ・ロ・セ」
憎々しげに私を睨み付けた女が、
老婆のようなしわがれた声でそう言ったとたん、
男どもが歯を剥いた。
「ガルルルルルル!」
狂犬のように唸りながら
二人が私の回りを凄いスピードで走り出す。
そうか、そっちがその気なら仕方がない。
私だって負けちゃいないさ、
やられる前にブチのめす!
ゾンビめ覚悟しろとばかりに、
息つく間もなく飛び出す拳と回し蹴り。
しかしゾンビも相当強い、
倒れたかと思えば
またすぐに立ち上がって向かってくる。
息を抜いたら殺されると思い、
クルクルと体を回転させながら
必死に戦っているとき、いきなり頭の中に
ママの声が聞こえてきた。
「抵抗しちゃダメ。あんたがいる所は
等活地獄と言って喧嘩が大好きな人がいく地獄よ。
果てしのない殺し合いを続けるの。
手を出したらあんたも同罪だからね、
されるがままに身をまかせなさい。
殴らせておけばいいの、
どうせ痛くも何ともないでしょ。
あんたにとっちゃ、ただの夢なんだからさ」
えっ、これが地獄なの?
手を出したら同罪?冗談じゃないよ、
そんなの嫌だ。くそっ、こうなったら仕方がない、
好きなだけやればいいさ!
腹を据えた私が抵抗を止め、
地面にドッカと胡坐をかいて座ったとたん――
「キェェェェェーッ」
女がいきなり金切り声を上げ、
何処から持ってきたのか知らないが、
金属バットを振り上げて、
私の頭頂部目がけて振り下ろした。
ボカッと鈍い音がした瞬間、
うわあっーと悲鳴を上げたが、
衝撃の割には痛くない。しかし目を開けていたら
ショック死しそうだと思い、固く目を閉じた。
ゾンビ達に殴られ蹴られ、
あっちにコロコロこっちにコロコロ転がされながら、
私はズタボロになっていく自尊心の痛みに
必死で耐えていた。何んでこんなめに
遭わなくちゃならないんだろう・・・
情けなくて悔しくて涙が止まらない。
「もう嫌だあ、ヤメロー!」
〜つづく
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2008.06.28. (10:13)
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